永観堂のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2010年11月28日(日)


永観堂のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

「禅林寺」と、正しい名前では全然呼んでもらえない、永観堂
しかし、寺自ら「もみじの永観堂」と銘打った赤い看板を三条京阪に堂々とディスプレイしてるので、
それも自業自得と思わざるを得ない、浄土宗西山禅林寺派総本山でございます。
空海の高弟・真紹僧都が853年に寺を開く以前から、この地は既に紅葉の名所だったようで、
真紹の前のオーナーにあたる有名歌人・藤原関雄も、古今和歌集に収められた歌において、
おく山の岩がき紅葉散りぬべし 照る日の光見る時なく」などと、詠むことしきり。
秋以外のシーズンは、看板坊主の永観見返り阿弥陀像がもっぱりの売りである永観堂ですが、
やはりもみじの季節こそが、最も大きな魅力を発揮してくれるようです。
もちろん、最も大きな魅力を発揮すれば、最も多い観光客が押し寄せてしまうわけであり、
その人気と混雑度は、超メジャー級の紅葉スポットがひしめく京都にあっても、トップクラス。
加えて、今年は「京都の秋は永観堂」なんてポスターが駅などに貼られまくったため、地元客も、多め。
さらには、今年2010年の紅葉、いつにないハイテンション&ハイクオリティぶりを誇示。
とんでもない人出が予測されるのです。雅の世界を切り裂く人間地獄の出来が、予測されるのです。
紅葉を見るか。あるいは、紅葉を見る人間を見るか。もしくは、もう、単なる人間だけを見るか。
東山の夜に咲いた「赤の恐怖」がいかなるものだったか、心してご覧下さい。


実はこの日の4日前、水曜日の夜にも、永観堂特攻を試みてます。
で、あえなく玉砕しました。平日にも関わらず、堂々の25分待ちだったので。
門の前から始まる混雑。そして、門をくぐれば更なる混雑。何でそんなに紅葉が見たいんでしょう。


おまけに人だらけの受付前参道へは、無限ループで大型バスが突っ込んできます。
「どけゴラァ!!!」と待ち客を蹴散らして走るその姿はなかなかに鬼畜ですが、
狭い総門をギリで通過するあたりはマジで、危険。ボ~っとしてると、圧殺されるかも知れません。


で、こちらが28日当日の受付行列。日曜なのに、人、意外に少ないです。
いや、券売所に行列ができてるのには違いないですが、前回ほどではありません。5分待ち。
時間が20時前だからでしょうか。あと、この日の頃は一応、既に盛り過ぎ。
そういえば、龍馬伝の最終回もこの日にやってました。関係あるのかどうか知りませんけど。


で、600円を払い、中門を通って中へ入ります。で、あとは説明なし。
しょぼい写真ではありますが、グダグダ説明するより「赤の恐怖」をしっかり伝えてくれるでしょう。


赤の恐怖。


赤の恐怖。


ちょっと青いけど、でも赤の恐怖。


やはりちょっと青いけど、やはりでも赤の恐怖。


手水の龍に忍び寄る、小さき赤の恐怖。
そして、赤の恐怖のために脇役扱いにされてる見返り阿弥陀 in 阿弥陀堂。


赤の恐怖の中で奏される、余興の雅楽。


余興の雅楽を楽しみながら甘酒などをすすれる、赤き茶屋。


滝の恐怖、そして夜も寺宝を展示してる画仙堂の恐怖。


闇の中で血の色を見せる、真なる赤の恐怖。


そして、お帰り口の恐怖。とまあ、こんな感じです。


過剰なまでの紅葉の嵐と、その色彩を過剰なまでにブーストするライトアップ。
その相乗効果が生むビジュアルは、きれいというより、もう、怖い。怖いというより、もう、狂気。
全身に血を浴びるようなその凄み、物凄い混雑を忘却させて余りあるものがありました。

客層は、いわゆる王道観光地のそれ。
カップル、団体観光客などなど、とにかくロクな奴がいません。
人圧も凄まじく、ひとりものにとっては、間違いなくプレッシャー過大なシチュエーションでしょう。
しかし、景観の凄まじさが、それら人間地獄を全て相殺しています。相殺というかもはや、虐殺。
ウジャウジャいるリア充連中が紅葉に「飲まれてる」様は、その絵自体が面白いかも知れません。
もし、混雑やプレッシャーで永観堂に行くのをためらってる独な方がいるなら、
必ず行くことをおすすめします。大丈夫です。行かないと、損です。

そんな永観堂のライトアップ。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:2
男性グループ:0.2
混成グループ:0.8
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:0.8
単身女性:0.1
単身男性:0.1

【ひとりに向いてる度】
★★★★★
客層だけで見たら、ぶっちぎりの★。
しかしその★の客層を、
紅葉が力技でねじ伏せてる様は、圧巻。

【条件】
日曜 + 紅葉盛り過ぎ 19:50~21:00

永観堂(禅林寺)
京都府京都市左京区永観堂町48
通常拝観 9:00~17:00
夜間拝観 17:30~21:00

京都市バス 南禅寺永観堂道下車 徒歩約3分
東天王町下車 徒歩約8分
市営地下鉄 蹴上駅下車 徒歩約15分

永観堂 – 公式

禅林寺 (京都市) – Wikipedia