三寳寺の大根焚きへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2010年12月5日(日)


三寳寺の大根焚きへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

三寳寺
新字だと、三宝寺。右京区にある、日蓮宗の寺です。
江戸初期、後水尾天皇の御内旨を受け、金映山妙護国院三寳寺の号を賜り、建立。
一時は塔頭が12も立つほどの盛況を見せましたが、幕末維新の頃には衰退。
昭和天皇の御即位式に使用した建物を下賜せられ、それを本堂としてから、やっとこさ復活。
以後現在に至るまで、だるまみくじやペット供養などの奇妙な頑張りでも人気を集めてます。
この三寳寺で有名なのが、夏に行われる頭痛封じの「ほうろく灸祈祷会」と、
そして今回訪れた、12月の初頭に行われる「厄落としの大根焚き」
開祖・日蓮大聖人日朗上人日像上人の御真を御開帳、その御威光に包まれながら、
中風封じ祈祷をした大根をいただくことで一年の罪汚れを落とすという、報恩法要であります。
近所には「鳴滝の大根焚き」の呼び名で知られ、よりメジャーな感のある了徳寺がありますが、
三寳寺は、「ゆず御飯」を付加することで、オリジナリティーを主張。
もちろん、柚子の産地として知られる水尾が近所だからなどという安易な理由からではありません。
冬場は布団のような帽子がマストアイテムになる冷え性の日蓮大聖人が、
冷えた身体を温める良薬として柚子を珍重された故事によるものなのであります。
本当です。多分、本当です。ただし、水尾の柚子が美味いのも、本当です。
風呂に入れると実に体が温まるのも実に本当ですが、とにかく大根焚き、行ってきました。


三寳寺の最寄り駅は、嵐電・宇多野駅
少し前までは「高雄口」という名前だったこの奇妙なホームの駅から歩くこと、10数分。
往路はずっと登坂なのがキツいですが、当日は無料送迎バスが出てるので、ヘタレな方も安心です。


体力や精力を持て余す独男は、なまじキツい道だと歩くこと自体にハマり、
目的地を通り過ぎがちですが、三寳寺の看板はご覧のように、派手。安心です。
高雄まで歩かないうちに、この看板で細い道へ入ってください。しばらく行くと、総門へ到着。


大根を目指し、善男善女が集う境内。
写真の左奥の方にチラッと特設テントが写ってますが、そこでも大根焚きは飲食OK。
でもどうせなら、御即位式お下がりのお堂で食べた方が、プレシャスでしょう。受付も、お堂の中。


大根焚きは、食券制。
玄関で食券を購入し、食堂になってる部屋で大根と交換するというシステム。
受付では「何で知った」とかのアンケートを採ってて、ちょっと混み気味&玄関裏から外を撮り気味。


大根焚き&ゆず御飯には、単品やセット、持ち帰りなどのメニューあり。
大根&ゆず御飯のセット1500円なりを頼みながら、記入したアンケート用紙を渡すと、
「やっぱりネットからやねえ」とか言われながら粗品をいただきました。中身が何かは、秘密です。


かなりフルハウス状態の部屋で空き座布団を見つけ座り、
食券を渡してしばし待つうちにやってきた、立派な重箱&日蓮宗の箸袋入り割り箸。
セットのみ、この重箱で来ます、多分。単品は、皿です、確か。


ご開帳でございます。
大根2切れ&揚げが入った箱と、ゆず御飯がぎっしり詰まった箱の、2層構造。
どっちが上かなど、記憶する余裕なし。湯気が、湯気が、湯気が、食欲をそそり倒します。


大根、割ってみました。汁、奥までしみこみまくり。
鍋に煮汁が残ってないんじゃないかと思うくらいの、ハードコアな煮込まれ方です。
しかしもちろん、味は濃過ぎるなどということはなく、ジャストなテイスト。飯が欲しい、飯が。


というわけで、ゆず御飯。
正に、柚子の入った御飯という感じです。柚子はやっぱり、水尾のものでしょうか。
日蓮大聖人の冷え性に思いを馳せる間もなく食いまくり、大根ともども瞬殺させていただきました。


食うだけ食った帰ろうかと思ったら、他の部屋は結構空いてるやんの図。
そういえば、開帳されてるという日蓮大聖人&日朗上人&日像上人は、どこにいるんでしょう。
探そうかと思いましたが、面倒くさくなって退散しました。大聖人&W上人、ごめん。


腹ごなしに、しばし境内をうろつきます。
手水所には、大量のだるまみくじ。奉納していく者が、後を絶たたないそうです。
おみくじの結果に不服な者が、受領をボイコットして放置していったという説もありますが。


だるま、手水所のみならず境内中に溢れてます。
今後さらに増え、いずれ名物的奇観を生み出してくれたりすると楽しいですが、
今ぐらいの数の方が、ストレンジかつチャーミングな気もしますが。


ナムシステムの鐘楼、散り残りの紅葉を背負う鳥居の先に、妙見堂あり。
三寳寺は洛陽十二支妙見のひとつでもあり、「鳴滝の妙見様」「満願妙見宮」の呼び名もあります。
妙見とは「北斗七星を神格化した菩薩」だそうです。公式らしきサイトでは、そうだそうです。
「諸星の王として宇宙万物の運気を司どり支配される菩薩」だそうです。そうだそうです。


御所・紫宸殿を中心に十二支の方角へ祀られた、洛陽十二支妙見。
三寳寺の方角は、。犬はお産が軽いということで、妙見堂のそばには安産祈願の子宝犬。
持参した縫いぐるみと、この犬たちとの2ショットを、延々撮ってる妙齢女性がいました。怖かった。


子宝犬のそばには、縁結びの塔もしっかり完備。
でもこの塔、元々は、豊臣秀頼淀君+市中引き回しの末に斬首された8歳児・国松の供養塔。
叩き殺された罪人の呪いが地下から這いのぼってくる元・処刑場の鴨川が典型ですが、
色に惑う人民は何故こうも不吉なとこばかり好むのでしょうか。


妙見堂周辺にもしっかりダルマは並んでます。
私も買おうかなと思いましたが、大根焚きで意外に出費したので、日和りました。
秋の残り香を嗅ぐように紅葉を眺めながら、帰りましたとさ。

客層は、大半が中高年の家族連れ。
観光テイスト、限りなくゼロに近し。地元感、あるいは近辺住民感が濃厚です。
近所の小学生グループみたいなのが「こんにちわ~」と挨拶しながら入ってくる、そんな感じ。
カップル皆無、若者希少、おひとりさま微少、単独男性は若干いました。
人の数は、まあまあという感じでしょうか。いい塩梅の人出というか。
それなりに数はいますが、受付で行列ができたり、座る席がなかったりするようなことは、ありません。

そんな三寳寺の大根焚き。
好きな人と食べたら、より大根焚きなのでしょう。
でも、ひとりで食べても、大根焚きです。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:0
男性グループ:0
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:4
単身女性:0.2
単身男性:0.8
【ひとりに向いてる度】
★★★
プレッシャー、皆無。
ただし、若さ全開の人だと逆に浮くかも知らないくらい、
渋い。あまりにも、渋い。

【条件】
日曜 13:40~14:40

 

三寳寺
京都市右京区鳴滝松本町32
9:00~16:00

京都市バス or JRバス 三寳寺下車 徒歩約5分
市バス 福王子下車 徒歩約15分
嵐電宇多野駅下車 徒歩約15分

信仰と祈祷の道場 三寳寺 – 公式

鳴滝の妙見宮 – 洛陽十二支妙見めぐり