青蓮院のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年3月17日(木)

ライトアップされた宸殿南庭
青蓮院門跡のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

東日本大震災から、1週間。
発生当初は特に自粛ムードもなかった京都でしたが、
被害の凄まじさが明らかとなるにつれ、イベントの中止や延期が続出。
発生二日目の段階では、東本願寺も知恩院も遠忌遂行を宣言し、
知恩院はライトアップも敢行してたわけですが、結局は共に中止、あるいは延期。
東山花灯路も、自粛の消極性より募金の積極性を訴え続行を試みるも、結局は仕様変更。
そんな状況にあって、ライトアップを行い続けてるのが、清水寺、そしてこちらの青蓮院。
青蓮院門跡。夜間拝観の値段が高いことで有名な寺であります。
「そんな紹介の仕方があるか」という話ですが、実際に高いんだから、しょうがありません。
その額、800円。一般的な夜間拝観料金の5割増、清水寺のちょうど倍額にあたります。
門前の親鸞手植による大楠、そして内側から漏れる青い光を眺めつつ、
値段と興味を天秤にかけ、結果、その場を立ち去ったという方も多いのではないでしょうか。
天台宗三門跡のひとつにして、仮御所となった経緯から粟田御所の名も持ち、
かの親鸞が得度してその宗教人生を始めた地でもある、青蓮院。
本来こんなふざけた紹介は決して許されぬ、格式高く由緒正しき門跡寺院なのであります。
でも、夜間拝観料金は今期もしっかり、800円なのであります。

大楠に出迎えられる門前
樹齢800年の大楠に出迎えられる、青蓮院門跡の門前。
人いないように見えますが、実際にはポツリポツリながら絶え間なく客が入って行きます。
これがまあ、見事にカップルばっかり。知恩院にあぶれた客が流れてきたんでしょうか。

拝観入口
山号がないため「青蓮院門跡」とだけ書かれた行灯を見ながら長屋門をくぐり、
受付で800円払い、おつりの200円を募金箱へ入れ、青の世界へ。
「青蓮院」の名は、比叡山の坊・青蓮坊の名を引き継いだもの。ピンクの蓮が、水面に映えてたとか。

震災に関する告知看板厄除け京念珠くぐり
靴を脱いで上がる玄関には、震災に関する告知看板。そして、巨大厄除け京念珠くぐり。
くぐると、ご利益があるそうです。家内安全・開運招福・交通安全など。
京都最後の天皇・孝明天皇の常用輿なども、展示されてます。

宸殿
東福門院の御所を移転した宸殿。再建ですが。
この背後に、住吉具慶 or 狩野寿石の筆ともいわれる重文・浜松図襖絵があります。
やんごとなき部屋ゆえ「横になったり、足を投げ出したりする等、おつつしみください」の張紙あり。
でも思わずくつろぎたくなるのもわかる、ゆったりとして住居的な建築です。
あ、奥に見える青いの、ライトアップです。人がいないのは、みんなあそこにへばりついてるからです。

宸殿南庭
青の宇宙、もとい、宸殿の南庭。
かつては白砂を敷いていたが現在は杉苔に覆われた、という庭に宇宙を現出させてます。

宸殿南庭
星の光は青のままですが、、ライトは光量も色彩も刻々と変化します。
おかげで写真、撮りづらし。フラッシュバンバン焚いて「上手いこと撮れへん」とか言う人、多発。

べっちょりカップル発生中
べっちょりカップル発生中。カップル率、異常に高いです。体感的には、80%に近いかも。
知恩院クローズ以上に、高めの値段ゆえ「ゆったりいちゃつける」とでも踏んだのでしょうか。
とにかく、およそ寺とは思えぬ光景でございます。

小御所
秀吉寄進という一文字手水鉢をチラ見ながら回廊を通り、小御所へ。
最後の女帝・後桜町上皇がこの寺を仮御所とした際、使用されたのがこの部屋です。
といっても、こちらも明治に焼け、現在の建物はどっかから江戸中期のものを移築。
狩野派の障壁画の傷みが、ライトアップで妙な凄みを出してます。

小御所から相阿弥の庭を望む
開け放たれた小御所の縁側からは、相阿弥の庭・龍心池が一望できます。
といっても、紅葉時のような凄みが期待できるわけもなく、ただ小さい池と滝が照らされてるのみ。
借景である東山も見えるそうですが、もちろん今の時間は真っ暗です。

華頂殿むさぼる心
他の間とは一転してモダンな襖絵が描かれた、華頂殿。
別途500円で、お抹茶が頂けます。拝観料800円に、お茶代は含まれません。
「むさぼる心」を通り過ぎたすぐのところで「いかがですか」と呼び込みをやってました。

霧島の庭・大森有斐の庭
華頂殿を辞し、靴を履き、やたら背の低い入り口をくぐったりしながら、
小堀遠州作と伝わる霧島の庭、そしてどこの誰とも知らぬ大森有斐の庭をうろつきます。
狭い境内をくねくね歩かせるという、高台寺と同じタイプの見せ方ですが、
高台寺よりは渋いというか、和風テーマパークなテイストは若干薄めです。
テロリストに放火されたのち再建されたという好文亭を通り過ぎ、竹林の中へ。

竹林の中の日吉社本堂の募金案内
青白く照らされた竹林のてっぺんにある、日吉社。そして竹林を下ったところある、小さな本堂。
本堂でも募金、そして被災者のため法華経全巻28品の不断経を読誦されてました。

飛行石畑
で、戻ってきました、飛行石畑へ(嘘)。
以前来た時はビームを出してた記憶があるんですが、今期はあったっけ、なかったっけ。
あとは幼少の頃の親鸞像を拝んで、おしまいであります。

客層は、カップルと女性グループがメイン。というか印象的には、ほぼこの連中だけという感じ。
しかし、観光ハイや恋愛ハイ丸出しという方は案外と少ないです。
やはり門跡の格式ゆえでしょうか。あるいは拝観料のおかげでお子様が淘汰されたんでしょうか。
いちゃつくカップルは当然いますが、あちこちキョロキョロしたりウハウハはしゃぐ方は少なく、
勝手にゆったりくっついてるのが、多数。
なので、意外に色気のプレッシャーは少ないです。いや、やっぱり多いです。どっちだ。
地元感は、希薄。観光客の方や、京都近隣のおでかけな人が多い感じ。
単独は若干。カメラマンは少なく、普通の拝観客風が多し。

そんな青蓮院のライトアップ。
好きな人と観れば、より門跡なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、門跡です。

雪が降る庭園
【客層】 (客層表記について)
カップル:5
女性グループ:2
男性グループ:0
混成グループ:1
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:若干
単身女性:若干
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★
プレッシャーはあるといえばあるが、
自分の世界に入ってる人が多いので、
勝手にしろと流してられる。

【条件】
平日木曜 18:30~20:00

ライトアップの看板
青蓮院門跡
京都府京都市東山区粟田口三条坊町69−1
9:00~17:00
京都市バス「神宮道」下車 徒歩3分
地下鉄東西線 「東山駅」下車 徒歩5分

毎年春と秋に、夜の特別拝観を開催
昼夜入れ替え制 18:00~21:30


公式 天台宗 青蓮院門跡

wikipedia 青蓮院