青蓮院のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。
青蓮院門跡のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。
東日本大震災から、1週間。
発生当初は特に自粛ムードもなかった京都でしたが、
被害の凄まじさが明らかとなるにつれ、イベントの中止や延期が続出。
発生二日目の段階では、東本願寺も知恩院も遠忌遂行を宣言し、
知恩院はライトアップも敢行してたわけですが、結局は共に中止、あるいは延期。
東山花灯路も、自粛の消極性より募金の積極性を訴え続行を試みるも、結局は仕様変更。
そんな状況にあって、ライトアップを行い続けてるのが、清水寺、そしてこちらの青蓮院。
青蓮院門跡。夜間拝観の値段が高いことで有名な寺であります。
「そんな紹介の仕方があるか」という話ですが、実際に高いんだから、しょうがありません。
その額、800円。一般的な夜間拝観料金の5割増、清水寺のちょうど倍額にあたります。
門前の親鸞手植による大楠、そして内側から漏れる青い光を眺めつつ、
値段と興味を天秤にかけ、結果、その場を立ち去ったという方も多いのではないでしょうか。
天台宗三門跡のひとつにして、仮御所となった経緯から粟田御所の名も持ち、
かの親鸞が得度してその宗教人生を始めた地でもある、青蓮院。
本来こんなふざけた紹介は決して許されぬ、格式高く由緒正しき門跡寺院なのであります。
でも、夜間拝観料金は今期もしっかり、800円なのであります。
樹齢800年の大楠に出迎えられる、青蓮院門跡の門前。
人いないように見えますが、実際にはポツリポツリながら絶え間なく客が入って行きます。
これがまあ、見事にカップルばっかり。知恩院にあぶれた客が流れてきたんでしょうか。
山号がないため「青蓮院門跡」とだけ書かれた行灯を見ながら長屋門をくぐり、
受付で800円払い、おつりの200円を募金箱へ入れ、青の世界へ。
「青蓮院」の名は、比叡山の坊・青蓮坊の名を引き継いだもの。ピンクの蓮が、水面に映えてたとか。
靴を脱いで上がる玄関には、震災に関する告知看板。そして、巨大厄除け京念珠くぐり。
くぐると、ご利益があるそうです。家内安全・開運招福・交通安全など。
京都最後の天皇・孝明天皇の常用輿なども、展示されてます。
東福門院の御所を移転した宸殿。再建ですが。
この背後に、住吉具慶 or 狩野寿石の筆ともいわれる重文・浜松図襖絵があります。
やんごとなき部屋ゆえ「横になったり、足を投げ出したりする等、おつつしみください」の張紙あり。
でも思わずくつろぎたくなるのもわかる、ゆったりとして住居的な建築です。
あ、奥に見える青いの、ライトアップです。人がいないのは、みんなあそこにへばりついてるからです。
青の宇宙、もとい、宸殿の南庭。
かつては白砂を敷いていたが現在は杉苔に覆われた、という庭に宇宙を現出させてます。
星の光は青のままですが、、ライトは光量も色彩も刻々と変化します。
おかげで写真、撮りづらし。フラッシュバンバン焚いて「上手いこと撮れへん」とか言う人、多発。
べっちょりカップル発生中。カップル率、異常に高いです。体感的には、80%に近いかも。
知恩院クローズ以上に、高めの値段ゆえ「ゆったりいちゃつける」とでも踏んだのでしょうか。
とにかく、およそ寺とは思えぬ光景でございます。
秀吉寄進という一文字手水鉢をチラ見ながら回廊を通り、小御所へ。
最後の女帝・後桜町上皇がこの寺を仮御所とした際、使用されたのがこの部屋です。
といっても、こちらも明治に焼け、現在の建物はどっかから江戸中期のものを移築。
狩野派の障壁画の傷みが、ライトアップで妙な凄みを出してます。
開け放たれた小御所の縁側からは、相阿弥の庭・龍心池が一望できます。
といっても、紅葉時のような凄みが期待できるわけもなく、ただ小さい池と滝が照らされてるのみ。
借景である東山も見えるそうですが、もちろん今の時間は真っ暗です。
他の間とは一転してモダンな襖絵が描かれた、華頂殿。
別途500円で、お抹茶が頂けます。拝観料800円に、お茶代は含まれません。
「むさぼる心」を通り過ぎたすぐのところで「いかがですか」と呼び込みをやってました。
華頂殿を辞し、靴を履き、やたら背の低い入り口をくぐったりしながら、
小堀遠州作と伝わる霧島の庭、そしてどこの誰とも知らぬ大森有斐の庭をうろつきます。
狭い境内をくねくね歩かせるという、高台寺と同じタイプの見せ方ですが、
高台寺よりは渋いというか、和風テーマパークなテイストは若干薄めです。
テロリストに放火されたのち再建されたという好文亭を通り過ぎ、竹林の中へ。
青白く照らされた竹林のてっぺんにある、日吉社。そして竹林を下ったところある、小さな本堂。
本堂でも募金、そして被災者のため法華経全巻28品の不断経を読誦されてました。
で、戻ってきました、飛行石畑へ(嘘)。
以前来た時はビームを出してた記憶があるんですが、今期はあったっけ、なかったっけ。
あとは幼少の頃の親鸞像を拝んで、おしまいであります。
客層は、カップルと女性グループがメイン。というか印象的には、ほぼこの連中だけという感じ。
しかし、観光ハイや恋愛ハイ丸出しという方は案外と少ないです。
やはり門跡の格式ゆえでしょうか。あるいは拝観料のおかげでお子様が淘汰されたんでしょうか。
いちゃつくカップルは当然いますが、あちこちキョロキョロしたりウハウハはしゃぐ方は少なく、
勝手にゆったりくっついてるのが、多数。
なので、意外に色気のプレッシャーは少ないです。いや、やっぱり多いです。どっちだ。
地元感は、希薄。観光客の方や、京都近隣のおでかけな人が多い感じ。
単独は若干。カメラマンは少なく、普通の拝観客風が多し。
そんな青蓮院のライトアップ。
好きな人と観れば、より門跡なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、門跡です。
【客層】 (客層表記について)
カップル:5
女性グループ:2
男性グループ:0
混成グループ:1
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:若干
単身女性:若干
単身男性:若干
【ひとりに向いてる度】
★★
プレッシャーはあるといえばあるが、
自分の世界に入ってる人が多いので、
勝手にしろと流してられる。
【条件】
平日木曜 18:30~20:00
青蓮院門跡 京都府京都市東山区粟田口三条坊町69−1 9:00~17:00 京都市バス「神宮道」下車 徒歩3分 地下鉄東西線 「東山駅」下車 徒歩5分 毎年春と秋に、夜の特別拝観を開催 |
公式 天台宗 青蓮院門跡 wikipedia 青蓮院 |