東寺のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年4月6日(水)

五重塔と桜①
東寺のライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

闇深き京都の夜に、夜ごと黄金の輝きを放つ、五重塔。
世界遺産にして真言宗総本山の東寺・五重塔は、年がら年中、ライトアップされてます。
その神々しい姿を眺めつつ、京都の旅を終え帰途に着いた方も多いことでしょう。
何故ここが毎日ライトアップされてるかといえば、おそらくは観光客向けのサービスか、
あるいは京都タワーに対抗して「我こそ真の京都のランドマーク」と主張したいんでしょう。
が、南の辺境民である私には、この輝きが「都の南限」を示している印象も受けたりします。
平安京の正門たる羅城門と同一線上に並ぶ立地。説明不要のシンボリックなビジュアル。
そしてここ以南から始まる、「雅」からほど遠い、全然京都らしくない街並み。
実際、京阪国道を北上して「京都に入った」と私が感じるのは東寺が見えた時であり、
「京都を出た」と感じるのは五重塔を通り過ぎた時。
間違っても、工場やラブホや荒野だらけの京都市/八幡市の境界を越える時ではありません。
市域がどれほど拡大しようとも、真の洛内とは、ここまで。
光る五重塔は、そう宣言してるのかも知れません。「本当か」と問われたら多分、嘘ですが。
さすがに震災以降は休止状態でしたが、夜桜のライトアップは有料ながら実施。
普段は塀の外から見るだけのキンキラキンを、根元から眺めに行ってみました。

五重塔、しだれ桜、講堂+金堂
夜間拝観のゲートは、東側の駐車場入り口。
普段は無料で通れるところですが、そこで夜間拝観料400円を払い、境内へ入ります。
そう、400円。昼より安いです。が、昼なら入れる金堂と講堂は、クローズ。

瓢箪池に映るしだれ桜愛嬌あるライト
こちらもシンボリックな輝きを見せる、しだれ桜。そして、木陰でこっそり頑張る、愛嬌あるライト。
私は知らなかったんですが、東寺が夜間拝観を行なうのは今年度が初めてだそうです。

五重塔と桜②
夜の帝王、五重塔。
木造としては日本最大のこの五重塔、かの国学者・本居宣長が登ったことがあるそうです。
知り合いの東寺関係者に誘われ、何となく、薄ーい気持ちで最上層まで登ったとか。
特別公開の時に初層のみ拝観できる現在とは、えらい違い。

五重塔と瓢箪池
五重塔と瓢箪池。
空海を批判した宣長が、空海の東寺から見た江戸の京とは、どんなものだったんでしょうか。
ちなみに、もっともらしいこと書きながら私、本居宣長のこと全然知りません。
「もといのぶなが」で検索して、おっかしいなあ出ないなあと、しばし悩みました。

五重塔と桜③
東寺と桜。
宣長の話は、東寺塔頭宝菩提院住職だった故・三浦俊良氏の『東寺の謎』という本で知りました。
「巨大伽藍に秘められた空海の意図」というキャッチには腰が引けますが、この本、面白いです。

五重塔と桜④
東寺と桜と人間。
『東寺の謎』は、東寺の歴史を解く本編もいいですが、ラストの自伝部分がぶっとびまくり。
弘法さんの縁日の改革のため、露店を取り仕切る香具師の親分の家へ直談判へ行く話や、
ここにはとても書けないような「青春の蹉跌」な世界とか。凄過ぎます。

桜と池と池に写った桜
桜と池と池に写った桜。
あと、京都府南部の人間には 「かしこ(秀才の意)」 の象徴である洛南高校の前身が、
かつては●●●にひけを取らないヤンチャさを誇った東寺高校であることも、この本で知りました。

、金堂と講堂
入れないけど、一応金色にライトアップされてる、金堂と講堂。
三浦氏は副校長のちに校長として、洛南を京都有数の進学校にするため尽力、そして成功。
校舎新築の財源を確保するために国宝指定の寺宝の数々を国や京都府へ売りまくり、
おかげで「訴えられました」という文章が何気に出てきたりします。凄過ぎます。

桜と道
桜と道。以上であります。
千年の時を超えて朝飯を食い続ける空海の意図、感じ取っていただけたでしょうか。
『東寺の謎』の話ばっかりな気もしますが、特に書くこともないのでしょうがありません。

客は、少ないです。層は、烏合。
わかりやすい観光客は、全体の半分くらい。
しっかりと観光ハイでしたが、数そのものが少ないので、大したダメージは食らいません。
カップル、少なめ。特に色気を撒き散らすこともなし。
若年男性グループが、数は少ないが声がでかいので、目立ったくらいでしょうか。
中高年は地元や近隣感が強く、仕事帰りに花見で来たような感じの人たちも、若干いました。
といっても、別に騒ぐわけではなし。来年以降は人が増えるかも知れませんが。
単独女性、点在。特にディープでもないが、ベタな観光客でもない感じの人、多し。
単独男はほぼ全員が、カメラマン。

そんな東寺のライトアップ。
好きな人と見れば、より密教なんでしょう。
でも、ひとりで見ても、密教です。

瓢箪池に反射した五重塔
【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:1
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:2
単身女性:1
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★★
特に居心地のいい客層でもないが、
平日の数が少ない時にいけば
落ち着いて拝観できるんじゃないかと。

【条件】
平日水曜 19:45~21:00

東寺
京都府京都市南区九条町1
開門時間
夏季(3/20~9/19)5:00~17:30
冬季(9/20~3/19)5:00~16:30
通常拝観
夏季(3/20~9/19)8:30~17:30
冬季(9/20~3/19)8:30~16:30

JR京都駅 徒歩15分
近鉄東寺駅下車 徒歩10分
市バス 東寺東門前・東寺南門前・
九条大宮・東寺西門前 下車すぐ

公式サイト 東寺

Wikipedia 東寺

五重塔としだれ桜