狸谷山不動院の初不動へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年1月28日(金)


狸谷山不動院の初不動へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

「効き目が強いパワースポットは、都の周辺部に多い」。
「パワーを通り越して霊気そのものを発する妖しいスポットも、都の周辺部に多い」。
興味本位の軽い気持ちで京都のパワスポ巡りや恐怖スポットへ出かけたことのある人なら、
そんなことを思うかも知れません。実感として 「ちょっとアクセス不便なとこ、多いなあ」 と。
もちろん、本当にヤバい所というのは、京都市街の中心部にもいくらでもあります。
郊外のその手の物件は、土地取得が容易だったり、放置 or 廃棄が容易だったりするために、
ヤバさがド派手化 & 大型化して、わかりやすい形になっただけとも言えます。
しかし、「ちょっと不便」という距離感そのものが魅力の根源になってるとも考えられるのであり、
スポットの強度や性質もまた距離に規定される、と思えないこともありません。
「ちょっと不便だけど、頑張って行った」 という行為によって何かが救われるタイプの、思い。
逆に頑張り過ぎてマジな修行の領域に入ると、全部が昇華されてしまいそうなタイプの、思い。
一乗寺から坂を上った先の山奥にあり、パワースポットを自認している狸谷山不動院は、
そんな距離感の思い・願望を、真正面から受け止めている寺ではないでしょうか。
本尊・咤怒鬼(たぬき)不動明王から来る「他抜き」 という語呂合わせな勝負の願いから、
ガン治癒祈願、そして自動車祈祷と、そのご利益は極めて切実、かつ現世的。
桓武天皇の勅命で建てられながら、戦後に至ってようやく本格的に復活したという経緯もあり、
より 「今」 な問題へ向き合う姿勢を打ち出し、それにより多くの信奉者を集めています。
そんな狸谷山不動院の一年で最初の縁日が、初不動
大護摩供養が行われるんですが、その火で暖められた笹酒が無料で振舞われます。
しかも、おかわり自由。「狸谷飲放題」 という異名もあり。行くでしょ、そりゃ。


狸谷山不動院の交通安全祈祷札型交通案内標識。
一乗寺下り松から詩仙堂円光寺へ向かう際に見かける方も多いでしょう。
というか、このお守り貼ってる車の方がよっぽどしょっちゅう見かけるかも知れませんが。
詩仙堂も八大神社もスルーして坂道登り、辿りついた自動車祈祷殿は、今日も大繁盛中。


自動車祈祷殿のわきにあった、パワスポ案内張り紙。
ドライブスルー状態の自動車祈祷もなかなかですが、妖しさ駄目押しなこの手書き加減。
ちなみにパワースポットって、本殿のことです。パワスポ自己申告。今年も感動発見。
「駐車可」の「駐車」が消されてる通り、ここから先は一般車、入れません。


「健康階段250段」という看板にビビりながら、坂道を登坂。
さらにビビらせる威容の狸が、世継ぎ地蔵尊の横でお出迎え。もう狸か何かわからん顔ですが。
もう少し先に進むと、「健康階段」の入口に到着。叡電一乗寺駅からここまで、私の足で30分。
「ちょっと不便」 なレベルの距離かどうかは、人次第。ただし、本番はあくまでここからです。


と、その前に、入口のわきには狸谷名物・狸の信楽焼を見ていきましょう。
その量と密集加減、狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸てなもんであります。


いろんな表情、いろんな体型、いろんな歴史を持ったお狸様が、
狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸。


お供えされた鬼殺しと一緒に、
狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸。


脳内麻薬が出まくってるよなギンギラギンの目つきで、
狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸狸。


何故か大量にある阪神関係の石碑の横にも、狸。
パワーをくれるというより吸い取るような視線が、怖過ぎます。そろそろ行きましょうか・・・。


健康階段を登り始めても、駄目押しのように魅惑のアイテムは続きます。
弁才天を越えたあたりに現れた駄目押しその1、迎え大師。そしてその2、七福神。


駄目押しその3、弘法大師光明殿。
光明殿自体は普通ですが、お香入れが 「キュン」 としてて、駄目押し。
「キュン」 とした頭で目の前にそびえ立つ階段を見ると、よけい急角度に見えて、倒れそうです。


駄目押しその4、何故かスリムクラブという印象を抱かせるお狸様。
そしてとどめの駄目押しその5、花菱アチャコ。他にも芸能人の名前、多数見かけます。
「他を抜く」ということで、芸能人やスポーツ選手からも篤く信奉されている、狸谷山不動院。
さっきの阪神物件も、その流れと。この階段でトレーニングもしてたとか。


やっとこさ到着した、雪が残る狸谷山不動院・本殿。
単純肉体疲労と駄目押しの嵐でヘトヘトの頭でも、その壮観は見まがいようがありません。
本尊・咤怒鬼不動明王があり、木喰上人が参篭した洞窟の場所に作られた、見事な舞台建築。
建物自体は新しいですが、その迫力はキング・オブ・キングの清水寺と結構いい勝負かも。


本殿へ行くには、まだ石段を登らなくてはいけません。しんど。
急な男厄坂 or 緩めな女厄坂をチョイス出来ますが、私はもちろん女厄坂。しんど。
独男であっても、女厄坂で登ることを薦めます。楽なのに加え、宮本武蔵の修行滝があるので。
ついでと言っては何ですが、水子地蔵もありますから、用のあるかたはどうぞ。


異様なくらい現代的な、本殿入口。凄く、昭和チック。
本殿そのものは木造の立派なものですが、その隣は普通に信徒会館が建ってると。
左側にチラっと見えてるのは、泥酔して椅子に寝込んでしまったオッサンと、それを介抱する山伏。
ふざけあってるだけかも知れませんが、「狸谷飲放題」にふさわしい光景ではあります。


ほとんど飲み屋状態のオッサンと山伏の会話を聞き、
「どんなとんでもない酒を出してるんだ」と思いながらも、しかし酒、しっかり頂きます。
木食上人が病人に青竹で水を飲ませたことから始まった、ガン封じの笹酒。その味は、普通。
ガンを患ってないと、効果がないんでしょうか。ガンガンおかわりしまくりました。


「狸谷飲放題」 を自身の喉で厳修したのち、遂に本殿へ。
中には、狸不動がいます。いるはずです。若干酔ってて記憶ないですが、きっとそうです。
本殿の柱は 「願かけ柱」 と称され、ガン予防・病気平癒の願かけ札500円を奉納するシステム。
西側から景色は、ロケに使われるほど、圧巻。酔ってて、撮るの忘れたけど。うぃ~っ。


酔った勢いで、願かけ柱の願かけ札を覗き見しました。
一応 「病気平癒」 と総合病院的なことを謳ってますが、札の大半はガン治癒祈願。
人間の絵が書かれていて、悪い所を黒く塗りつぶしたり、丸で囲んだりして、お祈りするという。
下半身真っ黒とか、腹部真っ黒+膝が黒とか、頭丸囲みとか。酔い、醒めそうです。


本当に醒めるかといえば、そんなこともなく、本堂周囲も徘徊。
裏側では、作業用モノレールが活躍中。自分よりデカい荷物を、よっこいしょと運んでました。
その近くには、近年何かと話題のトイレの神様・烏枢沙摩明王が、こじんまりと鎮座。
あの歌のイメージと全く異なる神が描かれたお札も、やはり人気とか。うぃ~っ。


で、飲むもん飲んだので、帰ります。うぃ~っ。
千鳥足気味であの階段を下るのは不安でしたが、当然ながら上りよりは全然楽でしたよ。
というか、撮り漏らした狸などを撮りながら下りてると、体が冷え、酔いも本当に少し醒めました。
狸谷山、やっぱり山。街中よりは寒いです。雪が残ってるから当たり前か。うぃ~っ。


体も冷えたけど、腹も減ったので、ラーメンで暖を取りました。
伝説の地・天下一品北白川総本店にて、こってりを。言うまでもなく、ニンニク入りです。
狸谷山不動院からだと、普通に歩いて15分くらいでしょうか。精進落としに良いかも知れません。
もっともこの日は、精進落としというより、完全に飲みの〆な気分。うぃ~っ。

この日の狸谷山不動院の客層は、圧倒的に中高年。
ガン封じを祈願しに来るのだから、それも当然でしょうか。9割がた、中高年です。
カップルは、全然いません。そもそも若者自体が、全然いません。
ごく少数の興味本位系か、身内の祈願で来た親子連れくらいしか、見かけませんでした。
雰囲気的には、ネタなディープさではなく、シリアスなディープさが漂ってます。
いわゆる信心深さとはちょっと違う、真剣さや深刻さ、リアリティが。
「他に勝ちたい、出し抜きたい」という率直な欲望から、泥酔への熱い思い、
そして「お父さんの食道ガンが治って早く家へ帰れるように」という切実な祈りまで、
人の思いを全方位的に受け止めてるがゆえのシリアスなディープさが、漂ってるのではいかと。

そんな狸谷山不動院の初不動。
好きな人と行けば、より狸なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、狸です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:0.5
女性グループ:0.4
男性グループ:0
混成グループ:0.1
修学旅行生:0
中高年夫婦:3
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:2
単身女性:1(全員妙齢女性)
単身男性:1(ぼぼ全員中高年)
【ひとりに向いてる度】
★★★
色気および人圧のプレッシャーは、全くない。
ただ、何かしら根源的なプレッシャーは、存在する。
安易に孤独に浸る自身を、反省してしまうかも知れない。
あと、飲み過ぎると、帰りの石段が怖い。

【条件】
金曜 13:30~15:45

 

狸谷山不動院
京都市左京区一乗寺松原町
9:00 ~ 16:00

京都市バス 一乗寺下り松町下車 徒歩約10分
叡山電車 一乗寺駅下車 徒歩約15分

狸谷山不動院 – 公式

狸谷山不動院 – 京都観光Navi