上御霊神社での小山郷六斎念仏奉納を観に行って来ました。もちろん、ひとりで。

2011年8月18日(木)


上御霊神社での小山郷六斎念仏奉納を観に行って来ました。もちろん、ひとりで。

六斎念仏が行なわれるところは、概ね、京都市の中心部からは若干離れています。
以前紹介した中堂寺しかり、壬生しかり、そして今回の小山郷もしかり。
これは、六斎念仏が都の周辺部の農村で受け継がれてきたことに由来するそうです。
村の若い衆が都へ流出するのを防ぐため、六斎を若者組の行事として引き止めたんだとか。
そしてそのことが、六斎の過激なまでの芸能化をより進めた要因になったとも言われてます。
言うまでもなく、現在はいずれの地域も完全なる市街地であり、
八幡市民の私から見たら、四条大宮から壬生あたりなど完全に京都の中心部に見えますが、
大正までは生田村という農村だったりするので、都に歴史ありです。
御陵神社・御霊祭の神輿でも名を馳せる小山郷もまた、「郷」の字の通り、もともとは農村。
六地蔵参りの一番札所である上善寺を本拠地として、六斎保存会が活動を続けてます。
御霊祭は元来はこの日に行われてたという御霊神社の8/18の例大祭でも、演舞を奉納。
で、それを、見に行ったというわけです。神社で念仏というのも、考えれば妙ですが。


上御霊神社。正しくは、「上」抜きの御霊神社。
御存知の方は御存知の通り、実に濃い霊気を放つことで有名な神社であります。
参拝客を出迎える提灯からして、御覧のように、吸い込むような魔力溢れる模様を描いております。


提灯の横にあった、例祭の案内看板。いろいろ、やってます。
着いたのは20時くらいなので、19時半からの御霊太鼓には間に合いませんでした。惜しい。
午前中にやってたという茂山千五郎社中による狂言奉納も、気になります。


六斎念仏は20時半スタートとなってましたが、
この日は20時15分くらいから『発願』の大太鼓が鳴り始め、フライングスタート。
いわゆる、一山打ちの開始です。以降、『打出し』『鳥追い』とメドレー形式で演奏されます。


『三社』『しのぶ売りの曲』。四人一組で、太鼓の曲打ちと振りを魅せる演目。
「公家六斎」の呼び名を持つ、小山郷独特の振り付けが楽しめます。
といっても、最初から最後まで写真のような乙女なポージングをするわけではありませんが。


そして御馴染、『四つ太鼓』。四つ並べた太鼓を、子供から大人まで順番に叩いていきます。
二人同時の連打ちもありますが、どちらかといえばソロ演奏がメインの仕様。
太鼓もいいですが、手前の笛のおっちゃんがノりにノり、物凄い腰の振りとグルーヴを見せてます。


『手鞠うた』。やはり四人一組で、太鼓の曲打ちと振りを魅せる演目。
御覧の通り、より派手なアクションが楽しめます。


そして、今年、40数年ぶりに復活したという『猿まわし』。
曽根崎心中の劇中劇である『猿まわし』から、題材をとった演目だそうです。
準備の間、しばし公演予定や勧誘などの六斎インフォメーションなどを聞いてるうち、
舞殿へ飛び込んできた2匹の猿。


猿まわしに操られた夫婦の猿が、愛嬌を振りまきます。
途中で震災について触れてたのも、アレンジ自在の六斎らしいところかも知れません。


続いてこちらも御馴染「祇園囃子」。こちらでは、月鉾のお囃子をベースにしてるそうです。
棒振などはなく、ハードな太鼓とアクションだけで一気に見せ切ります。


で、獅子、登場。至近距離で見ると、無茶苦茶に迫力あります。
獅子は、二人立ちです。着ぐるみの中に、人間が二人、入ってます。当たり前ですが、暑いです。
静止するたびに他の人達が団扇で扇いだり、川をパタパタ動かして風を送ってました。


獅子、碁盤の上で、倒立。至近距離だと、迫力あり過ぎます。、
中の人が「ええか」「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って」という声が聞こえ、別の意味で、スリリング。
碁盤の上でガクガク震える足を見るのもまた、いろんな意味で、スリリング。


暑さと疲労と恐怖でヘトヘトになりながらも、獅子は客の頭を噛んで回ってから、一休み。
で、そこへ、土蜘蛛が襲来。こちら小山郷六斎では、獅子善玉・土蜘蛛悪玉になってます。
いや、逆でしたっけ。どうだったっけ。とにかく、蜘蛛は蜘蛛です。


景気良く糸を吐きまくる、土蜘蛛。で、吐き切ると、どっかへ退散します。
で、獅子は太鼓打に盛り立てられ、勝利をアピールするかのように躍り狂い、終了。
トータル1時間40分ほどの熱演でした。

人出は、少なめ。比較的簡単に至近距離で演舞を楽しむことが出来ます。
客層は、地元メイン。というか、観光客らしき人の姿は全然みかけません。カップルも、ほぼ絶無。
近隣の家族連れ・夫婦・近所同士・友達・ひとりでふらっときた人などが、のんびりと集ってる感じ。
そこへ若干名、好き者系単独男女が混じるというところでしょうか。
年齢層は高めですが、近所らしきDQN娘や、移住系単独女子の姿も、ちらほらとみかけました。

そんな上御霊神社での小山郷六斎念仏奉納。
好きな人と見たら、より六斎なんでしょう。
でも、ひとりで見ても、六斎です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:0
女性グループ:1(地元民のDQN系)
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:3(地元民の烏合)
中高年女性グループ:1(地元民の烏合)
中高年団体 or グループ:5(地元民の烏合)
単身女性:若干(物好き)
単身男性:1(物好きの変人+カメラマン)

【ひとりに向いてる度】
★★★★
プレッシャーは特になし。
のんびりとネイティブテイストが楽しめる。

【条件】
木曜 20:00~22:00


上御霊神社
京都市上京区上御霊前通烏丸東入
上御霊竪町495
通常拝観 7:00~日没

市営地下鉄 鞍馬口駅下車 徒歩3分
京都市バス 出雲路俵町下車 徒歩6分

Wikipedia – 上御霊神社

壬生村 小山郷六斎ページ – 小山郷六斎