御香宮神社の花傘パレードへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年10月8日(土)


御香宮神社の御香宮神幸祭・花傘パレードへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

御香宮神社。ひらがなだと、ごこうのみやじんじゃ。
晩年の秀吉が半狂乱で誇大妄想を育んだ伏見城へのメインルート・大手筋沿いに立ち、
伏見城がぶっ潰れた後はその大手門を移築して表門とする、名実ともに伏見を代表する神社です。
といっても伏見城の築城とともに社ができたではなく、創建はその遥か昔の平安時代。
地元の氏子さん達による崇敬も太古の昔より篤く、伏見九郷の総氏神として、
また神功皇后が主祭神の安産の神様として、現在も「ごこんさん」の愛称で親しまれてます。
毎年10月初頭に行なわれる神幸祭は、そんな御香宮神社の例大祭。
「伏見祭」あるいは「洛南の大祭」の別名を持つほど、その規模は大きく、認知度も高し。
開催期間も実に9日間にも及び、最終日に行なわれる1000人単位の神輿巡幸は特に有名です。
で、神輿巡幸と並んで名高いのが、祭りの初日と宵宮に行なわれる、花傘行列。
各氏子地区から出た華やかな風流花傘20数基が、夜の大手筋を練り歩いて参宮する行事です。
御香宮神社の門前はもちろん、道中あちこちで厄除け祈願の傘の差し上げが行なわれ、
大手筋商店街では、各花傘が競演する審査会も開催されます。
写真で見るとギンギラギンのケンカ祭り状態であり、秀吉好みの流れを引くのかと思いたくなりますが、
この花傘行列もやはり歴史は古く、室町時代にはすでに祭りの名物になってたとか。
とにかく「京都であって京都でない」を自認する伏見の独特なテイストが炸裂する祭りであります。
そんな花傘行列、もちろん混雑も熱狂が最もスパークする宵宮に行ってきました。


暮れ行く空を背に大手筋へそびえ立つ、御香宮神社名物・巨大な一の鳥居。
奥に見える高架は、近鉄・桃山御陵前駅。明治天皇を祀る桃山御陵は、写真の後ろ側を進んだ先。
鳥居の奥には大手筋商店街、そして京阪が見えてます。神社は、この右後です。


近鉄の高架をくぐり、京阪・伏見桃山駅+大手筋商店街東入口までやってきたの図。
京阪・伏見桃山と近鉄・桃山御陵前、隣接してますが、乗換は一つ北の丹波橋。
ご覧の通り、伏見桃山はホーム長がカッツカツなので、特急が停まれないからです。
中心部に鉄道のない京都では、こういう「鉄」感あふれる光景、案外貴重だったりします。


で、大手筋アーケードの中。パレードは、西入口あたりから18時頃スタートします。
氏子各地区から花傘出発→大手筋練り歩き→参宮+門前で花差し上げ→帰る、という流れ。
写真は、武者組行列による露払いの後、出番を待つ桝形町などの花傘。


アーケードの中を進むパークテラス桃山の三段傘、を脇道から見る。
花傘のサイズ、感じてもらえるでしょうか。というか、アーケードの天井、妙に高いですが。
祭初日と宵宮の計2回行なわれる花傘行列ですが、審査会があるのは、宵宮の方。
三段傘の向こう側に、議員や町内役員などの審査員席が設けられてます。


あ、審査といっても、順位を巡って激しいバトルが展開されてる感じはありません。
現場の意識はあくまで神社に行ってるというか。審査員の紹介も、誰も聴いてないし、拍手もなし。
審査員前の花傘の振りも、割と大人しめ。写真だと、充分パニック状態に見えますが。


大手筋のアーケードはかなり大きい方ですが、それでも混雑を収容し切れません。
祭りの見物人に加え、直結の京阪駅出口から常に人が出てくるため、人圧は激烈です。


一旦脇道へ逃げ、一筋南から遠回りしてやってきた、京阪と近鉄の間らへん。
三段傘、進入する近鉄の下で、高架のくぐり待ち中。
デカ過ぎて制限4.4mに引っかかるのではなく、混雑で前がつかえてるわけです。


制限4.4mの高架下でも激しく差し上げを行なう、ハイツ伏見桃山自治会。
花傘は概ね一人で持ちます。重さに加えバランスが難しそうですが、とにかく振りまくり。
しばし振り、次の者に交代。交代の際は、ケンカ同然の気合の入れ合いもあったり。ワイルドです。


御香宮神社の表門 = 元・伏見城大手門の前までやってきました。
堂々たる姿を誇る、三段傘。さすがにこの傘は一人で持てないでしょうが、でも振りっぷりは見事。
表門も見える形で撮りたいところですが、とにかく人だらけで、中心部へ近づくのも困難です。


神社境内にはぎっしりと露店が並び、そこへぎっしりと子供が密集しています。
本殿では、家康が奉納した超重量級神輿・千姫神輿や、雌雄の獅子などを展示中。
じっくり見ていきたいところですが、混雑凄過ぎで、トンズラ。
下手に辿り着くと大手筋へ戻れなくなるかも知れないので、特攻する方は要注意です。


時刻は20時過ぎ、いよいよ花傘参宮のピークタイムとなります。
室町時代から行なわれてる花傘行列ですが、その頃に書かれた貞成親王『看聞御記』には、
「風流笠四五本・・・風流笠不入門内。竹薮ヲ切開被入之」なる記述もあるんだとか。
デカ過ぎて入らなかったわけですね。今の花傘はほぼ全部が門を通れないでしょうが。


『看聞御記』には「次風流笠拍物等渡了。当年結構驚目了」とも書かれてるそうです。
結構どころか滅茶苦茶驚いてもらいましょう、肩車された子供にかぶりつく勢いの、豊後橋町


やってたのかやってないのかよくわからん審査会も終わり、後はスパークするのみ。
「よい子のくじびき」の前で、よい子ならざる振り合いを見せる、東西柳町と若塔会の花傘。


小さい傘が密集するビジュアルも映える、表門前の桃傘連・電光花傘。


ケンカ祭りとしか言いようのない荒れっぷりを見せる、表門前の若塔会。


花傘は、門前で差し上げやったらそれで終わりというわけではなく、
各々いろんなルートで街を巡幸したり、境内へ入ってお参りをする町もあります。
写真は、まだまだ振り足りないとばかりに納屋町の花傘が踊り進む、21時半の大手筋。
時には花傘を倒したり、全速力で走りだしたりして、実に楽しそうです。


各町が賑やかに帰る中、私は何となく南新地について行きました。
南新地は、京阪中書島駅近辺がホーム。納屋町商店街+竜馬通商店街を南下し、駅前へ。
駅前というよりガールズバー前という感じですが、花傘に加え神輿も振りまくり。


さらに南新地の花傘は、艶っぽい時代の残り香が漂う中書島界隈をくまなく巡幸。
艶っぽい店が転業して形成された飲み屋街で、荒々しく傘を振り回します。
狭い通りに神輿も乱入、花傘に負けじと差しまくるので、あたりはちょっとした騒乱状態です。


やはり艶っぽい時代の残り香をはらんだレトロ銭湯・新治湯の前で、
飲み屋から出てきた酔客や、艶っぽいお姉さんたちにも見守られながら、締めの振りを見せる花傘。
正に「京都であって京都でない」という感じの、独特の魅力に溢れた祭りでありました。

客層は、9割以上が地元民。出てる方も、観てる方も、地元民。
観光っぽい人もいなくはないですが、遠来客というより、移住してきた人が見物に来た感じ。
カップル率は大したものではなく、いても大半が地元系。他の属性もほぼ全部そんなテイスト。
単独は少ないですが、混雑が凄過ぎるので、浮きもアウェーも感じるひまはないはずです。
祭りのテイストはワイルドながら、ディープサウスDQNテイスト爆裂という感じでもなし。
伏見独特の街の気風を、存分に味わえる祭りというところでしょうか。

そんな御香宮神社の御香宮神幸祭・花傘パレード。
好きな人と行けば、より伏見なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、伏見です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1(地元の娘+DQN娘)
男性グループ:若干
混成グループ:若干
子供:3
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:若干
中高年団体 or グループ:4
単身女性:若干
単身男性:1
【ひとりに向いてる度】
★★★
色気のプレッシャーはほぼないが、人圧は壮絶。
場所が悪いと、しばらく歩けない。
あと、再生産系のプレッシャーや、
コミュニティ系のプレッシャーは、なかなかに強し。

【条件】
土曜 18:00~22:20

 

御香宮神社
京都府京都市伏見区御香宮門前町174
拝観自由

京阪電車 伏見桃山駅下車 徒歩約5分
近鉄京都線 桃山御陵前下車 徒歩約5分
JR奈良線 桃山駅下車 徒歩約5分

御香宮神幸祭
10月第1日曜を本祭として
その1週間前の土曜日から9日間開催
花傘パレードは最終日前日・宵宮に開催
初日夜にも花傘総参宮を開催

御香宮神社 – 公式サイト