時代祭の神幸列を見に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年10月23日(日)


時代祭の神幸列を見に行ってきました。もちろん、ひとりで。

コスプレパレードと揶揄されがちな時代祭ではありますが、
行列の最後列には、平安神宮の祭神・桓武天皇&孝明天皇の御輿がしっかりとついてます。
たとえ明治時代に行われた第一回目が純然たる集客イベントの純然たる余興であったとしても、
現在の時代祭は天皇の御霊をいただく、れっきとした神社のれっきとした祭りというわけです。
その時代行列、ご存知のとおりスタート地点は平安神宮ではなく、京都御所。
で、これも言うまでもないことですが、時代祭は京都御所の祭ではありません。
つまり、あの行列は「神霊が御所へおいでになり、神宮へ帰る」という、還幸にあたります。
還幸があるなら、本来は神幸も、あるはず。いわゆる「おいで」が、あるはず。
「ええ加減にせえ」と交通渋滞にブチ切れる市民を考慮して省略したのかと思いたくなりますが、
実際には時代祭においても、神幸はしっかり行われてます。祭の当日、午前中に。
それも、稲荷祭みたいにトラックへ神輿を載せてピャーっと運んでしまうようなものではなく、
ちゃんと人力で御鳳輦を押し、えっちらおっちらと御所まで運ぶスタイルで。
三大祭のひとつでありながら、葵祭&祇園祭に比べると、もうひとつ盛り上がりに欠ける、時代祭。
でも、やることは、やってるのです。で、やることやっても、やっぱり、盛り上がらないのです。
その辺の温度感が、ある意味本編よりも如実に感じられる、神幸列。
行った動機は本編スタートまでの暇つぶしでyはありましたが、とにかく見てきました。


順延されたとはいえ、時代祭の当日、8時前の平安神宮。人、いません。
すでに有料観覧席が設置されてますが、客はいません。というか、受付も始まってません。
6時間後には人間やら馬やら御輿やらでごった返すこの参道も、今はだだっ広いだけ。


応天門の脇には、豊公参朝列の牛車がスタンバイ中でした。
豊臣秀頼の初参内における、ギンギラギンでゴージャスな様を模した、行列の華であります。
この牛車、神幸列には参加するんでしょうか。牛の姿は見当たりませんが。


出ました、バイト学生の受付。6700円で8時間以上拘束される方々の集合場所です。
安い。確かに、安い。おまけに「わらじズレの為、各自バンドエードを持参」とか言われる。つらい。
ちなみにバイトは行列だけでなく、パンフレットの販売員も募集してて、こちらは完全歩合制。
少しでも売り上げが欲しいのか、このガラガラの一帯でも果敢に商いへ挑む学生がいました。


特に動きがなかったので、はなふさイースト店まで行ってのんびりコーヒーを飲み、
9時前に応天門前へ戻って来たら、すっかり神幸列の出発準備が整ってたの図。
ギャラリーが多そうに見えますが、実際にはいわゆる「張ってる」人はほとんど、いません。
たまたま通りがかって「何やってるの」という人ばっかり。


9時ちょっと前、行列は出発します。
先頭、名誉奉行。続いて、総奉行。そのあとに、ご覧の神饌講社 by 京都料理組合
神饌講社は、御所に到着してから行在所にて神饌を献上する、神的に大事な役目を負う人たち。
ゆえに、コスプレ専門の時代行列が全くいない神幸列でも、しっかりと都大路を歩かされてます。


神饌講社の後ろに続くのは、迦陵頻伽や胡蝶、楽人たちから成る、前列
写真には写ってませんが、迦陵頻伽も胡蝶もしっかりコスを決めて参加してます(じゃあ、撮れよ)。
前列、二条通を東進して、広道を北上中。ご覧の通り、ギャラリーは全然、いません。


行列は丸太町通へ出て、そのまま御所の堺町御前までひたすら西進します。
時代行列とルートが違うというか、両方のルートを足すとグルっと一周する形になるわけです。
写真は、順番が前後しますが、先頭の総奉行。後ろの神饌講社は、唐櫃も運んでます。


前列の後はもちろん、神幸列。御鳳輦を中心とした、祭りの本義を背負う列です。
とはいえ、日曜の朝の丸太町通、人も車も少なめです。行列に注目する人は、もっと少なめです。
交通規制も特になく、のんびりと譲り合いの精神で東山丸太町の交差点を横断する、御鳳輦。


鞍馬の熊が市内中心部にまで出没するようになったため、塀に貼られた「熊出没注意」
というのは、嘘です、当然。いろんな意味で有名な、京大熊野寮と、その前を通る行列。
学生の見物人は全くなく、通りがかりの人も特に行列を気にする気配はありません。


神幸列に続いては、時代行列、の幟。幟だけ、行進します。
若干ギャラリーが集まってますが、皆さん、散歩や部活へ向かう途中で立ち止まっただけです。
食い入るように見るのは、通りがかった時代祭見物の大型観光バスの乗客くらい。


幟だけの時代行列の先頭を勤めるのは、列奉行。いや、神幸列のラストでしょうか。
あ、あとこの後に、平安講社総長の馬車もあります。いずれも、本物かどうかは、知りません。
丸太町橋で鴨川を渡れば、ゴールはもうすぐです。


時代行列の後部では、室町洛中風俗列の風流傘が、行進。
やはり広々とした河原町丸太町交差点へ、のんびりと進入しています。
この後では、平安時代婦人列で紫式部と清少納言の夢の競演の舞台となる台車も、行進中。


で、行列は御所の堺町御門へ到着。時刻は10時前。1時間弱の巡幸でございました。
続々と中へ入っていく、一同。御鳳輦の後でシュールな存在感を放っていた錦蓋&菅蓋も、中へ。
御門周辺、数時間後には見物客で埋め尽くされるのが信じられないくらい、ガラ空き。


行列が門をくぐるのとほぼ同時に、突如堺町御門へ現れた、維新勤王隊列。
時代行列は御所内で着替えと思ってましたが、勤王隊、フル装備&フル面子の行進で登場。
朱雀学区が担当してるそうですが、地元からこのままの格好で来たんでしょうか。


御所へ入った御鳳輦は、建礼門前の行在所へ安置されます。
行在所といっても、特に臨時の建物が建ってるわけではなく、基本、置いてるだけ。
ここで10時半くらいから、行在所祭を開催。先述の神饌講社が、神饌が献上するわけです。


行在所祭では、白川女による献花奉仕も行われます。
白川女とは、かつて山中越から京の町へ「花いりまへんか」と花を売りに出てきた女性たち。
大原女や桂女と同じく、今では保存会とコスプレの中だけの存在です。
ちなみに山中越は走り屋の天国 or 地獄となり、自転車で挑戦した私は坂と車に殺されかけました。


御所では、昼からの時代行列に参加する方々が、装束の支度したり、休憩したり。
その光景を狙うカメラマンと、早めにやって来た見物客で、それなりの混雑を呈し始めてます。
それでもまた普通に犬の散歩してる人もいたりして、実にのんびりした雰囲気です。


散歩してる犬と出番を控えた馬がコンフリクトする、なんて光景も見かけたりして。
至近距離で豪華な装束が拝めるという以上に、このシュールでのんびりした雰囲気そのものが、
この時間の御所の魅力かも知れません。


では、私も昼からの行列追っかけに備え、腹ごしらえさせていただきます。
何故か讃岐テイストの麺を出す御所休憩所のうどん屋で、ざるうどん。確か、500円くらい。
「これじゃ全然足りないよ」という方は、オプションのおでんか、御所煎餅でもどうぞ。

御所以外はさほど見物人はいないので、客層云々は省略。
特に派手な見所があるわけでもないし、映えるビジュアルがあるわけでもないですが、
完全な日常モードの街中を行列が進むさまは、やはり面白いんじゃないかと。
似たような絵面は他の祭でも観れますが、この神幸列は沿道の人たちの関心の薄さがより、強し。
シュールさが激しいのと共に、歴史の浅い時代祭のリアルな存在感みたいなのも、
感じられるような気がしないでもありません。

そんな 時代祭の神幸列。
好きな人と観たら、より三大祭なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、三大祭です。

時代祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。 (2011)
2013年の時代祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

【ひとりに向いてる度】
★★★★
プレッシャーなどは、何もない。
スタートまで暇なら、見てもいいんじゃないかと。

平安神宮
京都市左京区岡崎西天王町
6:00~17:00 or 17:30 or 18:00
京都市バス 京都会館・美術館前下車すぐ
市営地下鉄東西線 東山駅下車 徒歩約10分
京阪 神宮丸太町 or 三条駅下車 徒歩約15分

京都御所
京都府京都市上京区京都御苑3
拝観自由
市営地下鉄烏丸線 丸太町駅下車 徒歩約1分
京阪電車 神宮丸太町駅下車 徒歩約10分
 
時代祭 – 平安神宮公式

時代祭 – Wikipedia

時代祭 – 公益社団法人 京都市観光協会