八坂倶楽部での京都国文・食文化の祭典へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年10月29日(土)


八坂倶楽部での京都国文・食文化の祭典へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

国民文化祭とは、日本中でいろいろな文化活動に親しんでいる個人や団体が集まって、日ごろの成果や実力を披露するため、全国各地から多くの「文化」や「人」が集まる「日本最大の文化祭典」です。昭和61年からの毎年、各都道府県持ち回りで開催されてきたこの国民文化祭が、平成23年京都府で開催します。音楽、舞踊、演劇、美術、文芸などの芸術文化から伝統文化や生活文化、さらに特色のある開催地独自の文化まで、盛りだくさんの催しが開催期間中に次々と繰り広げられ、国内外から参加者・観客が集まります。府内一円で約70もの文化イベントを開催します。この機会に、皆さんの「文化」を再発見してみませんか?
国民文化祭とは | 第26回国民文化祭・京都2011 – こころを整える~文化発心

まとめるのが面倒くさいから、公式サイトから丸写ししたった・・・。
国民文化祭、略して国文。興味ある人は、あまりいないでしょう。私も全然、ありません。
が、2011年の開催地は、京都。文化が売り物というか、ほとんど文化しか売るもんのない街・京都。
京都市のみならず京都府全域で、それなりに力の入ったイベントが用意されてて、
祇園甲部歌舞練場の隣、八坂倶楽部で行われた『食文化の祭典・京料理』も、そのひとつです。
内容こそ「有名店による料理の実物展示+式包丁や京菓子作りなどの実演」という、
毎年12月にやってる「京料理展示大会」みたいなもんですが、場所が違いますよ、場所が。
京料理にも名店にもさほどの関心はございませんし、ご縁はもっとございませんが、
八坂倶楽部の中はちょっと見てみたくて、場違いモード全開で出かけてみました。


当日、御池通では国文スタートを記念する「都大路オープニングパレード」を、開催中。
日本全国のマーチングバンドや郷土芸能の演舞集団が、2週連続で封鎖された道を行進してます。
先週の時代祭と比べると、さすがに人出はそこそこという感じでしょうか。


パレードの喧騒を離れ、別の種類の喧騒に満ちた祇園甲部へ。
祇園の中でもこれまた別の種類の喧騒に満ちたWINS、その隣にある甲部歌舞練場。
人だらけということもなく、まゆまろの看板がひっそりと場違いな客を出迎えてくれました。


『食文化の祭典』会場の八坂倶楽部は、歌舞練場の南隣。写真で言うと、右奥。
左側、『都をどり』の会場として有名な歌舞練場は、翌日開催の『日本舞踊の祭典』の準備中。
『日本舞踊』も当然、国文のイベント。入場無料ですが、要整理券。で、受付は瞬時に終了。
大茶会など人が集まりそうなイベントは、大体このパターンでした。


八坂倶楽部は、歌舞練場と同じ大正期の建築。「をどり」では、ここでお茶を立ててましたね
玄関で、嫌々やってる感全開の「お母はん」に、靴を預けます。汚い靴やと、鼻で笑われますえ。
お茶券かお土産券のどちらかがもらえますが、私はお茶で。お土産は確か、まゆまろストラップ。


玄関入ってすぐの食堂らしきところでは、瓢亭下鴨茶寮などが弁当を出してたそうです。
弁当、2200円なり。私が行った13時過ぎでは、1000円の寿司折り詰めが残るのみでしたが。
有職料理の展示を見てから二階へ上がり、空腹を感じながら眺めた八坂倶楽部の庭。


同じ場所から見た、北側。向こうに見えるのはもちろん、歌舞練場。
八坂倶楽部、結構ナチュラルにレトロです。隅々まで掃除されてる、という感じでもありません。
「ほとんどタダ見みたいな人ら相手に、わざわざ掃除さんでもよろし」というところでしょうか。
スタッフは学生バイト風。「写真撮られるの、めっちゃ恥ずかしい」とか言ってました。


二階の名店料理実物展示ブースへ入った途端、目の前に、舞妓はん・オン・ステージ。
京都でイベントとなれば必ず駆り出される舞妓はん、ホームでのこの祭典にも当然、動員です。
30分ほどの京舞を魅せてくれました。


舞台座敷を使った展示ブースには、各店が秋のレシピで作った料理が、ずらりと並びます。
写真は、ご覧の通り、瓢亭の鮎。瓢亭玉子も一緒の、コース仕様での出品です。
作ってから時間が経ってても、いい匂いがしてます。でも、もちろん、食べられません。


下鴨茶寮の茶懐石 「夜咄し」。概ねどこも、こんな感じのスタイルで展示してます。
「ちょっとくらいつまんでも、わからんやろ」とか思いながら、ひたすら視食と匂食にいそしむ私。
他の店は、たん熊ちもと平八茶屋西陣天喜魚三楼などなど。


展示の中には、お菓子で出来たまゆまろなんてのもあります。
この丸い奴がぎっしりに乗り込んだ山鉾なんてのも。京都府菓子工業組合青年部謹製。
陶器の展示などもありました。


ステージでは、有職料理・萬亀楼による生間流・式庖丁の実演が始まりました。
式庖丁とは、平安中期に始まり1100年の歴史を持つという、宮中における食の儀式。
烏帽子狩衣姿の料理人が、手を触れずに包丁と真魚箸だけで魚をさばき、その技を奉納するもの。


などと書くと、神業のようにスパスパっとさばいてるように思われるかも知れませんが、
実際には切ってる時間と同じか、あるいはそれ以上に段取りタイムや各種ポージング(?)、
そして何より家元による解説の時間が長かったりします。


雅楽がおごそかに鳴り響く中、鯛に続いてバラされていく、鯛。
ズームで見ると、切り手が魚に直接手を触れてないことが、よくわかります。
ちなみに、魚をまな板の上へ載せるのは、別の人が担当。切る人は本当に、一切魚に触れません。


雅なる魚体解体ショー、進行中。
取り囲むギャラリーから舐めまわすように眺められながら、切り刻まれていく魚。BGMは、雅楽。
じっと見てると、妖しい興奮を感じたりします。極度の欲求不満なんでしょうか、私。


最後に、皮のあたりを細く切ったひも状の肉を引っ張り出し、頭に載せて、終了。
この式庖丁、奉納するのはあくまで 「技」 そのものであるため、切った魚は食べられません。
切り分けられた赤身ブロックが、実に美味そうではあるんですが。


「どうぞ前の方でじっくりと御覧下さい」と司会者に言われ、魚に集まる観衆。
客から質問があると、既に着替えていた家元が登場して細かく答えていたのが、印象的でした。
八条の宮に仕えて以来、現在で29代目となる、生間流式庖丁。店で見ると、料金7万円なり。


妙な興奮を鎮めようと、一階の茶席へやってきましたどす。
こちらでは、お庭を見ながらお抹茶とお菓子が頂けますのどす。


和菓子どす。まゆまろの形したやつが出てくるかと思ったら、普通でしたどす。
敷紙には、しっかりと丸っこい奴がプリントされてますがどす。
秋の情緒を感じながら、お抹茶と共に、飲むように一口で食いきりましたどす。


上がり框にはサンダルが用意してあって、庭へ降りることが出来ます。
小汚い姿で景観を破壊しないよう、茶席からの死角へ入りこみ、僭越ながら写真を一枚。
このあと、ステージにて異常に段取りが悪い京菓子作り実演を見て、
嫌々やってる感を更に全開にした「お母はん」から靴を返してもらい、帰りましたとさ。
「お母はん」、汚い靴触らして、かんにんえ。

客層は、ほぼ完全に中高年ばかり。
夫婦風もいれば、グループもいました。単独もいましたが、ツアーか何かかもしれません。
カップルは、ほとんどなし。若年女性グループも、着物着てはしゃいでるのがひと組ぐらい。
古典的な観光客が多い感じですが、旗持って走り回るような観光ハイテイストは、希薄。
はっきり言って、ハイになれるほど元気な人間自体があまりいなかったというか。
ディープなひとり者はそれなりにいましたが、それでも年齢層は若干、高め。
地元風の人は案外多く、着物着た関係者風や、ええとこな感じの女性たちも、よく見かけました。

そんな京都国民文化祭・食文化の祭典。
好きな人と行ったら、より文化なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、文化です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:0
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:3
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:5
単身女性:若干
単身男性:若干
【ひとりに向いてる度】
★★★
客からのプレッシャーはないが、場所からのプレッシャーは濃厚。

【条件】
土曜 13:30~15:30

 

八坂倶楽部
京都府京都市東山区祇園町南側570-2
特別な時しか開いてない

京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩約7分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩約10分
京都市バス 東山安井下車 徒歩約3分

八坂倶楽部 – 文化遺産オンライン

祇園甲部歌舞練場 – 祇園甲部歌舞会

第26回国民文化祭・京都2011 – 国文公式

食文化の祭典「京料理」 – 第26回国民文化祭・京都2011

京都料理組合 – 組合公式