鷹峰の源光庵へ紅葉を見に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年11月25日(金)


鷹峰源光庵へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

迷いの窓。そして、悟りの窓。
片や人間の生涯の四苦八苦を表す、角窓。片や大宇宙や真理を表現する、丸窓。
の哲学を具現化したこの二つの窓で知られるのが、北区鷹峰に立つ禅寺・源光庵であります。
1346年に臨済宗大徳寺二世の徹翁義亨が隠居所として創建しましたが、のちに荒廃。
時代が下って1694年、加賀国大聖寺の曹洞宗僧侶・卍山道白によって再興され、その際に改宗。
再興後に再建された本堂には、廃城となった伏見城の遺構である血天井が流用され、
養源院宝泉院正伝寺などと並ぶ「京都血天井めぐり」のスポットとしても、有名です。
禅が全開の、窓。そのピュアな精神性を諸行無常にブーストする、血天井。
そして「鉄道なし+バス少なめ+坂めっさキツい」という、単純にアクセス不便気味な立地条件。
本来は、なかなかに渋好みな寺なわけです。実際、普段は本当に渋好みな寺なわけです。
が、秋になったら窓の向こうに紅葉が見えてしまうもんから、もう大変。
額縁効果が効いた紅葉を見よう or 撮ろうと、観光ハイで生老病苦も忘れたツアー客の方々が、
大型バスに乗り大挙してやってくるスポットになり果ててしまうのであります。
そんな源光庵、今年は今いちではあるものの、わざわざ紅葉のピークに訪れてみました。
人間だらけの状況で、迷いの窓と悟りの窓は、どんな相貌を見せてくれるでしょうか。


北大路通から鷹峰を目指し、千本通を歩いてるの図。
バス、少ないといっても一時間に数本はあり、この狭い坂道をブオ~っと走ってます。
が、北大路通のように大して待たずに乗れるわけでもないので、こうしてテクテク歩いてると。
左は、最近大人気の松野醤油。あ、私はまるさわ派です(そんな派、あんのか)。


千本通の終点、鷹峰に到着。源光庵の木と塀が見えてますね。
そういえば千本通、ここから京都市街を縦に突っ切り、羅城門を経ての納所まで続いてます。
昔、『谷口な夜』で原付走破してるのを見て、驚いたもんです。淀まで続いとったんかと。
羅城門以南は鳥羽作道を連結しただけですが、それにしても長い、長過ぎる。


20分以上歩いて、やっとこさ到着した、源光庵入り口。
入り口ではなく駒札を写してるのは、あまりにも人がひっきりなしに歩いてるからです。
渋い寺が好きな渋い人たちがたくさんいるというわけではなく、大半がバスで来たツアー客。
それも、ツアーに慣れ、慣れ過ぎて半分飽きてるような人たち。


源光庵、山門。
人がいっぱいいるのに写してるのは、いくら待っても人がいなくならないからです。
ツアーに慣れ過ぎた感じの人たちが多いといっても、体の動かし方は普通の観光客そのもの。
急に立ち止まる人が多いので、巻き添えを食ってこけないよう、気をつけましょう。


「はい、ここは曹洞宗のお寺さんです」というガイドや大勢の人と共に山門をくぐり、
その曹洞宗の宗統復古に尽力した卍山道白の記念碑・宗統復古碑をする~っとスルーし、
拝観受付のある本堂入り口へ。そしてその受付にはさっそく、大行列。
ガイドのおっさんは「今日は少ないな」とか言ってましたが、全く信じられません。


本堂、内部。
禅風味たっぷりの堂内から、北山を借景とした枯山水庭園を眺める人を眺めるの図。
さほど混んでないように見えますが、団体さんはよく動き、また周囲を見えてないことが多いので、
静かな気持ちで庭を見てると靴袋を頭にぶつけられたりします。気をつけましょう。


で、悟りの窓・・・。
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悟りの窓・・・。
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悟り・・・。
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さ・・・。
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・・・。
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全く悟れない悟りの窓に対し、名前の通りに人を迷わせる、迷いの窓。
窓だけが、俺を迷わせる。独男も濡れる禅寺。でも推奨BGMは、郷ひろみ 『迷イズム』


血天井は、庭園とも窓とも違うところにありますが、それなりに混雑。
伏見城で討死した鳥居元忠一党の血が沁み込んだ、血天井。手の形とかも、残ってたりします。
でもじぃ~っと見てると、やはり上しか見てないツアー客とぶつかったりするので、気をつけましょう。
西側にも、鷹峰小学校を借景にした紅葉あり。


ツアー客、嵐のようにやってきて、嵐のように去っていきます。
でも、とめどもなく新手がやってくるので、混雑は変わりません。おおむね、パンク状態。
ゆっくり見れるかどうかより、人の足を踏んづけないかを注意したほうがいいかも。
とにかく迷いに満ちた源光庵でございました。


源光庵のすぐ手前の光悦寺にも、寄って行きました。
源光庵と客層が全く同じ、というか同じ人間が来てるため、こっちもそれなりに混雑。
が、ご覧の通りに今年の紅葉はちょっとあれなので、源光庵より空いてるといえば空いてます。


光悦寺名物・光悦垣と、色づき損ねたまま枯れた紅葉。
残念であります。しょうがないので、本阿弥光悦の墓とか見て、すぐ帰りましたとさ。


帰り際に見かけた、源光庵の駐車場の利用者を威嚇する「血天井」の文字。
加えて「自刀」、そして「恨」の字も。夕暮れの空と、不気味な相乗効果を上げてました。

客層は、9割方がツアコンに率いられた中高年の観光客。
ガイドが旗を振って引率しているみたいな極めて古典的大所帯から、
ボランティアやタクシー運転手などに案内されてる少数グループまで、いろいろ。
源光庵の境内や室内は、客で埋まります。歩くのも不自由なくらい。
トップ画像だと大した混雑ではないように見えるかも知れませんが、これはほぼ、一瞬の出来事です。
カップル、少なめ。中高年夫婦風と合わせても一割くらいでしょうか。若者自体、あまりいません。
単独は男女とも少しだけ、いる。女はおひとりさま風、男はカメラマンのおっさん。
何故かスーツ着た接待風の連中が多かったんですが、あれはたまたまでしょうか。

そんな源光庵と光悦寺の紅葉。
好きな人と見たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで見ても、紅葉です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:0.5
女性グループ:若干
男性グループ:若干
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:0.5
中高年女性グループ:3
中高年団体 or グループ:6
単身女性:若干
単身男性:若干
【ひとりに向いてる度】
★★
色気のプレッシャーは全くないが、狭い場所ゆえ人圧が凄い。
渋好みのテイストを期待すると、完全に裏切られる。
紅葉以外のシーズンにいくべき。
ただし「その混雑こそ修行」という人は、話が別。

【条件】
平日金曜 13:50~16:30

 

源光庵
京都市北区鷹峯北鷹峯町47
9:00~17:00

京都市バス 鷹峰源光庵前下車 徒歩約1分
千本北大路下車 徒歩約20分

源光庵 – Wikipedia
源光庵 – 京都観光Navi
 
 
光悦寺
京都市北区鷹峯光悦町29
8:00~17:00

京都市バス 鷹峰源光庵前下車 徒歩約3分
千本北大路下車 徒歩約22分

光悦寺 – Wikipedia
光悦寺 – 京都観光Navi