市比賣神社のひいなまつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年3月3日(土)


市比賣神社のひいなまつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

市比賣神社。平仮名だと、いちひめじんじゃ。
名前からして雛祭りにふさわしい、実にレディーステイストを感じさせる神社です。
元々は商売の神様であり、平安京の官営市場である東市・西市の守護神として795年に創建。
昭和に入っても中央卸売市場構内へ分社が建てられたりと、そっち方面の信仰は篤いようですが、
やはり市比賣神社といえば 「女人厄除け」 こそが、一番の売り、メジャーな御利益。
私は全然知らないんですが、女性専門の厄除け神社というのは結構珍しいもんだそうで、
厄年の厄祓い、また良縁・子授け・安産などを求め、全国から悩める女性たちが参拝しに来るとか。
何でここが商売の神様から女性の神様になったのかも全然知らなかったので、
秀吉の命により現在地 = 遊郭・五條楽園のすぐ近所へ移転させられたことでも関係あるのか、
あるいは光源氏 = 源融の六条河原院跡に近いのも関係あったりするのかとか思ってたんですが、
そもそも市比賣神社の祭神は全て女神・比賣命。女性の神様なのが、当たり前と。
歴代の皇后からも篤く崇敬されているというほどレディース志向全開な市比賣神社ですから、
3月3日に 「ひいなまつり」 の名で行われる雛祭り行事も、極めて気合が入りまくり。
巨大雛壇へ十二単を着付けた人間が座るという 「ひいなまつり」 名物である 「ひと雛」 に加え、
貝合わせなどの雅なひいな遊び実演、そして 「ひちぎり」 が食える茶席と、お楽しみが盛り沢山。
盛り沢山過ぎて入場料が1000円と高価ですが、それもまた雅なのでございます。
そんな 「ひいなまつり」 、アウェー全開覚悟でもぐりこんでみました。


市比売神社は、五条河原町を少し下ったところにあります。
市姫通を少し西へ入ってしばらくすると、「女人厄除」 の文字が並びますが、そこです。
写真で見ると妙に立派な感じですが、建物はバリバリにマンションの一階。境内はもちろん、狭し。
普段は神社と気づかないほど地味ですが、この日は沢山いる神職が親切に応対中。


手水 「瀞」 でお清めして、まず本殿を参拝しようかと思えば、大行列。
女でもないし、女性問題も特に抱えてないので、今回はお稲荷さんだけお参りしときました。
珍しく北を向いて建っている本殿に加え、歴代天皇の産湯に用いられたという名水 「天之真名井」 、
使用済みカードを祓い清める謎の 「カード塚」 などなど、境内は狭いながらも見所は多し。


本殿の行列の横では、豪華な雛飾りをこの日限定で公開中。
奥の方にいるお内裏様が座るのは、もちろん京都式に左側、向かって右側の上座です。
雛壇手前では、幼児の厄を移すという雛人形の原型 「天児」 が、不気味な存在感を放ってます。
で、見るもん見たら張り紙の案内に従い、ひいなまつりの会場へと移動。


ひいなまつりが行われるのは、近くのコミセン、ひと・まち交流館。
神社を出て河原町通を渡ったところ、五條楽園、そして●●●●の事務所のすぐ近所。
2階の受付で1000円払い、桃挿華簪守り (ももかざしまもり)+茶席券が付いた参観券をゲット。
桃挿華簪守りは、要するに桃パワーで邪気を祓うもの。風呂に浮かべると、いいそうです。


メインイベントである 「ひと雛」 が行われるのは、3階の大会議室。
会議室といっても、結構大きいハコです。上座の奥に見えてるのはもちろん、人間雛が座る雛壇。
「ひと雛」 が始まるのは、14時。それまでは、参観者が雛壇に上がっての記念撮影タイム。
神社でもそうでしたが、係員の人がやたら沢山いて、やたら親切に案内してくれます。


記念撮影、始まった頃は誰もやろうとしません。
なので独男一匹で特攻してやろうかと思いましたが、一組撮り始めると志望者、急増。
あっという間に大行列が出来てしまいました。ああ、何かこの感じ、しんきくさいっ、しんきくさいっ。
女子は小袿、男子は狩衣を羽織っての撮影。シャッターは、係の人が押してくれます。


大会議室を出ると、時ならぬ大行列。お茶席を待つ人たちです。
私が入場した13時には全然空いてたお茶席ですが、30分後には御覧の有様。
でも 「ひと雛」 が始まったら空くだろうと踏み、並ぶのはスルー、「ひいな遊び」 へ向かいました。
ちなみに館は、普通のコミセンとしても稼動中。行列、かなり奇異に見られます。


平安貴族の遊びを伝える 「ひいな遊び」 は、2階の和室で実演。
靴が溢れる狭い玄関で靴を脱ぎ、大混雑の狭い和室へ上がり、雅な遊びを堪能します。
左は御存知、貝合わせ。きれいに絵が描きこまれた貝を使っての、和製・神経衰弱みたいな遊び。
右は神道流の丁半博打、ではなく盤双六です。あそびをせんとや、うまれけむ。


部屋の奥の方では、投扇興も実演中。
「要するに、扇子で的を落としたらええんやろ」 と思ってしまいますが、微妙に違うそうです。
源氏物語や百人一首になぞらえてるそうです。そんでもって、地域ごとにルールも違うそうです。
参戦した少年は、結果を教えてもらっても、何かが腑に落ちんという顔をしていました。


で、14時となり、 「ひと雛」 の開始です。
「ひと雛」 は、コスプレ人間雛が雛壇へ上がるだけでなく、着付けからレクチャー付きで披露。
宮司が雛壇 & 客もお清めしたのち、西陣の着物の先生+着付けを行う人+男雛役の男性が登場。
先生があれこれと説明をしながら、男雛→女雛の順でゆっくりと仕上げていきます。


女雛の十二単、着付け中。記念撮影の時には空いてた会場、もう満員です。
立ち見も多く、入れない人がいるから詰めてくれという声も聞きました。えらい人気ですね。
先生、どっかの県知事に不評の大河ドラマ 『平清盛』 などの話も絡めて、レクチャーを継続。
観てる人に挙手してもらい、取材で来てたNHKを安心させたりしてました。


そうこうするうちに内裏雛の着付け、出来上がり。
しばし撮影タイムとなり、ある程度撮らせると後を向いて、帯もじっくり披露。
それから着付けの人に手伝ってもらい、雛壇へ。人間と人形が逆転した 「ひと雛」 の完成です。
もちろんここでも、男雛は左側、むかって右の上座に着座でございます。


あ、まだ完成じゃなかった、五人囃子とか、忘れてた。
と思った頃に現れた、三人官女と五人囃子。会場は、よくわからんほどの興奮状態です。
五人囃子は、楽器持参。飾りで持ってるわけではなく、本当に楽人。雅楽をしっかり奏でます。
市比賣神社には 「いちひめ雅楽会」 があるので、きっとそこの人たちでしょう。


三人官女と五人囃子が雛壇に勢ぞろい。 「ひと雛」 、本当に完成です。
三人官女、銚子・三方・長柄銚子の全員が座ってますが、何か意味でもあるんでしょうか。
五人囃子の 「いちひめ雅楽会」 は、小さい神社ながら200人もメンバーがいるといい、
隨心院のはねず踊りなどで演奏したり、海外でも積極的に活動しています。


しばし 「ひと雛」 っぷりを披露したのち、
「天児」 へ厄を移す 「お雛様天児参り」 が行われたそうですが、そんなんあったっけ。
三人官女はダンスフロアへ。桃の枝を持ちながら、雅楽に合わせ 「官女の舞」 を優雅に披露。
それが終われば、ひいなまつり、終了。と思いきや、もう一曲演って、本当に終了。


終わったあとも、大混雑の撮影タイムは続きます。
「ひと雛」 以上に 「何故そんなに撮りたいんだ」 と思わせる客の熱狂ぶりが、インパクトあり。
そういえば、係員が「16時までに撤去しないといけない」と焦ってるのを耳にしましたが、
この写真の時点で時刻は15時半、超過料金は支払わずに済んだんでしょうか。


結局帰りがけに茶室へ行くと、物凄い大行列。
結局30分ほど所在なく突っ立って待ち、抹茶と茶菓子を30秒ほどで食らいました。
茶菓子は、引き千切った形をした餅の上に、きんとんを載せた雛菓子・ひちぎり。味は、もう知らん。
「お菓子、切れました」 という声を聞きながら、即退出。外には、まだ行列が続いてました。

客層は、中高年のおばさんグループがメイン。和装率、高し。
全体的にモワ~っとしてるというか、しみったれたネイティブ京都のテイスト、強し。
他の層は、夫婦、席を予約してる観光グループ、その他のグループ、そして単独などなど。
カップルは少なく、いても夫婦風がほとんどです。というか、女性グループ以外に若い奴はいません。
男、それなりにいます。妙齢男性は、割と多し。ただ、全体の雰囲気はあくまで、女の世界。
単独は、女はおひとりさま風が若干と、男はカメラマンと若干の変人のみ。

そんな市比賣神社のひいなまつり。
好きな人と行けば、よりひな祭りなんでしょう。
でも、ひとりで行っても、ひな祭りです。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:1
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:2 (観光とも地元ともつかず)
中高年女性グループ:4
  (地元メイン、若干観光系)
中高年団体 or グループ:3
  (地元の家族連れ、観光団体)
単身女性:若干(おひとりさま)
単身男性:1 (カメラマン)
【ひとりに向いてる度】
★★★
プレッシャーは特にないし、案外浮かない。
しかし、でもやっぱり、凄く浮く。

【条件】
土曜 12:45~16:20

 

市比賣神社
京都市下京区河原町五条下ル一筋目西入ル
拝観 7:00~18:00
受付 9:00~16:30

京都市バス 河原町五条下車 徒歩約3分
京阪電車 清水五条駅下車 徒歩約5分
市営地下鉄 五条駅下車 徒歩約10分

女人守護・市場守護のいちひめ神社 – 公式

市比賣神社 – 京都観光Navi