上七軒へ北野をどりを観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年4月6日(金)

北野をどり・提灯
上七軒歌舞練場の北野をどりを観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

北野をどり。
京都最古の花街・上七軒の舞踊公演です。
室町時代にまで遡る歴史を持つ上七軒ですが、をどりが始まったのは比較的新しく、戦後。
昭和27年、氏神である北野天満宮の創建1050年記念万灯祭に際して
祭神・菅原道真の物語を舞踊劇にした「北野天神記」を奉納したことに始まります。
これをきっかけに、「北野をどり」を正式にスタート。今年は記念すべき60回目です。
花街としての規模も小さく、舞妓さん芸妓さんの数も決して多くはない上七軒ですが、
踊り手もお囃子もフル稼働で、セリフを多用したストーリー性の強い舞台を創出。
「通は上七軒のをどりを好む」といわれるほど、その芸への評判は高いものがあります。
最近まで4月中旬に開催されてた北野をどりですが、しばらく前、
第一回の開催日が3/25+天神さんの縁日に因み、3/25から2週間の開催に変更。
で、2012年の期間は、3/25~4/7。で、千秋楽の前日にあたる6日に行ってみました。
予約は、してません。前日に、行くことを思いついたからです。
予約なしで入れるコネは、ありません。当日券の一発勝負、飛び込みです。

歌舞練場・西側入り口
一応、朝11時ごろに歌舞練場に問い合わせると「当日券、あります」と言われたので、
手ぶらでノコノコやってきた13時の上七軒歌舞練場。かなりの数の人が、吸い込まれていきます。
「ヤバいかな」と思いながら玄関横の窓口へ行くと、
13時半の回は補助席のみ、16時の回は桟敷と一階後方に余裕あり。
大枚払って補助席はしんどいので、16時の回の入場券を購入しました。4000円なり。

上七軒
時間が出来たので、上七軒をしばしうろつきます。
秀吉が800人を相手に茶を立てた末、「やってらんね」と初日で匙を投げた、北野大茶湯。
そこで献上したみたらし団子が気に入られ、公認の茶屋となった上七軒。
今でも五つ団子が街の紋章ですが、百円玉で買えそうな団子を売る店は見当たりません。
天神堂で焼きもち一個買って食うと逆に腹が減り、4000円が抜けた懐に優しい飯屋を探します。

たわらやうどん
天神さんの境内までウロウロした末、たわらやが空いてたので、中へ。
頼むのはもちろん、ぶっとい麺が2本だけ入ってる名物・たわらやうどん700円なり。
「麺、太っ」と思う前に「丼、小さっ」と思うボリュームですが、食うと結構、腹膨れます。
もっと安くて腹一杯になりたい方は、チャーミングチャーハン今出川店でチャーハン+焼飯セットか、
天下一品白梅町店でザラつきさえ感じさせる濃度の天一でも食らっておくれやす。

上七軒歌舞練場
飯食っても時間が余り、でも金はとことんないので、下へ歩いて京都市中央図書館へ寄り、
加藤政洋のベタなタイトルとは裏腹に面白過ぎる『京の花街ものがたり』なとチラ見してから、
改めて上七軒歌舞練場へ。
外観からはわかりませんが、明治35年に建設された、現役では数少ない木造の劇場です。

歌舞練場・池庭
入り口でチケットをもぎられ、靴のまま中へ入ると、池庭あり。
夏はここで、ビアガーデンやってます。1500円ほどでちょっと飲めて、舞妓さんと話できるっていう。

歌舞練場・廊下募金する舞妓さん
廊下では舞妓さんが震災の募金をしてました。100円入れて、写真撮らせてもらいましたよ。
ナチュラルかつ品のある語り口の方でございました。

劇場、内部
劇場、内部。開演10分前でも空席が目立ちましたが、始まる寸前になるとびっしりと埋まりました。
500人くらい入るんでしょうか。客席は相当、狭いです。移動は困難を極めます。
あ、もちろん、公演中は撮影禁止ですよ。

第一部・舞踊劇『愛してならぬ人』
16時ジャスト、をどりの幕が開きました。第一部は、舞踊劇『愛してならぬ人』。
人間に恋した河童の娘が、無理を通して夫婦となるも裏切られ、という創作民話舞踊劇です。
初演が昭和の浅草+ゆえに全編標準語なのが「何故に、京都で、北野で」という感じですが、
とってつけたような京都らしさがカケラもないあたり、逆にネイティブな感じがするといえばするかも。
昭和の作らしく、音楽はティンパニ使ったり三味線で西洋和音使ったりと、モダン。
悪人にとっ捕まった河童娘が、しばかれながら「踊れ、踊れ」と脅されるシーンが、何か、いいです。

歌舞練場・庭
『愛してならぬ人』が終わると、10分の休憩。物凄い数の人間が、狭いトイレへ雪崩れ込みます。
空くのを待つ間、しばしビアガーデンの庭を散策。
漬物や土産物が並ぶ売店や、800円の上七軒団子なるものを売る店がありました。

第二部・純舞踊『常盤の寿ぎ』
第二部。60回目の節目を記念して『常盤の寿ぎ』と題された純舞踊。
芸妓さん二人がガチな舞を披露する『子宝三番叟』、舞妓さん総出演の『花見踊』の二本立て。

フィナーレ『上七軒夜曲』
そしてフィナーレは『上七軒夜曲』。
天神さんに祈りを捧げ、舞妓さん6人と芸妓さん20数名が一斉に舞い踊ります。
舞妓さんはもちろん可愛らしいけど、上七軒は芸妓さんがよろしおすな。
特に花道から舞台までずらっと並んで並ばはった時の感じ、ほんによろしおすな。

をどり終わりの歌舞練場前
で、をどりは1時間弱で終了。帰ります。
出口ではやはり舞妓さんがお見送り。写真撮影にも応じてました。

客層は、圧倒的に中高年メイン。
30台以下に見える人間が極端に少ないです。40代以下でも厳しいかも。
カップル、少なし。「舞妓さんって、いいよね」とか言ってる女性グループなど、カケラもなし。
ガイドに引率される団体観光客はもちろんいますが、基本、観光テイストは薄め。
地元の知り合いや常連系の人たちが多い感じです。といってもユルい地元ノリではなく、
「旦那衆」の名残かは知りませんが、そこそこちゃんとした大人の人達。
服装も、正装ではないもののラフでもなく、ジャンパー+リュック姿などははっきりと少数派。
加えて女性の着物率、異常に高し。
単独は、地味な独男と、やたら大きな音で拍手してたおしゃれな変人くらい。女は、不明。

そんな上七軒歌舞練場の北野をどり。
好きな人と見たら、よりをどりなんでしょう。
でも、ひとりで見ても、をどりです。

上七軒の北野をどりポスター

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:0
男性グループ:0
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:3
中高年団体 or グループ:6
単身女性:0
単身男性:若干
【ひとりに向いてる度】
★★★
普通に、浮く。しかし、一旦中へ入ってしまうと、
さほど気にならない。
むしろ、劇場の門をくぐる時に一番アウェー感を感じる。

【条件】
平日金曜 15:40~17:30

上七軒歌舞練場・北側入り口

上七軒歌舞練場
京都市上京区今出川通七本松西入真盛町742
京都市バス
北野天満宮前 or 上七軒下車 徒歩3分
嵐電 北野白梅町駅下車 徒歩12分

北野をどりは3月25日から4月中旬に開催

公式 上七軒歌舞会 北野をどり

Wikipedia 北野をどり