等持院へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年11月21日(水)


等持院へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

かつて時代祭「室町時代」 はありませんでした。
理由は、室町幕府を開いた足利尊氏が、天皇に刃を向けた 「逆賊」 だから。
いや、冗談ではありません。本当です。 「逆賊」 ゆえ、実に2007年に至るまでなかったのです。
金閣寺&銀閣寺という超キング級の観光資源を残し、多くの文化が花開いた、室町時代。
親族間の揉め事から都市を焼き尽くすという鬼畜の所業・応仁の乱もやらかしてはいますが、
何であれ、京都にとって極めて重要な時代であることは、疑う余地がありません。
しかし、時代祭に 「室町時代」 はなかった。祭が開始されてから100年もの間、なかった。
もちろん、開始された明治期における尊皇の風潮は無視できませんが、それを全て差し引いても、
京都における室町時代、いや足利尊氏の影の薄さ・人気の無さは、なかなかなものです。
尊氏、そして歴代足利将軍の墓が祀られる等持院にも、そんな不人気は、色濃く反映されています。
天龍寺創建で組んだ夢窓疎石と共に、尊氏が、兵士を祀るため作り上げた、等持院。
実に立派な寺ですが、かつてここで修行していた水上勉『私版京都図絵』 でボヤいてる通り、
財政の悪化した寺は境内の土地を次々と切り売りして、周囲は民家が林立&完全包囲。
庭園の向こうには立命館の学舎が奇怪な借景を演出し、墓地もまた分断。ある意味、凄いです。
伽藍も映画へ貸し出して、日本映画の父・マキノ省三はここに 「等持院撮影所」 を設立。
おかげで、境内にはまるで開基のような顔でマキノ先生像が屹立しています。
尊氏さんよ、これではあんたがあまりにも可哀想だ。あんたは結構、いい仕事したんだよ。
そんな思いを、尊氏の墓へ伝えるために等持院へ赴いた、というのは全く嘘で、
ただただ紅葉を観るためだけに出かけたのでした。


生活感溢れる住宅街の中に、忽然と姿を現す、等持院山門。
すぐ近所の龍安寺とは全く違う、昭和から全く更新されてないような本気の渋さ、全開です。
案内板には、「当寺は吉川英治作 『私本太平記』 あしかが帖の主人公足利尊氏の菩提寺です」 。
小説の主人公扱いされた開基の心を思いながら、両側を住宅に挟まれた参道を、中へ。


「まず、山門から中門へいたるアプローチが美しかった」
「右手は広い松林で」 「うしろに衣笠山を形よく屏風のようにみせて浮き上がっていた」
「この松林も切り売られ、一般の墓地になってしまった」 と 、『私版京都図絵』 に書かれたあたり。
「ラチもないただの入口」 の向こうに、好評分譲中の墓地看板をとり囲む形で、紅葉。


立命館大学内にある旧墓地も 「有ります」 な看板と、紅葉。


「私が開基です」 と言ってるようにしか見えないマキノ省三先生像と、紅葉。


昭和感漂う団体が、トイレを求めてウロウロしてる、拝観入口の表門。


500円払って庫裏へ入ると、出迎えてくれた、禅寺名物だるま絵。


方丈と、方丈南庭と、何らかの柱と、紅葉。


掃除のおばさんが、独女に声をかけるを聞きながら見る、南庭の紅葉。


方丈から室町歴代将軍像のある霊光殿にかかる、橋。


で、鶯張りのすのこをキュッキュと音を立て歩き、撮影禁止の霊光殿へ。
幕末には 「逆賊」 と晒し首にされたこともある、歴代室町将軍の木像が、勢揃いしてます。
確かに義満のDQN社長顔を見ると、私もちょっとだけですが、首を斬りたい気持になりましたけど。
おまけのように、徳川家康像もあり。でも賽銭は、家康が圧倒的に多し。足利、やはり不人気。


で、霊光殿を出ると、禅風味溢れる外壁と、紅葉。


あまりにも小じんまりとした尊氏の墓と、小じんまりとした紅葉。


方丈の縁側へ出て眺める、芙蓉池、茶室・清漣亭、そして借景の立命館。


有料でお茶提供中の方丈、清漣亭、そして庭歩き用のスリッパ。


近接して眺める、清漣亭。


「禁煙」 と書かれた札が立ってたのが謎な、清漣亭内部。


東側の心字池の周囲の、紅葉。


紅葉と、心字池に反射する紅葉。


心字池真ん中の蓬莱島の、紅葉。


心字池周辺の、どっかの紅葉。


やはり禅風味溢れる霊光殿の後姿と、紅葉。


で、帰る前、飲もうかなと思ってやっぱりやめた、お茶。以上でございます。

客のメインは、ツアー客の中高年団体。
ガイドに率いられた、懐かしい気分にさえなる、古典的なツアー客です。
観光ハイという感じはないけど、特に大人しいわけでもマナーが良いわけでもない、普通の人達。
その他の層も、基本はみんな、中高年。数そのものは、かなり少ないですが。
20代以下の人間は、男の二人組のみ。あとはすべからく、30代以上に見えました。
単独は、おひとりさま風の妙齢女性が、2人ほど。男は、カメ。

そんな等持院の、紅葉。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:0
男性グループ:微
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:5
単身女性:若干
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★
色気のプレッシャーはないし、人圧も問題なし。
ただ何というか、良くも悪くも、古臭い。

【条件】
平日水曜 紅葉ピーク 15:00~16:00

等持院
京都市北区等持院北町63
9:00~17:00

嵐電 等持院駅下車 徒歩約8分
京都市バス 竜安寺前下車 徒歩約12分

等持院 – Wikipedia

等持院 – 京都観光Navi