2013年への年越しを、嵯峨嵐山で迎えました。もちろん、ひとりで。 【前篇】

2013年1月1日(火)


2013年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。

2011年2012年と、混んでそうなとこをあちこち特攻し、
寒さと徒労で正月早々死にかけた年越し in 京都ネタ、2013年度版でございます。
除夜の鐘が撞ける寺を巡っては大混雑で退散し、それを繰り返すうちに路上で新年を迎え、
初詣先を求めて今度は神社を巡るもまた大混雑で退散、という愚行をまた重ねるわけであります。
何故そんな下らんことをするのかといえば、もちろん、そこに年越しがあるからです。
そこに除夜の鐘があるからです。そこに初詣があるからです。決まってるじゃないですか。
わけもわからず、行く。気がついたら、既に行っている。目的や理由、由緒や薀蓄は、どうでもいい。
誰にとっても年越しは、そんな惰性と無意識が溢れかえるカーニバルのようなものでしょう。
独男の私にとっても、話は同じです。私の年越しの愚行に、理由なんか、ありません。
むしろ、理由なんか、あってはいけません。何なら、理由なく行くのが、大事です。
私の言ってることが、わかるでしょうか。私は全然、わかりません。とにかく、年越しであります。
今回は、どこへ行こうかなと。年越しで混雑になりそうなとこ、他にどこがあるかな、と。
などと狂ったことを考えてるうちに、思い出しました。メジャー観光地・嵐山へ行ってないな、と。
というか、知恩院の鐘の混雑とかはニュースで見るけど、嵐山の年越しはあまり話を聞かんな、と。
もちろん、嵐山では除夜の鐘を撞かない or 一般公開してないというわけでは、ありません。
天龍寺をはじめ嵐山にある多くの寺院では、一般の人にも除夜の鐘を開放しています。
話は聞かないけど、きっと混んでるんだろうな。であれば、行かねばならぬ。
そんな狂気の義務感に導かれて、2013年の年越しは嵐山で迎えてみることにしました。
東山界隈と同様の馬鹿騒ぎがここでも展開されてるのか or そうでもないのか。
そのあたりの徒労極まる実地確認、御堪能ください。


まずやってきた、大晦日で車も少ない、20時の嵐電西院駅前四条通踏切。
ここから嵐電に乗って嵐山へ向かうわけですが、その前に、去年のリベンジを済ませます。
去年の大晦日、西院春日神社の鳴釜神事を見ようとしときながら、途中でトンズラしてしまいました。
神泉苑の恵方社回転を見るために。なので、その宿題を果たしておこうというわけです。


大晦日も頑張る阪急西院駅前のガールズバー呼び込みをスルーして、春日神社へ。
狛犬は普段通りのいかめしさで出迎えてくれますが、境内は初詣の準備が仕上がってます。
新年奉祝餅つきや三賀日のみ公開という霊石・疱瘡石、厄除け火箸・わらじ守授与の案内に加え、
「鏡餅のパック、おせちの残飯、仏具、年賀状とか入れんな」 の箱が、既にセッティング済。


鳴釜神事 or 鳴動神事は、呼んで字の如く、釜を鳴らすという神事です。
忌釜なる釜へ忌桶なる桶を置き、桶へ米を入れると釜が鳴る、と。その音が、御祓いになる、と。
看板によると、神事が行われるのは、社務所の中。アナウンスや呼びかけなどは、特にありません。
「どこでメイドーシンジやるんですか?」 と、巫女さんとかに尋ねた者だけ中へ入れてく感じ。


靴を脱いで社務所へ上がると、まず祈祷控え室へ通されます。
10人程度しか入らない部屋で、家着の香りが漂う赤の他人の方々と密接して、しばし待機。
さっきまで、紅白見てたのかな。あるいは、格闘技か。もしくは 『笑ってはいけない』 だったりして。
そんなことを考えるうちに巫女さんが呼びにやって来て、全員揃って50人ほど入る祈祷室へ。


祈祷室の奥には祭壇があり、その右手前には樽型の物体、あり。忌桶です。
よく見えませんが、忌桶の下には忌釜らしき釜があり、その下には忌カセットコンロ、あり。
修抜&祝詞に続き、米を忌桶へ投入+忌コンロ、点火。何故か、ハウリング音が堂内に響きます。
マイクで 「鳴釜」 音を拾ってるんでしょうか。または、このハウりが 「鳴釜」 音なんでしょうか。


よくわからんうちに、宮司さんの挨拶も終わり、鳴釜神事はつつがなく終了。
参拝者は、また祈祷待合室で待機したのち、帰り際にさっき忌桶で暖められた米がもらえます。
家で御飯を炊く時に、この米を混ぜると 「効く」 みたいです。味の方も、結構気になったりしますが。
こちらの客層は、先述の通り、徹底して近所風。中高年ばかりで、若者はとことん、いません。


リベンジを徹底するため、去年立ち寄りかけた野口商店にも行ってみました。
アルミ張りの内壁に映し出された、孤独な自分の食い姿をじぃ~~~~っと見つめながら、
大阪のふんわり膨張系とは違う、昔の京都っぽいテイストのお好み焼きを食べさせてくれる店です。
が、既に店仕舞。電気は点いてるので、さっきまで開いてたんでしょうか。残念。また、来年。


阪急駅前のガールズバー呼び込みをまたスルーして、嵐電西院駅へ。
結構な混み方の電車に揺られ、いよいよ嵐山へ向かいます。みんな、嵐山へ行くんだろうな。
とか思ってたら、客はどんどん下車。嵐電嵯峨駅あたりで、自分と親子連れ一組だけになりました。
降り立った嵐山駅にも、客は全然いません。それどころか、駅員さえもう、いません。


時間は、22時半。除夜の鐘には確かに早いですが、でも人、いなさ過ぎです。
とりあえず駅に一番近い天龍寺で、様子を見てみます。普段は夜閉まる門、しっかり開門中。
ちなみに、門前の道路、紅葉シーズン花灯路の時には大混雑となるこの道にも、人の姿はなし。
本気で、人、いないな。この感じだと、鐘の前にも待ってる人なんていないかも知れないな。


とか思いながら鐘楼近くまで来ると、しっかり並んでる人がいたぞの図。
写真だとほぼ見えないですが、右奥にうっすら写る庫裏の前で、15人くらいが並んでます。
真っ暗な参道を奥へ進んる時は、人の気配さえ感じなかったのに。いるところには、いるもんです。
ちなみに、整理券の配布は、23:40から。今から、1時間後。私はもちろん、並びません。


時間つぶしと居場所探しをかねて、あまりに無人な渡月橋を渡るの図。
「左側通行でお願いします」 と、花灯路の係員が絶叫してたのが嘘のような、無人さ加減です。
余裕の右側通行をやらかしつつ、「暖かい店で、年越し蕎麦とか、食いたいな」 と考えること、しばし。
しかし、開いてる店は、絶無。旅館以外は全て、閉まってます。困ったなあ。というか、寒いなあ。


ところが、橋を渡った少し先に、開いてる蕎麦屋がありました。
『蕎麦祥』 という店。店の人と客が喋りこんでたので、仕舞かと思ったら営業中。助かった。
テーブル中央の鍋が、寒さで震えた身には沁みます。が、メニューには年越し蕎麦の表記、なし。
のみならず、手打ちは冷たい蕎麦だけと。うーむ、でも暖かい蕎麦、食べたいな。どうしよう。


迷った末に、結局頼んだのは、冷たいとろろ蕎麦。確か、1000円ほど。
正直、味にはさほど期待してませんでしたが、食べてみるとこれがなかなかに、美味い。
しっかりとしたコシと、滑らかな喉越し。そして何故か、みかん付き。何か、凄く得した気がしました。
蕎麦の切れ端を揚げたものが無料でもらえ、勘定の時に飴をもらったのも、得した気分。


23:40頃、新たに入ってきたおっさん達が熱燗を傾けるのを横目に、店を退出。
開いてる店が絶無の状況で、すぐに蕎麦屋が見つけられた。そこの蕎麦が、当たりだった。
良いヴァイヴを、感じます。今夜は何か、全てが上手くいくような気がする。そんな気が、凄くする。
ポジティブな予感と共に、既に響き始めた鐘の音を聞きながら、渡月橋を渡り天龍寺へ。


鐘が鳴り始めてもなお、道に人通りはほとんどありません。
天龍寺、楽勝かも。他の寺も、楽勝かも。嵐山の除夜の鐘、コンプリートを目指してみるか。
などとポジティブに思いながら天龍寺門前に着いてみたら、思いっきり自転車が並んでたぞの図。
自転車は無論、レンタサイクルに非ず。自転車本体+並べ方に、生活感が漂いまくってます。


でもまあ、自転車が並んでても、実際の客数は大したことないかも。
などとポジティブに思いながら庫裏前の鐘楼へ行くと、100人以上もの人が並んでたぞの図。
自転車が表してるように、層は完全にネイティブ系。列の動きが遅いというか、全然動いてません。
これはいかん。いつ終わるかわからん。それ以前に、寒い。ということで即、徹底決定です。


撤退する前に、ちょこっと鐘撞きの様子を横からのぞいてみたの図。
行列は鐘楼下の石段前で待ち、順番が来たら上へ登ってゴ━━━━━━━━━ンとやる、と。
花灯路の際には夜間拝観を拒み、「修行の邪魔してくれるな」 みたいな看板も掲げていた、天龍寺。
もちろんこの夜も、鐘は撞けても庭園のライトアップ年越拝観の類は、一切ありませんでした。


嵐山でも鐘難民確定となり、さっさと次の寺へ向かうべく、天龍寺を退出。
何度も書きますが、通りには本当に人がいません。そして、暗い。夕子の絵とか、もう恐い。
恐怖に震えつつ奥嵯峨へ向かおうとすると、さっき鐘撞いてた人たちが、竹林へ歩いて行きました。
なるほど、野宮神社へ行くわけですね。除夜の鐘と初詣を立て続けに済ませるわけですね。


何となく釣られて、除夜の鐘もまだなのに野宮神社へやって来たの図。
さっきの天龍寺と同じくらいの大行列&大混雑です。ということは、もう0時を回ってんですね。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。と、酷寒の竹林で、己に賀正を祝す。
でも、お参りはせず、次の寺へ。除夜の鐘を撞いてないのに、初詣するわけにはいかんのです。

2013年への年越しを、嵯峨嵐山で迎えました。もちろん、ひとりで。 【後篇】 へ続く

2013年への年越しを、嵯峨嵐山で迎えました。もちろん、ひとりで。 【前篇】
2013年への年越しを、嵯峨嵐山で迎えました。もちろん、ひとりで。 【後篇】

2014年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。

2012年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。 【1】
2012年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。 【2】

2011年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。 【1】
2011年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。 【2】
2011年への年越しを、京都で迎えました。もちろん、ひとりで。 【3】


西院春日神社
京都市右京区西院春日町61
拝観終日自由 鳴釜神事 12月31日 21:00~

阪急電車 西院駅下車 徒歩約3分
嵐電 西院駅下車 徒歩約6分
京都市バス 西大路四条下車 徒歩約3分

kasuga jinja 京都・西院春日神社 – 公式
西院春日神社 – Wikipedia
 
 
天龍寺
京都市右京区嵯峨天竜寺芒ノ馬場町68
通常拝観 8:30~17:00

嵐電 嵐山駅下車すぐ
阪急電車 嵐山駅下車 徒歩約10分
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車 徒歩約10分

京都 嵯峨嵐山 天龍寺 – 公式
天龍寺 – Wikipedia

野宮神社
京都市右京区嵯峨野宮町1
通常拝観 9:00~17:00

嵐電 嵐山駅下車 徒歩約6分
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車 徒歩約12分
阪急電車 嵐山駅下車 徒歩約15分

良縁、子宝、学問の神様 野宮神社 – 公式
野宮神社 – Wikipedia
 
 
蕎麦祥
京都市西京区嵐山中尾下町14-3
通常営業 11:00~18:00

阪急電車 嵐山駅下車 徒歩約5分
嵐電 嵐山駅下車 徒歩約10分

蕎麦祥 – 食べログ