2013年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【前篇】

2013年2月3日(日)


2013年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。

旧暦のタイムテーブルが密かに生き続ける京都にあって、
節分は 「本来の年越」 として、ある意味、正月を凌ぐ盛り上がりを見せます。
年末の大祓よろしく、一年の間に溜まった穢れを祓う追儺式があちこちの寺社で行われ、
そこら中で鬼が暴れ回り、そこら中で火炉が炎上し、そこら中で福豆に人々が殺到するわけです。
そんな大賑わいな京都の節分、人が多い所へ多い時に赴くのが趣旨の我がサイトとしても、
無論黙って見過ごすわけにはいかず、これまでも過酷なスケジュールで徘徊を繰り返してきました
鬼が出る寺社へ潜り込んでは、一目鬼を見ようとする人たちに押され、蹴られ、足を踏まれ、
舞妓はんが豆まきする寺社へ潜り込んでは、豆を求める人たちに押され、蹴られ、足を踏まれ、
吉田の追儺式では何も見えず、火炉祭では焼死と圧死の恐怖に見舞われた末に締め出しを食らい
須賀神社では恋に効くという 「懸想文」 を男一人でこっそり買ってみたりしてきたわけですが、
そんな暇と阿呆が丸出しな徘徊の季節が、2013年も無事にやってきたのであります。
で、今回は何をするかといえば、かなりユル目というか、はっきり言って省力化 aka 手抜きです。
だってもう、しんどいもん。おまけに、寒いもん。加えて、虚しいもん。それに何より、阿呆らしいもん。
あと、節分前日と当日の2連日を徘徊に使うのが、一応真人間としては、苦しくなってきたもん。
というわけで今回の節分めぐりは、2月3日のみ、東山近辺をうろつく仕様となっております。
超メジャーな観光地と重なるエリアながら、超ネイティブな雰囲気もまた濃厚に残る、東山近辺。
伝統と日常が交錯する京都ならではの節分を楽しむ、大人の 「ひとり節分」 を提案したくて、
このエリアを選び、徒歩だけでユルく、のんびり、気の向くままに、めぐってみました。
京阪沿線の私にとってバス代がかからん所なので、選んだのではありません。
労力と共に金もケチりたくて選んだのでは、ありません。違います。


というわけで、PITAPAで降りた京阪七条駅から徒歩でやって来た、法住寺
今でこそ三十三間堂のオマケの如き法住寺ですが、元来はこっちが本丸。向こうこそ、オマケ。
後白河法皇が造営した広大なる法住寺殿がこの寺のルーツであり、三十三間堂はそのお堂の一つ。
なんですが、色々あって今はまあ、こんな感じ。でも、節分会にはしっかりと、鬼が現れます。


皇族ゆかりの寺とはいえ、現在はネイティブな信仰に支えられる、法住寺。
身代わり不動信仰で知られ、11月の身代不動尊大祭にはやはり鬼法楽を行われてりします。
境内では、善哉を振る舞い中。島原太夫さんの丸めた餅が入るとあって、御覧のように長蛇の列。
そこら中に座り込んで善哉を食うおばちゃん、大量発生。実にネイティブ感溢れる光景です。


で、餅丸め中の、島原太夫さん。ぷにゅっと餅を千切り、両手の掌でころころっと。
大石内蔵助が参拝したという、法住寺。大石は島原でも遊んだそうなので、その縁でしょうか。
不動堂前で一般拝観者も参加OKの餅つきが行われ、その餅を太夫さんが丸めていくという流れ。
太夫さん、ちょっと小さめの可愛い餅をつくって行きます。その前方は、もちろん、カメだらけ。


私もまた、太夫さんの手の感触、じゃなくて餅を味わいたくて、行列へ。
写真は、10分ほど並んでありついた、善哉。写ってませんが、中にはもちろん餅も入ってます。
餡子が濃い目で、美味。もちろん餅も、美味。善哉以外にも、甘酒の振る舞いがあり、これも、美味。
と、和んでると、14時、山門のあたりが騒がしくなりました。どうやら、鬼が現れたようです。


出ました、鬼。あと、隠れてるけど、天狗。
以下、彼らによる鬼法楽ダンスおよび護摩法要、とくと御覧下さい。


背の低い松に困りながら、護摩壇へ向かう鬼と天狗。


フリージャズ状態のほら貝が響く中、お払いをする天狗。


混雑でよく見えないけど、多分鬼法楽をしてる、鬼。


よく見えないうちに鬼法楽が終わり、太夫さんも一緒に豆まき。


運良くもらえた、中には餅が入ってる、福豆袋。


山伏が矢を四方へ射ったのち、偉い坊さんが経を読み、護摩、点火。


護摩、煙が大爆発で、風向きによっては視界ゼロの境内。
こんな感じであります。煙が晴れたら炎が上り、天狗による笹酒の振る舞いもあるとか。


その笹酒をセッティング中の天狗と、天狗に声をかけるどっかの子供。
法住寺の客層は、ネイティブの中高年メイン。それも、歩いて来れるレベルのネイティブです。
カップル率は、極めて低し。三十三間堂から流れてきたような観光客も、ほとんど見当たりません。
好き者系が多く、単独もそんなテイストの奴が多し。あ、独男はもちろん、カメばかりですよ。


全身灰だらけになりながら法住寺を辞し、お次は六原を目指します。
向かうのは、六波羅蜜寺。ここでは、鬼こそ出ませんが、芸舞妓はんの豆まきがあるのです。
さらには、中堂寺六斎念仏の節分奉納公演もあり。六斎ファンとしては、見逃すわけにはいきません。
というわけで、伏見街道を北上中の図。法住寺から六波羅蜜寺は、徒歩15分くらいでしょうか。


15:10頃に到着した、六波羅蜜寺前。何なんでしょう、この混雑ぶりは。
客が道へはみ出してます。警官が配置され、タクシーの運転手も多し。人気であります。
蜜寺の節分会は、15時開始。既に坊さんの読経は聞こえてますが、六斎の発願ではないようです。
とりあえず何とか奥へ潜り込んで、生まれ故郷とも言える地での六斎公演を拝むとしましょう。


そう、六波羅蜜寺は、空也上人が開基。で、六斎念仏も、空也上人が始祖。
空也が開いた寺で空也が始めた六斎が、奉納されるというわけです。実にめでたいわけです。
宝物収蔵庫の空也像も、きっと大いに喜んで、いつもより多めに口から小人を吐いてることでしょう。
ですが私は、御覧のように奥へ入ってもほぼ何も見えんので、ちっとも喜ばしくありません。


何も見えないまま時は流れ、ちょろとだけ土蜘蛛、登場。
その後、内陣前では六斎が四つ太鼓を奉納開始。もちろん、何も見えません。


シナリオとしては、追儺法要中の坊さんを土蜘蛛が邪魔する、と。
それを六斎の鉦と太鼓、豆で退治する、と。よく見えませんが、多分そうです。


四つ太鼓から猿回し、土蜘蛛退治へと一気に雪崩れ込む、六斎。
糸を吐く蜘蛛、そして雅なる脚立へ雅なる乗り方をされる雅なカメラの雅なおっさん。


蜘蛛が成敗されると、六斎奉納は終了。あ、おっさんは成敗されませんよ。
その後、六斎講中の人たちと、どこの町かは知りませんが芸舞妓はんが出てきて、豆まき。
物凄い密度で挙がる、物凄い数の手。何か、六波羅蜜寺の別の顔を見た気にさせられる光景です。
が、空也は庶民救済のためこの寺を建てたんだから、逆にこんな光景こそ、相応しいのかも。


豆は数があるので、別に血走らなくともゲット可能。御覧の通り、私ももらえました。
豆まきも終わると節分会は終了し、大量の人間がどっと道へ溢れ出します。人気であります。
客層は、烏合。ネイティブ系と観光客が、混ざった感じ。カップルや観光ハイの輩などは、少なめ。
人圧以外のプレッシャーは、希薄でしょう。単独は、カメ男。時折、雅な方がいらっしゃいます。


で、六波羅蜜寺を辞した後は、ほとんど隣みたいなところにある、西福寺へ。
六道まいりの頃は、六波羅蜜寺、そして向かいの六道珍皇寺と共に、大賑わいになる寺です。
写真の通り実に狭い寺ですが、ここでも鬼が出たり豆まきするのかといえば、そうではありません。
私も当日現場で初めて聞いたので詳しく知らないですが、蕎麦が振舞われるそうなんですよ。


かつては風葬の地として知られ、轆轤町 = ドクロ町なる町名さえ残る、六原。
その六原・六道の辻に、かの空海が自作の地蔵を祀った辻堂を建てたことに始まる、西福寺。
壇林皇后が正良親王の病気平癒を祈ってからは、子育て地蔵としても信仰されるようになりますが、
「そんなことはどうでもいいから蕎麦は食えるのか、この混雑で」 と思いながら行列に並ぶの図。


奥では、奉仕のおばちゃんが 「急に行列が出来た」 とか言いながら、蕎麦振る舞い中。
六波羅蜜寺の帰り客が溢れたんでしょうか、狭い境内の至る所で善男善女が蕎麦食ってます。
あ、私はなんとか、頂くことができました。ほぼギリ、終了間際でしたけど。ありがたや、ありがたや。
「庶民のための寺ですから」 と言うおばちゃんから蕎麦をもらい、食う場所ないのでお堂の奥へ。


シンプルな振る舞い蕎麦を、隙間みたいなとこで立ち食いしてるの図。
味はまあ、普通です。でも、出来合いの出汁よりはちょっと美味い感じ。ありがたや、ありがたや。
さて、これからどこへ行こうか。現在、16時。そういえば、新熊野神社の節分が、16時からだったな。
間に合わないけど、とりあえず行ってみるか。と、独言の多い大人の 「ひとり節分」 、以下後篇。

2013年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【後篇】 へ。

2011年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【1】
2011年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【2】

2012年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【1】
2012年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【2】
2012年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【3】

2013年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【前篇】
2013年の節分をめぐってきました。もちろん、ひとりで。【後篇】

法住寺
京都市東山区三十三間堂廻り町655
9:00~16:30

京阪電車 七条駅下車 徒歩約10分
JR各線 京都駅下車 徒歩約20分
京都市バス 博物館三十三間堂前 or
東山七条下車 徒歩約3~4分

法住寺 – HIGASHIYAMA district
法住寺 (京都市) – Wikipedia

六波羅蜜寺
京都市東山区五条通大和大路上ル東
通常拝観 8:00~17:00

京都市バス 清水道下車 徒歩約7分
京阪電車 清水五条駅下車 徒歩約7分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩約15分

六波羅蜜寺 – 公式
六波羅蜜寺 – Wikipedia
 
 
西福寺
京都市東山区松原通大和大路東入ル2丁目
轆轤町81
8:00~17:00

京都市バス 清水道下車 徒歩約5分
京阪電車 清水五条駅下車 徒歩約12分

西福寺 – 京都風光