京料理あと村で昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2013年5月27日(月)


京料理あと村で昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

ひとりで忍び込む川床、復活です。
2011年の夏以来、しばらくの間、本当に、本当に、本当に、金がなかったため、
川床侵入はおろか、餅系食堂でうどん&おはぎのコラボを楽しむことさえなかなかできず、
ネタ採取も拝観料のかかるところもなるべく避け、見物に金のかからない祭にばかり足を運び、
運び過ぎて何かサイトが真面目っぽくなったり、腕だけ異常に日焼けしたりしてしましたが、
ようやく初心、ベタなスポットへ単身乗り込むというサイト元来の趣旨へ立ち戻ることができました。
それもこれも、全てアベノミクスのおかげです。というのは、全くのウソです。
金がないのは昨年と、変わりません。耐え難きを耐え続けた昨年と、変わりません。
当時の上司から 「もう日本は終わりです」 と言われながら減給された昨年と、全く変わりません。
しかし、私自身が変わりました。金のことを真面目に考えるのは、止めようと決めました。
パーっと、行こうや!で、パーっと、逝こうや!未来のない人間が今を楽しまないで、どうする!!
今、そんな気持ちで、いっぱいです。という按配で、川床単独侵入、復活でございます。
いや、そんな極私的でどうでもいい懐事情 or 破滅へのカウントダウン話とは別に、
川床記事のアクセス数が突出して多いというのも、復活の大きな理由ではあるんですよね。
アクセスのみならず直帰率も高いので、私としては正直、身銭切ってまでやりたくないんですが、
でもこんなサイトにわざわざ来てくれるのですから、ニーズには応えるべきでしょう。
あと、以前に鴨川の床へ出かけた際は、にらみ川床に終わってますし。
そのリベンジの意味も込め、昼床終了が近い5月末の木屋町へ出かけました。
もちろん、例によって予約なし、完全なる飛び込みです。


12:30頃、京阪四条駅を出て川端通を南下、松原橋から床を見るの図。
このまま橋を渡って木屋町通へ入り、ふらふら北上しながら目ぼしい店を見つける算段です。
鴨川納涼床、本当の最南端は五条通間近の鶴清ですが、多くの店が並ぶのは、この辺から、北。
生憎の曇天ですが、晴天を待ってると5月いっぱいの昼床が終わってしまうので、特攻と。


木屋町通へ入り、田鶴の支店・仙鶴の前を通り過ぎるの図。
POP看板は仙鶴のものではなく、隣に出来た 「kawa cafe」 のもの。流行ってました。
昼床の看板を出す店は、そう多くありません。やってる店自体が、そもそもさほど多くないというか。
このカフェバー、そして団栗橋の東京資本のイタリアンとかが、この辺では結構、人気。


看板自体も少なめですが、満員札を見たのは、わずか一軒。
あとは 「空席あります」 と書いてるか、看板があるだけ。呼び込みも、全然ありません。
「入ったろか」 とか思いながら本家たん熊をスルーし、「川床空いてます」 という雪月花もスルー、
風俗もそのうち川床をやるんだろうかとか思いながら、ちもとの前もスルーし、先斗町へ。


で、先斗町。天気がもうひとつのためか、やはり普段以上に静かです。
昼床の値段は、どこも2000~6000円くらいでしょうか。この辺では、天下一品のとこが人気。
あ、写ってませんが、中国人団体はしっかりいましたよ。何も食わずに、店先で写真だけ撮るという。
明らかに素人のおばちゃんが、三脚担いでたり。売った奴の顔が見たい。いや、見たくない。


いや、私も、撮るだけ客を揶揄できません。そろそろ店を決めないと。
あと村、玄関の見栄えが良さげ」 とか 「、ようテレビ出てるから、アクセス伸びそう」 とか、
「たん熊、マジで行ったろか」 とか考えながら、魚を狙う鳥と人間が仲良くくつろぐ河川敷を歩く。
たん熊、昼の 「東山御膳」 は 「ひとりでもどうぞ」 みたいなことを書いてたので、行くか。


たん熊に電話して訊いてみると、NG。そもそも昼床、やってないと。
木屋町御池のまで行くと、こちらは満員。以前、にらみ川床を堪能した隣の梅むらも、満員。
じゃあ、あと村に行くかと思い、洋食の店から流れるハンバーグ臭を嗅ぎながら、また河川敷を歩く。
それにしても、流行ってる店は椅子席のとこが多いな。客の大半は、おばちゃんたちだけど。


団栗橋まで戻り、その少し南にある、あと村へ到着。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、料亭。
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ、鰻アプローチ。
でも玄関手前には、籠盛弁当のディスプレイがまだしっかり出てます。行ける、行けるはず。


入口横に張られてた、島原太夫 in 川床の告知ポスター。
あと村、川床シーズン中の毎週金曜&土曜の夜は、本物の島原太夫が来るんだそうです。
夜の床に単独特攻かける根性は私にはありませんが、金と度胸に余裕がある同志の方は、是非。
名物は、うに茄子や菜の花揚げだそうですが、頼むのはどうせ弁当だから、関係ありません。


玄関へ入ると、普通に 「いらっしゃいませ」 と言われました。
「一人ですけど大丈夫ですか?」 と訊くと、普通に 「どうぞ、どうぞ」 。で、そのまま、中へ。
「テーブル席の方がよろしいでしょうか」 と訊かれ、 「あー、えーっと、ゆ」 とまで言いかける寸前、
「床の方がよろしかったら、空いてますけど」 と言われ、そのまま床へ直行でございます。


で、床。遂に到達した、鴨川の床。曇天でも、床は床です。
途中まで靴のまま進み、シートの手前で靴を脱ぎ、床へ上がる。そして、座る。
先客、おばちゃん3人組のみ。長居したのか、私が不快なのか、こっちが座った途端、帰りました。
とにかく、床、貸切。そこへ女将さんが 「お弁当、3675円のと5250円のがありますけど」 。


昼は、籠盛弁当メインのようです。3675円のを頼み、しばし待ちます。
遂に侵入に成功した床ですが、何か特別な感慨が沸くかといえば、正直、何もありません。
下を歩く人に対し、「ここまで来てみろ!」 というアホな優越感を感じるかといえば、全然感じません。
逆に、下から見られて恥ずかしいという感情も、沸きません。そもそも、そんなに人、通りません。


しばらくして、オーダーしたウーロン茶と共に刺身が運れてきました。
刺身は、シビガツオ。 「シビガツオ?」 と訊くと、「クロマグロの稚魚でございます」 と、即答。
シビガツオ、梅むらでも出てきたな。調べると、日本各地で 「地元ではそう呼ぶ」 と言われる、謎魚。
食べると、普通に柔らかくて、ほどほどの味の濃さがある、普通に美味しい魚。


またしばし待つと、籠盛弁当の本体が運ばれてきました。
手前には、写真で見たのとはちょっと違うけど、ゆかりがまぶされ美味そうなおにぎりが、鎮座。
以下、ニンニクの味がした蓮根の焚いたん、サツマイモの焚いたん、茗荷の小鞠寿司、たくあん、
枝豆の太いのんの焚いたん、牛蒡と里芋の間くらいの形で食感は里芋の焚いたんなど。


籠の中に敷き詰められた取肴の数々、さらに寄ってみました。
田楽茄子、レモンの皮みたいに見えて食うと魚の味が濃い蒲鉾っぽいのん、鴨ロース、
きゅうりと八幡巻の串もん、人参の焚いたん、小芋の焚いたん、出汁巻き、極めてもっちりとした麩、
魚の焼いたん、白和え、あと小さい海老が入ってたっけ、入ってなかったっけ。


椀物は、海老真薯を何かの葉で包んだのん。
全体的に味は、弁当らしいといえば非常に弁当らしい感じのものでありました。
これだけ様々な種類の具材が投入されてるにも関わらず、一品ごとのクオリティにバラつきがなく、
正確に弁当設定された味のラインが、隅々まで徹底してるとでもいうか。


ああ、食った、食った、腹一杯。気持ちええな。
頭の中では、グレゴリ青山が昔書いてた割烹バイトの弁当話が渦巻いてたけど、
せやけど、美味いもん食って、腹いっぱいになって、川の風に吹かれると、やっぱり気持ちええな。
寝転んだろかな。貸切やし。いや、中で食べてる人がいるみたいやから、やめとこかな。


とか思ってる時に出てきた、最後の水物、ゆずシャーベット。
弁当を食い終わった頃から陽が出てきて、結構暑かったため、飲むように平らげます。
そう、暑い、当然ながら。昼床が5月&9月だけなのは、食中毒だけが理由じゃないと実感しました。
あと、この日は風が強く、結構、砂が舞いまくり。中で食う人がいるのも、理解しました。


正真正銘ひとりだけの川床で、正真正銘ひとりだけの席。
もっとゆっくりしようかとも思いましたが、どう見ても鴨川は鴨川でしかないので、帰ります。
舌代は、3990円なり。弁当とウーロン茶の合計で、3990円なり。席料などは、特にないようです。
帰り際 「またお越し下さいませ」 と言われました。すいません。今度は、誰かと来ます。

客は、二組しか見なかったので、客層云々はパス。
少なくとも、ひとりで入店するのが難しいという印象は、特に受けませんでした。
特に歓迎はされないけど、特に敬遠もされない、そんな感じ。
対応も、特に気を使われるわけでもなく、ぞんざいに扱われるわけでもなく、ごく普通。
見た目の割に過剰な敷居の高さはないため、夜などまともな稼ぎ時はどうか知りませんが、
昼で人が少なければ、単独床を堪能できる可能性はあるんじゃないでしょうか。
敷居が過剰に高くないといっても、もちろんそれなりにそれなりがそれなりなので、
いちいち自分のチョイスを大声で祝福しないと気が済まない女性グループや、
脳の隙間にゆとりがある若者グループと同席することは、多分そんなにないはずです。

そんな、京料理あと村の昼床。
好きな人と食べたら、より川床なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、川床です。


京料理 あと村 本店
京都市下京区木屋町四条下る斉藤町139
昼11:30~14:00 夜17:00~22:00
昼床は、5月&9月のみ

阪急電車 河原町駅下車 徒歩約5分
京阪電車 清水四条駅下車 徒歩約5分

京都市にある、京料理屋、あと村 – 公式

京の風物詩 鴨川納涼床への誘い – 川床公式