京風宮廷タイ料理・佛沙羅館で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2014年5月23日(金)


佛沙羅館で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

川床で供される料理は、京料理に限られるわけではありません。
川の風で涼みながらの食事が、川床の本義。故に、和食必須の掟など、本来はなし。
そんな本義を無限に拡大解釈するかの如く、現在の鴨川納涼床は多様な料理が揃ってます。
フレンチ、イタリアン、中華、韓国、エスニック etc 。 「和」 もひったくれもない、正に無国籍状態。
また、本義から考えれば座敷である必要もないということで、椅子席化する店も、増殖中です。
ホームセンターで安価に買えそうなテーブル&椅子が並ぶ床を、外からながら見かけると、
「風情が無い」 「単にテラス席」 「いや雪洞があるからビアガーデン」 と、勝手を言いたくなりますが、
しかしそんな外来食×椅子席の店に、多くの客が集まってるのもまた、紛れもない事実。
特に昼床では、客単価設定が低いめか、その手の店の賑わいがより露骨に顕著だったりします。
この現状、ベタの単独正面突破を趣旨とするうちとしては、見過ごすわけにはいきません。
当サイトでは、予算不足ゆえ昼床ばかりではありますが、川床へ何度か特攻を試みてきました
が、よりベタらしいベタさを押さえるため、赴いたのはいずれも、オーセンティックな和食店。
増殖を続ける椅子床&和食以外の床は、まだ全然フォローできてなかったのです。これは、いかん。
というわけで2014年の川床特攻は、京料理+座敷とは別のベクトルの店へ目を向けてみます。
で、今回赴いたのは、佛沙羅館。仏と言っても、精進料理の店ではありません。タイ料理の店です。
京都のタイ料理界では草分け的存在であり、町家をリノベした 「京風宮廷タイ料理」 が売り。
ですが私的には、路地入り口へ置かれた川床にあるまじきガッツきぶりを誇る立て看に、
「宮廷」 らしからぬ濃い口なインパクトを感じ、前の道を通る度に印象的な店だったりします。
タイ料理店ながら、夏期は川床もしっかり展開。5・9月は、お得な昼床もあり。
で、看板が誘う路地裏のタイ川床へ、白昼堂々忍び込んでみました。


京阪清水五条駅を出て、川床最南端近くの松原橋から、鴨川を望むの図。
最南端とか言うと、ここより南の鶴清に悪いですが、床が密集して並ぶのはこの辺りからです。
佛沙羅館があるのは、ここから木屋町通へ入り、少し北上した所。写真だと、青いビルの右下辺り。
じゃあ、行きましょうか。どうでもいいことですが、川の上の網は、川鵜から小魚を保護する網。


東京資本の中華屋・大傳月軒の奥へ隠れるように、佛沙羅館は建ってます。
路地で中華屋の裏へ回る必要があるため、トップ画像の如く派手な誘導立て看が出てる、と。
車止めが立ってるとこを、右へ入るわけです。写真は、大人しめな絵面となる、南側からのショット。
ただし、ポップ体でポップに書かれた 「鴨川納涼床」 の文字が、既になかなか来てますが。


で、路地に入って眺めた、立て看。 「床」 の一文字が、川床営業を告げる、立て看。
そして 「床」 の隣では、 「世界三大スープ トムヤムクンうどん」 の文字が妖気も放つ、立て看。
路地裏の店らしい看板と言えばそれまでですが、川床店ではこの濃さ、珍しいんじゃないでしょうか。
ガッツいたおっさん or おばさんとかが、店員にいるかも。少し気合入れて、特攻しましょうか。


と、思いましたが、時間は13時10分。ひょっとすると、混んでるかも知れません。
なので、しばしのんびりと木屋町通を歩き、他の椅子席店も一応物色して、時間をつぶします。
写真は、佛沙羅館の南にある kawa cafe 入り口&立て看。名の通りカフェであり、椅子床もあり。
割と安上がりに川床が楽しめることもあってか、曜日を問わず常に客がよく入ってる店です。


みそそぎ川と新緑越しに眺める、東京資本のイタリアン店・アモーレ木屋町の川床。
同じ資本のわかりやすい町家イタリアン・スコルピオーネ吉右と共に、よく流行ってるようです。
新緑で隠れてよく見えませんが、ここもまた、椅子席。で、和食よりは、安い、と。で、流行ってる、と。
あ、新緑で隠れてますが、手前にはイル・ギオットーネ、あり。ここは安直に川床なん (ry


川側へ出て、料亭の名店&風俗の名店が入り乱れる西石垣エリアを眺めるの図。
手を振ってくれた女の子がいるのは、京料理きた山。和食ですが、椅子席が好評という店です。
きた山の隣は、昼床無し&座敷席の京料理銀水。更にその隣は、ファッションヘルス・リッチハウス
娘が横に手を振る数m傍で、嬢は縦に手を振る・・・という愚考を、後の東華菜館が嗤ってます。


で、その雄大なる東華菜館の床を、正面から見上げてみるの図。
「川床とビアガーデン、どう違うねん」 という根源的懐疑を、力づくで押しつぶす威容であります。
夏期、名実とも完全なるビアガーデンが川床&屋上で展開される、東華菜館。しかし、昼床はなし。
いや、土日祝はやってるそうですが、ここはヴォーリズ建築を見た方が値打ちあるでしょうね。


東華菜館の先には、「鴨川をどり」 開催中で看板が上がってる、先斗町
この日の先斗町は、何故か東南アジア系の観光客がやたら、多し。あと、修学旅行生も、多し。
鴨川をどり帰りの中高年おばさんも当然、多し。レンタサイクルで特攻する阿呆団体の姿も、あり。
ネタの生け簀の如きおいしい状況でしたが、佛沙羅館に余力を残しておくため、早々に脱出。


先斗町を脱出し、独男の魂がより馴染む西石垣エリアを、今度は通側で南下。
先述のリッチハウスや手前のホットポイントといった風俗が、 「ちもと」 などと軒を連ねてます。
風俗店は流石に川床は出してませんが、しかし、カフェでも床を出す時代です。そのうち、やるかも。
MM風俗川床とか、やるかも。外から見えない+中で鴨川を眺めつつ何かするとか、やるかも。


そんなとことん下らんことを考えながら、更に西石垣を南下して木屋町通へ合流し、
団栗橋を渡る人たちへ床の混雑ぶりを見せびらかしてるスコルピオーネ吉右を、華麗にスルー。
わかりやすい町家イタリアンのビジュアルが受けてるのか、アモーレと同じく、ここも流行ってます。
そのうち、 「際コーポレーション店めぐり」 とか、やってみましょうか。あ、嫌や、やっぱり。


で、13時半、佛沙羅館に戻ってきました。濃い口な看板を、改めてつくづくと見る。
際コーポレーション的なセンスとは全く逆の、わかりやす過ぎて、もう逆にわかりにくい、看板。
これが、本物の京都のセンスです。天一の濃厚さと同根の、本物の京都のセンスです。嘘ですけど。
この濃い口看板を立てた恐らくは当本人と対決すべく、今度はいよいよ本当に、路地へ突入。


で、佛沙羅館、入り口。茶屋をリノベした店だそうで、その趣は色濃く残ってます。
もちろん、今回も予約なし、完全に飛び込みです。行けるかなと思いながら暖簾を潜り、玄関へ。
すると、濃さや過剰さと全く真逆なオーラのお爺さんが、出てきました。そして、小さい声で 「どうぞ」 。
戸惑いながら 「ひとりですけど床、大丈夫ですか」 と訊くと、 「席料、500円かかりますけど」 。


500円ならまあいいかと靴を脱いで上がり、茶屋の趣が更に色濃く残る屋内をスルー、
用意されてるサンダルに履き替えて外へ出れば、そこは見事にテーブルが並ぶ、椅子席床。


結構濃厚にビアガーデン的な、椅子席川床の椅子とテーブル。


椅子とテーブルナメで眺める、客が全然いない茶屋リノベの本屋。


椅子席川床から眺める、多分タイの水上マーケットっぽい、みそそぎ川。


と、椅子席タイ風川床のビジュアルを阿呆のように堪能しまくってから、
先客の主婦2人組に背を向ける形で座ると、先刻のお爺さんが水とメニューを持ってきました。
お爺さん、1300円のランチプレートが推しなのか、その面を表にしてメニューを渡してきましたが、
私は、この店名物の 「はんなり箪笥」 を安めに楽しめる昼床限定ランチ2100円をオーダー。


注文をとると、お爺さんはドリンク注文を促すこともなく、静かに厨房へ去りました。
薄い、実に、薄い。肩すかしな気分です。看板のような濃い人は、今日は不在なのでしょうか。
そんな無意味なことを不審に思いつつ、年季の入ったメニュー、そのランチプレートのページを拝見。
内容は、バッタイ等のメインにあれこれ付くもの。メインにトムヤムクンうどんは、なかったな。


そうこうするうち、やはりお爺さんが 「はんなり箪笥」 を持ってきました。
鴨川を借景に、しばし、凝視。はんなりです。何がはんなりだかわかりませんが、はんなりです。
つっかえ棒の奥に格納されてるのは、タイ風オムレツ・タイ風唐揚・揚げ春巻が入った前菜3種盛り、
ヤム・ウーセンすなわちタイ風春雨サラダ、そして鶏肉のカシューナッツ炒めというラインナップ。


つっかえ棒を外して3皿を取り出し、スープのトム・ヤム・プラーと共に、食事開始。
前菜三種は、見た目通りの弁当的おかず。サラダは、春雨とむきえびが入ってる以外、普通。
鶏肉のカシューナッツ炒めは、カシューナッツが少し甘味を出してますが、基本的には闇雲に辛し。
トム・ヤム・プラーは、キノコ・白身魚と共に丸ごとの唐辛子が入っていて、やはり闇雲に辛し。


昼床限定ランチのメインは、グリーンカレー or パッタイ or カオパッドの選択制。
私は、グリーンカレーをチョイス。カメラがヘボなので茶色に見えますが、グリーンカレーです。
鶏肉と大根が入ったカレーは、これまた闇雲に辛し。それも、辛い&塩辛いの両方で、闇雲に辛し。
あまりに辛くて塩辛くて、素材の味とか全然わかりません。米飯も、特にタイ米感はなく、普通。


汗だくになってグリーンカレーとトム・ヤム・プラーを食い切った頃、ドリンク登場。
ドリンクもアイスコーヒー or タイアイスティーの選択制になってて、私はタイアイスティーを選択。
マンゴーシャーベットを紅茶で溶かして胡椒をかけたようなティーを飲み、炎上する体を冷却します。
それにしても、辛かった。何か、自分でペースト超濃に作ったグリーンカレーの如く、辛かった。


ドリンクと共にやって来た、2種のデザートが盛られたプレート。
マンゴー系のシャーベット&タピオカココナッツミルクを、虚空と談笑しながら食すこと、しばし。
それにしてもここ、お爺さん以外に店員の気配を感じません。調理してるのも、お爺さんでしょうか。
あ、店員じゃないけど、子どもはいましたよ。本屋から顔を出したり。お爺さんの孫でしょうか。


先客である、地元 or 近隣系の主婦二人組が背後で延々としゃべり続ける、
「息子は、父親とは仲いいのに自分には反抗する」 「部活のサッカーでポジションがどこそこ」
「誰それが結婚した」 「誰それもそろそろ」 といった話を聞きながら、改めて川床全景を眺めるの図。
14時を過ぎたためか、客は結局、この2人のおばさんと、私のみ。屋内席には、客の姿なし。


果てしなくしゃべり続ける先客奥さん達を後にして、私はぼちぼちと、退店。
勘定をしてくれるのも、当然、お爺さんです。お代は、料理2100円+席料500円 = 2600円。
値段だけ、やや 「宮廷」 という感じでしょうか。いや、あのお爺さんの薄さこそが、 「雅」 なのかも。
とにかく、看板とお爺さんのギャップ、そして料理の闇雲な辛さが、強烈な昼床でありました。

他の客が少な過ぎるため、プレッシャー云々は、省略。
店そのものは、ひとりでもさほどアウェー感を感じないんじゃないでしょうか。
椅子席のクオリティを含めいわゆる普通の飲食店であり、気張った雰囲気はほぼありません。
敷居の高さへの根性よりは、表の看板に引かない神経の方が、より重要な気もします。
味・CPなどに関しては、本文で書いてる通り。こんな感じです。
ここから北にもう一軒、タイ料理店で川床を出してるとこがあるんですが、
そこの床は狭いので、そこが混んでる時はこっちに来るのもいいかも知れません。

そんな京風宮廷タイ料理・佛沙羅館の、昼床。
好きな人と食べれば、より川床なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、川床です。


【ひとりに向いてる度】
★★★
床の気分を味わうという点では、まあまあ。
ただ、「床の気分を味わう」 だけなら、
ランチプレートで充分じゃないかとは、正直思う。

【条件】
平日金曜 13:30~14:20
 
 
タイ料理 佛沙羅館
京都市下京区美濃屋町173-1
11:30~14:00 17:00~22:00
水曜定休 7・8月無休 昼床は5・9月のみ

阪急電車 河原町駅下車 徒歩7分
京阪電車 祇園四条下車 徒歩10分

タイ料理・京都木屋町の佛沙羅館 – 公式

タイ料理 佛沙羅館 – 鴨川納涼床 公式