野宮神社の斎宮行列を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2014年10月19日(日)


野宮神社の斎宮行列を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

葵祭のヒロイン or 花形である斎王には、モデルみたいなものがあります。
「いや、斎王代のモデルが斎王だろ」 とか言われそうですが、そういう話ではありません。
葵祭・斎王代のモデルである斎王 aka 賀茂斎院には、モデル or 先行者がいるのであります。
それが、斎宮伊勢神宮にて祭祀を司り、その宮殿名 「斎宮」 が呼称化した斎王のことです。
古くは 『日本書紀』 にまで遡るという斎宮の制度が、本格的に整備されたのは、天武天皇の時代。
壬申の乱で天武帝は、伊勢神宮に戦勝を祈願し、勝利。以来、伊勢を 「天下の宗廟」 と規定。
未婚の内親王 or 女王をかの地へ下向させ、祭祀を担わせる斎宮の制度を確立させたのでした。
以来、多くの御供を引き連れ伊勢へ向かう斎王の行列 = 群行は、平安期から中世にかけて存続し、
その群行の様を平安京の周辺のみで小じんまり踏襲した賀茂斎院の行列は、都の風物詩化。
で、その踏襲した賀茂斎院の行列こそが、現代葵祭に於ける斎王代の元ネタとなったわけですね。
「コスプレの元ネタに、さらに元ネタあり」 という話であります。雑な言い方過ぎて、恐縮ですけど。
葵祭・路上の儀が、往時の完コピを目指したコスプレで現在も継続してるのは御存知の通りですが、
では斎宮行列の方も、完コピを目指したコスプレ行列が行われているかといえば、これが難しい。
単純に、京都から伊勢って、遠いし。近鉄特急なら速いけど、徒歩だと5泊6日かかるそうだし。
なので、伊勢と京都それそれの由緒ある場所で、バラバラにイベントが開催されてるのが現状です。
伊勢では、有名な斎王まつり。で、京都では、今回出かけた野宮神社斎宮行列であります。
斎宮は、伊勢へ下向する前、洛外に設けられた 「野宮」 で厳重なる潔斎を行うのが決まりでした。
その 「野宮」 が数多く設けられたという嵯峨野には、 「野宮」 跡がいくつかが神社化して残存。
嵐山にて源氏物語の何ちゃらと縁結びが売りの野宮神社もまた、そんな 「野宮」 跡神社のひとつ。
その由緒と観光客寄せがクロスする形で、ミニ斎宮行列 「斎宮夢行列」 が平成に入って復活し、
2005年には 「斎宮行列」 と改称、嵐山の秋の風物詩として認知度を深めつつあります。
そんな斎宮行列、 「元ネタの元ネタのコスプレ」 を拝むべく、行ってきました。


正午から始まる行列に向け、11時半に阪急嵐山駅を出て、野宮神社へ向かいます。
10月の嵐山は、気温が穏やかで過ごしやすい以外、特にこれといった良さや見所はありません。
ゆえに客寄せコスプレ行列が行われるのかは不明ですが、とにかくそんなことは関係なく、客、多し。
もはや常態化してますが、中国人も異常に、多し。全体の7割くらいはいるんじゃないでしょうか。


嵐電嵐山駅前の長辻通では、斎宮行列の幟が御覧のように至る所で立てられてます。
が、それ目当てらしき輩の姿はさほど見当たりません。ごくごく普段通りの、下らない混み方です。
ただ目当てらしき輩が少ない分、神社に近付けば多少は空くかな、と淡い期待をしながら北上すると、
神社への脇道の角にはさらに混雑が発生してて、竹林の脇道自体もさらに混雑が激化しましたよ。


で、竹林の中の野宮神社の前へ来ると、行列目当ての見物客で道が塞がってましたよ。
おまけに、狭い境内に入り切らないのか、コスを決めた行列参加者も道で待機。凄い混み方です。
あ、こちらの行列は学生バイトを大量導入したりせず、希望者が協力費を出して参加するという方式。
でも駕輿丁などの力仕事系はバイトかと思ったら、 「無料」 で参加できるとか。出たい人は、是非。


神社の中では何かが行われてますが、詳細一切不明のまま南側で無為に待ちましたよ。
で、12時過ぎ、門前から聞こえる 「道開けて下さい」 というエンドレス連呼と共に、行列がスタート。
何処かより騎乗官人の馬もやってきて、またもや 「道開けて下さい」という連呼と共に、行列へ参加。
あ、参加費は稚児5000円~女官2万円程ですが、騎乗官人は20万円とか。出たい人は、是非。


そして、本殿で何らかを行っていた伊勢斎王 = 斎宮の代理こと斎宮代が、輿で登場。
駕輿丁に担がれた輿、一旦低位置で道へ出て、御覧のようにリフトアップ。歓声が沸いてました。
あ、協力費を出せば誰でもコスプレで参加できるこの行列ですが、斎宮代は公募してないようですよ。
斎王代と同じく、密室決定方式でしょうか。ひょっとして、伊勢・斎宮まつりの斎王が来てたりして。


で、例によって追尾に入りたいところですが、混雑が凄過ぎて、全然追いかけられません。
見物客が多いのは無論ですが、それ以上に竹林の道が狭いため、混み方に輪がかかってます。
また、たまたまこの日に居合わせた若い連中が大挙して雪崩れ込んでくるため、レミング化も加速。
雅なる竹もこの時ばかりは邪魔とか思いながら、行列に追いつこうと牛歩を続けること、しばし。


で、追いついた頃は行列、住宅地を東進してるところでした。
で、後はただただ普通の街中を、地元民がメインの見物人に囲まれ行進するばかり。


普通の住宅街を、行進。


普通の住宅街を、行進。


トロッコ鉄道駅入り口を、行進。


トロッコ鉄道駅の壁の前を、行進。


で、そのまま行列は東へ進み、トロッコ駅を通り過ぎて、JR嵯峨嵐山駅の駅前通りへ。
車道へ下りる見物人に 「日本語わかりませんか~」 と警官が注意し続ける中、一旦休憩。


どっかで 「斎宮はここで牛車に乗り換える」 みたいなことを耳にしました。
が、実際に牛車も登場したものの乗り換えは行われず、斎宮代は輿に乗ったまま再出発。


再出発した行列には、知らんおじさんが乗ってる牛車&最後尾に稚児行列も参加。


行列は嵐電旧嵯峨駅前駅・現嵐電嵯峨駅前を西へ曲がり、行進。


コロッケ屋前から天龍寺前までを、行進。


何も知らん観光客が騒ぐ嵐電嵐山駅前を、行進。


斎宮の蘊蓄アナウンスがあれこれ流れる渡月橋を渡り、行進。


で、橋を渡れば中之島公園で、休憩。


人間が休憩と記念撮影をする間、牛車の牛も、休憩。


しばらく休憩したのち行列は再出発し、また渡月橋を渡り、行進。


何となく葵祭の御園橋周辺の感じを思わせる景色の中を、行進。


渡月橋を渡った行列は、桂川 aka 保津川 aka 大堰川の左岸を、行進。


観光客が溢れかえる中を、吉兆の前を通って船着き場へ向かい、行進。


で、嵐山通船の船着き場に設けられた御禊の儀会場へ入る、行列。
メインの斎宮代以外は参加自由みたいなことを言ってて、稚児&牛車&馬はここで御役御免。


御禊の儀とは、葵祭の斎王代も祭の前に行う、あのお清めの儀式であります。
船着き場には、ステージのような御禊スペースと、船2隻+戸板で組まれた雅楽スペース、あり。
道から見える場所は完全に見物客で埋め尽くされ、浜は足が水に入っても平気な輩で埋め尽くされ、
さらには川の上にも遊覧ボートや遊覧船がウロウロしてる中、生で雅楽が奏でられ、御禊、開始。


まず、何故か全然似合わない 「君が代」 の雅楽演奏と、宮司の祝詞奏上。


続いて、何が行われてるのか全くわかりませんが、おそらく斎宮代による御禊。


その後、三重県の観光何ちゃらなどによる挨拶に続いて、舞楽の奉納。


で、御覧の舞楽奉納が終われば、斎宮行列、伊勢に向かうことなく終了であります。
とはいえ舞人は、基本的にずっと川下を向いて、舞。川下 = 東 = つまり伊勢の方を向いて、舞。
先程の御禊の儀でも、斎宮代はもちろん川下の方を向いて、禊。祈りは、伊勢へ向かってるのです。
最後に少しだけコスプレを越えた雅な気持にさせて頂いた後、観光客をかき分け帰りましたとさ。

客層は、あくまで普段通りの嵐山の観光客です。
若くて馬鹿な連中が、冷やかし半分の消費者モードで無為にうろついてます。
半分が遠来の馬鹿で、残り半分が電車で来た関西圏の馬鹿、という感じでしょうか。
あとやはり、中国人、多し。カップル3割、中高年夫婦4割、混成グループは8割程いたかも。
マナーは、そこそこ悪し。恋愛ハイはそこそこですが、観光ハイで前後不覚の奴は、多し。
中高年は、時期ゆえかベタな団体は少なめ。個人の京都好き系が多いと感じました。
といってもディープな感じでもなく、BSの京都番組とかを観てるようなタイプに見えましたが。
行列の客は、ここにカメ爺と地元近隣系の見物人、そして好き者系の奴らが加わる感じ。
単独は、男はカメと狂人が少し、女は普通の観光系を少し見かけた程度です。

そんな野宮神社の、斎宮行列。
好きな人と観たら、より行列なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、行列です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:3
子供:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:1
単身女性:超微
単身男性:1
【ひとりに向いてる度】
★★
基本的に、超アウェーのシチュエーション。
客層は絶望的にアウェーだし、似た奴は似た奴で気持ち悪い。
ただ、イベントゆえの混雑の激化はさほどなく、
普通に嵐山へ特攻する気概があれば、問題はないと思う。
混雑自体も、何かを諦めたら、割と慣れる。

【条件】
日曜 11:30~15:30


斎宮行列
毎年 10月第3日曜 開催
 

野宮神社
京都市右京区嵯峨野宮町1
通常拝観 9:00~17:00

嵐電 嵐山駅下車 徒歩約6分
JR嵯峨野線 嵯峨嵐山駅下車 徒歩約10分
市バス or 京都バス 野々宮下車 徒歩約4分
 

良縁、子宝、学問の神様 野宮神社 – 公式

斎宮行列 – 野宮神社公式

野宮神社 – Wikipedia