東福寺塔頭・毘沙門堂勝林寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2015年11月27日(金)


東福寺塔頭・毘沙門堂勝林寺へ紅葉を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

東福寺は、夜になるとやたらに寺&その周辺が暗くなるなと思ったりします。
臨済宗東福寺派大本山に相応しいその巨大なる伽藍は、ライトアップされることなど全くなく、
むしろ逆にブラックライトでライトダウンするかのように、禅宗ならではの厳格な闇を周囲へ放射。
名勝・通天橋が瀕死の混雑に見舞われる紅葉シーズンにあってもなお、その闇の厳しさは変わらず、
陽が落ちる夕方以降は昼間の喧噪が嘘の様に消え、代わって辺りに充満するのは漆黒の闇。
群集の荷重に耐えた当の通天橋も、夜は地元中高生の自転車が通るばかりの暗黒渡り廊下となり、
その圧倒的な暗さは、まるで 「これこそが正しい寺の姿なのだ」 と宣言してるようにも見えます。
無論、寺とその周囲が夜に暗くなるというのは、本来は当然というか、普通な姿ではあるんでしょう。
しかし、紅葉シーズンくらい夜間拝観をやってもいいんじゃないかと思ってしまうのもまた、人情。
境内の広さ&紅葉の大規模さを考えると、電気代がえらいことになるだろうけど、やってほしいな、と。
通天橋から落ちて天国へ通り抜ける奴が何人か出るかも知れないけど、やってほしいな、と。
そんな最低共通文化に基づく需要にも一応対応しようと考えたのか、夜間拝観をやってくれてるのが、
東福寺の境内にあってその鬼門を守る、 「東福寺の毘沙門天」 こと塔頭・毘沙門堂勝林寺です。
勝林寺。少林寺に非ずして、勝林寺。東福寺第205世により1550年に創建された、塔頭であります。
東福寺仏殿の天井裏で発見されたという、本尊にして伝・定朝作の毘沙門天立像を始めとして、
珍しい毘沙門天曼荼羅や、大檀那である近衛家の大玄関が移築された本堂など、その見所は多し。
通常非公開であることが惜しまれるほどですが、名物の吉祥紅葉が色づく秋には特別公開を行い、
良縁と美縁の御利益から舞妓はんも訪れたというこの紅葉を、夜ともなればライトアップで更に演出。
その様は、忍び寄る餓鬼より本丸の闇を守るのもまた鬼門守護の一環と考えてるかのようであり、
東福寺の拝観に間に合わなかった迷える衆生にとっては、ある種の緊急避難先になってます。
そんな勝林寺の紅葉、もちろん東福寺が真っ暗になる夜に観に行きました。


駅員が階段にロープを張ってたJR&京阪・東福寺駅を抜けて着いた、17:40の東福寺。
東福寺本丸の拝観は既に終わってる時間ですが、ロープ、やはり迷える衆生が多いんでしょうか。
駅からは少し慌てて来ました。いや、混雑は関係なく、勝林寺の夜間拝観は19時半終了なんですよ。
本丸方面から流れてくる人の多さにも衆生を感じながら、しっとりと暗くなった道を歩くこと、しばし。


それにしても、真っ暗であります。晩秋とはいえ、まだ18時前なのに、この暗さであります。
「東福寺って、どっちですか?」 と、哲学的な質問をされたりしながら、漆黒の道を進むこと、しばし。
とはいえ、人はやはり、多め。皆、勝林寺へ行くのかな。あるいは、通天橋へ一応行ってみる派かな。
少し不安を感じながら鬼門の方へ行くと、勝林寺・特別拝観の看板あり。入口、あっちだそうですよ。


「あっち」 というのは門がある東側なんですが、その門前まで行くと、係員さんの姿あり。
で、係員さん曰く、特別拝観の入口は東門、と。で、東門へ回ると、特別拝観の入口があったの図。
東福寺第205世住持である高岳令松禅師によって、1550年に 「勝林庵」 として創建された、勝林寺。
どうにも拳法をイメージする音の響きを感じますが、ただ勝運の御利益も確かにある寺であります。


受付は、参道の奥。ボランティアみたいな感じのスタッフに600円を払い、中へ。
で、あとは例によって、手抜き丸出しな写真の羅列で、紅葉の雰囲気だけでも感じて下さい。


受付の近くで色づく、ウェルカム紅葉。


ウェルカム紅葉の隙間から眺める、本堂。


紅葉の近くで結ばれた、きっと良縁を示してないおみくじ。


そんなおみくじを労るように色づく、紅葉。


ただ今年は色づきが微妙で、緑の方にインパクトを感じること、しばし。


枯れ葉と共に転がる謎の部品にも、謎のインパクトを感じること、しばし。


転がってない何らかのオブジェにも、何らかのインパクトを感じること、しばし。


そして、紅葉のコンディション自体にも、微妙なインパクを感じること、しばし。


というわけで、やはりインパクト課題な緑と共に眺める、本堂。


その本堂の手前で、謎なまでに濃厚な秋風情を醸し出している、ススキ。


で、多彩極まるグッズ販売と御朱印授与を横目に見ながら、毘沙門天が鎮座する堂内へ。
堂内ではスタッフが、毘沙門天+その嫁+その子供の象などについて、色々と説明してくれます。
ムカデはこの寺のシンボルで形が生々しいとか、本尊を頂点にする形で部屋が傾斜になってるとか。
という説明を聞いてたら、途中で入ってきた観光客の若い女が 「面倒臭そ」 という目をしてました。


で、毘沙門天を拝んだ後で額縁感たっぷりに眺める、庭の紅葉。


こちらは更に色づきが不調な気がしますが、眺めること、しばし。


多くの人がすぐ前へ行き、すぐ後ろに下がるので、前の方でも眺めること、しばし。


気を使ってるのでは多分なく、自然に下がるので、前の方でも眺めること、しばし。


で、確かに後ろへ下がると、人越しでもやっぱり綺麗に決まるなと思うこと、しばし。


で、帰り際に庭で眺めた、もはや紅葉もひったくれもない、緑樹。


そして、吉祥紅葉が結局どの紅葉だったのかわからないまま、退散。


勝林寺を退出した時間は、18:40くらい。周辺はもちろん、来た時よりも更に真っ暗です。
しかし一応、通天橋に寄ってみることにします。秋の東福寺といえばやっぱり、通天橋ですからね。
それに、勝林寺の客数から考えると、来る時に辺りを歩いてた輩は勝林寺目当てではありえません。
きっと、 「一応行ってみる」 派なんでしょう。ひょっとしたら、闇の中で大混雑状態になってたりして。


ネタ狙いの黒い期待を抱きながら着くと、通天橋はそんな期待を遙かに凌ぐ勢いで、漆黒。
有料タイムが終わり、近所の学校の子が自転車で通るのみの、通天橋。無論、客は全然いません。
いや、正確には、数人やって来ました。が、彼等も闇の中に何かを見ようとした後、帰って行きました。
私も、貸切状態の闇の中で何とか紅葉を見いだそうと試みましたが、やはり何も見えませんでした。

客層は、観光客がメインで、20代から30代が多い感じ。
やや若者が多い印象がありますが、無茶苦茶に多いわけではなく、
雰囲気も特に落ち着いた感じでもなければ、逆に喧しいというわけでもないというか。
カップルは、そこそこいます。が、他の層もそこそこいます。プレッシャーは、まあまあでしょう。
全体の客数は、さほど多くありません。が、程良く回転しており、客が途切れることはなし。
子供が妙に多いですが、これは体操服姿の研修系だったので、多分イレギュラー。
単独は、男女とも若めでごく普通の観光客でありました。

そんな東福寺塔頭・毘沙門堂勝林寺の、紅葉。
好きな人と観たら、より毘沙門なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、毘沙門です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:微
子供:3
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:1
単身女性:1
単身男性:1
【ひとりに向いてる度】
★★★
客層的には、可もなく不可もないという感じ。
プレッシャーは多分ないが、狭い為、運が悪いとしんどいかも。
紅葉自体は、まあまあ。庭&ライトアップは、少しセンスが良い。
が、正直いって拝観料600円は、微妙に高価いと思う。

【条件】
金曜+紅葉ぼちぼち 17:40~18:50


毘沙門堂勝林寺
京都市東山区本町15丁目795
通常非公開

JR奈良線 or 京阪電車
東福寺駅下車 徒歩約10分
京都市バス 東福寺下車 徒歩約6分
 

毘沙門堂勝林寺 – 公式

毘沙門堂勝林寺 – 京都観光Navi