イタリア割烹スコルピオーネ吉右で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2017年5月26日(金)


スコルピオーネ吉右で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。 

当サイトでは、ある種の隠れテーマとして、 「境界」 と向き合い続けてきました。
「境界祭」 と再定義したクリスマスに 「境界」 的なるスポットにて宿泊を敢行する企画を筆頭に、
ヤラレ芸の如き表の顔の下で、アカデミックとさえ言い得る崇高な探求を続けてきたのでした。
そんな当サイトが、新たな特攻先と見込んだ 「境界」 があります。それが、際コーポレーションです。
際コーポレーション。知ってる方は、御存知でしょう。でも知らない方は、御存知ではないでしょう。
東京・福生の韮菜饅頭店から事業を始め、わかりやすくお洒落なプロデュースによって人気を獲得し、
21世紀以降は料理ジャンルを問わず大量出店を行って大成長を果たした、飲食店グループです。
京都に於いても、 『柚子屋旅館』 『祇をん豆寅』 など、有名店となった店舗を立て続けに出店。
何なら 「これこそが京都の象徴」 と思い込むトンチキな輩が発生しかねない勢いを誇ると同時に、
ある意味、わかりやすい表象の乱開発が続く現代の京都を象徴し得る存在にもなってるわけです。
この際コーポレーションを、新たな 「境界」 と見込んだ理由は、 「際」 なる名前そのもの。
不思議なインパクトを放つこの 「際」 という一文字、東洋と西洋の 「際」 を示してるんだとか。
「東洋と西洋の両方が出会う文化が、東京にある」 という考えから、命名されたんだとか。
実に 「境界」 的です。 「京都に全然関係ないだろ」 という言いがかりを越え、実に 「境界」 的です。
と、高踏にして深遠なるこうした判断に基づき、当サイトは今回、 「象徴」 への特攻を決めました。
赴いたのは、イタリアと日本の 「際」 な店名を誇る、イタリア割烹スコルピオーネ吉右の、昼床。
鴨川の 「際」 の、わかりやすく 「象徴」 な店のわかりやすく 「象徴」 な床に、忍び込んだわけです。
無論この特攻は、 「こんなの京都じゃない」 といった稚拙極まる揚げ足取りなどでは、あり得ません。
氾濫した表象がミノフスキー粒子と化し、ポスト・トゥルースが残念な天然のテーゼとなり果てた今、
表象と実体の 「際」 にこそ立ち現れる 「真実」 を見極めるべく、有視界戦闘に臨んだのであります。
そう、これは新たな挑戦なのです。当サイトが、当サイトであるために必要な、挑戦なのです。
決して、椅子床の記事に客が本当によく来るので、またダメ押しで行ったわけではありません。
断じて、実は単に一度は行ってみたくて、単に行ってみたわけでもありません。


で、単に行ってみようと思って鴨川床ゾーンへやって来た、13時。先週も来たんですけどね。
吉右の昼LOは14時半らしいので、今週は北側の二条の辺から散策しながら、向かおうと思います。
鴨川の川原は、妙に若者が多し。先週は外人が妙に多かったですが、今週は制服の子が妙に多し。
木屋町通へ入ると、観光客は少なめ。で、6月から床を始める店の準備なのか、業者が妙に多し。


夜はひとり客OKになったという幾松を、昼&そもそも金ないのでスルーし、木屋町通を南下。
三条通近くまで南下すると、流石に観光客の姿が増えてきました。中国人客の団体も、ぐっと増加。
といっても中国人団体、バブルな奴等というより、二昔前の日本の老人観光団体みたいなのが多め。
表象の乱開発はやはりベタ化&陳腐化を呼ぶなとか思いながら、新緑の横を通って、三条通へ。


三条通から先斗町へ入ると、歌舞練場は撤収作業中。をどり、おとつい終わったんですよね。
昼の先斗町、鴨川をどり開催中だった先週と比べても、人の流れにさほどの変化はないと感じます。
中国人やアジア系の客の姿は、やはり減った感じ。で、日本人と西洋系が、ポツポツ歩いている感じ。
前に特攻した佐曽羅EASTは、ステーキランチとかを出すようになってました。値段は無論、高価し。


先斗町を抜けて四条通を渡り、こちらも先週と様子が同じな西石垣通のエロゾーンを南下。
和食の名店と共に並ぶエロの名店から、 「どうですか」 と何度も声を掛けられるも、華麗にスルー。
このエロもまた運河が持つ 「境界」 性ゆえ生じたものかとか思いながら、元運河・高瀬川の横を歩き、
「回転式団地型」 が如何なる型かまた悩んでる内に、バーン・リムナーム前も通り過ぎ、団栗橋へ。


で、団栗橋の南側の袂に建つスコルピオーネ吉右に、到着であります。お洒落であります。
品があるけど、でもどこかにチャラさも漂う、何ともわかりやすくお洒落なテイストの外観であります。
時間は、14時10分。先週見た際は満員だったけど、LO直前なら席あるだろ。などと思いながら、入店。
「ひとりですけど、床、行けますか」 と店員さんに訊いたら、15時閉店を確認した上で通されました。


グループ客がよく入ってる屋内を抜けて案内されたのは、ほぼ満員状態な床の、2人掛け席。
席の場所は、川側の真ん中。団栗橋が、よく見えます。席のピッチは、イカリヤ食堂よりは広めです。
渡されたメニューには、5000円ちょいのAコースと、2500円のBコースあり。無論、Bコースを頼みます。
選べるパスタとメインは、パスタはトマトソースの何ちゃら、メインは淡路の鱧のフリットをオーダー。


あと、ジンジャーエール辛口も、追加オーダー。ひとり席料のつもりのオーダーでもあります。
これだけでも、気まずさは案外減るもんなんですよ。あ、ここの床は、昼の席料はなしだそうですよ。
余りにも歩き慣れた団栗橋を、普段と全然違う視点&シチュエーションで見ながら、飲むこと、しばし。
ジンジャーエール、味は普通。ですが、お洒落な床で飲むと、何故かチャラい飲み物に思えました。


などと幻惑されてる内に来た、前菜。テリーヌと野菜を、マスタードっぽいソースで。


続いて運ばれて来た、ごくごく普通のパン。前菜の残りのマスタードっぽいソースで。


パンをがっついてる間に眺めた、団体が帰った後の隣のテーブル。鴨川を添えて。


隣のテーブルに鴨川を添える内に、来ましたよ、パスタ。茄子と何かのトマトソースで。


パンのおかわりを勧められたので、また食う、パン。パスタの残りのトマトソースで。


パンのおかわりをまた勧められたので、またまた食う、パン。パスタの皿の残り香で。


出ました、メインの鱧天、ではなくて鱧と野菜のフリット。何かの味がするソースで。


〆は、カフェ。デザートは、プリンの固いのにアイスが乗った何か。何ちゃらを添えて。


ドリンクは、エスプレッソをチョイス。袋はお洒落なシュガーを添えて。以上、Bコース、おしまい。
料理、味の方は正直、ジンジャーエールとデザートが、美味し。私には、油が少し濃かったかもです。
その割にパンをおかわりしまくり、ソースも食い切ったんですが。あ、野菜は割と良かったと思います。
とか思ってる内に、時間は15時。で、席料はやはりなしの3200円強で勘定を済ませ、退床&退店。


あれで3200円強は、まあ、安い。ただ、そうでもない感も、なくはなし。この感じ、何なんでしょうね。
いわば安価と高価の 「際」 を見たような気になりながら、食後の散歩としてしばし鴨川を徘徊します。
15時過ぎの鴨川の川原は、先刻と変わらず、若者が妙に多し。あと、こちらは妙ではなくて、鳥も多し。
ちもとかどっかの店が床の工事をしてるのを、おっさんから不審に思われながら眺めること、しばし。


火事になった先斗町の店が、川側から資材入れて工事してるのも眺めたりしながら、また北上。
結局、散策を始めた二条の辺まで歩き続けてしまいました。5月の鴨川は、気候も良くて、実に快適。
春と夏の 「境界」 、あるいは 「際」 でのみ生まれる、魔力。そんなものに、幻惑された感じでしょうか。
「境界」 でのみ開く昼床は、あるいは 「際」 と魔境的に相性良いのかも、とか思いながら、帰路へ。

この日のスコルピオーネ吉右、川床にいた客は、
老人男性グループ、学生カップル風、中年カップル風、よくわからん若い奴、そして私。
屋内の席は、30代~40代の主婦グループ数組がいて、賑わってる感じでした。
で、床も屋内もほぼ全員が、地元 or 近隣系。で、近隣系が多め。で、観光系はほぼ居らず。
今日が偶々、こんな感じなんでしょうか。あるいは常に、こんな感じなんでしょうか。
常にこんな感じなら、それはそれで何か、興味深いものがありますね。

そんなスコルピオーネ吉右の、昼床。
好きな人と行ったら、より際コーポレーションなんでしょう。
でも、ひとりで行っても、際コーポレーションです。


【ひとりに向いてる度】
★★★
CPは、まあまあ。
昼は割安な価格設定だが、それでも、まあまあ。
アウェー感の方も、やっぱり、まあまあ。
席のピッチは、やや広めにとってあるので、
よほど運が悪くない限り、地獄は見ないと思う。

【条件】
平日金曜 14:10~15:00
 
 
スコルピオーネ吉右
京都市下京区斉藤町140-18
11:30~15:00 17:30~22:00

京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩約5分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩約5分

スコルピオーネ吉右 京都 – 際コーポレーション