割烹たん義で、はも丼と鴨万寿を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2017年7月6日(木)


割烹たん義で、はも丼と鴨万寿を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

『ひとりでうろつく京都』 の夏の企画 『ひとりで食べる鱧』 、めでたく復活です。
京都ベタスポットへの特攻をサイトの趣旨とするなら、ベタグルメもまた取り組むべきだと考え、
サイト開設当初は、身銭を切った積極的かつ果敢な特攻を繰り広げていた、 『ひとりで食べる鱧』 。
しかし、いくらその意図が崇高であっても、鱧を食うにはやはりそれなりに元手が掛かるのであり、
それを見越してリーズナブルな店・時期・時間を狙っても、それでもやはりそれなりに掛かるのであり、
開始早々に予算爆発で撤退を決定し、以後は川床特攻などの際に嗜む程度となってたのでした。
いや、何というか、鱧ネタといえども正直に言えば、単発の出費自体は、それほど痛くはありません。
「5000円」 と枠も設定してたし。当サイトには、宿泊や鍋など、より身銭を切るネタもありますし。
ただ、鱧ネタみたいに 「美味いもんを食う」 ことに特化したネタって、食の連鎖反応を生むんですよね。
ネタ採取の時以外でも、高価くて美味いものを思わず連鎖的に食いたくなってしまうんですよね。
我慢も出来なくはないですが、我慢したらしたで、何か凄く、淋しい気持ちになってしまうんですよね。
見てる側からすると 「知るか」 という話ですが、こういう事情もあり、鱧ネタを長く日和ってました。
しかし、やはりこれでは、いけない。サイトの趣旨的に、いけない。何より、アクセス数的に、いけない。
というわけで 『ひとりで食べる鱧』 、復活です。しばらく、連続的にやる予定です。よろしくです。
ただ、もちろん予算の方は依然として緊縮財政が続いてるので、以前の 「5000円」 枠を更に、緊縮。
「3000円プラマイ500円」 程度で、何とか鱧に辿り着き、そして京都の夏を味わおうかと思います。
で、今回赴いたのは、祇園北の割烹たん義です。祇園とは、あの祇園です。割烹とは、あの割烹です。
巽橋を始め祇園なる風情がこれでもかと溢れまくる祇園新橋、そのすぐ北にあるのが、たん義。
そんな店行ったら、3000円どころかその十倍以上掛かりそうな気がしますが、これが違うんですよ。
こちらのお店、夏の昼間は、鱧をたっぷり載せたはも丼を2000円台で出してくれるんですよね。
なので、出掛けてみました。で、名物という鴨万寿も一緒に、食べてみました。


たん義があるのは、祇園の北縁・新門前通沿い。なので、最寄駅は無論、京阪・祇園四条駅
四条駅を出たら、工事中の南座を横目で見つつ、割と混んでる四条通の歩道を少し東へ進みます。
まだ祇園祭が本格化してない時期ですが、混雑度は中々。というか、常時混んではいるんですけど。
客の大半は、中国人。何かもう、中国人が多いというより、自分が中国に来てるみたいな気分です。


大黒藥妝店祇園四条店が立つ角を北折し、合利他命の宣伝を横目で見つつ、縄手通へ進入。
自分が中国に来てるみたいな気分です。といっても私、よく寄るんですけどね、この店。駅に近いし。
「ハイカユミール安くしろ」 と生活感溢れることを思いながら更に歩き、生活感が全くない白川南通へ。
まあ、祇園であります。四条通と同じ混雑になってるかと思ったら、案外そうでもないみたいですね。


割と空いてる白川南通を進み、巽橋から風情溢れる光景を見てみたり。まあ、祇園であります。
観光客、いないということは無論ありません。それなりに歩いてて、ベタな団体と出くわすことも多し。
単に暑さのせいでしょうか。あるいは、やはり四条通の歩道が異常レベルで狭いだけなんでしょうか。
沿道には、七夕飾りを出す店もあり。寄ってみたいですね。でも、今日の目的はあくまでも、鱧です。


あじさいを咲かせてる店もあり。寄ってみたいですね。でも、今日の目的はあくまでも、鱧です。
ので、ぼちぼち新門前通へ向かいます。新門前通は、白川南通&新橋通の北で、骨董店が多い通。
ので、道を変えるんですが、両通の合流点・辰巳大明神の傍には、北へ抜ける間道があるんですよ。
お茶屋・政の屋の横からその間道へ入って、絵に描いたような隠れ家的なる店もスルーして、北へ。


で、間道を抜けたすぐ先にあるのが、割烹たん義。祇園祭・東御座の御神酒が、光りますね。
はも丼人気で行列が出来てたら速攻で逃げようとか思ってたんですが、どうやら大丈夫なようです。
戸を開けて 「ひとりなんですけど大丈夫ですか」 と訊いたら、若旦那らしき人が 「はも丼ですか」 と。
無論そのつもりで来たので、 「ですけど」 と答えると、 「どうぞ」 と。で、よかったよかったと、中へ。


はも丼人気で席がキツいとどうしよう、とも思ってたんですが、カウンターの店内に先客はなし。
奥の席へゆったり座り、茶を飲みながらメニューなどを眺め、鱧が焼き上がるのを待つこと、しばし。
で、そのメニューに、公式サイト「おすすめ」 欄ではも丼と一緒に推されてた鴨万寿が出てました。
食ってみたかったんですよ、これ。ので、出来るかどうか訊ねたら大丈夫というので、こちらも注文。


で、やって来ました、はも丼。そう、こちらのはも丼は、焼いた鱧を刻んで乗せた丼。
鱧、かなりの量。公式サイトの動画では、丸一匹分を乗せてました。贅沢な逸品であります。


焼き鱧、火の通り加減はオーソドックス路線。タレも、甘辛系のオーソドックス路線。
刻みはひつまぶしよりも細かめですが、無論、仄かに残る骨感も含めて鱧の食感は、上々。


はも丼には、吸い物と香の物も付いてきます。で、この吸い物がやはり、割烹の味。
和食としてはオーソドックスな出汁ですが、 「いい店で飯食ってる」 感、凄く感じる出汁です。


そんな吸い物と共に食うはも丼は、やはり単なる 「丼」 を超えた、割烹の味な感じ。
といっても、飯にもしっかりタレが沁みこんでる辺りは、胃の中の少年を刺激してくれました。


はも丼をそんな感じで有難く平らげた頃に、 「板長の逸品」 とされる鴨万寿が登場。
鴨万寿は、鴨肉が入ったつくね芋の饅頭を、あんかけにしたというもの。さあ、開けよ開けよ。


で、フタを開けたら、生姜も乗ってて、実に美味そう。で、実際に食うと、これが実際に美味い。
もっちり饅頭+とろとろ餡の中で、鴨肉ミンチとおかきが鋭いアクセントを放つという。特に、おかき。
これまた、割烹の味です。で、そんな逸品を、昼間にひとりスプーンで食うことから来る、謎の至福感。
何か、得したような気分にさえなれましたよ。で、食い終われば、勘定。確か、3200円ちょっとでした。


予算枠を守れたことも喜びながら退店し、店前で入店を迷う修学旅行生の間を抜け、間道へ。
この場所で鱧であの額なら、修学旅行生、確かに来るわな。のんびり食えたのは、僥倖だったかも。
とか思いながら、再び 「この場所」 の典型たる南白川通へ。帰りも、少しベタ風情を拝んで行きます。
白川、鴨ならぬ鷺の姿あり。実に、風流ですね。餌として金魚が流れてると、より風流なんですけど。


そんな風流な鷺には、風流な中国人団体が見物客としてへばりつき中。実に、風流ですね。
先述通り、祇園新橋、観光客はそれなりに歩いてて、こんな感じのベタな団体と出くわすことも多し。
今日の私はやはり、運が良かったんでしょう。ひょっとしたら、辰巳大明神の御加護かも知れません。
なら、礼言っとくか。と、ネクサスに入った結婚式屋が撮影してる隙にさっと参拝し、帰りましたとさ。

という感じで、渋い味わいを満喫できた割烹たん義でありました。
ベタ観光地で美味くてリーズナブルな名物を落ち着いて食えた、という点では、
ひとりに向いてる度は、★★★★★、あるいはもう★★★★★★と、言いたい所です。
ただ先述通り、この場所で鱧であの額でだと、いつ人が押し寄せて来てもおかしくありません。
大混雑に巻き込まれる可能性・確率を考慮すると、★★★★くらいかな、と。
当日、現場で様子を見てから行くというのも、いいかも知れません。

そんな割烹たん義の、はも丼。
好きな人と食べたら、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、京都の夏の風物詩です。


 
【ひとりに向いてる度】
★★★★
タイミングが良ければ、ほぼ至福に近い。
が、場所が場所ゆえ、至福の確率は保証不能。
行ったなら、鴨万寿も是非食べておこう。

【条件】
平日木曜 13:00~14:00
 

割烹たん義
京都市東山区新門前通花見小路西入ル
12:00~14:00 17:00~21:30 日祝定休

京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩約7分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩約10分
 
京都の日本料理店 たん義 – 公式