松尾大社の山吹まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年4月17日(日)

手水舎の亀
松尾大社の山吹まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

松尾大社。
不腐の霊泉を持つ酒造りの神様として、全国の酒造業者から信仰を集める神社です。
また、春に行われる神幸祭では、神輿を船に乗せて川を渡るというワイルドな渡御でも、有名。
あと、シンボルが、亀。「酒」に「船」に「神輿」に「亀」。実に「男」な感じの神様であります。
しかし松尾大社、平安の頃はもうちょっと雅な感じの神社だったそうです。
現在は氏子さん大活躍の松尾祭も、元々は勅祭。延喜式に従い、荘厳に執り行われていたとか。
今とは別の形で栄えてた時代があったというわけであります。
で、そんな雅な時代の松尾大社と、それ以前の太古の松尾大社を、庭によって表現してるのが、
昭和を代表する造園家・重森三玲の作庭による「昭和の名庭」こと、松風苑。
伝統を重んじつつ永遠のモダンを目指した三玲が、神の領域へ近づこうと心血を注ぎ、
注ぎ過ぎて病を得て、神の怒りを買ったとか言いながら没したことで絶作となった庭であります。
で、そんな物凄い感じの庭を、年に一度、2日間だけライトアップして見せてくれるのが、
もう一つの松尾大社名物である山吹を讃えた、山吹まつりなのであります。

楼門
当然閉まってるお酒の資料館や茶店の前を通り過ぎ、闇夜の中、堂々と参拝客を待ち受ける楼門へ。
和様系の古式に徹した、二階建ての楼門造り。江戸時代の造営であります。
ここで拝観料500円を払い、境内へ入ります。普段は境内無料、庭園拝観料が500円です。

山吹山吹の説明板
楼門をくぐってすぐのところを流れる、一ノ井川。その川沿いに咲く、三千株の山吹。
ありがたい説明板つき。山吹、咲き加減はもうひとつというところでしょうか。
あ、山吹まつりはライトアップのある2日間だけでなく、4月中旬から5月初頭までやってますよ。

手水舎の亀、正面
手水舎の亀。黒光りするビジュアルが、とっても素敵・・・。
松尾大神は、亀に乗ってこの地に鎮座されたそうです。乗ってきた亀は、今の亀山になったそうです。
さらに保津川を上り、丹波を視察する時は、急流では鯉に乗り、緩流では亀に乗ったそうです。
松尾大社所蔵文書「亀指令」にそう書いてあるそうです。

両流造の本殿神輿庫の酒だるま
庭園へ入る前に、本殿でお参りを済ませます。ここと広島の厳島神社しかない、両流造の重文。
神輿庫には酒の神様ならでは、全国の酒造家から寄進された酒だるまが山と積まれてます。

社務所の廊下庭へおりてはいけません
庭園へは、社務所の玄関を通り、建物の中を通っていきます。
多くの建物が昭和中頃に再建 or 手を入れたらしく、庭のみならず全体的にどことなく、昭和。

亀の井
また亀。この水を混ぜると、霊力により避けが腐らないと言われ、醸造家が好んで持ち帰るとか。
迫力のある亀の表情に、強い霊力が感じられるというものです。

曲水の庭
で、いよいよ昭和の名庭です。社務所から宝物館に通じる回廊から眺めた、曲水の庭。
松尾大社が最も栄えた平安期を表現すべく、奈良・平安期の曲水庭園に現代的解釈を加えたもの。
何故か横から見てますが、この眺めだと異常なくらい昭和テイストが強調されて、私は好きです。

上古の庭
上古の庭。あるいは磐座の庭。松尾山中の磐座にちなんだものです。
熊笹の上に17トン以上もある徳島・吉野川の青石を勢いよく据え、太古の信仰を表現してます。
「一種のインスピレーションがはたらくことによって、一部の隙もない角度で組まれていったのである」
とは、三玲のお言葉。隙が無さ過ぎるのか、うまく写真に撮れません・・・。

即興の庭
曲水の庭の背後、宝物館と葵殿の間にある、即興の庭。これはいわば、おまけ。
当初の設計にはなく、正に即興で作られたという枯山水の庭。、妙に写真映えする庭です。
「神の存在に接近することを念願しつつ、神としての感覚のひらめきのみが必要である」
と、また三玲のお言葉。大丈夫かよ・・・。

宝物館
庭の奥にある宝物館も、拝観可能。もちろん、寄って行きます。
自動ドアが開くこれまた昭和な建物の中で、平安初期の男神像2体と女神像1体などを拝見。
自動音声の解説もやはり昭和なテイストで、ありがたく拝聴いたしました。

一ノ井川をまたぐ回廊
宝物館を出て一旦社務所の中を引き返し、一ノ井川をまたぐ回廊を渡り、蓬莱の庭に面した客殿へ。
係員の方々、最初は極めて丁寧に説明案内してくれてましたが、
クローズ時間が近づくにつれ、ちょっとずつ「早よ帰れ」的なオーラを分泌。
気のせいでしょうか。あるいは、飲み会の予定でも入ってたんでしょうか。

一の井川と水車
廊下から、改めて山吹が咲き誇ってたかも知れない一の井川を、水車とともに拝見。
やっぱり、どうにもこうにも早過ぎましたね。

客殿から見た蓬莱の庭
酒ラベルのコレクションが展示されてる客殿から、鎌倉風をイメージしたという蓬莱の庭を拝見。
岩間から噴出した水が注ぐ鶴形の池、その中にある神仙島が、蓬莱神仙の世界を表現してるとか。
蓬莱の庭は三玲が構成図を書き終えた時点で他界したため、長男完途氏が完成させてます。

蓬莱の庭
ライトアップされた神仙なる岩々。照明、刻々と変化しますが、おかげで写真撮りにくいです。
BGMが、和風ファミレスのミューザックみたいなのも、謎。尺八は非常に良かったですが。
以上であります。
 
客層をどうこういうほど、人、いません。
写真が趣味らしいカップル、不細工なほんわかカップル、単独妙齢女性、地元の家族連れ、
おしゃれなんだか頭がおかしいのかよくわからない挙動不審の若年単独男、以上のラインナップ。
人が少ないので、雰囲気もプレッシャーもひったくれもありません。
いずれの庭園もライトアップは地味ですが、
境内各所の亀に普段見えない不気味さが楽しめるのは、楽しいんじゃないかと。

そんな松尾大社の山吹まつり、春のライトアップ。
好きな人と行ったら、より亀なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、亀です。

松尾大社のはめ込み
【ひとりに向いてる度】 (客層表記について)
★★★★
特に問題なし

【条件】
日曜 19:15~20:45

松尾大社
京都市西京区嵐山宮町3
通常拝観 5:00~18:00
山吹まつりライトアップ 18時~21時
阪急嵐山線 松尾駅下車 徒歩約1分
京都市バス 京都バス 松尾大社前下車
徒歩約1分

公式 松尾大社

Wikipedia 松尾大社