下鴨神社の御手洗祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年7月21日(木)


下鴨神社の御手洗祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

御手洗池。
「おてあらいいけ」とは読みません。「みたらしいけ」です。一応。
世界遺産・下鴨神社の奥の方にある、名前の通りにもっぱらお清めを本業とする聖水です。
雛祭の雛飾りを流す禊や、葵祭の斎王代が行なう禊など、メジャーな神事でも名高いですが、
「みたらし」と聞いて誰もが思い浮かべる「みたらし団子」の発祥の地でもあります。
土用の丑の頃になるとこの池、地下から溢れ出す水の量が増えて、水泡を発生させるそうです。
その泡を模して、ちっちゃい団子が連なる「みたらし団子」は生まれたんだとか。
いや、本当です。多分、本当です。加茂みたらし茶屋がそう言ってるんだから、きっと本当です。
その土用の丑の日を中心にして開かれる御手洗祭は、
御手洗池の前に鎮座して、お祓いの神様である瀬織津比売命を祀る末社・井上社の、例祭。
読んで字の如く手を洗いまくる祭り、ではありません。足を洗いまくる祭りです。
ちょっと前の蛍茶会では蛍つかみ取り大会が発生してた御手洗池へ、今夜は人間を大放流。
善男善女が聖水に足を浸し、悪いところを水に流すわけであります。別名、足つけ神事。
平安貴族の清めの行事に由来する、いわゆる「千年の時を越え」た神事ですが、
どっちかといえば「千年の時を越え」て盆地の蒸し暑さに苦しむ京の民が、
「暑いから水につかりたい」と思ったのが由来じゃないかとも思える、結構庶民的な神事です。
率直なニーズに応えてる分、現代でも参拝者は多数。
神社側も、土用の丑の日を中心にした4日間、昼夜を問わず参拝に対応してます。
で、その初日の夜に、私も水につかりに行きました。


20時の二の鳥居前。夜店、多いです。
下鴨神社の屋台といえば、白テントで老舗が出店してるイメージがあったんですが、
今夜はびっくりするくらい庶民テイストが溢れてます。


しかしここはしっかり顔を出してた、加茂みたらし茶屋のみたらし団子テント。
いや、今夜は御手洗祭なので、みたらし団子は必須とも言えます。
20メートルくらい続く行列が出来てました。しかも全員、地元風。みたらし団子、おそるべし。


あと、下鴨神社の祭でよく見かける植木屋さんの出店なども眺めつつ、楼門へ。
提灯ライトアップがキレイですね。


本殿へのお参りもそこそこに、さっそく足つけ神事へ。
橋殿のあたりに特設テントが建てられ、受付に加えて靴脱ぎ場みたいなのが設営されてます。
聖水に入るんですから、当然土足厳禁、裸足にならないといけません。


ロープで仕切られた誘導路を通り、ボーイスカウトの子に靴袋をもらい、靴脱ぎ場で裸足化。
入り口で200円払い、献火用の小さなローソクをもらって、足つけゾーンへ進入です。


太鼓橋の下に作られたスロープを降りて、神聖なる水の中へ。水、冷たっ。
水面、結構高いです。膝くらいのところまで、来ます。短パン必須。
私は慌ててジーパンロールアップで特攻しましたが、かなり撃沈しました・・・。


川のほとりに設置された蝋燭から火をもらい、御手洗社前の献火台へ向かいます。
それにしても水、本当に冷たいです。「痛いっ」という女の子の声があちこちから聞こえるくらい。
現在はポンプで地下水を汲んでるそうですが、それでよけいに冷たいんでしょうか。


献火でございます。私も聖なる気持ちで献じさせていただきました。
蝋燭を挿してた棒は、焼き鳥の串の要領で右下の筒へ入れます。聖水へ捨ててはなりません。


御手洗ならぬ御足洗を行なう御手洗池の、御芋洗な状態。
あ、左の方にちらっと見えてるのが、瀬織津比売命を祀る末社・井上社でございます。


納涼を通り越した冷たさなので、皆さん、ケガレを落としたらとっとと池から上がります。
池横の足拭き+着靴スペースは、もの凄く雑然とした雰囲気。
「冷たいっ」「座るとこないっ」「足臭いっ」などの声が飛び交う、ちょっとした修羅場です。


水風呂に入ったあとのようなジワっとした涼しさを感じながら、振り返った着靴所の後。
志納制で神水がふるまわれてます。ペットボトル持参の人もどんとこいとアナウンスされてました。
名水フェチの方は、どうぞ。私も100円置いて、一杯頂きました。


で、還ります。帰りの参道で見かけた、大衆遊技場。
他にも、タコ焼き・イカ焼き・前田のベビーカステラはもちろん、金魚すくい・射的・スマートボールなど、
実にオーソドックスで庶民的で「お祭り」なラインナップ。蛍の茶会の時とは大違いです。

客層は、圧倒的に家族連れがメイン。
それも、小さな子供を連れた若いファミリーが非常に多いです。
カップル率は、案外、まあまあ。少なくはないですが、恋愛ハイだらけという感じではありません。
観光テイストは限りなく低く、ほぼ完全に地元モード。
地元過ぎるというか、蛍の茶会の時には影も形もなかったようなDQNなんかもいたりして。
とは言え、馬鹿騒ぎの祭ノリとは遠く、穏やかにネイティブな神事を楽しむことができるでしょう。
ひとり者は、非常に少ないです。男女とも、カメラマンがちょっといるくらい。
カメラも持たずにこんなとこに来る独男は、あんまりいません。

そんな下鴨神社の御手洗祭。
好きな人と行けば、より御手洗なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、御手洗です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:若干
修学旅行生:1
中高年夫婦:若干
中高年女性グループ:0
中高年団体 or グループ:5
 (ほとんどが小さい子供を連れた家族連れ)
単身女性:微量
 (おひとりさまではない、カメラマンが微量)
単身男性:若干 (カメラマンと変人)

【ひとりに向いてる度】
★★
色気のプレッシャーは希薄だが、
家族連れが多いため、
別種のアウェー感は否めない。

【条件】
木曜 20:00~21:15

下鴨神社
京都市左京区下鴨泉川町
京阪電車&叡山電鉄 出町柳駅下車 徒歩12分
京都市バス 下鴨神社前 下車5分

下鴨神社 公式 世界遺産 下鴨神社
Wikipedia 賀茂御祖神社