祇園祭の花傘巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年7月24日(日)


祇園祭の花傘巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

花傘巡行。山鉾巡行の「あとのまつり」の名残ともいえる神事です。
かつて山鉾巡行は、「さきのまつり」と「あとのまつり」の2回、行われてました。
「さきのまつり」は17日、神幸祭の露払いとして。「あとのまつりは24日、還幸祭の露払いとして。
山鉾が神輿に代って祇園祭の主役になってからも、本来の意義を失うことなく続いてたわけです。
その伝統に変化が起こったのが、昭和の中頃。マイカーが走るようになる高度成長期の頃。
市内交通が麻痺する日を一日でも減らしたい、ついでに観光客を集中的に呼び込みたい、
京都市はそんな思惑を抱き、「さきのまつり」と「あとのまつり」の統合、合同巡行を提案。
祇園祭の神事としての側面により重きを置く八坂神社は、この案に反対しましたが、
実際に巡行を担う山鉾町からは「2週もやってたら、商売やりにくてかなわんわ」という声も多く、
昭和41年、山鉾巡行は17日に一本化。千年以上続いた「あとのまつり」は、途絶しました。
「あとのまつり」の意義を遺したい神社側は、24日に何らかの神事を行なうことを発案。
どうせならと山鉾の原型・花傘を復活させ、各種芸能行事も盛り込み、花傘巡行はスタートしました。
巨大な鉾などは出ませんが、織物業者や花街がメインで参加するため、行列の華やかさは随一。
巫女さんのような神饌行列、芸舞妓はん、鷺踊、万灯踊、そして「きものの女王」に花傘娘と、
ほとんど女人禁制の山鉾巡行とは対照的に、女性が大量動員される神事なのであります。


巡行は、朝10時スタート。写真は、定刻通りに出発する行列を西楼門から望むの図。
紅袴の神饌行列が、四条通へ進入。この後ろに神饌花車、祇園太鼓、花傘や稚児が続きます。
バッキバキに人いっぱいに見えますが、当然ながら、山鉾巡行ほどの混雑ではありません。


行列は、賑やかに音曲を奏でながら四条通を西進します。
四条大橋を渡る行列を、団栗橋から望む。花傘などが進んでるのが、見えるでしょうか。
釣りのおじさんが行列に全く関心を示さないのが、印象的でした。


四条河原町の交差点へ突入する織商の花傘、そして「きものの女王」を乗せた織商鉾。
織商とは、京都織物卸商業組合のこと。山鉾巡行の一本化に賛成したとかしないとか。
「きものの女王」は、その織商主催のミスコン。織商自慢の装束を身にまとって参加します。


行列は四条河原町で右折、河原町通を北上します。
写真は、「パチンコ打ちたい」と思ってるかは知りませんが、とにかくパチ屋の前で佇む馬、
そしてその馬に乗る八坂神社清々講社馬長、八坂神社婦人会馬長、祇園万灯会馬長。


ちなみにこの日は、朝のうちこそ寒いとさえ思える天気でしたが、10時をまわると猛烈に夏化。
「暑い!水くれえ!!」と、獅子舞さんも給水所に噛み付きそうな勢いです。


猛暑の中、淡々と演奏を続ける祇園囃子。今年の担当は、放下鉾。毎年、交代です。
山鉾巡行の時はまともな歩行も無理だった河原町通の歩道ですが、この日は楽に移動が可能。
もちろん人は多いですけどね。でも、いい感じの賑わいです。


行列は河原町御池で、左折。ちょっと西進してから、また左折。寺町通へ入ります。
子供神輿、花傘巡行旗に続いて現れる、神饌行列。暑い中、怒涛の重ね着であります。


織商鉾、ふたたび。クリアランスSALEが気になるらしい「きものの女王」。
ちなみに織商鉾の前は、「京都プリンセス」に選ばれた娘さんたちが、着物を着て普通に歩いてます。
名づけて「花傘娘」。八坂神社宮司の命名だそうです。そのままやん。


万灯踊の女の子たち、鷺踊の女の子たち、そして花傘で溢れかえる寺町通。
混雑してるように見えますが、たぶん見てる人より出てる人の方が多いと思います。
見物人も近所の人が多目で、華やかさと穏やかさが同居した、いい空気です。


Mr.アサヌマ入り口階段の前で、じっと信号待ちしてはる、祇園東の小町踊花傘。
芸舞妓さんたちは隔年で花傘巡行に参加。今年は、祇園東と先斗町。来年は、甲部と宮川町。


寺町通から四条通に出て、御旅所の前を通った行列は、まっすぐ八坂神社へ帰ります。
写真は、横断の時にはやっぱり羽根を広げる白鷺さんたち。


行列は、西楼門ではなく南楼門から境内へ入ります。
花傘があるからかと思いきや、花傘は鳥居前で巡行終了。儀礼的なもんでしょうか。
写真は、先斗町の花傘と、横断の時にはやっぱり羽根を広げる白鷺さんたち。


巡行から帰ってきたら、今度は舞殿にて芸能奉納が始まります。
もちろん、カメラマンは一気に増加。まずは、祇園太鼓。


獅子舞。


久世六斎。


先斗町の芸舞妓はんたちによる歌舞伎舞踊。


祇園東の芸舞妓はんたちによる小町踊。


祇園万灯会の子供達による鷺踊。


同じく、祇園万灯会の子供達による万灯踊。
それに呼応する、カメラ踊り。いや、それは嘘です。以上であります。

客層は、烏合。
家や店の前を行列が通るのを観に来たという。あとは、たまたま通りかかった通行人や観光客。
混雑はさほどでもなし。通行の不便や人圧の肉まみれ感は、希薄です。
行列を必死で追いかけてるのは、おっさんカメラマンと変な独男くらいしかいません。
八坂神社境内は、ディープではない普通の外人の観光客率、妙に高し。
カップル・女性グループ・単独も観光系が主流ですが、観光ハイ丸出しという感じは少ないです。
祭りの規模が大きい割にテンパった感じがないのは、山鉾巡行というピークを過ぎたからでしょうか。
落ち着けるとまでは言いませんし、プレッシャーが全然ないとも言いませんが、
少なくとも宵山や山鉾巡行よりはゆったりと祭りの雰囲気を楽しむことができるでしょう。

そんな祇園祭の花傘巡行。
好きな人と行ったら、より祇園会なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、祇園会です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:1
修学旅行生:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:3
 (観光+地元の家族連れ多し)
単身女性:若干
単身男性:3
 (ほとんど全員おっさんカメラマン)

【ひとりに向いてる度】
★★★
色気や人圧のプレッシャーはさほどなく、
これといった問題はなし。
ただ、ごくごく単純に、暑い。

【条件】
日曜 10:00~13:45

八坂神社
京都市東山区祇園町北側625
参拝自由
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩5分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩10分
京都市バス 祇園下車 徒歩すぐ

公式 – 八坂神社

Wikipedia – 八坂神社