六角堂の夜の特別拝観へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年4月13日(金)


 六角堂の夜間拝観へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

六角堂。正式名称、頂法寺
下京の町衆が自治のために集った寺 = 町堂として知られる寺です。
秀吉の京都大改造&火事により、現在は中京区にある上京の町堂 = 革堂に対し、
六角堂は、聖徳太子の時代にまで遡るという創建時より 「京都のへそ」 たる中心部に位置。
平時は町組代表の集会所 or 生活文化の中核として、各種動乱の際には軍勢の集合場所として、
自治を死守するための勇ましくかったり物騒だったりする歴史が積み重ねられた寺であります。
他にも、かの親鸞参籠して 「我成玉女身被犯」 「引導生極楽」などと観音様に言われ
そのお告げが妻帯を肯定する浄土真宗誕生のきっかけになったことでも知られる、六角堂。
しかし現在は、何といっても華道家元・池坊の総本山としての顔が、有名でしょう。
境内北側にある池のほとりに住んでた坊さん = 通称 「池坊」 が、朝夕と本尊に生花を供え続け、
やってるうちにどんどん上手くなり、遂には家元になったという、池坊誕生伝説。
池坊にとっては、ここは正に、発祥の地。ゆえに、現代における六角堂存続も全面的にサポート。
サポートついでに寺の真横へビルを建て、景観的にはかなり奇妙な世界を生んでますが、
とにかく遷都でも応仁の乱でもほぼ不動の 「京都のへそ」 を、今も守り続けています。
そんな六角堂&池坊が最近になって始めたのが、春の夜の特別拝観。
名物である早咲きの枝垂桜・御幸桜と、その下に並んだやはり名物の十六羅漢像をコアに、
生花のディスプレイや池も含めて境内をライトアップ、幻想的に魅せる試みです。
街中に現れた、美しくて妙に妖しい夜の六角堂、お楽しみ下さい。


雨の中、六角通に面した六角堂山門に到着。
途中、三条烏丸あたりか池坊のビルに、ドドーンとライトアップの広告が出てました。
気合入ってるなあと思ってると、門前では職員らしき連中が、客を出迎え。気合入ってるなあ。
あ、右の写真は、本堂。特に照明はありません。あ、ちなみにこの夜間拝観、無料です。


とりあえず本堂でお参りを済ませ、その横の 「京都のへそ」 も拝観。
六角形の敷石の中央に鎮座する、六角形の謎の石、あれが京都のへそです。通称、へそ石。
大体このあたりが京都の真ん中、中心部にあたるということで、そんな名前がついてます。
別名、本堂古跡の石。恐れ多いためか、ライトアップは、特になし。


狭い境内は、雨+来客多数で、かなり混んでます。
ライトアップは、写真だと色鮮やかなようにも見えますが、ほぼ単色でかつ地味目。
しかし、あれこれと並ぶアイテムが陰影を強調され、昼間と違った面白みが出てるともいえます。
あ、右の写真の柳はやはり六角堂名物で、おみくじが結ばれまくった 「縁結びの柳」 。


で、ライトアップのメインたる、電飾の御幸桜。みゆきざくら。
「御幸」 の名は、平野神社に桜を植えまくったあの奇行の人・花山天皇に、由来。
院がここを御幸し西国三十三所観音巡礼が始まったことを、前内大臣が詠んだ歌に因むとか。
「京都に春を告げる」 と言われるほど早咲きですが、今年は開花が遅れ、今がジャスト。


御幸桜の下で、妖しき笑みを浮べる十六羅漢像。
「和顔愛語」、すなわち 「和な顔で愛を語る」 というま~るい人生姿勢を体現した像ですが、
夜に見ると、まるで黄泉の世界へ優しく誘ってるかのような不気味さを、感じないこともありません。
邪鬼たちもいい味出してますが、やはりこの闇寄りのアルカイック・スマイルが、強烈過ぎ。


当然ながら境内の一番人気は、この十六羅漢像+御幸桜。
写真には全然写ってませんが、この下には羅漢さんのスマイルに吸い寄せられる者、多数。
像の前も、サイドも、うしろも、かなりな混雑です。混み過ぎ+雨のせいで、転ぶ人もいたりして。
笑顔を保って良い報いを得るのもいいですが、ここ、段差あるので足元には気をつけましょう。


御幸桜の近くには、近所の高層ビルと池坊ビルを背にして立つ、親鸞像あり。
親鸞は百夜に渡り比叡山からここへ参籠、革命者・法然に会えと歴史的な示現を得たり、
「我成玉女身被犯」 「臨終引導生極楽」 などのお告げを聞き、妻帯OKの浄土真宗を開きました。
像は、参篭時の姿でしょうか。池坊ビルのエレベーターと、異常なくらい似合いません。


池坊の本拠地ということで、境内にはアートな生花も多数展示中。
御覧の写真は、十六羅漢のそばにディスプレイされてた 「もう一つの十六羅漢」 。
「歴代の家元が見守る中、新たな芽を出し成長していく、いけばなの人の姿」 を現してるんだとか。
何だ、羅漢さんを表わしてたんじゃないんですね。いや、家元が羅漢さんということでしょうか。


本堂の裏側には、巨大竹細工みたいなアート生花が、謎な存在感を放射中。
そばのビルの中では、日本有数の華道家の作品が並ぶ 「春のいけばな展」 を、開催中。
中に入って、エレベーターにも乗って、本堂の六角屋根を上から見ようかなとか思いましたが、
今夜は入場料300円が必要なので、金が惜しくなり、止めときました。


入場料が必要な 「いけばな展」 ですが、御覧のように、外から結構丸見え。
和なんだかハイテクなんだかよくわからん絵面ですが、なかなか映えるといえば映える絵です。
ちなみに手前の池は、池坊の名前の由来となった池。ほとりに坊さんが住んでた池。
実際には、池というよりプールみたいですが、伝統は守られてます、人の手で。


人の手で守られた伝統ある池には、人の手で作られたアヒルの姿あり。
というのは、嘘です。一応、本物のアヒルです。パッと見は、本当にロボットみたいでしたけど。
青く染められた池の中を、ほとんど微動だにせず流れ続ける、アヒル達。奇景であります。
ところで、昼間大量に沸いて出てくる鳩たちは、今頃どこで何をしてるんでしょうか。


さて、見るもん見たので、帰りましょうか。
いい加減、アウェー感も見に沁みてきたことですしね。というわけで、帰路に。
でも休憩所の前を通りかかると、中から灯りが。おっ、営業してる。売店や茶店も、営業してる。
そう、この休憩所では六角堂名物の 「へそ石餅」 を、抹茶と一緒にいただけるんですよ。


で、食ったった。 「へそ石餅」 一個と抹茶のセット、500円なり。
へそ石餅は、へそ石と同じく六角形。外はきな粉がまぶされ、求肥の中に餡子が入ってると。
サイズ、非常に小さいです。注意しないと、一口で瞬殺してしまいます。私は、殺ってしまいました。
味は、そうですね、へそのような味がしたということにしときましょうか。


食うものも食いきり、改めて帰ろかと思いながら本堂を見るの図。
眼+耳+鼻+舌+身+意の六根より生じる六欲を 「角」 として、その全てを丸く治める、
すなわち煩悩を脱し、角のないま~るい心を生むため作られたと言う、六角堂の六角形の屋根。
地上からはどうにもこうにも見えないのは、その建設理由と何か関係あるんでしょうか。


そんな深遠なることを考えながら、山門を出るの図。
門の横にいた職員が、私にだけ 「ありがとうございました」 って言わなかった気がしますが、
そういう 「角」 も意識の視界の外に放り出せば、全部がま~るく収まるのでございます。
十六羅漢のような笑みを浮べ、通行人に気色悪がられつつ、家路につきましたとさ。

客層は、全体的に中年の女性、多し。
というか、20~40代が多い感じ。それ以下とそれ以上は少ない感じ。
カップル、さほどいません。いても、稚拙な恋愛ハイを垂れ流す者は、あまりいません。
女性グループも、落ち着いてるものが多い。というか、観光客らしき連中は概ね、そのテイスト。
客の相当部分がいけばなの奥さん連中が占める感じです。ただ、大多数というほどではない。
観光テイストは、薄くて、濃い。丸出しではないが、丸出しにしてないあたりが、却って濃い感じ。
単身率は比較的高く、特におひとりさま系の女はかなりの存在感を見せます。
男は、普通のおっさんと仕事帰りの近所のリーマンくらい。

そんな六角堂の、夜の特別拝観。
好きな人と行けば、より六角なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、六角です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:1 (学生風少なめ、30代メイン)
女性グループ:2 (学生風とそれ以上が混在)
男性グループ:0
混成グループ:若干 (普通の阿呆学生)
子供:0
中高年夫婦:2 (近くに泊まってそうな観光客)
中高年女性グループ:3 (いけばな)
中高年団体 or グループ:1 (観光客+地元民)
単身女性:1
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★
各種プレッシャーはさほどないし、
特に居心地が悪いというわけでもないが、
根本的に何かが凄く、アウェー。

【条件】
平日金曜 19:45~20:30

六角堂
京都市中京区六角町東洞院西入堂之前248
6:00~17:00

市営地下鉄 烏丸御池駅下車 徒歩約3分
阪急電車 烏丸駅下車 徒歩約5分
京都市バス 烏丸三条下車 徒歩約2分
烏丸御池下車 徒歩約4分
四条烏丸下車 徒歩約5分

紫雲山頂法寺 六角堂 – 公式

頂法寺 – Wikipedia