山科疏水へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2014年4月5日(土)


山科疏水へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

京都および大阪において淀川水系の恩恵を受け生きている人民が、
滋賀県民から事ある毎に 「調子乗ると、止めるぞ」 と脅され続けている、琵琶湖の水。
その琵琶湖の水を、こっそりひっそり山越えて京都へ引いてるのが琵琶湖疏水なわけですが、
しかしこの疏水、元々は水をこっそりひっそりパクるために敷設されたわけではありません。
あ、いや、これはいくら何でも、言い過ぎでした。水欲しいの点についても、パクるの点のついても。
もちろん、水自体も欲しかったでしょう。特に、水力発電が疏水計画に組み込まれて以降は。
ただ、その水力発電の原動力となる琵琶湖と京都の高低差って、実に42mもあるんですよね。
「工事中に事故ると、京都が水没するんじゃないか」 という心配も、されてたそうなんですよね。
そんな水没の心配を押しても疏水が作られた最大の目的は、京津間に於ける輸送路の確保でした。
京都近代化にあたり、東海道北陸道からの物資輸送を重視した当時の府知事・北垣国道は、
交通の最大のネックとなっている逢坂山をブチ抜き、運河として使える水路を引くと決定。
当時まだ21歳だった田辺何ちゃらに何ちゃらを何ちゃらして、何ちゃらが何ちゃらされ何ちゃらし、
何ちゃらにて何ちゃらされ、何ちゃらから何ちゃらした結果、琵琶湖疏水はめでたく開通したのでした。
経緯を若干過剰に端折りましたが、とにかく明治期に運輸を主たる目的で作られた琵琶湖疏水、
運輸目的という点で共通するのか何なのか、やはり明治期に数多く建設された鉄道と同様、
陸上に水が顔を出すあちこちのスポットには、まるで防風林のような按配で桜が植えられてます。
ベタな知名度を誇るのは哲学の道 or 岡崎辺りでしょうが、他にも名所とされる場所は存在し、
中でも近年評判になってるのが、逢坂山と東山の間に位置する山科一帯における、桜。
そのビジュアルは、沿岸に並ぶソメイヨシノが水路を覆うという、ベタといえばベタなものですが、
地元の方が植えた菜の花との相乗効果で、郊外エリアらしい穏やかな美を誇ってます。
そんな疏水の桜、出くわした船に水運の残り香を感じつつ、眺めてきました。


というわけでやって来た、疏水トンネルの京都側出口。というのは、嘘です。
地下鉄山科駅を出て毘沙門堂への道を北上、安朱橋から疏水沿いの道を上流へ遡行し始め、
でも天気が悪いから写真を撮らず黙々と歩いてると、明治感が全然無い諸羽トンネルに着いたの図。
あ、このトンネル、昭和45年製。明治感が無くて、当然であります。湖西線絡みで作られたとか。


諸羽トンネルに着いた頃、天気が良くなりました。
なので、菜の花と桜の競演ゾーンへ向け、歩いて行きましょう。まずは、疏水と満開の桜。


振り返れば、さっきの諸羽トンネル開通前の元水路にも、満開の桜。


歩き出した道には、こぼれ出した、満開の桜。


疏水を覆い尽くさんばかりの、満開の桜。


疏水のみならず、空をも覆い尽くさんばかりの、満開の桜。


桜の下では、菜の花の苗場が、鹿よけ網。


鹿は除けても桜は除けない菜の花と、満開の桜。


鹿は除けても桜は除けない菜の花と、疏水と、満開の桜。


鹿は除けても桜は除けない菜の花と、疏水と、橋と、満開の桜。


桜も人間も除けない菜の花と、人間と、満開の桜。


満開の桜に包まれる菜の花と、菜の花を包む満開の桜。


「国鉄」 表記が渋過ぎる案内板と、菜の花と、満開の桜。


安朱橋から眺める、疏水と、菜の花と、満開の桜。


その安朱橋に設置されていた、 「イノシシに注意」 の看板。


イノシシを除けるかどうかは全く不明な、満開の桜。


と、適当極まる気分で桜を愛でてると、下流から船が走ってきました。
そういえば琵琶湖疏水、京都と大津の間で観光船を運航するという計画が、進行してるんだとか。
とっくの昔に水運は途絶え、船が走ることは長年無かった、疏水。 「本来の顔」 を取り戻すわけです。
船、ひょっとするとその計画の調査をしてるんでしょうか。それとも、鳥を追っかけてるんでしょうか。


満開の桜の下を突っ切って水上を走り抜ける、何らかの船および鳥。


そして水面の上では、相変わらず、満開の桜。


疏水と交差する安祥寺の上にも、満開の桜。


疏水を下流へ歩き続けると、若干数が減り始める、満開の桜。


「疏水は運河だ」 と主張するように、またやってきた、何らかの船


ふと疏水と逆方向を振り向くと、眺望が拡がっていた、山科市街地。


さらに眼を凝らすと、疏水から運輸需要を奪った、JR aka 国鉄 aka 省線。


さらに下流へ進むとさらに数が減る、満開の桜。


満開の桜の数が減ると共に現われた、本圀寺正嫡橋。


満開の桜の数が減ると共に現われた、マムシに注意。


で、辿り着いたのは、井上馨の扁額が掲げられた第二トンネル入り口。
咲き乱れる桜と、児童公園で遊ぶ子供で賑わう、なかなかに天国的な佇まいの場所であります。
この先には日本初の鉄筋コンクリ橋などもありますが、陽が死んできたので、これにてうろつき終了。
良い桜に出会える疏水です。運が良ければ、鹿&イノシシ&マムシにも会えるかも知れません。

客層は、やや地元多めの烏合の衆。地元:観光比は、7:3くらい。
といっても地元民も移住系が多い感じなので、ネイティブ寄りという感じはさほどなく、
また、観光ハイ&桜ハイな輩がバカ騒ぎが全域を覆っている、などということもありません。
カップルはそれなりにいますが、遠来系や観光丸出し系は少なく、近隣学生風が多め。
女性グループも似たようなテイストでしたが、混成グループは大半が中国人。
中高年は、夫婦が観光 or 移住系の人たちという感じ。それ以外は、ごくごく普通の地元系。
前述のように、弁当持って来るようなディープなネイティブな感じは、やや希薄です。
単独は、いなくはないですが、少なめ。カメも、あまりいません。

そんな山科疏水の、桜。
好きな人と観たら、より疏水なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、疏水です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:1
子供:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:3
単身女性:0.3
単身男性:0.7
【ひとりに向いてる度】
★★★★
色気および人圧のプレッシャーは、さほどなし。
アウェー感も多分無いし、ひとりでも浮くことはないだろう。
ただ、かなり良質の桜タダ見スポットであるため、
今後どうなるかはわからない。

【条件】
土曜+桜満開 13:30~16:00


山科疏水
京都市山科区御陵一帯
散歩自由

JR東海道線 山科駅下車 徒歩約10分
京阪電車 or 市営地下鉄 山科駅下車
徒歩約10分
 

山科疎水界わい – 京都観光Navi

山科疏水 – 京都新聞