京丹波・食の祭典へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2019年10月27日(日)


京丹波・食の祭典へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

「車社会」 の文化と、京都。関係があるような、ないような、そんな話ではあります。
車を置く場所にも走らせる場所にも困る京都の中心部は、もちろん 「車社会」 ではありません。
逆に、全ての文化行動が徒歩圏で完結することこそ 「京都人」 の条件になるような、超狭隘都市。
自転車はあちこちで死の暴走を繰り広げてるものの、所謂 「車社会」 ではないと言えるでしょう。
では、中心部から外れた京郊の住宅地が 「車社会」 化してるかといえば、これまた案外、微妙。
「車社会」 化してる側面も大いにありますが、同時に府南部・山城エリアは、鉄道網が極めて充実。
車がなくても、割と生活できたりします。私自身も、そうだし。八幡も、割に便利なんですよね。
そんな京都ですが、府域には実に 「車社会」 な所も、なくはありません。京丹波町が、そうです。
京丹波町。その名の通り、丹波のど真ん中に位置し、鉄道との縁がかなり薄い自治体であります。
江戸期は山陰道の要衝として栄えましたが、明治になると鉄道・山陰線が此処を迂回する形で開通。
陸の孤島になるかと思いきや、現代に入るとモータリゼーションが進行して、一気に 「車社会」 化。
現代の山陰道・R9は激烈に混み、そのため縦貫道が出来たら今度は道の駅が雨後の筍の如く林立。
車の所有率も京都トップとなり、ある意味、京都の 「車社会」 文化の最先端を行くようになりました。
人口はしっかり減ってますが、私の本籍地たる隣の南丹よりは妙に景気良さげに見える町です。
そんな京丹波町が、車ではなく食のイベントとして毎年開催してるのが、 『京丹波・食の祭典』
食材の宝庫・丹波にて、収穫が盛んな秋に、その食材を活かしたグルメを楽しむイベントであります。
となれば、丹波的でアーシーなノリが渦巻いてるかと思ったら、行ってみると何か違うんですよね。
不思議なくらい、現代的で普通だったんですよ。 「車社会」 的 or イオン的に感じられたというか。
車でしか行けない所で、かなりのキャパでイベントやれば、そうなるのも道理といえば道理ですが、
そんなノリに驚き、そして興味深く感じながら、私は丹波の食をあれこれ食いまくったのでした。
食い物ばかりの写真から、私が感じた 「車社会」 な感じ、多少は伝わるでしょうか。


車でしか行けない所に、車のない私が向かうには、JR園部駅からJRバスに乗るしかありません。
請願により生まれた省営バスの後裔・園福線で、山陰線忌避の原因となった観音峠を、一気に突破。
峠を抜けて、さらに縦貫道のICを過ぎると、走ってたR9は突如4車線化します。京丹波町に到着です。
あ、13時頃に乗ったバス、客は中高年が数名。 『食の祭典』 目当てらしき観光客の姿は、全然なし。


『食の祭典』 会場は、もうちょっと先の丹波自然運動公園。4車線化したR9を、しばらく走ります。
亀岡&南丹のR9を見慣れた眼には、全く異次元の光景です。回りが田んぼばかりなのも、妙という。
本当に妙で、思わず下衆な勘繰りをしたくなりますが、単にIC対応+車多過ぎで拡幅したそうですよ。
「なら亀岡はもっと車多過ぎだろ」 とか思ううちに、バスは公園前に到着。降りたのは、老人3~4人。


来ました、丹波自然運動公園。名の通り、自然溢れる環境で運動に励むための公園であります。
具体的に説明するなら、太陽が丘の丹波版といえばわかるでしょうか。余計にわからないでしょうか。
出来たのは、蜷川府政が華やかなりし頃の、1970年。府政100周年を記念して出来たという施設です。
現在は、ロードレースでも有名なこの公園ですが、今日は 『食の祭典』 の舞台。入ってみましょう。


『食の祭典』 ゲートは、北側の門。毎年こうなのかは知りませんが、とにかく歩いて向かいます。
着いたら、予想してたアーシーなノリとは違って、野外フェス的な雰囲気で会場が展開されてました。
野外公園の芝生上に露店が並ぶスタイルで、椅子がある飲食スペースが2~3区画と、ステージあり。
その外側は運動公園然とした公園が広がり、シート敷いてピクニック状態の親子連れとかもいたり。


『祭典』 、客は多し。そして、雰囲気が若い。年齢層は烏合の衆ですが、グダグダ感は希薄。
「芋の代わりに栗を食う芋煮会」 みたいな雰囲気を勝手にイメージしてましたが、全然違いましたよ。
露店の数は、30ちょっと。最初にチケットを買うとかのシステムではなく、普通に現金で払うシステム。
その場で食うものは概ね、釣銭を考慮してか500円に価格設定されてました。では、食いまくります。


まず食うのは、京丹波町下大久保の耳うどん。京都にもあったんですね、耳うどん。
尤も、最近開発されたものらしいですけど。ただ、うどんファンとしては、見逃せません。食います。


正直、今日はこれを食うために此処まで来た、耳うどん。味は、ごく普通に耳うどん。
出汁や具も、同様。ただ梅干は、ガチ。親が漬けた梅干みたいでした。丹波の傾向なんでしょうか。


で、とりあえず所期の目的を果たしたので一服し、公園然とした公園を眺める。


別の方向を向き、広過ぎてどれくらい広いのかよくわからん公園全体も眺める。


また向きを変え、イベントのレクリエーションか何かに励むエリアとかも眺める。


で、少し腹がこなれたら、今度は数行きます。まず、無双心のラーメン。


続いて、多分道の駅にある京丹波食堂の、自然薯とろろの蒸し温そば。


そして、紀陽軒のおこわ丼。正直、100%冷やかしで食ったけど、何とも美味かった。
丹波名物を甘辛不問でブチ込みながら、中華味飯がそれを奇跡的にまとめてるという。いい仕事。


京丹波ポークは、バーガーに惹かれるけど炭水化物を避け、フランク。


で、ある程度の量をこなした後は、かなり疲れたので、休憩所を何となく眺める。


しかし終了時間は近いので、休む暇はないと思いながら、露店ゾーンを眺める。


で、多少腹がこなれたら、仕上にかかります。山下秀製菓のそば団子。


そしてラストは、京丹波町に工場がある石井の工場直送ミートボール。


で、仕上がったら、終了告知を聞きながら、どっかのゆるキャラを呆然と眺める。


弾き語り系のライブをやってたステージで、おこわ丼が表彰されるのも眺める。


とかやってるうちに、終了時刻の15時となりました。早いですが、ゲートに見送られて帰ります。
私が感じた 「車社会」 感、単なる食い物の絵面の連続からでも、しっかり感じてもらえたことでしょう。
現代の府域に於ける交通・生活・文化の実態を正確に捉えた、優れた論評。我ながら、そう思えます。
単にこのゲートがハンドルに似てるから 「車」 を連想したなんてことは、決して、断じて、ありません。


帰るんですが、「車社会」 ゆえ次のバスは1時間半後。暇なので、追いつかれるまで歩きます。
バイクが駆けるR9へ進入する際、栗が普通に路傍へ落ちてました。何とも、丹波感溢れる光景です。
こんな土地ゆえ此辺、農学校が建った過去もあり。東大北大の農学部に並ぶ可能性もあったとか。
豪勢な校舎を建てたのに、生憎3年で廃校。校名の 「パイ食わねぇか」 書体に、呪いを感じたりして。


さらに歩くと、また府のやらかし遺産に会えました。1988年京都国体のマスコット・未来くんです。
名に反した過去感溢れるウェザリングが、何ともサイバーパンク。撤去すると、府が怒るんでしょうか。
さらにさらに歩き、 「亀岡・八木・園部のR9に漂うしみったれた感じが異常にないな」 などと思ってると、
バスに追いつかれたので、道路行政のやらかし遺産みたいなそのR9を走り、園部へ戻りましたとさ。


『祭典』 では、御土産も買いました。帰ったら、直ちに食べます。もちろん、ひとりで。
まずは、菓歩菓歩の米麹クッキー。クッキーと米菓の間の食感をグレードアップした感じで、美味。


そして本命の、焼き栗。確か、和知の道の駅・和が出してた露店で買ったものです。
絶対に現場ですぐ食うべきですが、すぐ腹パンパンになるので、泣く泣く持ち帰りました。が、美味。

『京丹波・食の祭典』 、この日の客層は、8割が家族連れ。
他は、単独以外のあらゆる層がちょっとずついるという、先述通りに烏合な感じ。
といっても当然、ほとんどの人が地元系で、観光系に見える人の姿は限りなくありません。
普通じゃなさ過ぎるくらい普通じゃないDQN家族が稀にいますが、基本は極めて普通な雰囲気。
年齢層も完全に烏合ですが、比較的若い人が多いのは、印象的です。もちろん、老人も多し。
単独は、物好き系か、単に何かを食いに来た近所のおっさん系くらいでした。

そんな京丹波・食の祭典。
好きな人と行けば、より京丹波なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、京丹波です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:若干
混成グループ:微
子供:0 (親子連れにカウント)
中高年夫婦:若干
中高年女性グループ:若干
中高年団体 or グループ:8
単身女性:ほぼ0
単身男性:微

【ひとりに向いてる度】
★★★
ひとりには向いてないが、強く向かないこともない。
状況は完全にアウェーだが、広いのできっと気にならない。
紀陽軒のおこわ丼は、あれば食っておくべき。

【条件】
日曜 13:40~15:00


 
 
 
 
京丹波・食の祭典
毎年10月下旬 丹波自然運動公園にて開催

京丹波・食の祭典 – 公式
 

京都府立丹波自然運動公園
京都府船井郡京丹波町曽根崩下代110ー7

JRバス園福線 自然運動公園前下車すぐ

京都府立丹波自然運動公園 – 公式