京料理展示大会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2022年12月13日(火)


京料理展示大会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

京料理展示大会は、始まった頃からずっと岡崎を会場にして開かれてると思ってました。
理由は、開催回数と岡崎の開発経年数がほぼ同じだから。2022年時点で、百数十年という。
でも、違うそうです。京料理展示大会は休止期間などがあるため、もう少し古いそうです。
岡崎一帯の開発が始まったのは、琵琶湖疏水が開通し、内国勧業博覧会も開催された1890年代。
博覧会のパビリオンとして平安神宮が作られ、周りには美術館勧業館図書館なども生まれました。
対して京料理展示大会が始まったのは、明治19年 = 1886年。場所も、岡崎から程遠い北野天神
東京遷都で落ち込んだ京都を盛り上げるべく始まったという点では、共通してる感もある両者ですが、
やはり京料理は近代だけのものではなく、それゆえ展示会の発祥も展開も違って来るわけですね。
根本的な説明が遅れました。京料理展示大会。その名の通り、京料理の展示大会です。
主催は、京都料理組合。施餓鬼会/時代祭神饌奉献と並ぶ3大行事のひとつとして開催してます。
大会のルーツは生間流による北野での式庖丁奉納で、その後も祇園などで勅題料理縦覧会を開催。
八坂倶楽部にてしばらく開催を続けるも、戦争で中断に至り、敗戦後に京料理展示大会として復活。
高度成長期に入ると八坂倶楽部から岡崎の京都市勧業館へ会場を移し、参加店や参観者数も増加。
そして平成以降は、新たな勧業施設のみやこめっせにて毎年12月に開催されてるわけであります。
この展示会が良いのは、素人も入れることでしょう。入場料を払えば誰でも入れるという。
なので会場内では、一生入ることがないかも知れない老舗や有名店の料理を拝むことが可能です。
並ぶ料理の数も凄まじく、ジャンルも寿司・ふぐなどを含め多岐に亘るため、全ては見切れないほど。
また会場には特設ステージが設けられ、この展示会のルーツとも言える生間流の式庖丁も披露。
他にも、五花街から呼んだ舞妓はんの舞を始め、京料理教室や出汁巻コンテストなど出し物も充実。
唯一残念なのは料理を食べられないことですが、もう少し金を出せば点心を楽しむこともできます。
そんな京料理展示大会、コロナ明けで復活したというので、初日に岡崎へ出かけました。


京都料理展示会、会場へ向かう際に平安神宮・大鳥居をくぐると、何か気分が盛り上がります。
八坂時代が長い展示会ですが、この明快な京都の表象感が似合ってる気も、しないでもありません。
紅葉終了直後の12月半ばの13時過ぎ、平安神宮は当然のように人は少なめ。観光客が特に少なめ。
見かけるのは、公園で遊ぶ地元系の親子連ればかり。大鳥居も美術館も、何処となく寂しそうです。


先述通り、岡崎の開発は内国勧業博が端緒。となれば、勧業館こそ此地の核と言えるでしょう。
さっきチラ見した京都市美術館とも、建物の転用や跡地の活用などで縁がある、由緒ある施設です。
現代の京都市勧業館 = みやこめっせは、平安神宮の南西側。京料理展示大会の会場に着きました。
ただ、京料理のイベント感は何となく希薄。12月13/14日固定の大会ですが、日程、間違えたかな。


でも、みやこめっせの玄関まで行くと近所の人っぽい人達が途切れず中へ入って行く様が見え、
中へ入って上に上がると受付があり、受付横には一般用券売所があり、そこで券も無事買えました。
買ってる横では、若い小集団が何組も 「御苦労様です」 と言われながら、受付を素通りして行きます。
飲食系の人達みたいです。流石は組合主催の展示会。では私も、少し御邪魔させてもらいましょう。


中に入ると、広めの会場にはブロックごとに料理が並んでる感じで、割と空いてる感じ。
ブロックは、何ちゃら研究会とか何ちゃら会、寿司部やふぐ部、あと即売コーナーとかもあります。


で、まずは展示会のルーツである生間流の式庖丁を拝見。


いや、その前に神様の山蔭神社を参拝。


五条の鶴清が出してた床飾りも拝見。


イントロをこなしたら、いよいよ料理を見させてもらいます。が、見始めると急に混んできました。
いや、急に来場者が増加したわけではなく、料理の周りには人が多いというだけのことなんですけど。
また、見るターゲットの料理は基本小さめで、それを見るために人の距離も自ずと詰まってくるという。
なので、会場全体では空いてるように見えても、閲覧中の体感的な混雑度は割と高かったりします。


が、もちろん料理、拝みます。順不同で。まず、たん熊北店


本家たん熊の丸鍋。


瓢亭


菊乃井


中村楼


ちもと


貴船ふじや


万亀楼有職料理


料理展示の他には、漬物や味噌などの即売や、点心の販売などがあったり。


特設ステージでは、舞妓はんの舞もあったり。


舞妓も良いけど、料理もね。ふぐ料理ともえのてっさ鳳凰。


矢尾治の精進料理。


井筒の近江名物・鴨すき。


三嶋亭の肉。


なかひがしの釜。


とりよねの釜。


下鴨茶寮の茶懐石。


松山閣の蕪風呂吹鍋。


生間流の式庖丁は、実演もあったり。


その横では、御茶席みたいなのも出てたり。


でも大事なのは、料理。さらに見ていきます。菱岩


松廣


いづう


伏見稲荷・玉家の稲荷。


宇治・辰巳屋の抹茶料理。


美濃吉


わた亀


そして、いもぼう。あけましておめでとうございます。


全部見てると切りがないので、料理展示の閲覧、とりあえずこれくらいにしておきます。
もう15時 = 終了1時間前ですが、物販コーナーはまだ盛況のようです。点心とか、食いたいなあ。


食いたいなあ食いたいなあと千回言っても、金がなければ食えないので、ぼちぼち帰ります。
それに、そもそも京料理は目でも楽しむものであり、この展示会はその目の楽しみのための展示会。
いわば表象に特化した展示会なのであり、こうした場で食べ盛りな食欲を発露するのは無粋でしょう。
でもなあ、それでもやっぱり食いたいなあ。食いたいなあ食いたいなあ食いたいなあ食いたいなあ。


食いたいなあと連呟しながら、みやこめっせを退館。退館際、門前の無駄なアートにも御挨拶。
いや、勧業館と美術館の縁を思えば無駄でもないのでしょう。此処では勧業と美術が一体なのです。
平安神宮を筆頭に表象の京都を体現する此地で、京料理の表象を拝む大会が行われるのも、道理。
岡崎と京料理展示大会、やはり相性が良いのかも知れません。でもなあ、やっぱり食いたいなあ。

京料理展示大会、客層の中で特にインパクトがあるのは
全体の3割ほどいる20代のヤンキー寄り小集団、すなわち飲食系の人達です。
一見すると観光客に見えて、受付を顔パス同然で通っていく様は、興味深いものがあります。
他の客層は、飲食関係者っぽい人もいますが、基本的には中年層の雑多な感じ。
「地元で名前は知ってるけど、そんなええ店、行ったことない」 という感じの、
近所から来た老夫婦やおばさん集団がメインのように感じました。
あとは、着物着た観光客風や地元の物好き or 料理好き、料理学生や高校生などで、
純粋/単純な観光系っぽい人はあまりいなかったように思います。
単独は、単に見に来た人 or 店の身内 or カメ or 通振りたい人くらいでしょうか。

そんな、みやこめっせでの京料理展示大会。
好きな人と行けば、より京料理なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、京料理です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:微
女性グループ:1
男性グループ:2(飲食系)
混成グループ:1
子供:0
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:2
単身女性:若干
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★
アウェー感や居心地の悪さは特になく、
いろんな店の料理が見れるのは単純に楽しい。
でも所詮は見るだけであり、本当の料理の味わいは希薄。
ただ、京都の飲食系のヤンキー感や平民の独特の空気感は、
案外と興味深く感じられるかも知れない。

【条件】
平日火曜 13:15~15:00


 
 
 
京料理展示大会
毎年12月13日・14日 みやこめっせにて開催
 
京都料理組合 – 公式
 

みやこめっせ (京都市勧業館)
京都市左京区岡崎成勝寺町9-1

市営地下鉄東西線 東山駅下車 徒歩約8分

京都市勧業館 「みやこめっせ」 – 公式