貴船の川床カフェへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年6月3日(金)


貴船の川床カフェへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

貴船の川床は、大正の頃、茶屋が川の中へ床机を置いたのが始まりだそうです。
桃山時代に始まった鴨川の川床に比べると随分のちの時代の話ですが、
現在のような形で料理を出すようになったのはさらに時代が下って、実に戦後。
貴船神社や鞍馬寺は平安遷都の頃から存在し、
参拝客は数多く存在したであろうにも関わらず、遅いスタートなのであります。
何でこんなに遅いかといえば、多分、水害が怖かったんでしょうね。
昔の鴨川もいい加減恐ろしい荒くれ川でしたが、貴船川は川幅が狭い分、鉄砲水が怖い。
水の神様・貴船神社が、現在の奥社から本社の位置まで流されたくらい、その威力は強烈。
昭和に入ってからも鳥居や料理旅館が流されてるそうですから、たまったもんじゃありません。
鴨川のように川沿いに床が立つのならまだしも、川の上以外に立てる場所がない貴船では、
治水がある程度何とかならない限り、夏の風物詩もひったくれもなかったんでしょう。
と、勝手に考えてるんですが、実際は単に川床を思いつかなかっただけなら、すんません。
川の中の床机で、水に足をつけてお茶など飲むだけだったという、黎明期の貴船の川床。
その頃を彷彿させるかどうかは一切不明ですが、料理屋街を歩いてると目についたのが、川床カフェ。
昼と夜のハーフタイムの川床を、簡単にお茶を出して稼動させる試みです。
安い値段で川床に入れるのが嬉しいので、ひろ文の帰り、思わず2軒、寄ってみました。
そして、ついでというと神罰が下りそうですが、貴船神社と奥社の参拝も。


ひろ文で流しそうめんと清涼膳を食したのち、まず立ち寄ったのは貴船倶楽部の川床。
貴船倶楽部というのは、川床で有名なかの右源太がやってる喫茶店です。
なのでここの川床カフェは、向かいにある右源太の川床を使っての営業。おおっ。
営業時間、知りません。14時半には営業してました。16時過ぎには仕舞ってました。
営業期間も、知りません。来年はやってないかも。


川床といっても座敷ではなく、白いプラスチックの椅子とテーブルを搬入。
川よりも、他の床で準備してる様がよく見える環境です。誰かが歩くたびに、床が結構揺れます。
コーヒーは向かいの店から店員さんが持ってきます。勘定も店で。
席に置かれた番号札が勘定書きになるので、持って行くのを忘れないように。(経験者談)
気温は、低し。確かに涼しいです。というか、涼し過ぎて寒い・・・


川床から川床を眺めながら、珈琲500円+席料300円=800円の珈琲を飲む。
味は、800円払ったんだから、800円の味がするはずです。間違いありません。
退店間際、入って来たカップルの男が、私の視界を遮るように突っ立って写真を撮り、
次いでプラスチックの椅子に深々と腰掛け、人生に勝ったという顔をして女に写真を撮らせてました。
他の客は、普通に若い女性グループ×1、殺伐系単身女性×1、カップル×2。


貴船倶楽部の川床を出てからは、貴船神社の奥社へ向かいました。
縁結び+縁切りで、古来より現在に至るまで女性から人気のある、マジのパワースポットです。
が、現場は特に女だらけというわけでもありません。多いといえばまあ多いかなという感じ。
写真は鳥居ちょい前の相生の杉、そして奥には私市社+林田社の二ツ社。


思ひ川付近の鳥居。平日ゆえか、人は少ないです。しかし、全くの無人になることも、あんまりなし。
カップルはおらず、女性グループも特に観光ハイだったり超ディープだったりすることはなし。
ただ、奥さんがひどく痩せてる夫婦が、思ひ川あたりに駐車して、呆然としてました。


で、境内。本殿と石。ただただ、濃い空間であります。
単独女性は、殺伐系。金や教養やセンスのある腐女子 or おひとりさま系ではなく、殺伐系。
単独男性は、普通に地道な単独。非カメラマンで、ケータイで淡々と写真を撮ったりしてました。
人の情念が吹き溜まりになってることで有名な縁切り祈願絵馬も、多数あり。
見たことを後悔するような、内容以前に書体からして怖い上物が、多数並んでます。


神と人間のパワーをもらい過ぎ、クールダウンしようと入った川床カフェ2軒目は、料理旅館・兵衛。
こちらは座敷をそのまま使っての営業。ただし営業時間、不明。連日やってるかも、不明。
とりあえず2011年6月3日の15時半には、やってました。
席料は、なし。料金は向かいの店舗で前払い、店から床まで運んでくれるシステム。
頼んだコーヒー470円也は、インスタントの如き味わい。
プラスチックの皿、スティックシュガー、フレッシュ、いずれも安し。ついでに、水も出ません。
値段の全部が席料と考えるべきでしょうね。


逆に言えば、470円でガラ空きの川床が堪能できたわけですが。
他に客がいなかったので、隣の左源太奥から流れる滝の景色も、完全なる独占状態。
風情と景色だけ、圧巻。ここで貴船倶楽部のコーヒーが飲めたら、最高なんですけど。


兵衛を出たあとは、貴船神社本社へ。
特に閉門時間はないとこなんですが、名物の水占いをやってる社務所が夕方で閉まるためか、
16時過ぎに訪れると地味な観光地の閉店間際みたいな風情が漂ってます。


で、もちろん、水占い。
仕舞う準備をしながら顔見知りと普通にしゃべりこんでる社務所にて、
木の箱に200円を置き、好きな紙を取って、神水に浮かべ、結果が浮かび上がるのを待ちます。
出たのは、小吉。恋愛運は「人の無駄口より口舌起こる。何も云うな」ですって。
黙ってなくちゃいけないような恋愛絡みの災い、悪いけど想像がつかない・・・。


本社の客は、7~8人の中高年女性グループ、7~8人の混成グループ、オシャレな単独男、
単独外人男、殺伐系単独女性数名、一の鳥居をうろつく若年カメラマン2人組、
金持ってそうな中年カップル(夫婦には見えない)、そんな感じ。
「とにかくお前はお呼びじゃない」と馬から言われてるような気がしたので、もう帰ります。


叡電貴船口駅までは、もちろん徒歩です。横には常に、貴船川の清き流れ。
美しい自然と見るか、水害との戦いが生んだ景観と見るかは、あなた次第。

「やってみました」感あふれるものだった貴船の川床カフェですが、
がっつり期待して行くのではなく、貴船神社のついでくらいだと、結構、味があるかも知れません。
現在の形のままこれからも営業が続くというのはちょっと想像ができないので、
「黎明期」の川床カフェを自分の目で見届けておくというのも、一興といえば一興です。

そんな貴船の川床カフェ。
好きな人と行けば、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、京都の夏の風物詩です。


【貴船倶楽部・川床のひとりに向いてる度】
★★★
川床自体には特にプレッシャーなし。
ただし、安価に釣られたカップル・団体などと
鉢合わせると、うっとおしいかも知れない。
CPの判断は、人の価値観に依る。

【条件】
平日金曜 14:30~15:00

貴船倶楽部
京都府京都市左京区鞍馬貴船町76
11:30~18:00
(ただし川床営業の期間・時間は不明)
叡山電鉄 貴船口駅下車 徒歩約30分

公式 貴船倶楽部

右源太公式 貴船 右源太 | 川床料理 料理旅館

【兵衛の川床カフェのひとりに向いてる度】
★★★★
人間のプレッシャーはなし。
屋外ではなく野外での飲食に抵抗がなければ、
川床気分を超ローコストで味わえる。

【条件】
平日金曜 15:40~16:10

料理旅館 兵衛
京都府京都市左京区鞍馬 貴船町101
11:00~20:00
(ただしカフェ営業の期間・時間は不明)
叡山電鉄 貴船口駅下車 徒歩約40分

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