サロンドロワイヤル京都本店で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2014年9月26日(金)


サロンドロワイヤル京都本店で、昼床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

「外来スイーツの席巻は、京都の伝統を踏みにじるものである」 。
そんな物言いは、それこそ伝統の何たるかを理解せぬ阿呆が吐く戯言に過ぎません。
外来の素材・手法を一切用いない和菓子など、些少なはずです。いや、皆無に近いでしょう。
新奇なエレメントを貪欲なまでに吸収・再構築し続けることで、京菓子の伝統は育まれてきました。
真の革新無きところに、真の伝統は無し。そして、真の伝統無きところに、真の革新は無し。
得体の知れぬリノベ町家にて素性不明のカタカナ新参スイーツ店が次々とオープンしてるのは、
「低レベルの味覚と懐で京都を楽しもうとする女子供の小銭を狙う」 などという策謀ではなく、
京都の、それは即ち日本の甘味を、世界レベルあるいはその先のネクストレベルへプログレスする、
壮大なビジョンに基づいた、極めて前向きで生産的でフューチャリスティックな企てなのです。
・・・ああ、疲れた。自分で全然信用してないことを書くと、書くだけでも何か凄く、疲れた。
こんな感じの戯言が無限に言い散らかせ、それが尤もらしく聞こえたりするも京都の魔力ですが、
そんな魔力が最も先鋭的に発現する場所こそ、夏の鴨川と貴船に現出する魔境・川床
不景気の昨今ではその魔力も薄れるかと思いきや、客単価低めの川床カフェが増殖を始め、
当サイトでもこの新たな魔境の状況へ向き合うべく、鴨川川床カフェめぐりなんてのやらかしました。
しかしその際、特に伝統的でも革新的でもない珈琲や甘味を食らいまくって胸が悪くなり、
本来押さえておくべきショコラ川床たるサロンドロワイヤル京都本店を、特攻し損なってたのです。
サロンドロワイヤル。京都より大阪で馴染みが深い、老舗ショコラティエと言っときましょうか。
そのサロンドロワイヤルが近年、木屋町御池の辺で、川床付きの京都本店をオープン。
バリバリの外来スイーツ店ながら、大半のカフェ床が閉まる6~8月に夜間営業を行うことも手伝い、
早くも床シーンにおいてマスト的な認知度を誇るくらいの人気を獲得するに至ってます。
そんなサロンドロワイヤルの川床、床自体の終了間際である9月末の昼に特攻してみました。
秋風を感じながらの、不毛な夏の落ち穂拾い。または、鴨川川床カフェめぐりの完結篇。
阿呆な動機でやらかした散財気味の甘味食いまくり、御笑覧下さい。


釣り人の傍で、各種の鳥もあちこちで魚を探してたりする、9月末の鴨川松原橋近辺。
シーズン終了を目前に控え、あちこちの床は撤去工事をしてるようなしてないような、そんな感じ。
床を求めて木屋町通を彷徨い歩く客も、5月よりはまだ多いものの、割と少なめ。夏、終わりですね。
サロンドロワイヤルがあるのは鴨川納涼床の北の方ですが、また散策しながら向かいましょうか。


例によって、料亭の名店と風俗の名店が入り乱れる西石垣を冷やかすこと、しばし。
「鉄道型ファッションヘルス」 を謳うみつらん鉄道のカラーリングが、何となくJR東っぽいですが、
隣のファミリーマート+その手前にある伊藤園自販機との景観バランスを配慮しての処置でしょうか。
そして右図の看板は、 「レンタサイクル型ファッションヘルス」 の誕生を宣言してるんでしょうか。


四条通を渡って先斗町へ入ると、一気におばちゃんの団体が増えて驚きましたが、
通り過ぎた後は御覧のように、混むことも途切れることもなく、ほど良く人が流れる程度の賑わい。
中年夫婦やカップル、あるいは女性グループなど店を眺めていくのを、何らかの人形が迎えてます。
あ、そういえば先斗町、水道管工事で石畳が一時的に消滅中。しょうがないですが、やはり無粋。


三条通より北は観光客が一気に減り、御池を越えると川床的な空気もほぼ霧散化。
がんこ高瀬川二条苑豆屋源蔵の前にはミニバスが停まるなど、賑わう店は賑わってますが、
床の気配自体は希薄で、最近新調されたという高瀬船が高瀬川の開削400年をアピールするのみ。
極楽とんぼのフォアグラ屋も何気にアピールしてますが、あの極楽とんぼとは関係ありませんよ。


で、木屋町御池を越えたすぐ先にひっそりとあるのが、サロンドロワイヤルの入り口。
かもがわホールや喫茶店SAVOY、そしてジェフ・バーグランドの英語塾の影に隠れまくってて、
気をつけないと通り過ぎそうですが、 「美空間Roji」 なる妖しい名前に反応できれば、到達可能です。
店は、もちろんこの路地の奥。間違えて 「美空間Roji」 に入り、不審者扱いされないよう、注意。


で、玄関。 おしゃれなビジュアルと、「鴨川納涼床」 の提灯とのギャップが、味です。
ガラスドアを押して入ると、店員さんが 「いらっしゃいませ」 に続けてすかさず 「喫茶ですか?」 。
「はい。川床お願いしたいんですけど、大丈夫ですか」 と訊くと、やはりすかさず 「只今、満員です」 。
店内の席なら案内できると言われましたが、目的はあくまで、床。名前を告げて、待つことしばし。


店内は割と狭く、メインがチョコレートの販売で、店内カフェ席はあくまで併設という感じ。
席待ち用の席なども当然無いため、無為に店内を徘徊する以外、暇つぶしの方法はありません。
というわけで、17度で保冷されてるというチョコがディスプレイされてるカウンターを無為に眺めたり、
買う気も無いのにおみやげ用チョコのコーナーを睨んだりしてると、席が開いたと言われ、床へ。


ガラスドアを開けて入った川床は、カフェ仕様のテラス席。こっちは割と、広め。
以前行った佐曽羅EASTに、極めて似た作りです。テーブルの間隔は、こっちの方が広めかな。
景色は、鴨川の一望が無論、可能。ついでに、生活道路丸出しな御池大橋も、目前に迫ってますが。
ではでは侵入の無事成功を祝しシャンパンで乾杯、と言いたいところですが、これは単なる水。


橋の通行人に水で乾杯してると、店員さんがメニューを持って来て、説明を始めました。
曰く、セットメニューがお得だ、と。で、セットメニューを頼むなら、店内へ戻りチョコを2つ選べ、と。
で、言われるがままにセットメニューを頼み、店内へ戻ったの図。ピンボケ過ぎて、詳細不明ですが。
で、さっきのカウンターにて、チョコ2つを適当にチョイス。名物のエッフェル塔は、生憎売り切れ。


で、床の席へ戻り、背後のイタリア人グループの喧しい会話をしばし聞いてると、
チョコ+ドリンクのセット、そして勢いでオーダーしたデザートならぬデセールがやって来ましたよ。
右手前の黒い物体2つは、言うまでもなく、チョコ。その上のグラスは、ドリンクのアイスエスプレッソ。
そして左にて2段重ねの皿で堂々と鎮座されてるのが、季節のデセール・オートヌでございます。


高い金を払ってオーダーしたアイテム、せっかくだからネットリと紹介しましょうか。
まずは、アイスエスプレッソ。これで、800円。セットなので100円引きですが、それでも700円。
その割に味は、普通。量は、シングルでしょうか。暑いからってゴクっと行くと、一瞬でなくなりますよ。
他のドリンクも、大体こんな感じの価格設定。ブレンドコーヒーも、確か800円くらいだったような。


そして、オートヌ。デザートならぬデセールゆえ、オータムならぬオートヌです。
無花果の実とコンポート、ムース状の何か、マンゴー系クリーム、アイスなどが混ざるデセール。
一口食べるとこれまた普通ですが、甘さを抑えた出来ゆえ、食べ進むと素材の食感に舌が行きます。
これで、1500円。1500円ゆえか、皿は巨大。ただしこちらは、中身も思ってたより多めでした。


で、いよいよ本命たる、チョコ2つ。頼んだのは、フォアグラとアーキテクチャー。
手前が、アーキテクチャー。 「食えるのか」 と思うような硬質のボディ&カラーリングであります。
フォークが刺さってる方は、フォアグラ。フォーク持って食うのかと思って持ったら、速攻折れました。
両者共、中には何らかの柔らかきものが入っており、約三口で完食。値段は、200円程度かな。


さあ、食った食った。10分ちょっとの所要時間で、全てを食い切った。
しかし、10数分で退出するのが貧乏性的にイヤなので、無意味に床に居座ること、しばし。


鴨川の景色を見飽きたので、今度は店内の方を眺めて居座ること、しばし。


店内を眺めるのも気まずくなったので、防風重し付き伝票を凝視すること、しばし。


そのうち背後のイタ公が私を嗤ってる気がしてきたので、滞在時間30分にて退床。
勘定は、2890円。オートヌ1500円+ドリンク700円+チョコの勘定ゆえ、席料は無しでしょうか。
加えて、単独特攻を果たした猛者への御褒美なのか (妄想) 、御覧のおまけチョコまでもらいました。
ファンシーな袋に心をときめかせながら、100%女性になってた店内を悠々と退出する独男一匹。


店を出て木屋町通を上ってると、おみやげチョコを早速食いたくなりました。
先刻までいた床の対岸で食うのも、いいな。そう思い、二条大橋から床を眺めつつ鴨川東岸へ。
川原へ降りてファンシーな袋を開けると、やはりファンシーな紙箱に、やはりファンシーな包みが3つ。
寄ってくる蟻を払いながら、開けていきます。あ、おみやげチョコの素性は、開店1周年記念とか。


で、おみやげチョコの中身は、甘いショコラ。こちらは本当に、普通に甘し。
店内で食った甘味がかなり抑えめだったので、その差みたいなのがより強烈に感じられました。
というか、あまりに甘過ぎて頭が痛くなってきたので、すぐ傍のフレスコで都こんぶを買い、舌を補正。
全ての味の記憶を都こんぶに吹っ飛ばされたところで、鴨川川床カフェめぐり、堂々完結です。

客は、20代カップルが1組、20代~30代の女性2人組が2組、
3~4人の30代女性グループが2~3組、イタリア人観光客グループが1組、
夫婦には見えないおっさんとおばはんのペアが1組、そんな感じです。
店内の喫茶スペースでは、おばさんグループを2組ほど見かけましたが、
とにかく店内の至るところに於いて、単独の男客は私だけ。
帰り際、ひとりで来るおばさんとすれ違いましたが、喫茶の客かは不明。
明快に、アウェーではあります。が、ネタになるほどのアウェー感も、正直感じません。
興味があるなら、気軽に入ってみるのも、いいんじゃないでしょうか。

そんなサロンドロワイヤル京都本店の、昼床。
好きな人と行ったら、より川床なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、川床です。


【ひとりに向いてる度】
★★
アウェーであることは間違いないが、
面白いほどのプレッシャーは特にない。
ただ、興味本位で納得できるCPかどうかは、
人それぞれで判断が異なると思う。

【条件】
平日金曜 14:50~15:30
 

サロンドロワイヤル京都本店
京都市中京区木屋町通り御池上ル上樵木町50
11:00~20:00 (L.O.19:30)
川床は5~9月営業 (昼床は5・9月のみ)
 

サロンドロワイヤル – 公式

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