高良神社の太鼓まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2012年7月18日(水)


高良神社の太鼓まつりへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

高良神社
石清水八幡宮が鎮座する男山、その麓にある同宮の摂社です。
創建は、石清水とほぼ同時期。創建したのは、石清水を宇佐より勧請した、行教
かつては、石清水祭の舞台となる頓宮や極楽寺などと共に、壮麗な山麓下院を構成し、
そのゴージャスさは、『徒然草』 に登場したかの仁和寺の法師でさえ、石清水本殿と間違えるほど。
「何事にも先達はあらまほしきもの」 という教訓を生んだ場所としても、名高い社であります。
時が幕末に至ると、鳥羽伏見の戦い神仏分離の波乱で壊滅的なダメージを受け、
何をどう見ても石清水と間違えようのない小さな建物にはなりましたが、神社そのものは、存続。
皇族や武家などが御用達の、いわゆる 「お上の神さん」 である石清水八幡宮とは別に、
地元の住民たちを護る氏神として、現在もなお篤い崇敬を集め続けています。
太鼓まつりは、そんな高良神社で盛夏が始まる頃に行われる、例祭。
「男山の麓で、太鼓まつり」 と聞くと、ある種の性癖を持つ方は、ある種の連想をするのでしょう。
「褌一丁の男が荒々しいバチさばきを見せる」 みたいな。別方面の視線が熱い、みたいな。
しかし八幡の太鼓まつりは、そういった「太鼓の技を競う」 といったテイストの祭りではありません。
打ち鳴らすのは、いわゆる触れ太鼓のフレーズである 「ドンドンドドドン」 のみ。
この 「ドンドンドドドン」 を本当に延々と叩き続け、そのトランス的高揚で盛り上がる祭りです。
勅祭である石清水祭が 「お上の祭」 なら、こちらは正に地元の祭という感じでしょうか。
ゆえに、幼少の頃は確かにこの山麓下院で遊びまわっていたものの、
貧乏な移住者の子であった私には、正直今ひとつ馴染みがなかったりするんですが、
疎遠な母校の同窓会へ向うような気分で、とにかく行ってきました。


京阪八幡市駅を出て、スーパーツジトミを越えた先、
既に太鼓御輿と大勢の担ぎ手が参集していた、17時半の石清水八幡宮・一の鳥居前。
そう、後の鳥居は石清水八幡宮のもので、高良神社のものではありません。横断幕ついてるけど。
高良神社はあの鳥居の奥、石清水祭の舞台である下院頓宮の南西に、あります。


で、京阪電車を借景に担ぎ上げれる、太鼓御輿。
各々の町を出発した御輿は、こんな感じでさし上げつつ巡行、神社へ集まるわけです。
小さめの御輿に太鼓を仕込み、乗り込んだ叩き手数人が、「ドンドンドドドン」のフレーズを連打。
前後に乗った2人の囃子方が、赤い団扇を使った独特のアクションで担ぎ手を煽ります。


御輿は、年によって変動がありますが、全部で5基くらいでしょうか。
いずれも東高野街道を中心とした、昔ながらの八幡の町からやってきた御輿です。
囃子方は担いでる途中も御輿へ飛び乗って交替し、周囲からはバケツに入った水をかけまくり。
「若いもんが元気で、わしらもう担がせてくれへん」 と爺さんが嬉しそうに語ってました。


参道を通って、頓宮南門へやってきた、太鼓御輿。
御輿のアクションは結構、派手。京都の神輿の差しと、縣祭りの梵天の間くらいでしょうか。
梵天みたいにひっくり返りはしませんが、でもサイズが小さい分、45度以上傾くのは、ザラです。
御輿を下す様もかなり荒っぽく、時には 「下す」 というより 「落とす」 というワイルドさ加減。


御輿は高良神社へは入らず、一旦南門をくぐり、頓宮前で一旦安座。
全ての御輿が揃うのを、しばし待ちます。何で頓宮前かといえば、高良神社、狭いんですよね。
2ヶ月後には勅使を招いた祭儀が恭しく執り行われる場へ、超高濃度のDQNな人たちが大集合。
このダイナミズム、このコンフュージョンこそ、八幡です。いや、知らんけど。


御輿が下されてる間は、常に子供たちが乗り、太鼓を 「ドンドンドドドン」 。
それにしても、この 「ドンドンドドドン」 のフレーズ、一体何を意味してるんでしょう。
京都の祭りの行列で先太鼓などが鳴らす、魔除けの 「ドンドンドン」 に似てる気もします。
太鼓まつりのルーツは、江戸中期に住民が例祭へ私的に出した提灯や茶店、および屋形御輿。
なので宗教色は薄いんでしょうが、でも、不思議な魅力と魔力に満ちたフレーズです。


御輿に動きがない間に、高良神社へお参りをしておきましょう。
かつて仁和寺の法師が石清水本殿と間違えた高良神社、これが現在の姿でございます。
今は祭りなので提灯が並んでますが、普段はこれもなし。極めて小さく、極めて侘な社であります。
子供が走ってますが、私もこんな感じだったわけです。子供の頃は、まともだったわけです。


高良神と言えば、まずは九州・筑後の高良大社ですが、
こっちは元々放生会の会場・放生川の傍にあった河原社が、転じて高良神社になったとか。
明治再建の本殿は小さく、また概ね無人ですが、この日は本社から来たらしき巫女さんの姿あり。
やってきた子供たちに、風船をあげたり、参拝の作法を丁寧に教えたりしてました。


参拝者用駐車場には、露店が集中的に出店中。
ラインナップは、ごくごく普通。私は、200円の何ちゃらジュースというのを買いました。
超ネイティブな親子連れに囲まれ、超地元なのに超アウェー&超不審者全開で待つこと、しばし。
「私はどこから来たのか、私は何者なのか」 な気分になってると、18時頃、式典開始。


式典では、京アニにいる娘に似顔絵を描かせてた堀口市長も、挨拶。
そういえば市長、選挙時は 「男山ケーブル叡電みたくキャラ電にしたい」 とか言ってたな。
あのヲタ寄りのプランを、この場にいる人たちが魅力的に感じたかどうかは、かなり微妙ですが。
このダイナミズム、このコンフュージョンこそ、八幡です。いや、知らんけど。


で18時半、遂に太鼓御輿の宮入りが始まりました。
あとはひたすら、太鼓のドンドンドドドン、そして掛け声のよっさーよっさーです。
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン。


ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン。


よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー。


ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、
よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン。


ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン。


ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン。


よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、よっさーよっさー、よっさーよっさー。


で、宮入りを終えた御輿は、提灯を背に参道を進み、境内を出ます。
歓声を浴びながら安居橋の前へ出て、そこからそれぞれの町へ帰るという段取りです。
帰る時は掛け声と太鼓のフレーズが変わり、よーさーじゃ、ドンドンドン、よーさーじゃ、ドンドンドン、
よーさーじゃ、ドンドンドン、よーさーじゃ、ドンドンドン、よーさーじゃ、ドンドンドン。


御輿が帰る前、一旦休憩に入るあたりが、混雑のピークでしょうか。
混雑といっても大したものではありませんが、でも宮入り中から客はどんどん増えます。
露店ゾーンも、御覧のように子供でいっぱい。そういえば私も、露店のことははっきり覚えてるな。
太鼓も御輿も、記憶がないのに。そう考えると、やっぱり露店って、重要ですね。


休憩タイムでも、御輿には子供が乗せてもらってます。
叩くフレーズはもちろん、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、
ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン、ドンドンドドドン。
で、再起動した御輿は、さし上げをやりつつ東高野街道を通り、各々の町へ帰るわけです。

人は、結構多いです。
ただ、客層云々以前に、純粋な見物客は極めて少ないんじゃないでしょうか。
その場にいる人間の大半が、担ぎ手&囃子方の嫁、および彼女、あるいは身内、もしくは子供。
キャバ嬢とオカンと子供だけがいっぱいいるような世界が、現出します (どんな世界だ)。
カップルは限りなく姿が見えず、女性グループも限りなく姿が見えず、観光テイストは絶無。
そもそも、他所からわざわざ来たという人間自体が、ほぼいなかったはずです。
単独も、ほとんどいません。女は、超ディープ系が微量。男は、カメと物好き系がちらほら。
DQN率は、ほぼ100%。ですが地元ゆえか、健康優良度はかなり高し。
信じるか信じないかは勝手ですが、消費者エゴの肥大した客がウロウロしている観光地より、
マナーも行儀も、はるかにしっかりしてると思います。

そんな高良神社の太鼓まつり。
好きな人と行けば、よりドンドンドドドンなんでしょう。
でも、ひとりで行っても、ドンドンドドドンです。

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:2 (彼女)
男性グループ:若干
混成グループ:若干
子供:2 (身内)
中高年夫婦:若干
中高年女性グループ:2 (嫁)
中高年団体 or グループ:4 (身内)
単身女性:微
単身男性:若干(カメ)

【ひとりに向いてる度】
★★★
ひとりだと完全に浮くシチュエーションであり、
実際、現場に立てば間違いなく、浮く。
しかし、色気的にも、人圧的にも、DQN的にも、
さほどプレッシャーは感じないと思う。
興味がわけば、気軽に訪れて欲しい。

【条件】
平日水曜 17:30~20:30


石清水八幡宮摂社 高良神社
八幡市八幡高坊30
拝観終日自由

京阪電車 八幡市駅下車 徒歩約5分
京阪バス 京阪八幡下車 徒歩約5分

太鼓まつり
毎年7月17日~7月18日 開催
(2014年より、直近の土日開催)

高良神社太鼓まつり – 石清水八幡宮