福知山の食房・和楽で光秀ききょう膳のぼたん小鍋を堪能しました。もちろん、ひとりで。

2023年1月26日(木)


福知山の食房・和楽で光秀ききょう膳のぼたん小鍋を堪能しました。もちろん、ひとりで。

福知山に雪が積もってる様を目にするたびに、心の何処かで意外さを感じたりします。
当サイトでは福知山を何度か訪れており、考えてみれば雪との遭遇率はかなり高いんですが、
にも関わらず、雪を見るたびに意外さを感じ、後で思い返す時でさえ意外に思ったりします。
同じ福知山市内でも、鬼の里の大江などに雪が積もることには特に意外性も違和感も感じません。
なのに、福知山駅のホームから街を見た時や駅前へ出た時などに雪を見ると、凄く驚くのです。
雪で白く染まった福知山城も、何度も見てるのに見るたび 「おっ」 とか思ったりします。
この妙な感慨は、何なのか。何から、生じてるのか。出元はきっと、福知山の地理に違いありません。
福知山は、京都府の中ではやや北の方に位置しますが、緯度そのものは逗子・葉山とほぼ同じ。
それでも気候はしっかり日本海側気候寄りであり、雪もしっかり降るんですが、一方で湿気も多め。
この湿気が肌感レベルの寒さを和らげ、底冷えの京都とは異なる空気感を生んでるのも、確かです。
京都府南部の者などは、冬の福知山に来てもその大半が 「思ってたより寒くない」 と思うでしょう。
そしてこの 「寒くない」 という経験が重なれば、今度は福知山の雪をレア視するようになると思います。
そう、福知山の雪に感じる意外さとは、京都府南部の者が抱きがちな錯覚ではないのかな、と。
この錯覚、鉄道/車を問わず訪福する者の多くが丹波を通過することも、かなり重要になる思います。
分水嶺たる丹波の最高海抜は、約200m。鉄道だと楽に通過してしまいますが、割と高めでしょう。
対して福知山駅の周辺の海抜は10m台と低めであり、この高低差も温度感には影響してるはずです。
そもそも京都市中心部でも、京都駅周辺の海抜は30m前後であり、それに比べても福知山は低め。
だから、福知山で雪を見ると意外に感じる。レアに感じる。少しだけ、お宝感も感じる。そんな感じ。
それがどうしたという話ではありますが、でもこれが、地理を体感するということなのかも知れません。
そんな雪の福知山で、ぼたん鍋企画、決行です。和知でぼたん鍋食った日の夜に、決行です。
駅近くにぼたん小鍋を出す店があるというので、やってみました。もちろん、温泉も込みで。


ビバノン。
 
 
 
 

福知山では、まずニコニコ温泉に寄りました。和知でぼたん鍋を食った大雪の日の、午後です。
「和知から福知山へ移動し、夜までニコニコビルで時間を潰した」 と言う方が、正確かも知れません。
ニコニコ温泉、泉質は限りなく単なる湯。でも、当企画の入湯必須という謎ルールは遵守出来ました。
和知でも多かった雪は、福知山でもいい加減多し。雪の中を歩いて、ぼたん小鍋を食いに行きます。


向かうのは、福知山アークホテルという駅前ホテルに併設されたレストランである、食房・和楽
和楽があるのは福知山駅の北側で、ニコニコ温泉は駅の南側。なので、駅を通って北へと抜けます。
18時過ぎの福知山駅は、帰宅客でごった返してるかと思ったら、そうでもなし。避雪のためでしょうか。
最近入った自動改札機も、何だか暇そうです。改札機、PITAPAのポストペイに対応してくれたらな。


駅を出ると、駅前のエリアもまだまだ雪が残ってました。というか、余裕で積雪状態。


ドッコイセさんの足下も、雪は残りまくり。あ、下のオレンジ色の物体、ライトに照らされた雪です。
雪の量は、和知とそれほど変わりません。が、かなりな街中でこう積もると、やはり多めに見えます。
避雪のためなのか何なのか、人は少なめ。バスに乗り変える客が慌ただしく歩いてるということもなし。
近くでは、女子高生らが奇声を上げて雪合戦に興じてます。地元の子でも、雪、珍しいんでしょうか。


その駅を出て、メインストリートのけやき通りへ入っても、雪のせいか、人は少なめ。


実際、路肩などの排雪ゾーンでは、雪がえらい感じで天こ盛り。


そんな雪のせいかどうかは知らないけど、営業してる店も割と少なめ。


実際、歩きにくいほどの雪だけど、パチ屋は自転車で来る奴がいるみたい。


で、そのパチ屋の隣が、和楽。


というか正確には、パチ屋の隣の福知山アークホテルに併設されたレストランが、食房・和楽。
レストラン側から見たら割とレストランな外観なんですが、ホテル側からだと中々ホテルな外観です。
大丈夫かな。ビジホでよくある、やる気ゼロのおまけ飯屋じゃないのかな。ぼたん鍋感も全くないしな。
でもな、もう来てしまったしな。雪の中を、わざわざ歩いて来たしな。温泉も、もう入ったしな。入るか。


などと思いながら店に入ると、中は大箱系の居酒屋を少し飯寄りにした感じで、7~8割の入り。
しかも、私が通された席の周囲は晩飯で定食を食う単独男で埋まってます。これは、いけるかも。


メニューを見ると、単独男向けの定食から郷土料理系まで色々揃ってて、やはりいけるかも。
ぼたん小鍋も、もちろんあり。おまけに、そのぼたん小鍋が入った光秀ききょう膳なるものもあります。
福知山の星・明智光秀の大河ドラマ 『麒麟がくる』 放送時の特別メニューを、通年化したという膳です。
丹波の食材が色々入り、値段は小鍋単品の約900円プラス。お得かなと思い、膳、頼んでみました。


やがて、膳、到着。中央では、かんぱちの刺身がメインのような面で陣取ってます。
他の皿は、丹波茸の天ぷらや鮎の甘露煮、八寸や和え物、そして黒豆ごはんなどなど。


真のメインであるぼたん小鍋は、冷凍状態で登場。もちろん、ここで焚き上げます。
店員さんは固形燃料に点火して、肉を煮詰める感じで食べてくれと説明してくれました。


なので、煮詰めます。その間、他のものを食います。丹波茸の天ぷらとか。


直送元の京都魚市場は舞鶴の市場か五条の市場か迷いながら食うかんぱちも。


黒豆ごはんも、甘露煮をおかずにして食ったり。


と、他のものを食ってる間も、煮詰めは継続。


さらに煮詰めながら、追加で何かジビエ系を頼んでみます。鹿串とか、いいかも。


で、鹿肉の串。トンカツっぽいけど、肉質と肉汁のジューシーさは良い感じ。


この鹿串を食い終わった頃、鍋の火がかなり通りました。ぼちぼちと食い始めます。
ぼたん小鍋、具は猪肉に加えて、ネギを始めとして定番系の野菜。出汁は、赤味噌系。


猪肉は、しっかりした肉質で、厚みも普通。お手軽感が前に立つことはありません。
脂っこさはなく、美しい脂身も柔らかいだけで、くどさはなし。淡泊な豚肉という感じです。


肉の量は、和ほどは入ってませんが、といって少なくはなくて、小鍋としてのバランスは良好。
出汁の味噌煮込み感も肉のテイストと相性が良くて、味付的にも全体が上手くまとまってるというか。
しかもこれで単体なら、1500円強。満足度はかなり高いでしょう。入る前、舐めててすんませんでした。
贅沢言うなら、もうちょっと味が濃い方がいいけど。出汁、ここからさらに煮詰めて行こうと思います。


とか思ってたのに、調子に乗ってどんどん食い進んだら、あっという間に完食してしまいました。
出汁も、煮詰める前に完飲。薄いとか言いながら、実際はかなり飲んでたようです。満足、満足。


猪に鹿に魚も食って、和楽、勘定は3000円強でした。流行ってるのも、道理。福知山、奥が深い。
隣の人が福知三万二千石の瓶を頼んでたんですが、その瓶も持って帰れたりするそうです。いいな。
俺も頼みたいと思いましたが、小瓶とはいえ酒が入った状態で慣れない雪道を歩くのは、やはり怖い。
駅の周辺は、地元の人も雪歩きに慣れてる感じはあまりしなかったし。用心の意味で、素面で退店。


なのに道は、転ぶ人がそもそもいないじゃないかという感じで、やはり人が少なめ。


転ばずに駅前へ戻ると、先刻の雪合戦女子は去り、合戦場跡では雪だるまが爆誕してました。
ここまで積もるのはやはり珍しいんでしょうか、福知山。小だるまにもお別れの挨拶をして、帰ります。
特急はもう最終が出た後だったので各停に乗り、全く自覚できない間に海抜約200mの分水嶺を越え、
京都に着いてホームに出たら、冬の訪福後に毎回思う通り 「こっちの方が寒い」 と思いましたとさ。

食房・和楽、この日は入った時点で、7~8割の入り。
会社帰りのおっさんとかの居酒屋使いも多いですが、単独飯の男が多い印象です。
地元のおっさんばかりが群れて飲んで騒いでるということも、あまりなし。
先述通り、通された席の周囲ではほとんどが単独男で普通に定食を食っており、
おかわり自由らしい白飯を何度もおかわりして食いまくってる人もいました。
単独のプレッシャーはその時の客次第ではありあすが、浮く可能性は少ないと思います。

ぼたん小鍋は、あくまでお手軽系ですが、お手軽系としてはしっかりしたものです。
ホテル併設の店と思って敬遠するのは、少しもったいないと言えるでしょう。

そんな食房・和楽の、光秀ききょう膳・ぼたん小鍋。
好きな人と食べると、より福知山なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、福知山です。

【前篇】
京丹波町和知の道の駅・和で、一人ぼたん鍋定食を堪能してきました。もちろん、ひとりで。


 
 

食房 和楽
京都府福知山市末広町1-24
6:45~10:00 11:30~14:45 17:00~21:15
年中無休(年末年始を除く)

JR山陰本線/福知山線 福知山駅下車
徒歩約3分
 

食房 和楽 – 公式