京丹波町和知の道の駅・和で、一人ぼたん鍋定食を堪能してきました。もちろん、ひとりで。

2023年1月26日(木)


京丹波町和知の道の駅・和で、一人ぼたん鍋定食を堪能してきました。もちろん、ひとりで。

当サイトに於けるぼたん鍋企画は、正直に言ってここ数年かなり停滞気味でした。
理由は、温泉入湯を企画の必須条件としたためです。それで、行く場所が限られたからです。
鍋はあるけど、温泉はなかったり。温泉はあるけど、鍋はなかったり。両方あっても、高価だったり。
企画第1弾たる大原の里への投宿時には、それこそ本物の温泉に入ってぼたん鍋を堪能しましたが、
以降は本数自体が増えず、また行ったら温泉が閉まってた的な下らないオチも連発しました。
結局、半分くらいの記事では入浴も出来てないんじゃないでしょうか。現実は厳しい。余りに、厳しい。
おまけに当サイトはひとりという条件も付くため、予約や入店が出来ないケースも少なくなかったり。
自業自得にして自縄自縛の限りではありますが、とにかく企画の進展に難儀してるわけです。
でもだからと言って、今になって入湯必須の条件を緩和したいかと言えば、そんなことはありません。
当サイトは、京都の表象にこだわるサイトです。ベタを写経の如く実践することが身上のサイトです。
表象を、表層的に嗤うのではなく、己の身体を通じて実践することで、観光の不毛さを超克する。
この大義のためには、目先の味に囚われず、より全人的な形でぼたん鍋を体感する必要があります。
要は、温まらなければならないのです。真冬に、温泉とぼたん鍋で温まらなければならんのです。
あくまでも温まることが目的なので、温泉の質など問いません。何なら別に風呂であっても構わない。
風呂さえ苦しくて、何らかの風呂的なものになってしまっても、しょうがないのでもう大目に見る。
それよりむしろ、表象として雪が欲しい。雪が積もる白銀の世界。そして出来れば、猪の国・丹波も。
こう考えて、何ならさらに厳しいこの縛りの組み合わせが揃うタイミングを、粘り強く待ち続けてました。
で、この組み合わせが具現化したのです。2023年1月26日に、具現化したのです。
この日の前日は、山科で東海道線の電車が何時間も立ち往生して騒ぎになるほどの、大雪。
雪害自体は全くもって大変ですが、でもこれだけ大雪で翌日が晴れなら、丹波はきっと、銀世界。
そう考え、一人ぼたん鍋定食なるものを出してる和知道の駅・和まで出かけてみたのです。


前日と前々日は大雪で大変だったJRですが、この日は快晴で、山陰本線の運行も割と順調。
9時頃に二条駅を出た電車は、嵐山からどんどん客を減らしながら、口丹エリアを北上していきます。
園部駅からの鈍行はやや遅れましたが、この辺は普段から行き違いが多いので、気にする人はなし。
もちろん窓の外は、白くなる一方。積雪量に加えて、電車が巻き上げる雪煙も激しくなるばかりです。


それでも雪でストップすることはなく、のんびり椅子に座れたままの状態で、和知駅に着きました。
和知駅。由良川舟運の川湊があった京丹波町和知本庄に立地し、木材の運搬などで栄えた駅です。
降りたのは、私と老人数人。老人達は待ってた送迎車に乗り込み、私は歩いて道の駅へ向かいます。
外に出ると、京都市内より劇的に寒いとは感じませんが、でも目の前に積もる雪の量は既に異次元。


そして歩き出すと、雪はもっと異次元。


山の色からして異次元。


旧R27に出ると、美しいけど異次元。


鉄橋も異次元。


旧R27は由良川沿いに走ってて、河原の景色もかなり異次元。


川岸の桜とかも割と異次元。


川の対岸を望んでも異次元。


雪に囲まれると、水の見え方まで結構異次元。


R27和知バイパスの橋の下も、かなり異次元。


そして、道の駅の前まで来ても、やっぱり異次元。


そんな異次元の雪を、目と共に足でもうんざりするほど堪能した後、道の駅・和、着きました。
道の駅・和。和の読み方は、なごみ。90年代末の和知バイパス開通時に出来た、道の駅であります。
山に囲まれた地の利が活きる地産物の販売を主に手がける和ですが、施設内にはレストランも併設。
またここは和知人形浄瑠璃の定期公演の会場でもあり、夏になれば鮎ガーデンが人気なんだとか。


和、玄関に積もりまくる雪塊&凍結注意の看板の先には、中丹ジビエフェアの幟あり。
この辺は増殖しまくる鹿への対応としてジビエを推してて、ゆえにぼたん鍋もあるわけです。


レストランは奥にあり、入口にはメニュー看板もあり。一人ぼたん鍋定食、ありました。
目立ってます。ここで食券を買うシステムなんですが、オーダーしたのは無論、ぼたん鍋。


会計後は、好きな席で待機です。席の前は、一面の雪景色。そして、氷柱。


歩かずに見る雪ってきれいだなとか思ってると、一人ぼたん鍋定食、来ました。


鍋は、完全には仕上がってない状態で運ばれ、席にて着火した固形燃料で煮る仕様。
肉も、到着時には生。15分ほど煮込みながら食べてくれと、店員さんは説明してくれました。


なのでぼたん鍋が煮上がるまでの間、まずは白飯を捕食。


白飯のお供は、黒豆と昆布、あとは何らかの山菜系の煮物。


白飯を食い切った頃に鍋が煮立って来たので、ぼちぼちと本丸の方も食べ始めます。
鍋の中の具は、猪肉に加えて大きめの葱や小振りな白菜、シメジや人参、豆腐などなど。


肉は、そこそこ厚みがあり、しっかりした食感。やや淡泊な豚肉、という感じでしょうか。
脂身のテイストも同様であり、脂っこさなどはなし。食べやすくて食べ応えのある猪肉です。


一人鍋にも関わらず、肉は中々のボリューム。それも、質以上に量の面で中々のボリューム。
「肉は数切れ、後は野菜でお茶を濁す」 的な感じではなく、量的にもはっきり肉が主役になってます。
出汁は、中華風。端的に言うなら、味噌ラーメンのスープで猪肉を煮込んでる感じで、味噌感も普通。
ゆえに普通に美味しいわけですが、ただ初端はちょっと薄いかも。じっくり煮込ませてもらいましょう。


とか思ってたのに、ガツガツと食い進めていくうちに割とすぐに肉を食い尽くしてしまいました。
出汁が中華系なので、中華麺を追い足し投入したかったんですが、そんなオプションはないようです。
ので、残ったスープをそのまま飲み、歩かずに見れる雪をもうしばらく眺めてから、盆をセルフで返却。
フードコート感がちょっと何ですが、でも雪を目の前にして中々なぼたん鍋、堪能出来たと思います。


で、満足したら帰るんですが、大事なことを忘れてました。入湯を必須とするこの企画の掟です。
ぼたん鍋と温泉で温まるというベタの実践。体感的な表象の具現化。これを忘れてはいかんのです。
色々ある道の駅・和ですが、生憎、温浴施設は備えてません。ただ、近くには風呂がある気がするな。
実に不思議なんですけど、ここから少し西へ行った辺に風呂があって、そこが呼んでる気がするな。


呼ばれるままに旧R27を西へ歩くと、風呂の呼ぶ声がどんどん大きくなる気がするな。


こんなところの何処に風呂があるのかわからないけど、でもどんどん呼ばれるな。


そのまま安栖里駅に着いたら、今度はまるで風呂の中にいるような気がするな。何でだろ。


ビバノン。
 
 
 

道の駅・和、この日の客の入りは、昼前だからか2~3割程度。
客層は、基本的には近所系らしき通りすがりの単独が多く、
地元風のおっさん系がメインですが、妙齢&若い女の単独もいたりします。
家族連れやグループが数組いましたが、こちらもおそらくは近所 or 近畿系。
ぼたん鍋の大鍋を囲んでる老人家族もいたりしました。
単独のプレッシャーは、よほど団体とバッティングしない限りは感じないと思います。
ひとりに向いてる度は、★★★くらいでしょうか。

一人ぼたん鍋定食、
前を通る機会があり、ぼたん鍋を軽く食って見たいなら、良いかも知れません。
あくまで一人鍋なので、がっつりとしたぼたん鍋という感じはしませんが、
先述通り肉は中々な量があり、普通の食事としてもかなり楽しめると思います。

そんな道の駅・和の、一人ぼたん鍋定食。
好きな人と食べると、より道の駅なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、道の駅です。

【続篇】
福知山の食房・和楽で光秀ききょう膳のぼたん小鍋を堪能しました。もちろん、ひとりで。


 
 
 
 
道の駅・和
京都府船井郡京丹波町坂原上モジリ11
和キッチン 11:00~17:00 (LO 15:30) 火曜定休

JR山陰本線 和知駅下車 徒歩18分
 
 
京丹波町 和知 道の駅「和 なごみ」 – 公式