祇園祭の神輿洗式+お迎提灯へ行きました。もちろん、ひとりで。

2011年7月10日(日)


祇園祭の神輿洗式とお迎提灯へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

祇園祭、始まりました。いや、既にもう、始まってます。
7月1日の吉符入りに始まって、月末の疫神社夏越祭に至るまでの1ヶ月間、
宵山&山鉾巡行をピークとして延々と神事・行事・イベントなどが続きまくる祇園祭。
一般人としては、この日の神輿洗式あたりからが鑑賞できる行事になる感じでしょうか。
神輿洗式。読んで字のごとく、神輿を洗う神事です。
山鉾巡行が終わった後に行われる神幸祭、そこで渡御される神輿を鴨川の水で清める神事です。
が、この神事、単に神輿をきれいにするという意味だけで行われるわけではありません。
鴨川の神様を慰撫・歓待するため、神輿に乗せ、八坂神社へお迎えするという意味も持ってます。
かつては大雨が降るたびにグデングデンに流路を変え、白河院をも悩ませた荒くれ川・鴨川。
特に夏は、怖い。水害的にも怖いし、伝染病的にも、怖い。今だって本当は、結構、怖い。
神様に何とか機嫌良くなってもらえるよう「おもてなし」をしなくてはいけないわけです。
というわけで、神輿洗と共にこの日行われるのが、鴨川の神様に歓迎の意を示す「お迎提灯」。
祇園萬灯会有志が「おむかえ」と書いた提灯を立て、各種コスで行列を組み、
八坂神社から寺町通りを練り歩いて、神輿に乗った神様をお出迎えします。
神輿、大松明、馬、稚児、鷺舞、小町をどり、祇園祭音頭の浴衣少女、そしてお囃子のコンチキチン。
言ってみれば祭りの準備、プレイベントならぬプレプレイベントみたいなものであるにも関わらず、
物凄いボリュームの神事なのであります。


昼過ぎ、柳家本店へ鱧を食べに行く前に見かけた神輿洗用の神水。
鴨川から汲んだ水を神職たちが清める神用水清祓式が、午前中に行われたようです。
水を汲む四条大橋~団栗橋間は「お宮の川」と呼ばれ、花街・宮川町の名もそこから。


16時半ごろに八坂神社を出発したお迎提灯のカラフルな行列。
このお迎提灯、もとは江戸中期に四条河原の歌舞伎役者が始めたものだそうです。
明治に一旦廃絶するも、祇園萬灯会昭和27年に復興、現在に至ってます。
どことなく芸能的というか、色気を醸し出してるのは、その辺に由来があるのかも知れません。


四条通を西進して河原町通に達した行列は、右折。河原町通の車道を北上。
今年のお囃子担当の放下鉾が、一足早いコンチキチンを繁華街に響かせます。
狭い歩道は人だらけで歩行困難、と思われそうですが、実際には普通に歩ける程度の混雑です。


河原町御池まで来たところで、行列は京都市役所へ入庁。
ここでは鷺さんや小町さん、そして今道を渡ってる浴衣娘たちによる舞踊奉納が行われます。
暑い中を歩き回った果てに、衣装を着込んでの踊りまくりです。偉い。


市役所前広場で、市長やどっかの偉いおばはんも見守るなか披露された、鷺舞。
踊り子は、小学5・6年生の女の子とか。グレることなく、しっかりお勤めを果たすあたり、偉い。
加えて、非常に上手な小町踊り、そして怪しい魅力が満開の「祇園祭音頭」も奉納。


休憩ののち、市役所を出た行列は寺町通へ進入、アーケードの中を巡行します。
写真は、喫茶店・Mr.アサヌマの2階席から、四条通信号待ちの馬を見下ろすの図。
ちなみに、ミートスパゲッティを食いながら撮ってます。どうでもいいですか、ああそうですか。


四条通に出た行列は、左折。あとは真っ直ぐ八坂神社へ東進です。
このころ境内では、神輿洗奉告祭ののち3基の神輿が庫から出され、舞殿にセッティング開始。
東御座&西御座は飾り付けまで済ましますが、神輿洗を行う中御座はスケルトンのまま先祓い。
神輿が通る道の霊的安全を確保するため「道しらべ」の松明が、出発したはずです。


で、南座のちょっと東あたりで、帰りに鷺さんたちと行きの松明が、離合。
行列はこのまま神社へ向かい、神輿が清められて帰るのを石段前で待機。
松明、雅もひったくれもなく火の粉を落としまくりながら、四条通をワイルドに西進します。


人だらけの四条大橋周辺。宵山などではありません。まだ7月10日であります。
どう見ても大混雑なわけですが、実は、場所が狭いだけで人の数はそれほどでもありません。
神事が行われる四条大橋のど真ん中以外は、身動きがとれないとか、そんな感じじゃないです。


で、その四条大橋、橋上。ここはもう、グチャグチャであります。
歩行者天国ではなく、タイミングを見て車も流すため、狭い歩道の混雑はより激化。
おまけにロープで二つに割って、内側を観覧スペース / 外側を通路にするので、さらに激化。
神輿のために道を清めようと、松明をグルグルぶんまわされ、火の粉散りまくります。


暴れるだけ暴れて、松明は一旦、帰還。今度は神輿を連れてきます。
警官が「何時から?」と訊かれて「向こうが決めるから知らん」と答えるのを聞きながら待ってると、
四若神輿会に曳かれた中御座の神輿が定刻ジャストの20時、松明と共に登場。
中御座は本来、三若神輿会の担当ですが、何故か神輿洗の時だけ四若が担当。謎です。
で、いよいよ神輿洗の儀式の開始。あ、神輿、左の奥の方にいます。


橋の中央北側で、神職が祝詞を奏上、榊にふくませた神水で神輿を清めます。
って、南側にいたので何も見えませんが。多分、清めてると思います。おそらく、清めてるはずです。
浴びると厄除けになるという神水の飛沫を求めて、神輿の周辺はパニック状態。
対岸のこっちはこっちで、警官が「立ち止まって写真撮らないで下さい」
「観るならロープの内側へ入ってください」「どんとすとっぷ、うぉーきんぐ」と注意の永久機関状態。


清められた / 鴨川の神を乗せた神輿は、やはり松明に護られて八坂神社へ帰還。
西楼門石段下では、鷺さんたちや小町さんがコスをキープしたまま、神輿をお出迎え。
追っかけてるだけの私でさえ倒れそうなくらいしんどいのに、凄いがんばりです。


神輿、西楼門を通らず、王将八坂店とラブホの前を通って、正門たる南楼門へ。
境内を埋め尽くす観客に迎えられ、堂々の宮入です。
繰り返しますが、これは宵山でも神幸祭でもありません。その準備の神事です。


ロープで見物客をガードする中、荒々しく舞殿の周囲を回り、差し上げを決める中御座の神輿。
3回回ったのち、西御座と東御座と共に舞殿へ据えられます。
また繰り返しますが、これは宵山でも神幸祭でもありません。その準備の神事です。


鷺さんたち、舞殿前にまたしても登場。登場するのみならず、見事に踊ってしまいます。
ちなみにこの時、もう夜の21時をまわってます。おまけに、明日は、月曜。
この辺の学区の小学校は、祇園祭が始まると同時に夏休みに入るんでしょうか。


南楼門横の能舞台では、小町踊りもしっかり披露。
近くで見ると、改めて上手いと感じます。この時間にして、この労働量にして、この完成度。凄い。
それも、いわゆる子供としての頑張りではなく、大人と変わらぬ仕事ぶり。
ついでに、夜の中で見ると、醸し出す色気も、実に大人です。この辺、祇園祭の凄さを感じます。


あんまり良かったんで、もう一枚。
着物の色が違いますが、踊る子が変わったわけではありません。左右で色が違うんですよ。
このあと、妖しき魅力の祇園祭音頭で締めて、やっと終了。
普通なら、祭本番でも全然おかしくないボリュームの「おむかえ」でありました。恐るべし、祇園祭。

ほとんどの行事が公道あるいは公道に面した場所で行なわれるため、
はっきりこれを観に来た人と、通行人、通行の途中で見物してるだけの人の区別は難しいです。
観光客は少なめ。カップルはもちろんいますが、それ以外の層もたくさんいます。烏合です。
路上の客のテイストは、だいたい通る道のテイストのまんま。
四条通・河原町通・寺町通は若者メイン、四条大橋より東は観光客が増える、みたいな。
そこに中高年が混じるくらい。要するに、普段通りの街中へ行列が入ってくるって感じです。
体感的混雑度は非常に高いですが、これは歩道や観覧スペースが狭いだけ。
人の数そのものは必ずしも多くはなく、ちょっと見て満足するひとがほとんど。
行列のまわりを客がゾロゾロついて歩くような光景も、あまり見かけませんでした。
ひとりでもプレッシャーなく、祭りの色気と醍醐味が味わえるのではないかと。

そんな祇園祭の神輿洗式+お迎提灯。
好きな人と観たら、より祇園会なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、祇園会です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:1
混成グループ:1
修学旅行生:2
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:1
単身女性:微量
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】
★★★★
人圧は凄いが、比較的かわしやすい。
色気づいた連中も少なく、プレッシャーは希薄。
一人客も普通にいるので、気軽に混じろう。

【条件】
日曜 16:20~21:30

八坂神社
京都市東山区祇園町北側625
参拝自由

京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩5分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩10分
京都市バス 祇園下車 徒歩すぐ

公式 – 八坂神社

Wikipedia – 八坂神社

四条大橋
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩1分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩1分