将軍塚へ、夜桜と夜景を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2015年4月4日(土)


将軍塚へ、夜桜と夜景を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

夜景を観たいという気持ちが、私は湧かないというか、そもそもよくわかりません。
函館長崎といった夜景で知られる街へ出かけた際も、特に観たいとは思いませんでした。
長崎では、道に迷った流れで偶然に夜景を観ることにはなりましたが、これといった感慨も湧かず、
むしろ迷路めいた街自体や、日常に紛れ込む被爆者向けの各種案内が印象に残ったものです。
人間には、空から地を見る人と、地から空を見る人の、2種類が存在するのかも知れません。
私はきっと、後者なんでしょう。空から地を見下しても、何かを読み取ることが出来ないんでしょう。
ある意味、 「夜景不感症」 なわけですが、この症状、京都の夜景がしょぼいことも一因と思われます。
巨大建造物も無く、海など自然の演出も無く、人々の細々とした生活が見えるだけの、京都の夜景。
不感症を誘発するネガティブ・イメージを植え付けられた人は、案外多いのではないでしょうか。
あんなん観て、どうすんのん、と。あんなん観て、何が面白いのん、と。阿呆ちゃうのん、と。
とはいえ、 「夜景は観るものではなく性的に活用するもの」 という元気な輩はどこにでもいるのであり、
また、己で己を 「空から地を見る人」 と言い聞かせたい煙のような習性を持つ輩もいるのであり、
こうした連中がしょぼ過ぎる夜景をわざわざ観るというスポットもまた、京都にはいくつか存在します。
その代表が、将軍塚。東山に連なる華頂山にあり、現在は青蓮院門跡・別院になってる塚です。
そもそもは、遷都先を探していた桓武天皇が、ここから盆地を見下ろし平安遷都を決めた場所であり、
遷都後は王城を霊的に守護すべく、完全武装した巨大な将軍像が埋められたという伝説もあり。
国家危機の際は、この将軍像が山を揺らし、鳴動を起こすというスピリチュアルな伝承も誇りますが、
高度成長期に東山ドライブウェイが開通すると、一転して夜景スポットしての世俗的な名声を獲得。
華頂山山中でサルベージされたという大日如来を祀る大日堂も、春・秋にはライトアップを展開し、
美しく照らし出された桜や紅葉がしょぼい夜景を盛り立てて、不感症の進行を防いでくれたりもします。
当サイトでは2011年、開花直前という意味不明なタイミングにて一度将軍塚を訪問してますが、
2014年に大規模な改装が行われたので、その確認も込みで今回、桜の季節に再訪してみました。
しょぼ過ぎる夜景は、桜の魔力により鮮やかな美景へと生まれ変わるのでしょうか。


将軍塚、妙に 「徒歩」 で飛んでくる人が多いので、今回も前回同様、徒歩で向かいます。
16時半、桜満開+中国人が至る所で奇声を上げてる円山公園を抜け、公園奥の長楽寺・門前へ。
で、わけもわからず辿り着いたらしき外人カップルが去るのを見送った後、門の左から始まる山道へ。
こんな道をわけもわからず付いて来られたりしたら、私も鬱陶しいし、向こうも大変でしょうからね。


途中、聖天に着いた所で、後ろから家族連れが付いてきたので、聖天参道でしばらく待機。
連中が山道へ入ったら蹴上方面へ迂回しよう、と考えてると連中、下山。見送った後、登山再開。
山道は、前日に降った雨を吸って、極めてヤバい状態です。聖天を越えた辺から、滑りもより過酷化。
滑落の恐怖を感じながら、足下の安全を一歩一歩確認して、登ります。前回より全然、しんどい。


林業系のおっさんと擦れ違った以外は、人の気配を感じないまま30分近く登山した末、
「山火事注意」 の張り紙&車で来た連中が出す排気ガスの先にて出迎えてくれた、大日堂の山門。
山門の横には、前回来た時には無かった建物が建ってましたが、山門自体は御覧のように変化無し。
門を潜った先では、公園&駐車場が新たに整備された感じ。タダ見桜も、良い感じで咲いてますね。


で、拝観受付へ向かうと、 「500え━━━━ん」 という、ヤケに大きい声が聞こえてきました。
おっちゃんです。前回も同じ声を出してた、おっちゃんです。改装後も、健在。いやむしろ、絶好調。
「暗なったら、電気点けるさかい」 と、ライトアップ開始タイミングについての衝撃的な説明も、絶好調。
悦に入りながら500円払い、中へ。まだ明るいので、新しい大展望台・大舞台へまず行ってみます。


で、新しく出来た大護摩堂の裏に広がる、ある意味で異様なほど巨大な、大舞台。


大舞台から眺める、ある意味で夜景以上に絶景な、霧のかかる鞍馬方面。


神々しい山々のすぐ手前に街域が近付く、ある意味で宗教都市らしい街並み。


この街に宗教が集まるのも自然なことかも知れないと、ある意味で思わせる、山と鳥。


と、いきなり 「空から地を見る人」 へ転向した後、大護摩堂・青龍殿にも一応、お参り。
2014年に出来たばかりの青龍殿、実に巨大で立派ですが、従前の庭園にも自然にマッチしてます。
広々とした堂内へ靴を脱いで上がり、国宝・青不動のレプリカや掘り出された仏像を拝むこと、しばし。
とかやってる内に日が暮れ、おっちゃん、ライトの電源を入れたようです。夜桜、観て行きましょうか。


で、夜桜。


で、本格的に夜桜を観る前に、一応観といた、大舞台の夜景。


で、こちらも一応観といた、将軍塚の夜顔。


で、夜桜を上から観る為に登る、以前からある展望台。


展望台階段から観た、将軍塚と夜桜と夜景。


そこから振り向いて観た、夜桜。


展望台の上まで登って観た、夜桜。


望遠で何となく寄ってみた、夜桜。


特に変化が無く、奥へ進むと視界が狭くなるのも変わらない、展望台。


で、地から空を見る人の本分に戻り、地表で観ることにした、庭園と夜桜。


で、こっちはこっちでやっぱり良いなとか思う、庭園と夜桜。


で、地表でも何となく寄ってみた、夜桜。


ある意味で、夜桜と絶妙なコラボ感を生んでるかも知れない、枯山水。


ある意味で、夜桜と絶妙なコラボ感を生んでるかも知れない、何ちゃら松。


ある意味で、夜桜と絶妙なコラボ感を生んでるかも知れない、道。帰りましょうか・・・。


まだまだ 「500え━━━━ん」 と連呼してるおっちゃんの声を聞きながら、大日堂を退出。
帰る前に、タダ見展望台にも寄ってみました。タダ展望台、3~4組の客が入れ違う程度の賑わい。
しょぼ過ぎる夜景&その中で光り輝くしょぼ過ぎるランドマーク・京都タワーの姿を、拝むこと、しばし。
展望台の背後の駐車場には、大型観光バスが入り、タコスドッグか何かの販売車も来てましたよ。


で、帰りも前回と同様、グニャグニャの坂道を車がぶっ飛ばす東山ドライブウェイを、徒歩。
何度も車と擦れ違いましたが、いずれの車も割と丁寧に減速してくれて、死の恐怖は案外、希薄。
気を使わせて、申し訳無い限りであります。単に、幽霊か何かと間違えられたのかも知れませんが。
佐野藤右衛門が嘆いてたゴミを見ながらひたすら下山、1時間程で京阪三条駅へ着きましたとさ。

将軍塚・大日堂の客層は、基本、観光客寄りの烏合の衆。
観光:地元系の比率は6:4くらいで、地元系に連れられた観光客風が妙に多し。
親戚の伝手で来た連中でしょうか。あるいは、移住系が近所 or 知り合いと来てるのかも。
観光ハイは、希薄。人圧的にも、割と広い所なので、これといった問題はありません。
若者は、カップル以外、ほとんど無し。それに、カップル自体もそれほど多くは無し。
そもそも大半の客は夜景よりも夜桜目当てで、夜景ハイや色ボケなどの様も、左程無し。
地元系の女性グループは、しょぼい夜景をしみじみと観る人がチラホラいる感じ。
単独は、カメ爺いる程度で、若者の猛者は全然見かけませんでした。

そんな将軍塚の、夜桜と夜景。
好きな人と観たら、より将軍なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、将軍です。

【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:微 or 0
男性グループ:0
混成グループ:0
子供:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:微
中高年団体 or グループ:5
単身女性:超微
単身男性:若干
 

【ひとりに向いてる度】
★★★
各種プレッシャーは、割と希薄。
ただ、特に居心地がいいというわけでもない。
ビジュアルは、御覧のように結構ナイス。
ただ、車が無い場合、アクセスは登山覚悟。

【条件】
土曜+桜満開 16:30~20:00

青蓮院門跡 別院 将軍塚
京都府京都市山科区厨子奥花鳥町28
通常拝観 9:00~17:00
ライトアップ 17:00~21:30

市営地下鉄東西線 蹴上駅下車 徒歩約30分
京阪電車 三条駅下車 徒歩約60分
(ただし徒歩アクセスは困難 or 無謀 or 非常識)
土・日・祝などは、京阪バスの運行あり
 

将軍塚青龍殿 – 天台宗 青蓮院門跡

夜間の特別拝観 – 天台宗 青蓮院門跡