SAKURA TERRACE THE ATELIERで聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。

2019年12月24日(火)


SAKURA TERRACE THE ATELIERで聖夜を過ごしました。もちろん、ひとりで。

メリークリスマス!! 当サイト恒例クリスマス単独お泊まり企画、2019年度版です。
当初は 「独男にとって精神的外圧が最も高まる聖夜の孤高な聖戦」 として始まった、当企画。
初期こそネタ全開で安宿宿坊に投宿してましたが、やがて企画に 「境界」 というテーマが浮上し、
「四堺」 を押さえる形で遊廓跡元ラブホといったアジール性の高い宿へ泊まるようになりました。
そうこうしてるうちに、インバウンド爆増によって洛中のど真中こそ魔宿が林立する魔界と化したため、
此地も新たな 「境界」 と認定し、増殖しまくった民泊町家一棟貸しゲストハウスなどにも特攻。
エリア的にもメジャー中のメジャーなエリアばかり選び、熾烈な市街戦を繰り広げて来たのでした。
で、今回の2019年度版も、この市街戦シリーズの続きとなります。戦場は、京都駅の南です。
人様の住む街を 「そうだ」 呼ばわれして観光地扱いする邪鬼が、大挙して降り立つ魔口・京都駅
当然、この邪鬼が落とす金を目当てにして、近年は様々な宿泊施設もまた林立するようになりました。
中でも、開発・発展・変貌が顕著に進んだのは、駅の南側に展開している東九条エリアでしょう。
観光バブル勃発以前は、コリアンタウンが拡がることで有名なエリアでしたが、その周囲に宿が林立。
大型ホテルが次々と建つと共に、民泊もそこら中に湧き、様々な問題も側聞するようになってます。
此処もまた、新たな 「境界」 に違いない。そう考え、東九条に泊まってみようと思ったのです。
投宿したのは、SAKURA TERRACE THE ATELIER。最近増えてる、おしゃれ系の安宿であります。
九条河原町の角に聳えるSAKURA TERRACE本店や、やたらゴージャスなTHE GALLERYなど、
姉妹店がこの界隈でインパクトを放ってるSAKURA TERRACEですが、中でもTHE ATELIERは最安。
といってもドミトリーではなく、狭いながらも一応個室宿であり、おしゃれ感は下手すると最も高め。
「安普請をデコで胡麻化してるんだろ」 という心の声さえ黙らせたら、かなり良さげな宿となってます。
ので、泊まりました。でもなるべく狭くない方をと、何故か取れた2段ベッドの部屋を取りました。
そして実際に泊まったら、妙に快適で、市街戦とかをすっかり忘れてしまったのです。


SAKURA TERRACE THE ATELIER、公式サイトはこんな感じ。何とも、おしゃれ。そして、怪しい。
色んな意味でデザインの力が頑張り過ぎてる辺が、何とも痺れます。ので、此処に泊まってみます。
何故か取れた2段ベッドの部屋を取ると共に、宿がやたらと推してる朝食も視察の意味を込めて予約。
サイトに拠ると、部屋はネカフェより若干広い程度。宿代は一般的なビジホより若干安い程度でした。


そして当日の18時、クリスマス感が希薄な京都駅を出て、タクシーやバスの横を通って、駅外へ。
ATELIER、最寄駅は地下鉄・九条駅。でも京都駅も充分近いので、南側・八条口から歩いてみます。
八条口の周辺は、新しく出来た感じのホテルが多くて、クリスマスであってもなくても電飾が光りまくり。
とはいえ、駅真近の宿は流石に怪しめな案件が少なめです。ATELIERは、もっと南。なので、南へ。


あ、京都タワーがあるのは、駅の北側。此処の逆。グレートウォール・京都駅ビルの向こう側です。
無論、タワーは腐ってもタワーですから、聳え立つビルの隙間から天辺くらいならチラ見出来ますよ。
辺りのクリスマス感は、希薄なまま。というか、地図に従って南下すればするほど、薄れていきました。
こんな所にATELIER、あるのか。民家とマンションしかないぞ。というような宅地に、結局は出ました。


ATELIERは、その真暗な宅地の中で、京阪木型製作所の職員寮みたいな風体で建ってました。
私のハイセンスなカメラを通すと、入口こそおしゃれに見えますが、パッと見には単に暗いマンション。
そもそも、この入口が見つからない。というか、通り過ぎる。実際、近視の私は何度か通り過ぎました。
あと、ドアもよくわからない。わからなくてウロウロしてると、壁みたいな自動ドアが開き、入れました。


中に入ると、おしゃれなエントランスでは先客が機械を操作中。なるほど、自動チェックインか。
機械には、カードの挿入口あり。なるほど、決済したクレカを挿したら、カードキーが発券されるのか。
と思ってクレカを挿したら、機械が止まりました。機械、宿泊税や追加料金などを払う機械だそうです。
チェックインは、宿帳も手書きのアナログ仕様。でも、宿泊税は機械で支払い。で、やっとこさ入室。


入った部屋は、前印象と同じな感じ。上等でも下等でもなく、ネタになるほど狭くもないという。
2段ベッドは鉄骨コンクリ製ですが、寝るだけなら充分でしょう。アメニティ類も、かなり揃ってます。


見上げると、ネカフェ感が否めない作りな部屋ですが、ネカフェと違ってテレビの音出しはOK。
トイレ・バスは室外ですが、洗面台は室内にあって、割と便利。あと冷蔵庫もあって、ちょっと便利。


とはいえ、狭い部屋でじっとしてたら、思わず自分を見つめてしまいそうで怖いので、外出します。
が、その前に、おつまみビュッフェが気になりました。共用スペースで、そんなのをやってるんですよ。
エントランス奥にあるおしゃれなその共用スペースを覗くと、客はなし。なので、600円払ってオーダー。
コリアンタウンの傍なのに内食という話ですが、コリアンタウン、近所の私は何時でも行けるのです。


視察の意味も込めて食ったビュッフェは、実に視察な味。食いまくれば、腹は膨れるでしょう。
水が何処にあるのかがわからず、珈琲のミルクをグラスへ注いだりしてしまいました。すんません。


腹に入れるものを入れたら、いよいよ本当に外出。向かうのは、映画館であるみなみ会館です。
冬夜の徘徊はもう辛いので、以前ちょくちょく行ってた映画館で、のんびり映画でも観ようと思います。
ので、いきなり東九条からはやや離れてしまいますが、歩道橋でRI×九条通の合流点を越え、西へ。
あ、ATELIER、九条駅&京都駅と共に、近鉄・東寺駅も割と至近。東寺駅の周囲も、実に普段通り。


東寺駅に近いということは、KFC東寺店BOOKOFF東寺駅前店もまた至近。色々と、便利です。
KFCは流石に、聖夜の売り込みに励んでました。駅前風情も相まり、実に昭和を感じる光景でしょう。
そして東寺駅に近いということは無論、東寺も徒歩圏。五重塔、主の生誕を祝して今夜も光ってます。
周囲に、観光客など騒ぐ輩の姿はなし。やはり普段通りであることを主に感謝しながら、塔に合掌。


みなみ会館は、そんな東寺に近い単館系の映画館です。少し前に移転して、少し離れたけど。
ムカデ祭りの際に拝んだオーナー・巌本金属の本店ビルが、3スクリーンの館として活用されてます。
私は移転後初めて来ましたが、90年代の大阪みたいな雰囲気 (?) になってて、ちょっと驚きました。
九条通に向かって予告篇とかを流してるディスプレイ、緞帳が前の建物にあったものなら嬉しい・・・。


観たのは、 『EXIT』 。コリアンタウンで晩飯を食いそびれた代わりに、韓国映画を観ときます。
『EXIT』 、最初は今風の青春映画的で少し白けたけど、主人公の家族が描かれ始めると少し楽しい。
精神的・肉体的暴力の嵐、スカトロ風味の効く罵詈雑言、マッチョの裏返しで家族愛に走る男の狂気。
そして、社会状況と経済状況の組合せから生じる、宴会地獄。楽しい。でも後半は、ほぼ忘れた・・・。


映画を観終わった後は、やっぱり少しは東九条の徘徊もやっとくかと思い直し、九条通を東進。
高瀬川方面へ歩きながら、ゲストハウス化した町家があちこち出現してる様を、横目で見たりします。
女に声をかけられるというニュースも聞きましたが、特にそんなこともなく、九条大橋の辺で北へ左折。
やはり騒いでる輩の姿はなく、観光客らしき姿もなし。基本、普通の住宅街であり、今夜も普段通り。


九条大橋の辺では、高瀬川の渋い顔も拝む。鴎外 『高瀬舟』 にむしろ直結し得る、渋さです。
コリアンタウンにも、入街。クリスチャンが多いというコリアンタウンのクリスマスの夜は、単に夜の街。
空き地の彼方に、京都タワーを望んだり。こうして見ると、東九条、あまり変わってないんですけどね。
ケーキを売ってる店があれば寄りたいんですが、この時間では厳しそうです。ので、そろそろ帰還。


京都駅近くのコンビニでケーキを買ったら、ATELIERへ帰還し、25時までの風呂に入ります。
部屋に用意されてる作務衣みたいな何か+バスタオルの風呂パックみたいなのを持ち、大浴場へ。
大浴場は風呂とシャワーで構成されており、風呂はかなり狭め。でも、湯の感じは良く、温まりました。
また、作りは此処もやはり非常におしゃれ。特にシャワールームはおしゃれで、おまけに便利です。


風呂から出た後は、明石家サンタを観ながら、ケーキを食す。洗面台横の狭い場所で食す。
味は、極めてコンビニ。この部屋、寝るのには困りませんが、食うのにはやや不便かも知れません。


ケーキを食った後は、就寝。2段ベッド、上段は既に荷物を投げ置きしてたので、下段で就寝。
部屋は、寒くありません。というか、暑い。布団一枚+エアコンなしで寝れました。メリークリスマス。


で、7時に起床。質素な窓&壁を隠すおしゃれシート、日光も隠すので、寝過ごしかけました。
開けようかと思いましたが、開けると単に安く狭い部屋になるので、閉めたまま朝食へ出かけます。


共用のおしゃれスペースにて食う朝食は、基本、昨晩のおつまみビュッフェと同様の仕様。
メインだけ事前に選んだものが出て、あとは好きなものを食うという。私のメインは、ビーフシチュー。
本があるゾーンがあったので、サラダ・フルーツ・ジュースなどを適当に取った上で、そこで食べます。
味は、やはり実に視察な味。食いまくれば、腹は膨れるでしょう。なので、フルーツなどを大量捕食。


本棚には、英語の日本文化本なども置いてたりします。なるほど、インバウンド対応というやつか。
中には、物凄い絵の漫画の解説本もあったりします。なるほど、真の日本文化を伝えるというやつか。
腹が膨れた後は、セルフで淹れた珈琲を飲みながら、そんな知的な本をおしゃれに眺めたりしました。
昨晩で慣れたので、常連の洒落男に見えるように寛いでみましたが、私の他に客はいませんでした。


食うだけ食ったら、チェックアウトします。2段ベッド、荷物投げ置きスペースとしては便利かも。
チェックアウトは、昨晩クレカを挿して止めた機械にカードキーを挿し、追加料金などを払うシステム。
追加料金がない私は、そのままカードが吸い取られ、手続き終了。誰にも何も言われず、退館します。
外に出て、改めて陽の光の下で見たATELIERは、夜に見た時の20倍くらいマンション丸出しでした。


京都駅周辺のホテルも、改めて陽の光の下で見てみたい。と思い、チェックアウト後は京都駅へ。
白昼に見ると、此辺の開発の激しさを感じます。民家の前に、ビルが壁のように聳え立ってたりして。
あと、ATELIERの姉妹店のTHE GALLERYが、何故か実相寺感 or 第四惑星感に溢れる様も眺める。
このルックで 「姉妹店」 とか言うと、ラブホの話をしてるような気分になるな。とか思いながら、北へ。


少し北上すると、このエリアの初代壁・京都駅にもう到着。周囲は、ガラガラの音が響いてます。
といっても、観光客のではなくて、仕事のガラガラ音。こういう清々しい朝の八条口が、私は好きです。
クリスマス感など欠片もなく、タワーも普段通りグレートウォールの彼方で、青空を背に聳えてました。
そしてそのタワーを、アバンティ前に立つ銅像と鳩像が、まるで褒め殺しでもするように讃えてました。

というわけで、ボ~っと泊まって、あとは映画観て散歩しただけの聖夜@東九条でした。
ディープサウス民の私にとっては微妙に馴染の街なので、気合を入れた見方が難しいんですよ。
東九条の変化、全然伝わらなかったかも知れません。あるいは、逆に凄く伝わったかも知れません。

ATELIER、この日に見かけた客は、いかにもビジホ利用っぽい男性客と、若い女ばかり。
金を使わない観光客丸出しな輩が、群れて大声で騒ぐといった姿は、結局見かけませんでした。
部屋の感じは、本文の通り。デザインが頑張ってるというか、頑張らなくてはならない宿です。
防音などは、通路の音などがかなり丸聞こえ。ただ、隣室の音が漏れ聞こえてくるようなことはなし。
空調も、万全。というかむしろ、この日は建物全体が暖房効き過ぎ気味で、暑いくらいでした。
京都駅に近くて、おしゃれかつ安い宿を探してるという人には、良い宿になるんじゃないでしょうか。
私も、食事を全て外食にするという前提を付けるなら、割と便利な宿ではないかと感じました。
あと10歳若くて、京都駅前に毎週泊まる用事があったなら、きっと定宿にしてると思います。
ひとりに向いてる度は、宿泊だけなら★★★★、食い物込みなら★★★ということで。

そんなSAKURA TERRACE THE ATELIERでの、聖夜。
好きな人と泊まれば、より東九条なんでしょう。
でも、ひとりで泊まっても、東九条です。


 
 
 
 
 
 
SAKURA TERRACE THE ATELIER
京都市南区東九条北烏丸町1-1

JR京都駅下車 徒歩約6分
市営地下鉄九条駅下車 徒歩約2分
近鉄電車東寺駅下車 徒歩約10分

SAKURA TERRACE THE ATELIER – 公式