夏越祓の茅の輪をまたまたまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。

2014年6月30日(月)


夏越祓の茅の輪をまたまたまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。

熱いお茶で、みなづきをいただいてると、月日の経つのは、なんと早いもんやろうと、しみじみこたえて
くる。ついこの間、お雑煮を祝うたと思うているのに、知らん間に夏越の祓となって、半年の、なんと短
かったことやろう。なんにもせんうちに、わたしにも白髪がふえだした。
大村しげ 『京暮し』

ほんわかしてるようで、実は高速かつ硬質な大村しげの文章が描破してるように、
時の流れの速さに恐怖さえ感じる今日この頃、暇丸出しな当サイトでも季節は超高速でめぐり、
勝手に恒例化してる夏越の茅の輪めぐりも、2014年度版が早くもやって来てしまいました。
正月からの半年間でこびりついた魂の穢れを、神社に設置された茅の輪をくぐることで祓い浄め、
暑さ+疫病の脅威が本格化する厳しい夏を乗り切ろうという古来からの慣わし、夏越祓
うちでは、腐った欲求各種を持て余す己が存在の膿の大掃除 or スピリチュアル・デトックスに加え、
普段は記事で訪れる機会のない、小さいというか地味というか、そんな神社への訪問を兼ね、
毎年あちこちの社に設置された茅の輪を探し求めてはくぐりまくり、溜った穢れを祓い倒してきました。
2011年は市バス一日券を使って、京都市内の各神社をランダムかつノーコンセプトに徘徊。
2012年は一転して全行程を徒歩にして、東福寺から西陣周辺までを、やはりノーコンセプトに徘徊。
そして2013年はまた徒歩で、右京区をローラー的に回り、最後はまた西陣へ着く感じで徘徊。
で、2014年の今回は、やや手薄になってる感のある東北方面を攻めてみることにしました。
京阪三条駅から出発し、東大路通&白川通を縦軸として、あちこちをダラダラとうろつき回ってます。
果たして私は、穢れを見事祓った清い体&魂で、熱いお茶&水無月を頂けたりするのか。
それとも、穢れと共に無意味な徒労がバンバカ蓄積し、頭に白髪が増えるだけで終わるのか。
蒸した空気を日光が時折暖めるような不快な天気ですが、さあ、出発しましょう。


というわけで13時に三条駅を出て、若者の多い土下座像前で徘徊出陣を誓うこと、しばし。
どこへ行こうかな。東北方面を攻めることは一応決めてますが、進行ルートは特に決めてません。
とりあえず混雑を避け若松通へ進みましたが、その途中、近くに大将軍神社があると思い出しました。
茅の輪、あるかな。多分ないけど、行ってみるかな。と、紫陽花を見ながら裏道を歩くこと、しばし。


若松通を東へ数分歩き到着した、中将軍っぽいけど大将軍の、大将軍神社
平安遷都時、都を守護する大将軍神社が四方に建てられましたが、こちらは東南を護る大将軍。
この辺は、京の七口の一つ&東海道起点である三条口に相当するため、方除けの信仰もまた篤し。
一番風呂ならぬ一番祓いを頼める霊力に満ち溢れてそうですが、さて、茅の輪はあるでしょうか。


茅の輪、ありました。正直、全然期待してなかったので、嬉しくなりました。すんません。
ほぼスタンドアローン型の輪で、一番祓い、行かせてもらいます。ちとせのいのちのぶというなり。
客は、近所の人らしき妙齢女性が、2人。2人共、茅の輪のことを知ってて参拝しに来た印象はなし。
ネイティブな信仰が生きてる神社、という感じでしょうか。境内では、神事の準備もされてました。


幸先の良いスタートが切れたと喜びながら大将軍神社を出て、東大路通へ入り、北上。
途中、満足稲荷神社に遭遇しました。秀吉が、文禄の役の戦勝に満足して作ったという稲荷です。
茅の輪は、なし。張り紙を見ると、大祓式はやるらしいですが。その時に、茅の輪は出るんでしょうか。
ただ16時半は先過ぎるので、満足できないまま、次へ。岡崎へ入り、平安神宮へ向かいます。


で、平安神宮。一気にベタな観光客が増える、説明不要の超ベタスポットであります。
茅の輪、これだけ巨大な神社ならあって当然と思ってましたが、実際に来るとやはり、ありました。
が、現物は見たことがなかったので、ひょっとすると超巨大な輪でも出すのかと思ったら、割と普通。
え、茅の輪、見当たりませんか。あるでしょ、応天門のど真ん中に。人間が歩いて通る所に。ほら。


ね、こんな感じで。応天門の巨大な柱に、ところ天の如くがっつり固定されてます。
ただ左右が開いてるので、メビウスくぐりは可能。私もメビウスで、ちとせのいのちのぶというなり。
もちろん周囲は、観光客ばかり。中高年や外人のツアー客が、くぐり方のレクチャーを受けてました。
茅の輪が目当てでやってきた客は、あんまりいない感じでしたが。混雑は、普段並みでしょうか。


それでも中国人団体はバスからバンバン降りてる駐車場を通り過ぎて平安神宮を辞し、
排ガスにやられながら健気に咲く紫陽花を愛でつつ丸太町通へ出て、次に寄ったのは御辰稲荷
「京都の秘石」 と大書された看板と、近所の八つ橋名店による奉納提灯が、インパクトのある社です。
商売繁盛や芸能上達、そして願望 「達」 成の願掛けが多いことで知られますが、茅の輪は、なし。


御辰稲荷の横を北上し、節分の際に懸想文を買いに行った須賀神社にも寄りました。
「交通神社」 の別名&別神&別御利益でも知られる社ですが、茅の輪は人用も車用も、共になし。
交通神社とのWネームになる前は、岡崎神社 = 東天王社と対を成す 「西天王社」 だった須賀神社、
現在地へ移転する前は吉田神楽岡にあったそうなので、次はその吉田の吉田神社へ来ましたよ。


吉田神社、保育園帰りの子供の間を抜けて境内へ上がると、茅の輪、ありました。
脇に持ち帰り用の茅が用意された、スタンドアローン型。輪の形そのものも、どことなく美しいです。
「流石は吉田神道のホーム」 と、よくわからん感慨を抱きつつ、私もメビウス状にくぐらせて頂きます。
ちとせのいのちのぶというなり。くぐった後、何か凄く疲れました。ので、休憩所で休むこと、しばし。


人形も吊され、やたらパワーが強そうな、茅の輪。疲れたのは、パワー負けでしょうか。
他の客は、茅の輪目当てらしき地元の妙齢女性たちと、普段からお参りしてそうな近所の老人。
境内では、神事の準備をする神職が動いてましたが、夕方辺りから大祓関係で何かするんでしょう。
帰りがけ、もしやと思い菓子神社・山蔭神社・大元宮にも寄りましたが、いずれも茅の輪は、なし。


摂社巡りのついでといっては失礼ですが、近くの宗忠神社竹中稲荷にも寄りました。
宗忠神社は、 「天命直授」 で知られる幕末の新宗教・黒住教の教祖である黒住宗忠を祀る神社。
公豪の信頼を獲得し、孝明天皇の勅願所になったり、二条関白家の神明宮が移建されたりしてます。
竹中稲荷は、幼稚園の子が参拝に来てるような、渋くて良い社。あ、茅の輪はどちらの社も、なし。


吉田山荘の求人広告を横目で見ながら神楽岡を下りると、日吉神社の猿に遭遇。
真如堂の鎮守だった社で、御覧の門前猿と本殿前の猿がいい味出してますが、茅の輪は、なし。
日吉神社を出た後はそのまま白川通へ出て、今出川まで北上した所で右折、哲学の道へ進入です。
駐車制限台数を守ってるかどうかは知らないタクシーを見つつ、銀閣寺方面へ特攻をかけます。


「行くぜっ」 と気合いを入れて突入したら、もう16時なので特に混んでなかった銀閣寺道を歩き、
空いてるなら門前の茶屋でかき氷食うかと迷いつつ、その茶屋前を左折して着いたのは、八神社
大文字を主催する浄土寺の元鎮守です。暗い参道を登った先に本殿がありますが、茅の輪は、なし。
また銀閣寺前まで戻り、またかき氷を食うか迷った末やめ、また哲学の道を歩き、また白川通へ。


白川通を少し北上し、郵便局のある交差点で山中越え方面の志賀越通へ右折、
宅地の中に古い倉が混ざるのを眺めながらやって来ました、北白川の産土神・北白川天神宮
産土神ながら、江戸期は親王が入寺した照高院が建つなど、やんごとなき由緒も持つ社であります。
それ故か、鳥居前の石橋+庭が異常に立派。で、夏越ポスターが示す通り、茅の輪、ありました。


サイズ的な都合でしょうが、何となく処刑チックに石鳥居へ固定されている、茅の輪。
メビウスくぐりも何とか出来そうですが、無理せず普通に行きます。ちとせのいのちのぶというなり。
輪の先には石段があり、その先に本殿あり。夜に神事があるらしく、椅子などの準備が進んでました。
客は、地元風の妙齢女性が2人。あと、門前では地元風のおっちゃんが掃除中。正に、氏神です。


次は田中神社へ寄ってみようと思い、白川通へ戻り、ガケ書房を見ながらしばし北上。
そういえば水無月、どうしよう。手頃 or ネタになりそうな和菓子店 or 饅頭屋に、出くわしません。
何も食ってないので腹が減り、天下一品総本店の看板が眩しく見えます。ベッキーの笑顔も、眩しい。
と、食物に気を取られてたら、田中神社の方向を間違えてると気づき、今度はしばし南下+西進。


叡電沿いの道を南下、元田中駅からニュッと御蔭通へ出た所で到着した、田中神社
御蔭通にある通り、下鴨神社との関わり、深し。かつてこの辺は、下鴨の祢宜家が領有してたとか。
賀茂県主の祖霊を祀る社が建立され、その社の荒廃後、現在の田中社が氏神として建ったそうです。
茅の輪、ありました。見えるでしょうか。神事の前後のようで、近所の中高年と子供が集まってます。


本殿前で、写真を撮りづらいくらい参拝客に囲まれてる、スタンドアローン式の茅の輪。
かなりなアウェーですが、メビウスくぐりで行かせてもらいましょう。ちとせのいのちのぶというなり。
本殿提灯は、下鴨の三葉葵紋入り。私は全然気づけませんでしたが、拝殿の瓦紋も三葉葵紋入り。
下鴨の旧社殿が寄贈されたとか。御蔭祭の際に感じた、下鴨のアーシーな側面を思い出します。


御蔭祭のことを思い出したら、その際の路次祭@赤の宮神社のことも思い出しました。
下鴨神社の雅な神幸列が、アーシーな祭全開な赤の宮へ立ち寄って舞楽を奉納する、アレです。
田中神社と赤の宮は、近所。下鴨絡み故、茅の輪も多分あると踏み、叡電沿いを今度は北上します。
疏水とクロスする辺まで歩いた所では、クロスポイント付近に咲く花&地蔵を眺めること、しばし。


叡電沿いから疏水沿いへ入り、右手に鳥居が見えた所で曲がったらある、赤の宮神社
田中神社が下鴨神社と旧縁を持つのに対し、こちらは近代に入って下鴨の摂社になった社です。
本名は石標にある通り、賀茂波爾神社。波爾とは即ち、埴。埴とは即ち、赤土。赤土とは即ち、粘土。
土壌を司る神として古来より崇められ、家の増改築の際にこの社の砂を求める参拝者もあるとか。


茅の輪、予想通り、ありました。輪の横の空きが若干狭いですが、スタンドアローン型。
体を平べったくして、何とかメビウスくぐりでくぐらせてもらいます。ちとせのいのちのぶというなり。
神事の前後らしく、礼服姿の地元おじさんの姿、あり。本殿へ向かわれる際、茅の輪を避けてました。
何か意味あるんでしょうか。何度も何度も過剰にくぐりまくるのは、やはりよろしくないんでしょうか。


疑念に駆られながら赤の宮を出ましたが、こんな疑念こそ、夏越の呪力で祓うべし。
というわけで、茅の輪をさらに求めラーメン屋や古本屋が並ぶ道を東進、八大神社へ向かいます。
戻り松の手前、一乗寺中谷が水無月の幟を立ててたので買おうかなと思うも、高価そうなので日和り、
でもここで買っとかないと店はもうないぞと迷いながら八大神社へ到着すると、茅の輪は、なし。


八大神社を出て、いい加減この辺で打ち止めにしようかと思いながらも惰性で北上、
道を見切った地元車が爆走する曼殊院辺りの狭い道を抜け、鷺森神社へ着くも、茅の輪は、なし。
鷺森神社、何故か独なおじさんがひとりで拝んでました。私と同じく、茅の輪をくぐりまくってるのかも。
そうだ、私はひとりじゃないんだ。と、狂った感慨を抱きつつ、夕陽に染まる水田の横を惰性で北上。


無意味に北上を続け、バス停からしきりに誘惑を受けるようになった、19時半の白川通。
帰ろう。もう、帰ろう。こんな下らないことに、何の意味があるんだ。帰ろう。いい加減、もう、帰ろう。
そんな声がバス停からはっきり聞こえましたが、聡明なる私は、それが幻聴であることを知ってます。
騙されないよと、別の幻想原理で幻聴を却下。さらに北上を続けてると、三宅八幡へ導かれました。


「虫八幡」 とも呼ばれる疳の虫除けの御利益、そして鳩餅でも名高い、三宅八幡宮
しかし、やたら長い参道を歩いて到着した境内は、もう真っ暗。人も鳩も餅も虫も、一切気配なし。
茅の輪、あるわけない。あっても、もう片付けてる。そう思いながら本殿を覗くと、茅の輪、ありました。
本殿の奥の方にあるので、飾ってるだけかと思ったら、ちゃんとくぐれます。意外。そして、感動。


茅の輪の手前には、丁寧にメビウスくぐりの手順を書いた有り難い看板まで、あり。
流石は、幼少の明治天皇の病を祈祷で治した社です。私も無論、メビウスで行かせて頂きましょう。
狭い本殿前の隅に配置された盛り砂を、崩さないよう気をつけながら、ちとせのいのちのぶというなり。
締まった。この僥倖で見事に、締まった。2014年の茅の輪くぐりまくり、これにて〆でございます。


〆とかいいながら、近くの崇道神社も気になったので、一応寄ってみること、しばし。
茅の輪は、なし。御蔭神社も寄ろうかと思いましたが、生きて帰れないと困るので止め、帰ります。
あ、水無月、買ってなかった。叡電八瀬駅へ入った時、気付きました。一乗寺で買っとけばよかった。
代わりに飲むアイスを買い、白髪が増えた筈の頭へ冷気を沁ませながら電車を待つこと、しばし。

客層は、平安神宮を除けば、どこもほぼ地元の中高年しかいません。以上。
プレッシャーは、皆無。住宅地が多いので、他のエリアより道中は若干つまらん感じでしょうか。
一応当たり前のことですが言っておくと、この距離を歩くのは、ごく普通にしんどいです。

そんな夏越祓の茅の輪くぐりまくり。
好きな人とくぐれば、よりちとせのいのちのぶというなりなんでしょう。
でも、ひとりでくぐっても、ちとせのいのちのぶというなりです。

夏越祓の茅の輪をくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2011 前編)
夏越祓の茅の輪をくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2011 後編)
夏越祓の茅の輪をまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2012)
夏越祓の茅の輪をまたまたくぐりまくりました。もちろん、ひとりで。 (2013)

【茅の輪のあった神社のみ】

大将軍神社
京都市東山区長光町640
拝観自由

市営地下鉄 東山駅下車 徒歩約4分
京阪電車 三条駅下車 徒歩約4分

大将軍神社 – 京都観光Navi
大将軍神社 – 京都風光
 

平安神宮
京都市左京区岡崎西天王町97
6:00~18:00

市バス 美術館・平安神宮前下車 徒歩約3分
市営地下鉄 東山駅下車 徒歩約10分

平安神宮 – 公式
平安神宮 – Wikipedia

吉田神社
京都市左京区吉田神楽岡町30
拝観自由

京都市バス 京大正門前下車 徒歩約5分
京阪電車 出町柳駅下車 徒歩約15分

吉田神社 – 公式
吉田神社 – Wikipedia
 

北白川天神宮
京都市左京区北白川仕伏町42
拝観自由

京都市バス 北白川校前下車 徒歩約5分
京阪 or 叡山電車 出町柳駅下車 徒歩約30分

北白川天神宮 – 公式
北白川天神宮 – 京都観光Navi

田中神社
京都市左京区田中西樋ノ口町1
拝観自由

叡山電車 元田中駅下車 徒歩約3分
京都市バス 飛鳥井町下車 徒歩約3分

田中神社 – 京都観光Navi
田中神社 – 京都風光
 

赤の宮神社 (賀茂波爾神社)
京都市左京区高野上竹屋町36
拝観自由

叡山電鉄 一乗寺駅下車 徒歩約6分
京都市バス 一乗寺赤ノ宮町下車 徒歩約2分
京都バス 赤の宮下車 徒歩約3分

賀茂波爾神社 (赤の宮神社) – 京都観光Navi
賀茂波爾神社 (赤の宮神社) – 京都風光

三宅八幡宮
京都市左京区上高野三宅町22
拝観自由

京都バス 八幡前下車 徒歩約1分
叡山電車 八幡前駅下車 徒歩約2分
京都市営地下鉄 国際会館駅下車 徒歩約15分

子どもの守り神 京・洛北 三宅八幡宮 – 公式
三宅八幡宮 – Wikipedia