笠置山もみじ公園のもみじライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2018年11月18日(日)


笠置山もみじ公園のもみじライトアップへ行ってきました。もちろん、ひとりで。

笠置といえば、何といってもまず、笠置山です。そして、そこに建つ笠置寺です。
大友皇子が再訪時の目印として巨岩に笠を置いたことから、その名が付いたという、笠置山。
標高こそ289mながら、至る所に巨岩が露出するその姿から、古より信仰を集めてきた霊峰であり、
また無論、後醍醐天皇が鎌倉幕府を倒した元弘の乱に於いて、挙兵地となった山でもあります。
で、そんな笠置山に鎮座するのが、大友皇子が掘らせたという磨崖仏を本尊とする、笠置寺。
平安期は天皇や藤原氏からの信仰を獲得し、鎌倉期は戒律の復興者たる貞慶を得て隆盛を誇り、
また仏教伝来前の巨石&山岳信仰も含め、生々しい信仰の息吹を今に伝える名刹であります。
共に、笠置へ訪れた際は、必ず出向かわなければならない地です。スルーは、断じて許されません。
が、この3か月前に花火を観に笠置を訪れた際、私は笠置山登頂&笠置寺参拝を、忌避しました。
理由は、登るのが面倒臭かったから。徒歩で登るには、参道の坂がとんでもなくきつかったから。
当日は真夏+激暑で、絶対に汗だくになると思ったから。車がないと絶対に無理と思ったから。
いや、仮に車があって登れても、あの日は花火の超大混雑で、笠置から多分出れなかったから。
といったわけで、結局は花火の反響音に山の存在を感じただけで、この地をトンズラしたのでした。
いけません。歴史の重みと浅薄な享楽を常に体感的に併せ飲む当サイトが、これでは、いけません。
何より、山が私を呼んでるのが、聞こえる。笠置山が、私を呼んでる。笠置寺が、私を呼んでる。
あの背後霊みたいな磨崖仏が、南の彼方から 「挨拶はないのか」 と私を呼んでるのが、聞こえる。
と、霊が高まったので、気温が下がった秋、私は笠置山へ改めて挨拶しに行くことにしました。
笠置山、霊峰としても名高いですが、春は桜、そして秋は紅葉の名所として有名だったりします。
おまけに、紅葉が集結する山中のもみじ公園は、11月の夜間にライトアップも実施。いい感じです。
ので、霊気が高まる夜に、紅葉が色づく笠置山へ赴いてみました。今度は、自力で登山して。
磨崖仏だって、拝んだに決まってるのです。拝んでなければ、おかしいのです。


で、17時過ぎ、花火の時と同様にJR関西線加茂駅で気動車に乗り換え、次の笠置駅へ。
車内はそれなりに埋まってますが、大半は通勤・通学・用事の客。観光・紅葉客に見える姿は、なし。
そのうち笠置駅へ到着しましたが、私の他に降りた客はいずれも、バラバラの方向へ帰って行きます。
ライトアップ、本当にやってるのか。と、不安になること、しきり。駅舎には紅葉デコ、出てますけど。


不安な気持のまま駅を出て、しばらく歩くと、ライトアップ看板あり。やってるみたいですね。
ただ、看板はあるけど、店などは全くなし。夏に来た時もなかったですが、あの時以上にありません。
あと、手持金が少ないのでATMに寄りたいんですが、それもなし。ほぼ真暗な中を、黙々と歩きます。
で、笠置山入口に到着。入口では、警備員が警備中。やってるみたいですね。今回は、登りますよ。


入口を通る際、警備員さんは 「お気を付けて」 。気を付けないと、登れない道なんでしょうか。
と思いながら参道に入った途端、先が真暗の激坂が現れました。確かに、気を付けないと登れない。
というか、気を付けても登れない。帰ろうかと思いましたが、しかし、山は呼んでます。ので、登ります。
路傍の山肌から突き出した巨岩に、笠置山を感じたりしながら、漆黒の中を黙々と登ること、しばし。


といっても実際は、街灯がある辺 or 車の通過時しか、山肌なんかまともに見えないんですが。
車は何故か、下坂車、多し。ライトアップやってるのかと、また不安になりますが、警備はしてますし。
警備員さんは何か所かにいて、 「お気を付けて」 「この先遠いけど」 などと声をかけてくれたりします。
確かに、遠い。そして何より、暗い。先刻はほぼ真暗とか思った街が、空を照らす様を視認できたり。


で、坂道を30分以上登ると、急に行灯が並ぶゾーンが現れました。車道終点&駐車場です。
笠置寺までは、まだ徒歩5分。ですが、この雰囲気だと、ここがライトアップ入口という感じでしょうか。
あ、案内板の猫は、ゆるキャラ・笠やん。観光客に太らされた挙句に死んだ案内猫が、モデルという。
気の毒であります。実に、気の毒であります。磨崖仏には、笠やんの冥福も祈らせてもらいましょう。


と、磨崖仏への想いも新たに坂を登り始めると、そんな思いを溶かす 「きじ料理」 の文字あり。
かつては笠置山中に幾つかあったという茶屋の中で、現在まで僅かに残る店のひとつ、松本亭です。
「釜飯、炊けてます」 という看板もあって、心が震えます。が、先述通り、手持金が少ないんですよね。
カード使えるか訊こうかと思いましたが、ここはやはり、仏が先。最後のきつい石段を登り、山門へ。


で、やっとこさ到着した、笠置寺の山門。結局、入口から40分くらいかかったでしょうか。
でも、自力での登山、しっかり成し遂げました。これから、じっくり拝んでいきたいと思います。


で、案内看板に案内されるまま境内を進んで、太子堂を拝む。


太子堂の先から続く山道を進みながら、霊気溢れる岩を拝む。


滑落したら確実に死にそうな崖を下り、その先の紅葉を拝む。


で、崖の下の小じんまりしたもみじ公園に着き、とくと眺める、紅葉。


寄って観ると、時期が早いのか遅いのか不明な色に思える、紅葉。


紅葉の樹はどれも背が高い為、見上げるように拝むの図。


高いので望遠で寄ると、やはり少し早かったかと思うの図。


でも、紅い所は実に濃く紅い紅葉を、観ること、しばし。


同時に、落葉は落葉で風流な様を、観ること、しばし。


ただ落葉はかなり多くて、やはり遅かったかもと思うの図。


落葉が積もる地面を観て、さらに遅かったかもと思うの図。


結局は全てライトの塩梅か、などと疑念を抱きながら眺める、紅葉。


しかしまた望遠で寄ると、やはり紅の紅さをしみじみと感じる、紅葉。


紅を浴びた目で改めて観ると、これはこれで美しい樹も拝む。


でもやっぱり、紅の紅さも捨てがたく、またも紅い紅葉を拝む。


そして〆の拝みとして、朽木を前景に、その先の紅葉を拝む。


で、拝むだけ拝んだら、帰ります。もみじ公園、紅の紅さが印象的な紅葉でありました。
とか思いながら、仕舞中の松本亭を横目に下山開始。あ、磨崖仏は、夜で閉まってましたよ。


で、下山。道は登山時と同様、真暗。巨岩も肉眼で見えない闇の中、孤独に歩むこと、しばし。
その様が不憫だったのか、途中、地元のお母さんらしき車が 「乗りますか」 と声をかけてくれました。
しかし、断ります。自力の登山は自力の下山で完遂されるもの。私は、初心を貫徹させてもらいます。
お母さん、すいませんでした。でも、お蔭で私は、笠置山の声に全身全霊で応えることができました。


と、余りに暇過ぎるので狂ったことを考えたりしながら、黙々と下り、数十分後に山麓へ到達。
こうして見ると、街がやはり明るく見えます。もっとも、木津~大阪方面の空はさらに明るいですけど。
入口を抜けて、歩いてみるとやはり真暗な街を歩いて、駅へ。ひとりのホームから気動車に乗ります。
と思ったら、何故かスーツ姿の外人達が駆け込み乗車。彼等も、何かで山に呼ばれたんでしょうか。

笠置山もみじ公園、客はほとんどいなかったので、客層はパス。
紅葉自体の質は、かなり良いと思います。量は案外少なく感じますが、色味は良い感じ。
また、到着するまでに体感できる危険感も、ある種の神聖さを感じられて、結構ナイス。
その分、本当に危険度は高いので、足回りの準備と足そのものの調整は必須です。
あと人力登山は、よほど物好きでもない限り、お薦めしません。疲労より、単に退屈という。
アクセスなどをトータルに考えて、ひとりに向いてる度は★★★でしょうか。

そんな笠置山もみじ公園の、紅葉。
好きな人と観たら、より笠置山なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、笠置山です。


 
 
 
 
 
 
笠置山もみじ公園
京都府相楽郡笠置町笠置山
笠置寺閉門後は入場自由

JR関西本線 笠置駅下車 徒歩約60分
 
 
笠置山自然公園 – 笠置町商工会
 
笠置寺 – 公式