石清水八幡宮の石清水祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。 【1】 イントロダクション

2011年9月15日(木)


石清水八幡宮の石清水祭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

石清水祭。
京都の裏鬼門を守護する八幡市の石清水八幡宮に於いて、毎年9月15日に行われる例祭です。
上下賀茂神社の葵祭、そして春日神社の春日祭と並び、
天皇陛下の使者である勅使がじきじきに差し遣わせられる三大勅祭のひとつであります。
別名、南祭。対応する北祭とは何かといえば、もちろん京におけるもうひとつの勅祭・葵祭。
この二つの勅祭、実に対照的だったりします。
白昼の都大路に平安絵巻を現出させ、巨大な観光資産でもある葵祭が「表」の祭りだとすれば、
観光客がアクセス困難な真夜中に、僻地にて行われる石清水祭は、いわば「裏」の祭り。
鞍馬寺のウエサク祭でさえ参拝客に考慮して早めに終了するこの御時世に、
日時変更一切なし、大雨食らいがちな季節なのに雨天順延もなしという、強気過ぎるスタンス。
人間よりも神の都合を最優先して斎行され続けてる祭りなのであります。

しょっちゅう書いてることですが、私は八幡市の住民です。
なので、この石清水祭も何度か見てます。が、肝心の祭儀そのものは見たことありません。
勅使参向の祭儀を見るには、奉賛金を払わなくてはいけないからです。その金額、5000円。
500円ではありません。5000円です。五千円。
普通なら即時撤退の額ですが、しかし今年は思い切って大枚払い、参列してみることにしました。
理由は、石清水祭に関する情報が少ないから。特に、参列の情報がすごく少ない。
単に需要がないからかも知れませんが、それならそれで新たに八幡の魅力を知ってもらいたい。
そんな思いで身銭を切り、見れるものを全て見てきました。
そしてその経験は、私の故郷に対する認識を大きく改めさせられるものでした。
このネタは、ちょっと真面目にやります。真面目かつ、しつこくやります。元出かかってますからね。
まずは前日の宵宮などをイントロダクションとして、お楽しみ下さい。


何となく登ってみた、14日、18時過ぎの石清水八幡宮、本殿前。
本当は何となくではなく、この時間に行なわれる外殿渡御祭の様子をうかがいに行ったんですが。
三座の御神霊を、内殿から外殿へ遷す秘儀、真っ最中。秘儀だから、もちろん、見れません。
何も見れないと知りつつ、でも何か見えるかもと思って行ったら、やっぱり何も見えなかったの図。


で、テクテク下り階段を歩き、下院、絹屋殿まで降りてきたの図。
石清水八幡宮についての説明、どれくらい必要なんでしょうか。
とにかく標高200m弱の山の上に立つ神社です。歩いて登ると、ちょっと、しんどいです。
で、その山上の神様が、山麓の下院・頓宮、すなわちここへ降りてくるのが、石清水祭。
微妙ですが、神聖なる盛砂がされてるのが、わかるでしょうか。崩れてるけど。


絹屋殿を遠くから見てみたの図。絹屋殿、祭りの時だけ設営されるものです。
御神霊の乗った御鳳董がここへ到着すると、勅使が御神霊を奉迎します。
傍には、真偽不明ながら、源頼朝お手植えの松。鎌倉から持ってきたとか。今のは、二代目。
そして、その松の木を組み込んだ参列席。いずれも、今はまだ子供のいい遊び場です。


15日早朝に行なわれる放生会の会場である、放生川と太鼓橋。
太鼓橋、正式名称・安居橋は、後ろの中村家住宅と共に、八幡の数少ない観光資源でもあります。
昔は草ぼうぼうのドブ川だったと記憶してますが、すっかり綺麗になりました。
あ、ちなみにこの辺、京阪八幡市駅から南へ歩いて5分くらいのところです。


頓宮と放生川の間の通りには、14日と15日の両日、縁日が立ちます。
これが見事なまでに、子供天国。9割方が15歳以下とも思える、非常に偏った客層となっています。
高校生とかカップル、いません。大人はたいてい、小さい子の親。
足ができる歳になると、みんな外へ遊びに行くんですよね。八幡って、そういうとこ。


黄色い車ですっかり有名になった、ホットドッグの風月堂。
石清水祭の縁日では、大昔からの常連です。以前は、確か一の鳥居の横が定位置でした。
貧乏人の子には高嶺の花でしたが、現在では常時行列でこれまた高嶺の花。
このあと、「涼しくなるまで休みます」という衝撃的なコメントを残して、
無期限夏季休暇へ入っていた和菓子屋・みささ堂が復活してるのを確認してから、一旦帰宅します。


帰宅すると、参列の用意です。案内状やら参列券、式次第などを確認します。
石清水祭の参列、当日フラッと行ってもできません。
事前に社務所へ連絡して案内を送ってもらい、10日必着で祈祷用の氏名年齢を返信。
次いで、同封の振込用紙で奉賛金5000円を郵便振り込み。クレカとかネット決済とか、なしです。
最初の連絡は、メールでOK。撮影の可否も訊いたら、非商用・ノーフラッシュなら、OK。
あと一応ですが、ドレスコードっぽいの、あります。神様の前ということで、あんまりラフなの、駄目。
実際にはTシャツ短パンとかいましたけどね。私はクールビズ程度で行きました。
あんまり気合入れると、特別参拝者の京阪とかパナソニックの偉いさんみたいで、バツが悪いですよ。


仮眠をとり、日付が変わってから家を出て、辿り着いた、15日0時45分の京阪八幡市駅前。
最終電車の客を、猫がじぃ~っと待ってます。
男山山頂へ上るケーブル乗り場は、改札を出た右、写真の左奥。
駅前には、何もありません。昼間でもかなり何もないところですが、深夜は全く何もありません。
ネットカフェ、なし。居酒屋、なし。カラオケ、なし。コンビニ、23時閉店。
電車で来られる場合、食事や風呂などは来る前に済ませておくことを、強く勧めます。
一応、人口7万の町の駅なんですけどね。八幡ってそういうとこ。


石清水祭に対応して、14日夜から15日朝まで終夜運転を行う男山ケーブル。
といっても、一晩中バンバカ運転されるわけではありません。
15日の0時台こそほぼ10分ヘッドですが、他の時間帯は一時間に数本、あるいは絶無。
特に1~5時台は厳しいです。便がない場合は、階段を登るしかありません。しんどいよ。


ケーブルの客は、少ないです。
どっちかと言えば、見る人より出る側の人を運んでることの方が多いかも。
何せ400人くらいが行列で出ますからね。見物人のトータルよりも多いんじゃないでしょうか。


「血の病院」の横を突っ切り、高低差82mの坂を疾走する、闇夜のケーブルカー。
実はその途中で、ケーブル船の橋としては日本一の高さを誇る「杉山谷鉄橋」を通ります。
が、高速運転+真っ暗なので、ほとんど何もわかりません。


約3分後、男山山上駅に到着。
ここから石清水八幡宮本殿まで、階段こそないものの結構、歩かされます。
神様的な都合上、参道の街灯は消されるので、懐中電灯を持ってた方が安全です。
私は、デジカメのモニタをライト代わりにして、歩きました。


午前1時、参列受付の石清水八幡宮青少年文化体育研修センターへ到着。
ここは勅使の斎館、すなわち宿泊所。我々一般参列者の仮眠所でもあります。
出迎えてくれた巫女さんが、あまりにも選りすぐり感が漂ってたので、思わず笑いそうになりました。
平民の仮眠所は男女別の雑魚寝部屋。まるでフェリーの二等船室ですが、布団はあり。
「くれぐれも場所柄をわきまえ、騒ぐことなどなきよう」と、ありがたくご注意をいただけます。


仮眠所、風呂とかはありません。多分。だから、全部済ませてから来た方がいいわけです。
何となく遠来で旅支度な感じの方が多いため、室内はよけいに二等船室感が増してます。
改めてもらった案内やら、直会の弁当引換券など眺めつつ、私も一時間だけですが、仮眠。
祭典開始は、もうすぐです。

石清水八幡宮・石清水祭【2】 神幸の儀-絹屋殿の儀 へ続く

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