2014年祇園祭・山鉾巡行の後祭巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2014年7月24日(木)


2014年祇園祭・山鉾巡行の後祭巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

このサイトでも何度か書いてますが、祇園祭の主役はあくまでも、神輿です。
山鉾巡行の果てしなき観光化+宵山の人間大密集のため、印象は薄いかも知れませんが、
17日の神幸24日の還幸こそが、祇園祭の最重要行事、スピリチュアル・コアなのであります。
そもそも山鉾巡行は、この神輿の巡幸路にいる疫神を集め浄めることこそが、本来の役目。
なので、本当は24日の還幸に於いても山鉾は、露払いとして巡行で道を浄めなくてはなりません。
が、その巡行すなわち後祭巡行は、2013年までの実に半世紀近くの間、無くなってました。
後祭。あとまつり。10基の山鉾による巡行が行われ、 「あとのまつり」 の語源ともされる、後祭。
そんな後祭は1966年、交通や観光への配慮で山鉾巡行が前祭の17日へ統一されたため、消滅。
以来、この合同巡行は48年に亘って続き、24日に山鉾が建つことは長らくなかったわけです。
半世紀近い時間が経過する間には、後祭を知らない世代も、大量増殖。というかむしろ、主流化。
「山鉾巡行 = 17日」 以外の認識を持ってる人は、現在では少なくなっているのも現実でしょう。
しかし、祭の当事者の方々は当然というか何というか、後祭の復活がずっと悲願であり続けたようで、
特に2010年以降になると、まるで不況に反比例するかの如くその動きが活性化+具体化。
再建が絶対に無理と思われていた後祭の最後尾・大船鉾が、まず150年ぶりに復活してしまい、
後祭そのもの復活も、2014年、ジャスト半世紀から少しフラゲする形で成されてしまったのでした。
というわけで、復活したその後祭巡行、特攻であります。先週の前祭に続き、特攻であります。
が、そもそも 「特攻」 となる混雑が生じるほど、人は来るのか。10基による巡行に、人は来るのか。
そもそも巡行自体、どうなるのか。 「新設に近い」 とも言われる巡行自体、どうなるのか。
単に、前祭と同じ混雑が出来するのか。それとも、今まで見たことのない景色が現出するのか。
その辺を目撃し、またも歴史の一証人となるべく、週跨ぎで追尾してみました。


朝8時に京阪祇園四条駅へ着き、山鉾町へ向かう途中、御旅所前へ立ち止まるの図。
駅周辺の雰囲気は、完全に日常のまま。たまに浴衣の女の子を見ると、違和感を憶えるほどです。
四条河原町交差点には、コーナーに陣取る中国人団体こそいましたが、四条通自体の祭感は希薄。
三基の神輿が安座する御旅所 aka 四条センター aka Otabi Kyoto も、御覧のような静けさ。


四条烏丸まで来ても、警察の規制テープが貼られてるのを除けば、祭の気配は特になし。
後祭、まだ馴染みが薄いのかも。そういえば宵山では、客寄せでスタンプラリーとかもやってたし。
いや、ここは巡行のゴール場所にあたるので、単にまだ規制する必要がないだけかも知れませんが。
後祭巡行は、前祭の逆で右回り。故に、前祭のスタート地点であるここが、ゴールとなるわけです。


四条烏丸を越えて、後祭の主役とも言える大船鉾が進む四条町へ行くと、鉾の姿、なし。
あれっと思い新町通の北側へ振り向くと、大船鉾、既に出発。通を、北上してました。結構、早い。
後祭の10基の山鉾は、烏丸御池をスタート地点として集合、御池通を東進して河原町御池で右折し、
河原町通を四条河原町まで南下、四条通を西進した後、さっきの四条烏丸へ戻るというわけです。


北上する大船鉾を、真近で見るの図。やはり、威容。通の家々からの歓迎も、篤し。
唐櫃巡行の際も感じたことですが、大船鉾、ホーム以外でも復帰が喜ばれてると、強く感じます。
あ、後祭の復活、旧ルートの復活も視野に入れてるそうで、三条通&寺町通の調整も考えてるとか。
御覧のカッツカツ巡行、案外早い時期に三条通や寺町通でも拝めるようになるかも知れません。


で、御池通に進入し、恐らく復活して最初の路上辻回しを行う大船鉾を眺めるの図。
それにしても御池通へ出た途端、見物客、多し。誰だ、人が少ないかもとか言ってたのは。私か。
御池通、前祭より歩行者スペースが少ないとも思えんので、単純に客が多いということなんでしょう。
歩きにくさは、先週に負けてません。 「特攻」 らしくなって参りました。では追尾、始めましょうか。


辻回しする大船鉾を借景に、御池通を東進する、北観音山


集合場所の烏丸御池へ向かう、役行者山浄妙山北観音山+橋弁慶山


9:30、何のアナウンスもなく、橋弁慶山を先頭にダラダラっと巡行を開始した、山鉾。


車屋町通の道標を借景に、橋弁慶山


御池通のビル街と、通に集まる客を借景に、北観音山


御池中学校と、通に集まる客を借景に、八幡山


富小路通の道標を借景に、浄妙山


ホテルオークラと、通に集まる客を借景に、北観音山


河原町御池の交差点で、北観音山を借景にグルグル回る、八幡山


京都市役所と大量のカメラを借景に、鈴鹿山


スギ薬局京都市役所前店を借景に辻回しを決める、南観音山


で、河原町通を追尾しようとしましたが、三条河原町方面が異常な混雑なので回避し、
寺町通でショートカットしようとしたら、アーケード街を北上してる花傘巡行の先頭に遭遇しました。
花傘巡行。1966年の後祭消滅の際、代替行事として設定された、古来の傘がメインの行装列です。
後祭の復活により、発展的に解消されるのかと思いきや、今年以降も継続されるようであります。


こちらも追尾したいですが面倒ゆえ、路地からチラ見だけしてやり過ごすの図。
花傘巡行、山鉾とは別行動のようです。通る物のサイズがあまりに違い過ぎるので、当然ですが。
将来、道路状況が変化すると、両者が有機的に結合して、新しい巡行が生まれたりするんでしょうか。
楽しみですね。ただ、そのため寺町通アーケードが無くなると、それはそれで寂しいし不便だけど。


で、ショートカットの寺町通から河原町通へ進入、追尾を続けます。まずは、役行者山
三条河原町も凄かったですが、河原町通の混雑、全体的に壮絶です。単純に、凄く歩き難いです。
何というか、がっついてる奴が非常に、多し。途中で興味減少+暑さで脱落する奴が非常に、少なし。
脱落するユルい人が少ない分、人圧的にも気の圧みたいなの的にも、混雑感がより強いというか。


そんな濃口な観客とジャンカラを借景に、鈴鹿山


四条河原町交差点で、人間の海の中へ泳ぐように雪崩れ込む、鯉山


淡水魚ながら人間の海交差点を抜け、悠々と四条通を西へ泳ぐ、鯉山


もはや完全に先週の混雑を凌ぐ人間を借景に、南観音山


やはり完全に先週の混雑を凌ぐ人間を借景に、黒主山


アルマーニを借景に、ラストスパートをかける、南観音山


ビルから巡行を眺める人々に何かを呼びかけてるかのような、役行者山


四条烏丸を抜け、ホームへ帰り始める黒主山などの山鉾。


そして12時、後祭最後尾の大船鉾が、四条烏丸へ帰って来ました。


四条新町で、恐らく今年最後の辻回しを決める、大船鉾


で、12時半、人間の川の中を進むようにして、大船鉾がホームへ帰還。
半世紀ぶりにめでたく復活した後祭巡行、これにて終了です。全ての疲れた方、お疲れ様でした。
私も、疲れました。例によって追いかけてるだけですが、凄く疲れました。なのでぼちぼち、帰ります。
それにしても、何故こんなに人が多いんでしょうね。大船鉾、またしても近づくことさえ出来ません。


帰る前に、前祭とは違う雰囲気が漂う片付け風景を、のんびり眺めて回ること、しばし。
大船鉾はあまりに巨大なため帰還に時間がかかってましたが、他の山は全て既にホームへ帰還。
13時を過ぎた頃には、早々に片付けられ跡形も無くなりつつある山、多し。御覧の浄妙山も、解体中。
疫神の吸引+回収+排除こそが、山鉾が持つ本来の役目。後祭でも、速攻解体は掟であります。


本義をとことん遵守するなら、解体された山鉾は、部品も徹底破棄されなければなりません。
しかしそれは無論、勿体なさ過ぎる。なので部品は、円山公園の倉庫や会所で保管するわけです。
が、山の場合、中央の真松だけはバッサリ解体。御覧の八幡山のように、切れ端を配ったりもします。
もらうと御利益ありそうですが、地元の八幡さんとバッティングしそうなので、スルーして帰りました。

後祭巡行、客層は、中高年がメインの烏合の衆という感じです。
平日なので当然とも言える層ですが、既に夏休みに入ってることを考えれば、
「後祭復活」 のアピールが中高年により深くリーチしてると考えられるかも知れません。
うるさ方というか、そこら中で嫁 or 夫に講釈を垂れてる中年夫婦、やたら、多し。
山鉾巡行は以前からこの手の連中が多いですが、この日は常軌を逸してるくらい、多し。
前祭からベタな団体観光客を抜き、そんな濃い連中ばっかりを団体投入したような層とでもいうか。
祇園祭の他の行事にはない独特の雰囲気、渋いのでなく変に濃い雰囲気が、漂ってます。
ただ、凄まじい混雑の人数には、地元民も多大に含まれてますが。観光:地元比は、4:6くらい。
「後祭ならゆっくり観れるかも」 と踏んだ地元客が多かったんでしょうか。自転車特攻も、やたら多し。
カップルは、さほどいません。少なくとも、問題になるようなボリュームではありません。
若者全般がこの感じで、混成はほとんどが中国人および外人のグループ。
単独は、カメ親父以外はチラホラしか見かけず。いても、地元の近所風。女性は特にそうでした。

そんな祇園祭の山鉾巡行後祭。
好きな人と観たら、より祇園会なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、祇園会です。

2014年祇園祭・山鉾巡行の前祭巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

山鉾を一切見ず2013年の祇園祭・山鉾巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
2012年の祇園祭・山鉾巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。【前篇】
2012年の祇園祭・山鉾巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。【後篇】
祇園祭の山鉾巡行へ行ってきました。もちろん、ひとりで。 (2011年)

【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:微
混成グループ:1(外人)
子供:0
中高年夫婦:3
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:3
単身女性:微
単身男性:1
【ひとりに向いてる度】
★★
体感混雑度は、前祭とさほど変わらない。
来年以降もこの状態が続くのかどうかはわからないが、
いわゆる 「山鉾巡行の混雑」 は覚悟しておくべき。
色気のプレッシャーやアウェー感は、全然なし。
独特の雰囲気が、楽しいかといえばかなり楽しくないが、
面白いかといえばかなり面白い。

【条件】
平日木曜 8:00~13:00


祇園祭・山鉾巡行 後祭巡行
毎年 7月24日 開催

市営地下鉄四条駅 or 烏丸御池駅
or 京都市役所前駅 下車
あるいは阪急烏丸駅 or 河原町駅 下車
もしくは京阪祇園四条駅 下車

人間だらけで近づけそうにないところへ、
無理矢理押し込んでいけば、
たぶん何かに辿り着く
 

祇園祭 – 祇園祭山鉾連合会 公式

祇園祭特集 – 京都新聞