清涼寺のお松明式へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
清涼寺のお松明式へ行ってきました。もちろん、ひとりで。
東日本大震災から、4日目。
発生当初は自粛ムード希薄、ライトアップ等も敢行していた京都ですが、
被害の未曾有な実態が判明するに連れ、後手後手的な中止や延期が多発。
こちら清涼寺のお松明式も開催の是非で議論があったようですが、とりあえずやるようです。
清涼寺。通称、嵯峨釈迦堂。
釈迦の生前の姿+内蔵まで再現した、本尊にして国宝、三国伝来の釈迦如来立像が、
貴族から庶民まで幅広く信仰を集め、今なお地元の方々から愛されてる寺です。
光源氏@源氏物語のモデル・源融の没後、その山荘に阿弥陀堂を建てたのに始まり、
東大寺の僧・奝然が宗より釈迦像を請来、弟子の盛子が安置して、寺名を清涼寺と改称。
鎌倉時代には融通念仏の中興者・円覚上人より無言劇・念仏狂言が伝えられ、
現在も京都三大念仏狂言のひとつ・嵯峨大念仏狂言のホームグラウンドとして、伝統を守ってます。
そんな清涼寺で行なわれるお松明式は、お釈迦様の入滅した日に行う、涅槃会の行事。
釈迦が荼毘に付された時の様子を模して、大松明3基を燃え上がらせるわけであります。
嵯峨大念仏狂言の無料公演も開催。トップ画像は、その写真です。
嵯峨といっても、嵐山の渡月橋からは相当離れたところにある、清涼寺。
昔は、廃線マニア御用達・愛宕山鉄道の釈迦堂駅があったそうですが、今はバスか徒歩のみ。
門の周囲には、地元ボランティアグループらしき募金。もちろん、東日本大震災のためです。
僧侶たちもずらりと並び、南無阿弥陀仏を合唱しながら義援金を募ってました。
セッティングされた今夜の主役、三基の大松明。
赤松の枯れ枝などを藤蔓で逆三角錐の形に整えた、直径2メートルの早稲・中稲・晩稲。
燃え具合で、農作物の豊凶を占います。また、本堂前の高張提灯の高低で米の相場も占うそうです。
松明を囲む形で並ぶ屋台は、小雨がぱらついてるのにも関わらず、大混雑。
本堂では、国宝である「生身の如来」、庭園、念仏狂言の面や衣装などが開帳されてます。
普段は拝観料が要りますが、本日は無料。といっても、夜なので庭園は真っ暗でしたが。
涅槃会なので、涅槃絵も御開帳。坊様による絵解きに、老若男女が熱心に耳を傾けてました。
で、松明の前に、本堂の西にある狂言堂にて念仏狂言を見物します。
通常公演は4・10月に行なわれる嵯峨大念佛狂言ですが、今夜はお松明式の特別公演。
昼間からの3回まわしで、これよりラスト公演である『土蜘蛛』、スタートです。
どうでもいいけど、ここだけ客層の年齢層が凄く高し。
土蜘蛛の呪いで伏せってる源頼光、そんな頼光を酒席で励ます、渡邊綱と平井保昌。
やがて頼光がひとりで寝込むと、土蜘蛛が襲撃。が、頼光はこれを撃退。
綱と保昌が追撃、どったんばったんと立ち回りの末、見事、土蜘蛛を征伐。そんな、話。
右が頼光。真ん中が平井保昌。左にいる笑顔を忘れた藤村忠寿みたいなのが、渡邊綱です。
念仏狂言。いわゆる民俗芸能です。念仏の布教のために催されたルーツを持ちます。
一般的な狂言がセリフ劇であるのに対し、こちらの狂言は無言劇。
国の無形文化財に指定され、地元有志から成る保存会によって伝統が守られてます。
ドバーっと吐かれる土蜘蛛の糸。吐くたびにフラッシュの嵐になるため、ほとんどの写真が真っ白。
この糸吐きの外にも、舞台から何度も飛び降りたりと、実に大衆芸能路線。
着替えの段取りミスまで笑いにするほど、無茶苦茶にくだけたノリで舞台は進行します。
土蜘蛛の首を叩き落とし、晒しまくる保昌。
土蜘蛛は、朝廷に逆らった土着の豪傑のメタファーとも言われてますが、
とにかくなかなかにワイルドでアグレッシブな見物でございました。
狂言が終われば、嵯峨各区の町名が書かれた高張提灯のお練を経て、いよいよ松明に点火。
火が正面から見れることもあって、本堂には物凄い数の人が座り込んでます。
もぐりこむことはもちろん、ちょっと近づくことさえ難しい感じの混み加減。
で、点火。だいぶ雨が降ってるにも関わらず、勢いよく炎上してます。
近くで見るのは無理だろうと思ってましたが、実際無理、傘さしてる人も多かったので、写真も撮れず。
チラ見の如き炎と、燃え残りの火で、燃え上がる松明をイメージして下さい。
開き直って、どんと後に下がって撮ってみた、本堂&松明。単なる火災にしか見えません。
あ、ちなみに撮ってるとこの後には湯豆腐屋があります。お金持ちの方は、どうぞ。
火の粉を散らしながら、燃え残りをやっつける人たち。それを見守る、京都市消防局員。
それを見届けて、私も帰ります。もちろん駅まで、歩いて。
客層は、地元の子供が圧倒的に多いです。
境内のそこら中に座りこみ、テキ屋ものを食いまくってます。ある意味、すごく正しい祭りの光景。
小学生、そして中学生。高校生はそんなにいないという感じでしょうか。
ヤンチャな子もちょこちょこといて、門脇には「青少年指導なんちゃら」という見張りおじさんの姿も。
カップル、いることはいますが、色気のプレッシャーを放つほどの存在感はありません。
観光客も同様に、影薄し。子供たちの影に隠れてます。
客の多くは顔見知りらしく、あちこちで挨拶しあう姿がいっぱい。
一大観光地・嵐山のすぐそばの寺ながら、実にローカルな雰囲気が溢れる祭りです。
ヤンチャな子たちの服装と言動に漂うDQN臭から、嵯峨の「京郊」ぶりも実感できるのでは。
単独は、おっさんカメラマンばかり。それ以外は、男女ともすごく少ないです。
マナーは、むしろヤンチャな子がしっかりしてて、カメラ持った爺さんがよろしくないんじゃないかと。
そんな清涼寺のお松明式。
好きな人と行けば、より涅槃でしょう。
でも、ひとりで行っても、涅槃です。
【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:0.5
男性グループ:0.5
混成グループ:若干
地元の子供:4
中高年夫婦:1
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:2(親子連れ多し)
単身女性:若干
単身男性:若干(おっさんカメラマン)
【ひとりに向いてる度】
★★★
色気のプレッシャーはないが、
子供のパワーには圧倒される。
子供が苦手な方には、しんどいかも知れない。
【条件】
平日火曜 18:00~21:00
清涼寺 京都市右京区嵯峨釈迦堂藤ノ木町46番地 9:00~16:00 (平時) JR嵯峨嵐山駅 徒歩15分 京都バス 嵯峨釈迦堂前 徒歩1分 お松明式 毎年3月15日開催 公式?(浄土宗のページ) 清凉寺 (浄土宗) wikipedia 清凉寺 嵯峨大念仏狂言公式 嵯峨大念仏狂言 |
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