法然院の春季特別公開へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年4月1日(金)

椿の散華でいっぱいの手水鉢
法然院の春季伽藍内特別公開へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

法然院。
哲学の道のすぐそばにあり、無料で拝観できる寺院として高い人気を誇る寺です。
といっても、ただ単にたくさんの人で溢れかえるわけではなく、ほどほどの量と質の人気を維持。
「タダでいろんなものいっぱい見れた~」というデフレで空虚な満足感でもなく、
「タダならまあこんなもんか」という物足りなさでもない、実にほどほどな充足感。
静謐な境内が生むそんな感慨が、良質の拝観客を呼び続けている寺なのであります。
何故ここが拝観無料かといえば、檀信徒からの浄財で運営される檀那寺だから。
要は、普通のお寺。なので、檀信徒さんの法要などを最優先するため、伽藍は通常非公開です。
一般参拝客である我々は、この寺の山門や前庭を見てるに過ぎません。
その山門と前庭のクオリティがあまりに高いので、おなかいっぱいになってるに過ぎません。
が、それでもやっぱり中も見たいという方々のために、春と秋には有料ですが特別公開を実施。
秋は紅葉、春は法然院名物の椿が活かされたビジュアルを楽しむことができます。
そんな、法然院の内側、行ってきました。


茅葺で数奇屋造りの山門。春の真っ昼間に見てもなお、無類の渋さを誇ります。
何ならもうこれだけで、おなかいっぱいいっぱい。

法然院境内・白砂壇
山門をくぐったところ。人が多し。でも空気が乱れる感じは一切なし。
皆さんカメラ持って人が通り過ぎるのを待ってますから、適当に撮ってさっさと退散するの図。
白砂壇、お花とくるくるが描かれてました。

椿
法然院名物、椿。あちこちに咲いてます。

放生池を泳ぐ魚
法然院名物、魚。方丈池をゆらゆらと泳いでます。

特別拝観入り口庭
特別拝観入り口で靴を脱ぎ、500円払って、伽藍の中へ。
職員ともバイトとも違う感じの若者が、不慣れだけど丁寧な応対をしてました。
椿の庭ではないもうひとつの方の庭を眺めながら、本堂へ向かいます。

撮影不可
まずは御本尊を拝みます。外にある地蔵菩薩像ときれいに向き合ってる、阿弥陀如来坐像。
そしてその前に配置された法然院名物・椿の生花を用いた二十五菩薩の散華。
ここの散華といえば椿のイメージが強いですが、ツツジや紫陽花、ムクゲなども使うそうです。
当然というか何というか、撮影不可。なので黒ベタの彼方に映像をイメージして下さい。

方丈庭園
伏見城にあった後西天皇第一皇女誠子内親王の御殿を移築した方丈と、その庭園。
池の彼方に彼岸をイメージさせる、浄土庭園。清泉「善気水」が、今なお絶えず湧き出てます。
方丈内には狩野光信筆と堂本印象筆の襖絵、「桃山の間」には障壁画もあり。
と、とんでもなくたどたどしい口調の青年が、とんでもなくたどたどしい解説をしてくれました。
もうひとりいた女の子は極めて頭も口も勘もいい感じで、
背後にある堂本印象の襖絵を見てるとすぐさま「最近のものなのでモダンです」と説明してくれました。

中庭
中庭。奥に見える食堂で、この庭を眺めがら無料のお茶がいただけます。
ポットに入ってるのを自分で手酌ですが、お茶そのものは善気水で淹れたレアものです。

三銘椿の庭
花笠椿・貴椿・五色散り椿が咲くという、三銘椿の庭。
あんまり咲いてませんね。

手水鉢前手水鉢
ご存知、椿の散華でいっぱいの手水鉢。
喪女感漂う女性二人組が「あざといな~」とか言いながら、デジ一でネチネチと撮影していました。

中庭
大書院を抜け、茶室から眺める中庭。
この茶室、いいです。何にもなくて狭くて古いだけですが、いいです。
大書院ではまた若い女性が説明をしてました。
話を聞いてると、どっかの大学の古美術サークルの人達だそうです。

法話中の部屋の前を通り過ぎる
「他力本願という言葉はよろしくないので仏力本願にしましょう」
みたいなことを話してる法話中の部屋の前を通り過ぎ、
R・D・レインとみつをみたいなのが入り乱れる掲示板の前も通り過ぎ、受付に戻って、おしまい。

閉門される山門
しばし境内をうろつき、講堂でやってた知らない人の知らない個展をチラ見して、帰ります。
もうすぐ閉門の16時。山門はジャストで閉められました。
大きく響く鐘の音に送られながら下山するのは、なかなか風情がありましたよ。

客層は、単独女性が老若問わず多いです。
女性グループも、やはり老若問わず多し。
ただし、観光丸出しという感じの人達はあまりいません。リピーターかあるいはコアな感じの方々。
カップルの姿、ほとんどなし。異常なくらい、いません。
あとは信徒さんっぽい家族連れと小規模中高年グループに加え、
カメラおじさん、そして若干頭のおかしそうな単独男性がいるくらいでしょうか。
ヒンヤリ、あるいは少しヒリヒリする空気が流れてますが、
そんな場所がお好きな方にはうってつけではないかと。

そんな法然院の春季伽藍内特別公開。
好きな人と観たら、より特別公開なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、特別公開です。

三銘椿の庭の砂

【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:2
男性グループ:若干(カメラおじさん達)
混成グループ:0
修学旅行生:0
中高年夫婦:若干
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:3
単身女性:3
単身男性:若干

【ひとりに向いてる度】

色気のプレッシャーはなし。
ただし、単独女性の放つオーラが、
別種のプレッシャーになってなくもない。
単に落ち着くというだけでなく、
微妙に張りつめた空気が孤独者には向いてるかも。

【条件】
金曜 14:00~16:00

境内

法然院
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
6:00~16:00
京都市バス南田町徒歩5分
浄土寺下車10分

注)方丈庭園、中庭の三銘椿等の拝観は、
春季と秋季の特別公開の期間のみ

公式サイト 法然院のホームページ

wikipedia 法然院