原谷苑へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。
原谷苑へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。
原谷苑。
今、京都で一番有名な桜の「穴場」かも知れません。
金閣寺の北、大文字山の西、戦後に外地からの引揚者たちが農地として開拓した地・原谷。
以前は荒地のまま放置されてた土地だったそうですが、入植民は何とか生活できるよう、改善。
やがてインフラが整いアクセスも向上すると、今度は宅地開発で一気に人口が流入。
今では、普通の住宅地+少し山の香りが残る感じになってる郊外なエリアであります。
そんな原谷で、個人の方が自身の農園にて数十年に渡り桜を育成したのが、原谷苑。
その育ち方と量が尋常ではないと口コミで名が広がり、桜の開花期間のみ一般公開を開始。
「ガイドブックに載ってない名所」を求める人が大挙して押し寄せるようになったわけです。
話題になってるのは、桜そのものだけではありません。独特な入苑料設定と金額も、しかり。
御存知の方も多いでしょうが、ここ原谷苑は、その日の開花状況によって入苑料を決めます。
もちろん、桜の状態が良いほど、高し。で、値段のMAXは、実に1500円。
おまけなどの類は、何もありません。おみやげも、なし。純粋に入苑料だけで、1500円。
もはや清々しささえ感じるほどの、ブッちぎり加減なのであります。
が、実際の1500円の桜は、そのマッシブな値段設定を凌ぐブッちぎり加減だったのであります。
わら天神から市バスのM1系統に乗って、原谷へ。
M1の「M」は、かつて走ってたマイクロバスの「M」。もちろん現在は、普通のバス車輌で運行。
バス停の時点で、すでに人はいっぱい。で、ほぼ全員が原谷苑へ行きます。
満員のバスは、とても市内とは思えない山道を疾走。
原谷農協前でバスを下車、ちょっと歩いて原谷苑の入り口に着きました。
開苑30分前の8時半で、10mほどの行列。早くも「車停められへんの?」な車の方を、見かけます。
係員の人が「今日、値段いくら?」「まだわからん」と話してました。
8:50分頃、行列のせいかどうかは知りませんが、フライング開門。
入苑料金は、MAXの1500円。子供料金が大人の1/3なのは、何故なんでしょう。
思ってたより商売っ気あるけど、どっちかとえいえばNPOとかの乗りに近い入り口を通り、苑内へ。
で、ドバーーーーーーーーーーン。
ドバーーーーーーーーーーーーン。
ドバーーーーーーーーーーーーン。
ボーーーーンボーーーーーーーーン。
グワッシャーーーーーーーーーーーーーン。
チュドーーーーーーーーーーーーーーーーン。
ヒュルルルルルルル、ボーーーーーンボーーーーーン。
1.3haの苑内あちこちで炸裂する、桜の大爆発。「シャワー」なんてもんじゃありません。
言語を絶する物凄さです。量も凄いが、密度も凄い。正に森林浴ならぬ、桜浴。
体感型の桜見物とでも言うんでしょうか、いわゆる「見る」ひま、なし。
じっと見入る前に、次が来る。それも、洪水のように来る。見てるこちらに、枝垂桜が直接触れてくる。
一瞬咲いてあっけなく散るような桜の儚さ、全然感じません。
生命力、超旺盛。しばらくしたらスイカみたいな実でもつけんじゃないかと思えるくらい。
しまいには「桜って、やっぱり植物だな」とわけのわからん感慨を抱くに至ります。
売店では、鯖寿司1500円、いなり寿司650円、ちらしずし800円、赤飯650円と、
やや強気気味な値段設定で食い物各種を販売しています。弁当の持込は、アウト。
店の人がわっさわっさと蒸篭で寿司などを運びこむ姿は、非常に風情がありましたが。
予約すれば、青山荘なる座敷(?)で、すき焼きなんかも食えるそうです。
親が丹波出身の私には、幼少の頃に食った田舎のすき焼きを思い出す光景であります。
美味いんですよ、丹波のすき焼き。肉もいいけど、タマネギとかが「生きてる」って感じで。
花疲れ or 桜疲れな気分で、帰ります。桜に「物理的に負けた」と感じたのは、初めての経験です。
「京都の人は、本当は濃い味が好き」みたいなことが、天下一品を例にしてよく言われますが、
ここの桜はさしずめ、そんな「隠れコテコテ」の花版みたいなもんでしょうか。
京都の一個人が自分の思うがままに桜を育てると、ここまで濃く、過剰になってしまうという。
京都らしさの真逆を行くような桜。ですが真逆ゆえに、あるいは京都らしい桜なのかも知れません。
壮絶な入苑料ゆえか、客層は完全に中高年メイン。若者は非常に少ないです。
マナーは非常に、良ろし。やはり衣食足りて礼節を知るということでしょうか。
夫婦率が高いですが、中高年女性グループも多し。子供をつれた家族連れは、割と少な目。
桜ハイではあるものの、観光ハイのうわついた感じはなし。阿呆がギャークソわめきちらすこともなし。
というか、そんな盛り上がりを許さない、有無を言わさぬ迫力が、花にあります。あり過ぎます。
単独は、女は特に腐でもディープでもない、ナチュラルに普通の独り旅感漂う人が多いです。
男はもっぱらカメラマン。
そんな原谷苑。
好きな人と行けば、より過剰なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、過剰です。
【客層】 (客層表記について) カップル:1 女性グループ:1 男性グループ:若干 (カメラマンのグループ。非観光) 混成グループ:若干 修学旅行生:0 中高年夫婦:3 中高年女性グループ:2 中高年団体 or グループ:3 (若い女を連れたグループを含む) 単身女性:若干 単身男性:若干 |
【ひとりに向いてる度】 ★★★ 色気のプレッシャーはなし。 人圧は凄いが、客筋がいいので、 これも特にプレッシャーにならない。 ただ、花の洪水そのものに、疲れる。 【条件】 |
原谷苑
京都府京都市北区大北山原谷乾町36
9:00~17:00
開苑期間は桜の開花状況により変動
京都市バスM1系統
原谷農協前 or 原谷終点下車 徒歩2分
公式 原谷苑・青山荘・村岩農園
Wikipedia 原谷 (京都市)