仁和寺の御室桜を観に行って来ました。もちろん、ひとりで。

2011年4月21日(木)

御室桜と御影供の列
仁和寺の御室桜を観に行って来ました。もちろん、ひとりで。

「私しゃ お多福 お室の桜 花は低ても 人が好く」。
仁和寺名物・御室桜の花の低さと、醜女の鼻の低さをかけて歌われた、俗謡です。
「お多福みたいな顔で御室桜みたいな低い鼻やけど、愛嬌あるからモテモテや」と。
あ、ちなみに「低ても」という表記に、送り仮名の脱字はありません。
「ひくても」とまんまで読んでも、よろし。あるいは「ひくぅても」と読んだら、なおよろし。
「ひくても」と読む場合、「ひくくても」から真ん中の「く」を抜くニュアンスではなく、
「ひくぅても」からちっちゃい「ぅ」を省略する気持ちで読むと、なおなおよろし。ほんまかいな。
土壌が固いのか粘土質だからか、とにかく3mくらいしか花の背が伸びず、
根元から枝が張るという特殊なビジュアルを誇る、御室桜。
江戸初期・寛永年間に現在の伽藍が再建されるのに合わせて植えられ、
後水尾上皇が観桜、のちに町人も花見するようになり、上記の歌も生まれたわけです。
満開の桜の中で五重塔が浮かぶビジュアルはあまりに有名ですが、
5月前でもまだ咲いてるという遅咲き中の遅咲きの点でもまた、有名。
正に京都の桜の見納め、というか最早、ロスタイム。そんな僥倖感溢れる桜を観てきました。

仁王門金剛力士
いつ見ても加減というものを知らない大きさを誇る、仁王門。
その内部から、呑気な花見客を「仕事せえや!!」と威嚇しまくる、眼光鋭き金剛力士像。

中門前の特設有料ゲート
普段は御殿や霊宝館以外は無料でうろつける仁和寺ですが、
御室桜が咲いてる間は中門以北が有料ブロック化。500円払って中へ入ります。
御室八十八ヶ所へ向かう西門も、しっかりゲート化。タダ見、無理です。

御室桜と五重塔
で、御室桜の中からニョッキリ生える五重塔。ベタショットであります。
「春はこの境内の奥に八重桜多し、洛中洛外にて第一とす、吉野の山桜に対すべし」。
江戸時代の京都本『京城勝覧』ではそこまで書かれた、国の名勝。

御室桜と五重塔と人間
同じく、御室桜と五重塔と人間。まだ朝9時半ですが、混んでます。
『京城勝覧』では、吉野云々に続けて「花見る人多くして日々群衆せり」と書かれてるそうですが、
正に、時をかける混雑。現場で体感できる混雑感は、写真どころの騒ぎではありません。

御室桜
御室桜、アップ。
遅咲き。何ていい言葉なんでしょう。今現在のふがいなさを昇華できる、夢のマジックワード。
いつか、咲く。大器、晩成。などと言ってる間に多くの人間は可能性の担保を腐らせるわけですが、
御室桜はあわてず、くさらず、自分のペースで今年もしっかり咲いています。

御室桜の桜園
そういえば、平成23年度より桜園での飲食が禁止になりました。
すき焼きを出す茶店が有名でしたが、寺側が「境内で肉食うな」と。
茶店側は「話が急」と、揉めてるそうです。誰ですか、もっと揉めろと面白がってるのは。

御室桜と五重塔を撮る人間
御室桜と五重塔を撮る人間。
しつこいですが、現場で体感できる混雑感は、こんなものではありません。
ただ、狭い桜苑に多くの人が密集してる割には、観光地のような殺伐とした雰囲気はなし。
どちらかといえば、地元の花見ののんびりしたテイストが漂ってます。

御室桜と五重塔を撮る人間②
何とか御室桜と五重塔を上手くフレームに収めようと、無限の後退を続けるカメラマン達。
それを背後で阻む、寺の壁。その下には、溝という伏兵あり。落ちると、怪我します。

ドウダンツツジ
桜疲れというか人間疲れというか、とにかく何か疲れたので、御室桜から離れます。
境内には他にも良さげな花が、いっぱい。

ミツバツツジ
仁和寺の春のもうひとつの名物・ミツバツツジ
桜も、ソメイヨシノなどのベタなものから普賢象まで、いろいろあります。

金堂
一応寺に来たんですから、一応やんごとなき仁和寺伽藍の数々も拝んでおきます。
しつこいようですが、このあたり普段は無料で見れますが、今はダメです。
私同様「一応見とくか」感溢れる人たちが集まる、元・御所内裏紫宸殿の金堂。

御影供の列
などと不届きな心で見物する輩を咎めるのように、列を成して現われた坊様集団。
今日は、21日。21日は、真言宗開祖・弘法大師空海の月命日。
御室派の大本山である仁和寺では、月並御影供が行なわれます。

御影供の列②
命日は正御影供、月命日は月並御影供。要は、御影を大師に見立てて供養する訳です。
TOP画像の坊様の行列は、もちろんこの御影供の列。
「今度石清水八幡宮へいらっしゃる際は、地元の私が案内します」と、心の中だけで言っときました。

客層は、中高年多し。ただし、中年・壮年は少なく、多くは老人。
暇な人が沢山来てる感じ。夫婦率が高く、団体率は低し。
観光ハイ丸出しの人は少なく、地元の会話が多く聞いたので、地元客多めという感じでしょうか。
カップル、極めて少ないです。いても、中年夫婦と識別できないようなのばっかり。
若者自体が少ないが、それ以上に少ないかと。
若年女性グループも、少な目。修学旅行生は、多し。
単独女性、多し。ガチガチのティープ・腐ではないが、普通な人でもない。もちろん、一眼率は高し。
単独男はほとんど、カメラマン。

そんな仁和寺の御室桜。
好きな人と観たら、より遅咲きなんでしょう。
でも、ひとりで観ても、遅咲きです。

御室桜と五重塔と人間②
【客層】 (客層表記について)
カップル:若干
女性グループ:若干
男性グループ:0
混成グループ:0
修学旅行生:3
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:1(若い家族連れなどをふくむ)
単身女性:1
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★
色気的には、プレッシャー全くなし。
ただし、人圧はかなり高いし、
カメラなしだと浮くといえば浮く。

【条件】
平日木曜 9:30~11:40

仁和寺
京都府京都市右京区御室大内33
3~11月 9:00~17:00
12~2月 9:00~16:30
京都市バス御室仁和寺前下車すぐ
嵐電北野線 御室仁和寺駅下車 徒歩2分

公式サイト 世界遺産 総本山 仁和寺

Wikipedia 仁和寺

仁王門の金剛力士と桜満開案内板