貴船もみじ灯篭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年11月27日(日)


貴船もみじ灯篭へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

もみじが誘う、恋の道。
「恋の道」と入力したら「鯉の道」と変換してくれたマシンを持つ独男の私には、
実に無縁極まるキャッチコピーを持つのが、貴船の秋の集客イベント・もみじ灯篭です。
春は新緑が輝き、夏は言わずと知れた川床、そして秋は美しい紅葉+冬眠前の熊出没注意と、
季節ごとに豊かな、時に豊か過ぎるほどの自然に恵まれる、京の奥座敷・貴船。
市街地より気温が数度低く、真夏でも涼しいことは有名ですが、そのぶん冬の冷え込みは、熾烈。
ぼたん鍋は美味くなるものの、「ひろや」のように冬季はまるっきり休業する店もあるほどです。
なので、秋の内にちょっとでも稼ごうと考えたのか、2002年から一帯で紅葉のライトアップを開始。
貴船神社貴船街道の飲食店街、そして貴船への重要なアクセス手段である叡山電車が連携し、
叡電沿線の「もみじのトンネル」から貴船神社奥宮までを、様々な電飾で盛り上げてます。
それが、貴船もみじ灯篭。それが、もみじが誘う、恋の道。
何故「恋の道」かと言えば、光りものへ蛾の如く寄りつくカップルがそぞろ歩くからではありません。
平安時代中期の女流歌人・和泉式部が、夫である藤原保昌との復縁を願い、
縁結びの神でもある貴船神社へ参拝する際、この貴船街道を通ったことに由来します。
「夫と疎遠になったのは、お前が他の男と遊び呆けたからだろ。それでも恋の道ってか」
などということは、大の大人が言ってはいけません。
また、どっちかといえば「恋の道」より、丑の刻参りで歩く「呪の道」がふさわしい気もしますが、
そういうことも、大の大人が言ってはいけません。


17時半ごろ、叡電で貴船を目指します。
乗り込んだのは、叡電自慢の観光客向けパノラミック車輌「きらら」ではなく、一般車輌。
派遣されてた臨時駅員から切符を買い、某軽音楽部のラッピングを見ながら、車内へ。


一般車輌とはいえ、もみじのトンネルは当然見えるため、車内はそれなりに混雑。
ラッシュというほどではないですが、椅子は全て埋まり、立ち客も多し。
市原駅二ノ瀬駅間のもみじのトンネルを通るときは、車内灯を消して、2分ほど超減速走行。


ジャスト18時に貴船口駅へ到着。
降りる客と乗る客でパンパンのホームを抜け、女子トイレに長い行列が出来てるのを見つつ、
バス乗り場をスルーして、暗闇の中を北へ向かい、ただただ歩く。
約2kmの道は点在するライトアップが美しいですが、それでも結構、暗いです。


時おり謎の野生動物の奇声を聞いたり、川を覗き込もうとして落ちかけたり、
車で特攻してきた馬鹿にはねられそうになったりしながら辿りついた、貴船飲食店街。
店は、その多くが夜間営業を行ってます。というか、夜間営業のためのライトアップなわけですが。
イベント連携で、1000円台から3000円台の特別メニューを出してるとこが多いかなと。


独男といえどその美しさに胸を打たれる、店先の紅葉たち。
ゆっくり写真でも撮りたいところですが、やはり特攻車輌Bチームがバンバカ突入。ままなりません。
あ、そういえば右源太などの大御所は、特にイベント用のメニューを店先に出すことなし。
もうちょっと安い喫茶店には、人がよく入ってました。


夜間営業中の、貴船神社・本宮。商売繁盛の芋洗い状態です。
混雑を面白がるのがモットーの当サイトですが、ここは狭くて逃げ場がないので、ちょっと、たまらん。
というわけで尻尾を巻いて逃げ出し、先に丑の刻参りの本場・奥宮へ向かいます。


本宮を越えると人は若干減りますが、「恋の道」な客層の基本線は変わりません。
夏に川床が設置されてたとこには照明や椅子などが置かれ、出入り自由になってるとこ、多し。
そこで戯れる「恋の道」な人民を眺めたり、あるいは一人で果敢に戯れてみたりしながら、
どんどん霊気漲るエリアへ入っていくの図。


ライトアップされた大木に何か刺さってないか確認しながら到着した、貴船神社・奥宮。
さすがは超メジャー級のパワースポット、いきなり超ワイルドな心霊現象が歓迎してくれます。
「よく来たな!!」、と。ピンボケではありません。あくまでも、心霊現象です。


奥宮は、ただライトアップするだけでなく、夢守火なる小技が盛り込まれてます。
夢守火。こう書いて「むすび」と読むんだそうです。そこんとこ、夜露四苦。
一本100円で献灯ローソク買って、奥宮名物・船形石に付けられた竹筒に献じるというもの。


『夢』 を託し 『守』 護を願う 『火』 、という意味が込められた、夢守火。
和泉式部が恋を願った火、義経が源氏再興を願った火と、違わぬ輝きを放ってるとかいないとか。
火元の忌火は、船形石の中。さすがはパワースポット、火が天上へ向けて吹っ飛んでます。
まるで神と人を結ぶかのように。ピンボケではありません。あくまでも、心霊現象です。


無縁に近い人生を送る私も、夢守火、もちろん献灯させていただきます。
本来は本宮でローソクを買うのが筋だそうですが、こっちでも売ってるので、関係ありません。
竹筒にローソクを固定するのが妙に難しく、竹筒自体を燃やしそうになりました。
これもきっと、心霊現象です。独男の悪しき心が、夢守火の神に嫌われたんでしょう。


霊気をたっぷり浴びてから、またしても大木に何か刺さってないかを熟視したり、
ひろ文「もみじ御膳」にちょっとだけ心を動かされたりしながら、戻ってきた本宮。
時間は19:50、もう空いただろと思ってたら、まだまだ全然、芋洗い状態。


素通りして帰ろうかとも思いましたが、それはそれで何か「呪」的に、怖い。
ライトアップは、21時まで。待っても減りそうにないので、根性決めて参拝に臨みました。
拝む奴より、水占みくじやってる奴らの方が圧倒的に多い境内で、さっさとお参りするの図。


龍船閣より、死ぬほどの浮き加減を感じながら、紅葉を眺めるの図。
美しい、でも、つらい。つらい、でも、美しい。
「人間がこんなに哀しいのに、貴船神よ、紅葉があまりに紅いのです」とか、言いたくなります。
特にどうでもいいことですが、もみじ灯篭開催中の土日はここでライブなども実施


で、見るもの見て参るものも参ったので、逃げるように帰ります。
あ~っ、腹減った。結局、何も食いませんでした。落としたお金、夢守火の100円と賽銭のみ。
何て迷惑な独男なんだ!しかも、帰りもバス代ケチって駅まで歩くつもりだなんて!!


でもね、バスね、ご覧のようにね、大混雑なんですよ。
21時まで走る貴船口・貴船間のバス、大増便してるそうですが、20:30でこの有様です。
ちなみに運賃、片道160円。さらにちなみにバス停、貴船神社から15分くらい歩かされますよ。


20分ほど歩いて帰ってきた、貴船口駅。
腹減り過ぎたので駅の売店で栃餅と蓬餅を買い、満員のホームと紅葉を眺めながら食うの図。
ひょっとしたら、ここの紅葉が一番きれいかも。紅葉そのものも、ライトアップも。
帰りの車内も当然ながら、混んでます。が、やはり、死ぬほどではありませんでした。

客層は、カップルと夫婦を合わせると、9割近い感じ。
清水寺のようなわかりやすい恋愛ハイ・観光ハイではありませんが、
場の空気は完全にカップルがヘゲモニーを握り、プレッシャーも激烈です。
加えて、地理的に逃げ場がないのが、キツい。川と山に挟まれた、一本道。人圧的にも、堪えます。
女性グループや家族連れなどもいるにはいるが、全体から見ればあくまで小数派。
単独は、男女とも限りなく、いません。
 
そんな貴船もみじ灯篭。
好きな人と行けば、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、紅葉です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:5
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:若干
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:1(若い子連れなど)
単身女性:微量
単身男性:微量

【ひとりに向いてる度】

完全なるアウェー。
とにかく一本道なのが、酷。
プレッシャー爆裂。獄門。

【条件】
日曜 18:00~21:10
 

貴船もみじ灯篭
毎年11月中旬ごろから開催
夕暮れ~21:00頃まで

貴船神社
京都市左京区鞍馬貴船町180
貴船もみじ灯篭開催期間は
6:00~21:00頃まで開門

叡山電車 貴船口下車 徒歩約30分
京都バス 貴船下車 徒歩5分

貴船 もみじ灯篭オフィシャルページ – 公式

貴布禰総本宮 貴船神社 – 公式

京都・貴船 – 貴船観光会