常寂光寺へ紅葉を見に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2010年11月21日(日)

常寂光寺へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

常寂光寺
嵐山から歩くこと2~30分。嵯峨野の奥へ行ったところにある、日蓮宗の寺院です。
藤原定家小倉百人一首を編んだという説もある小倉山の中腹にあって、
嵯峨野、そして京都市街を一望できるロケーションは、それだけで見事。
秋になれば紅葉が全山を包み、紅葉スポット目白押しの京都においても屈指の美しさを誇ります。
加えて、重文である多宝塔、伏見城の遺構を移築した本堂本圀寺から移築した仁王門
運慶作と伝えられる仁王像、独身婦人連盟が建てた共同納骨堂・志縁廟と、見るべきものも多し。
というわけで、まあ、混むわけです。秋はもう、無茶苦茶に、混むわけです。
そもそもは本圀寺十六世日禎が隠棲の地として開いたのが始まりであり、
仏教の理想郷・常寂光土を思わせるところからその名がついたと言われる常寂光寺ですが、
その小さな常寂光土が人間の臭気で雲散霧消するくらい、猛烈に、混むわけです。
孤独を愛する独男にとっては、浄土というよりもはや、修羅の庭。正直、行きたくない。
でも、メジャーどころの単独正面突破をモットーとする以上、逃げるわけにもいけない。
というわけで「日曜+連休中日+紅葉最盛期」と、わざわざピーク中のピークを選び、
血の色に染まる嵯峨嵐山へ特攻をかけてみました。


紅葉シーズンの嵐山・渡月橋。橋が人間で埋まってるのがわかるでしょうか。
何で対岸から紅葉の嵐山をバックに撮らないかといえば、人間が多過ぎるからです。
人間が多過ぎて、自由に歩けないし、自由なところで立ち止まることができないからです。


牛歩で渡月橋を渡り、嵐電駅前あたりの混雑でやはり牛歩してるの図。
歩行者天国になってるのか、単に人が多過ぎて車道に溢れ返ってるのかは知りませんが、
とにかく大きな道を大量の人間がウ~ロウロとうごめいております。


西山艸堂の前あたりから、普通に歩けるようになったの図。
常寂光寺は、ここから徒歩約20分。この人ごみと一緒に、20分。この紅葉で満足したろかな。
観光とは、レジャーとは、人間にとって一体何なんでしょうか。修行なんでしょうか。


JRの踏み切りを越え、新丸太町通を越え、ピーピングトムの前を通り過ぎ、
観光ショップをスルーしながら皆様と一緒にやってきた、落柿舎前。足以上に、心が疲れました。
元々は「神仏の光を観る」という意味の観光、修行と捉えるのは案外間違いではないのでしょうか。


さらに少し歩いて到着した、常寂光寺・山門。
拝観料は、この山門を通ってすぐの受付で支払います。400円。
公式サイトのトップに「Temple with no walls」などと書かれてる常寂光寺ですが、
自由に入れるわけではありません。あしからず。


少し並んで受付を済ませ境内に入ると、さっそく出てきた、藁葺きの仁王門 。
渋い、渋過ぎる。そして、その渋さとあまりにも対照的なビジュアルである、門前の人間大渋滞。
南北朝時代に本圀寺南門として建立、江戸時代初期になってここへ移転されたと、
人力車の兄ちゃんのレクチャーを盗み聞きしました。兄ちゃん、ありがとう。商売、がんばって。


またしても牛歩で仁王門をくぐると、現れるのは、浄土へ向かうレミングの行進。
道が狭い、階段が狭い、というか境内自体がそもそも狭い。そこへ人間超過投入状態。
混雑の密度が、半端ありません。天国に近いご年齢の方々の口臭がダイレクトで伝わる凄まじさです。


で、境内の鐘楼前。その、紅葉。いや、というより、人間。
冷静に見れば、呆れるほど、混んでます。本当に、笑ってしまうくらい、混んでます。
ただですね、ここの紅葉のインパクトというのはその不快感と拮抗するくらい、強烈なんですよ。


拮抗というより、ひょっとしたら圧勝かもしれません。
訪れた人の記憶の中では、無茶苦茶な混雑ではなくこの鮮やかな色彩こそが残るんでしょう。
観光ハイとか脳内補正の問題ではなく、やっぱり紅葉そのものが圧倒的なんですよね。


写真で改めて見ると滑稽にさえ見えるビジュアルですが、
現場には「こんなとこさっさとトンズラしたい」と思わせない、色彩の魔力が充満してます。
来てほしいな、現地に。いや、よけいに混むから、やっぱり来てほしくないな。


一応、押えの多宝塔。そして、本堂の裏と人間とデジカメと携帯。
多宝塔の裏へ回るためにちょっとした登山をやると、体が結構くたびれて、
目の前の現実がかなりリアルに捉えられるようになったりします。紅葉ハイが抜ける、と。


本堂と紅葉と人間。
紅葉ハイが抜け正気の眼が戻ると、人間だらけの現実が、耐えられないものになったりします。
即刻逃げ出したくなっても、逃げ場はなし。出口前の仁王門は一番混んでいる、みたいな。


参道と紅葉と人間。そして、お帰り口と紅葉と人間。
そうならないために、あえて腹8分、いやもう腹5分くらいでトンズラするのも、手でしょう。
今度来た時は、じっくり観よう。次に観る時の方が、きっときれいに違いない。
そう思いながら生きる人生も、そんなに悪いものではありません。いや、知らんけど。

人間地獄のようなことばかり言及してますが、現場の雰囲気は案外、落ち着いてます。
カップル率が低いのと、観光ハイな方が少ないのが相まって、
混み加減の凄まじさの割には、比較的穏やかに紅葉を楽しむことができるのではないかと。
メインはあくまで、中高年の団体と奥様方。若者は、どの属性も少なめです。
単独男性は極めて少なく、ほとんどがカメラマン。
単独女性は、いたかも知れませんが、いなかったかも知れません。

そんな常寂光寺の紅葉。
好きな人と観たら、より紅葉なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、紅葉です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:0
混成グループ:0.9
修学旅行生:0
中高年女性グループ:2
中高年団体 or グループ:4
単身女性:0
単身男性:0.1

【ひとりに向いてる度】
★★
色気のプレッシャーはさほどだが、
人圧は極めて高い。
人ごみが苦手だと、吐くかも知れない。

【条件】
日曜+連休中日+紅葉最盛期
14:00~14:50

常寂光寺
京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3
9:00~17:00

JR嵯峨野線 嵯峨嵐山下車 徒歩約15分
嵐電 嵐山駅下車 徒歩約20分

常寂光寺 – 公式

常寂光寺 – Wikipedia