南禅寺へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年4月10日(日)


南禅寺へ桜を観に行ってきました。もちろん、ひとりで。

南禅寺の桜を観ると、東山高校を受験した時のことを思い出します。
東山高校とは、ちょっと歩けばすぐ南禅寺境内へ潜り込んでしまう場所にある、男子校。
代表的な卒業生はみうらじゅん、などと言うと高校側は怒るでしょうか。
もちろん入試は2月に行なわれるので、「桜+受験」は明らかに時期間違い&記憶の混濁です。
だけど、受験した教室の記憶と桜の記憶が、私の頭の中では今でも一緒くたになってます。
おそらくは、受験の際に境内をうろついた記憶と、別の日に桜を観た記憶が、結びついたんでしょう。
何故結びついたかといえば、「もしここに通ってたら」という思いがあったからでしょう。
おかしいのは、近くの哲学の道やインクライン、さらには東山高校そのものを見ても何も感じないのに、
南禅寺にだけその虚偽の郷愁を感じることです。不思議。
抑圧したバッドな感情が、変なところで変なかたちで噴き出してるんでしょうか。
あるいは「禅寺の武家面」と言われたこの寺独特の雰囲気が、
やはり独特の色と匂いを持つ少年期の可能性の死体みたいなもんに共鳴するんでしょうか。
あ、私の名誉のために言うと、受験は通ってますよ。でも、お家にお金があんまりなくてね・・・。
おかげで今でも春にここを通ると、入学前のような青い胸騒ぎを感じます。
で、今年もまたそんな狂った気分で胸をいっぱいにして、桜を観に行きました。


インクラインの桜を見た後、そのまま南禅寺へ繋がる道を歩きます。
家康の側近となり、臨済宗をシメるまで成り上がった「黒衣の宰相」こと以心崇伝。
その崇伝が建立した金地院のウェルカム桜。そして、中門にかかる「大本山」の文字。


三門を遠くから見る。絶景かな、絶景かな。
今でもデカい南禅寺ですが、崇伝が臨済宗寺院の元締め・僧録となってからは、
わが世の春という感じの繁栄を極めたそうです。
明治の政治家などが別荘を建ててる岡崎のあたり、あそこも元は南禅寺の寺領だったとか。


三門を近くから見る。桜と絡めたら、下から見ても絶景かな、絶景かな。
南禅寺の隆盛をよからぬと思う者もいて、維新後は上知に加え水路閣を無理矢理通され、
さらには境内を日本初の公立精神科病院「京都府療病院付属癲狂院」にされてます。
何事も加減が大切なのだと、大きさの加減のきいてない建造物を見ながら思うこと、しきり。
今日は桜を見に来たので、もちろん金払って中に入るようなことは、しません。


法堂。明治42年の再建。桜とのバランスが、色といいサイジングといい、好き・・・。
量は少ないし、京都っぽいかは知らないけど、実に男好みがする感じの桜であります。
男好みというか、明治の匂いに共鳴しがちな少年好みとでもいうか。
明治にズタボロにやられた南禅寺にそんな印象を抱くのも、妙といえば妙ですが。


東山に行き損ねたことも、南禅寺に妙なエモーションを感じることも、人に話したことはありません。
なので、どれくらいの人が共感してくれるのか想像つきませんが、でも南禅寺、来るでしょ。
性的なものにも近い、何かが。右は、特に桜とも性とも関係ないけど、何となく撮った側溝。


桜とは関係ないけど、こちらも来ると言えば凄く来る、琵琶湖疏水・水路閣も一応見ておきます。
南禅寺のスピリットともいえる南禅院の真ん前にそびえる、近代産業建築。で、現在も稼動中。


人がいなければ、ミニ三脚+タイマーで思いっきり遊んでみたい、水路閣下。
その足元には、何となく見てはいけない感じのものが、散乱。


水路閣は、水が流れてるところも視認が可能です。
桜や山門や庭園だけでなく、100年を越えての現役ぶり、是非見ていってあげてください。


時折座り込んだりしてボケ~っと桜を堪能したのち、退出します。
今年もまだ、狂った胸騒ぎは消えてなかった。いつになったら、消えるんでしょう。
一生続く気は、しない。でも、近いうちに消える予感も、全然しない。消したくないんでしょうか。
そのあたりをじっくり思索するため、続いて哲学の道へ向かいたいと思います。
桜満開の日曜昼の哲学の道、物を考えるのにはピッタリの場所です。そう思いませんか。


哲学の道へ移動する際に通り過ぎた、東山高校。やっぱり何も感じません。不思議。
南禅寺の近くですが禅宗の学校ではなく、知恩院の学校。確か。今は永観堂か?
みうらじゅん原作の映画では「法然高校」として登場してるそうです。

三門・法堂・水路閣と、ベタスポット+タダでうろつけるところだけうろついたわけですが、
客層は割と、落ち着いた感じ。観光ハイの空気は少ないです。
平均年齢が高いこともありますが、若年層も比較的おだやか。
カップル、それなりにいるが、大したボリュームはなし。混成グループも、騒ぐことなし。
境内の広さが、人毒を薄めてるんでしょうか。それとも単に朝だからでしょうか。
ディープ一歩前、ティープ候補生というテイストの単独女性、割と多し。単独男は、カメラマンばっかり。

そんな南禅寺の桜。
好きな人と観たら、より武家面なんでしょう。
でも、ひとりで観ても、武家面です。


【客層】 (客層表記について)
カップル:2
女性グループ:1
男性グループ:若干(カメラマン同志)
混成グループ:若干(学生以下はあまりいない)
修学旅行生:0
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:2(雑多なグループ)
単身女性:1
単身男性:1

【ひとりに向いてる度】
★★★
客層的には居心地悪いはずだが、
意外とのんびり楽しめる。

【条件】
日曜+桜満開 8:50~10:00

南禅寺
京都市左京区南禅寺福地町
3/11~11/30 8:40~17:00
12/1~2/28 8:40~16:30
京都市営地下鉄蹴上駅下車 徒歩10分
京都市バス 東天王町下車 or
南禅寺・永観堂道下車 徒歩10分

公式 臨済宗大本山 南禅寺

Wikipedia 南禅寺