貴船・ひろ文で、川床を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

2011年6月3日(金)

そうめんフロアから見た貴船川
貴船・ひろ文で、川床料理を楽しんできました。もちろん、ひとりで。

川床って、もともとは涼を取るためのもんだったんですよ。
だって、京都の夏は暑いから。暑さから逃れるために、川に床を敷いたんですよ、昔の人は。
あ、御存知ですか。で、今もそうだろって。そんなわけないでしょ。今はクーラーがあるんだから。
風というより熱気がまとわり付いてくる夏の京都の川べり vs クーラーが効いた部屋。
どっちが涼しいと思いますか。幻想や痩せ我慢を取り去れば、答えは明らかです。
というわけで、現代の川床は実際的な納涼から開放され、風情こそを楽しむものとなりました。
おかげで、営業形態は年々多様化。期間も夏に限定されず、果てしなく長期化。
明らかに寒いと思える5月も営業し、むしろその寒さを利用して真夏では不可能な昼床が増殖中。
何でもありであります。
が、何でもありだからこそ、貧乏で孤独な我々が川床を楽しむチャンスも生まれるわけであります。
今回訪れたひろ文は、市内中心部より気温が数度低い、京都の奥座敷・貴船の料理旅館。
1200円で川床気分が味わえる流しそうめんで有名な店ですが、
6月いっぱいまでは3500円の清涼膳なる平日限定昼メニューを設定。で、それを食いにいった、と。
あ、為念で言っときますが、貴船の川床は「かわゆか」ではなく「かわどこ」です。
「かわゆか」は鴨川みたいな川沿いの床、貴船は川を覆う床ゆえ「かわどこ」だそうです。

貴船口駅前
25度以上ある市内中心部とはっきりと気温差を感じる、叡電・貴船口駅前。
前前日・前日と雨でしたが、この日は晴れ。勢いよく流れる貴船川の水に、陽の光が映えます。
ここから川床料理を出す料理屋が並ぶゾーンまでは、徒歩。貧乏人の運命です。

貴船川
府外ナンバーの観光車、宿の送迎車、登り轟音+下りエンジンを切るツーリングのバイク、
そして少なめの通行人とすれ違いながら、20分ほど森林浴ウォーキングであります。
料理屋ゾーンまで、面白いことにすれ違う通行人は単独ばかり。
それもいかにも単独顔というか、独なテイストの方が、長距離を黙々と歩いてました。偶然?

川を覆う川床
一番南の「べにや」あたり以北は中年夫婦風とカップル、若年女性グループと団体が増えます。
ただし、数は大したことはなく、混雑で道が通れない、などということは全然ありません。
川床は、概ねどこの店も空き気味。というか、客が全然いないところも多し。
そういえば近頃、貴船では川床カフェなんてのもやってるそうです。

貴船街道
安い店には比較的客が入ってるんですが、高級な店では店の人が玄関先に立ってました。
予約客を待ってるという顔のところもあれば、キャッチなみの露骨な客引きをしてるところも。
某老舗の6000円の昼飯に心奪われながらも、ない金はないので、ひたすら登山。
ひろ文、かの貴船神社奥社のそば、いわば貴船の最深部にあります。

ひろ文入り口
やっとこさ、ひろ文に到着しました。
ひとりの飛込みだと追い返されるかなとか思いながら店先のおっちゃんに
「予約なし+ひとりで清涼膳は大丈夫ですか」と訊くと、すんなり通されました。
熱烈歓迎という感じでもないですが、特にひとりを拒絶してる感じでもない、ごく普通な感じ。
速攻で「そうめんですか?」と返されたのは、貧乏人丸出しの見た目なんでしょうがないですな。

そうめんフロア
玄関を通り、川へ降りて、まずはそうめんフロアへ案内されます。
普通の料理を楽しむ床と、そうめんの床が、分かれてるんですね。で、そうめんは、下流側。
下流といっても、目の前には、絶景。こっちの方が凄いんじゃないかと思えるくらい、絶景。
上のお客さんが芸妓さんを呼んでたので、風情のおこぼれまで頂けました。

そうめん案内と団扇
席に着くと番号のついた団扇を渡され、そうめんが茹で上がるのを待ちます。
他に客はいなかったので、私の待ち時間は5分ほど。でも、これは逆にもったいないかも。
ビールでも飲みながら景色見てゆっくり待つのが、むしろ正しい楽しみ方でしょうね。

流しそうめん
流しそうめんです。流し手と食い手が、一対一で対峙しております。
何せ一対一なので、こちらの食うペースに完璧に合わせて流してくれております。
ゆえに、こっちがペースを落とさないと、あっという間に終了印の赤いそうめんが流れてきます。
本気でがっつり食ってると、多分5分を待たずに終了してしまいます。(経験者談)

清涼膳
流しそうめんを瞬殺すると、余韻に浸る間もなく上流側のフロアへ案内されます。
いよいよ本命、京料理に鮎の塩焼きもついたこの時期限定メニューである清涼膳のお出ましです。
宝石箱のような料理の数々、目だけでも楽しんでもらいましょうか。

鮎
鮎。

京料理①
京料理。

京料理②
京料理。

京料理③
京料理。

京料理④
京料理。
京料理以外のものも入ってる気がしますが、どこまでが京料理かは各人でご判断ください。
お味の方は、貴船川に乾杯というところでしょうか。

座敷から下流側を眺める
座敷から下流側を眺める。
団体客は、20人くらいの中年団体が二組。片方は先述の芸妓数人を呼んでるリッチマン。
もう片方は、普通の団体。どちらも、特に騒ぐようなことはなし。
そもそも、個人客と団体客はご覧のとおり別のフロアに案内されてます。

座敷
とか言ってる間に、全部食い切ってしまいました。
見るもん見たし、食うもんも食ったので、帰りましょうか。ちなみに手前が、私のいた痕跡。
お上りさん丸出しに見えたのか、女将は帰り際に「写真撮りましょうか?」と言ってくれました。

帰りの入り口
入り口で勘定を済ませると、団扇をもらいました。昭和の思い出、という感じでしょうか。
あ、ちなみにこの時、うちわがマジで必要な気温ではありません。むしろはっきり、寒いです。

客層は、個人客が妙齢女性二人組×1、30代夫婦×1。団体は先述の通り。
入り際に退店する母娘 or 姉妹風二人組、帰り際にはそうめん帰りのカップルとすれ違いました。
やはり帰り際に、そうめんフロアで若年女性二人組かグループが、数人。
料理フロアへ移動する時、20人くらいの外人グループが店の前で記念写真を撮ってました。
そんな感じ。どんな感じだ。

景色は、圧倒的に良いです。2000円くらいをチャージ料と割り切ったら、良い遊びでしょう。
少なくとも6月上旬の平日昼間なら、ひとり&飛び込みでも大丈夫だと思います。
実際に行って体よく追い返されたら、すんませんですが。

そんな貴船のひろ文。
好きな人と行けば、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、京都の夏の風物詩です。


【ひとりに向いてる度】
★★★
色気のプレッシャーは、特になし。
アウェー感は、その時の客によると思う。
店自体にはそんなになし。
あと、6月初旬の晴れの日でも、充分に寒い。

【条件】
金曜 13:30~14:20

料理旅館 ひろ文
京都市京都市左京区鞍馬貴船町87
11:00~21:00
川床料理実施期間:5月1日〜9月末

叡山電車 貴船口駅下車 徒歩30分

公式 京都 貴船 料理旅館ひろ文

食べログ ひろ文 ひろぶん – 鞍馬/京料理