祇園放生会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

2011年6月5日(日)

放生された金魚
祇園の放生会へ行ってきました。もちろん、ひとりで。

放生会。そもそもは仏教の戒律に基づいた、殺生を戒める宗教儀式であります。
必要以上に他の生きものの命を奪い、食い尽くさずにはいられない、罪深き我々人類。
飽食は改めることができても、やはり最低限食うもんは食わねばならない、罪深き我々人類。
その原罪性を認識し、魚や鳥を野に放つことで食材化した生きものを供養するのが、放生会です。
しかし、神仏習合の国・日本に於いては、この仏教儀式が神道にも大幅にフィーチャア。
よりによって春秋の収穫祭・感謝祭とも習合し、混交の度が特に高い八幡宮では例祭化。
筥崎八幡宮・放生会のお祭り加減は有名ですし、私の地元の石清水八幡宮なんかでは、
放生会で鳥を放ちながら神饌として焼鳥を献上するという、わけのわからないことになってます。
が、とにかく大事なのは、食べ物のありがたみを実感し感謝すること。
いのちをありがとう、ってやつです。で、そんな気持ちを祇園のど真ん中で祈るのが、祇園放生会。
開催場所が辰巳大明神前ということで、思わずディープな神仏習合の名残を期待したくなりますが、
実際は古来の行事ではなく、昭和末期にどっかの学生団体が企画したイベントもの。
で、学生が飽きたのか辞めて、今は赤山禅院がメインの実行委員会が引き受けてると。
だからかどうかは知りませんが、読経には赤山禅院の親玉である比叡山の偉いさんが参加。
もちろん、舞妓はんもしっかり登場する、祇園の初夏の風物詩です。

放生会の看板巽橋へ続く路地
白川南通入り口に置かれた放生会の看板、そして巽橋へ続く路地。客、いっぱいです。
観光客が、祇園の求人広告を見て「またバイト募集だって。時給、安っ」とか言ってました。
「ビジュアルはいい、でもバックグラウンド匂いのお好み焼きは駄目」とも。


かにもかくにも、かにかくに歌碑近辺。
近くの某料理旅館の前の橋には、店の客とは思えぬ人達がカメラ構えて陣取ってました。
黙認されてるのかも知れませんが、良い子のみんなはやめときましょうね。

辰巳大明神前
メイン会場の辰巳大明神前。
11時半ごろに着くと、比叡山塔頭・慈光院の栢木寛照氏による挨拶トークが行なわれてました。
「中国では人を食ってる」「日本は自給率38%なのに食糧を捨てまくってる」
「人間はいつか死ぬ。この可愛い舞妓さんもいつか死ぬ」などの話。
テントには、同じく比叡山塔頭・赤山禅院の文字。近辺を比叡山の若い衆がウロウロしてます。

チラ見できた舞妓はん
あ、舞妓はん。物凄い密度の人に囲まれてるので、まともに見えませんが。奇跡のチラ見。
比叡山の連中と顔見知り的に挨拶してましたが、連中、祇園の常連なんでしょうか。

新橋通を眺める
観光局の人の祝辞が終わると、比叡山の偉い坊さんが来るのをしばし待ちます。
あ、そういえば午前中には何かの無料接待と楽器演奏とかもやってたそうです。

比叡山大行満大阿闍梨明王堂光永圓道が登場
12時20分、比叡山大行満大阿闍梨明王堂光永圓道が登場。長い名前ですね。
撮影禁止が徹底される中、物凄いスピードで「放生文」なるものを読経します。
それが終わると、巽橋へと移動、さっきの舞妓はん2人と仲良く金魚を放流して、合掌。
続いて一般参列者も放生を開始。で、大阿闍梨はそそくさとご帰還です。

白川南通を闊歩する大阿闍梨
大量の若い衆に囲まれ、白川南通を闊歩する大阿闍梨。近寄りがたきこと、セレブのごとし。
道に頭を垂れるものが居れば加持を加え、取り巻きがその人にお土産らしきものを渡す。
同様に頭を垂れる人に取り巻きが何かを注意しようとして、もちっと偉い取り巻きがそれを遮る。
まるっきり体育会系、あるいは●●●系なのが、おもしろうございました。

一般人の放生
で、一般人の放生。もちろん、大行列が出来てます。
どうせすぐ金魚はなくなるだろうと思ってたので、私は並ばず、巽橋界隈をうろついてました。
すると、周囲の家の屋根をうろうろしてる鷺を発見。川をじぃ~っと観察してます。


鷺の挙動に注目してるうち、行列の人数はかなり減ってきました。
金魚は相当数用意されてるようで、私もできそうな感じです。鷺を気にしながらも並びます。
「券か何かいるんですか」と訊けば「構わない。放生してやってください」と桶を渡されました。

放生の桶の中巽橋で放生
桶の中には10匹くらい金魚が入ってました。片手で撮ったので、全然何も映ってませんが。
で、それ持って、川へ、バシャ。その姿を、見境なく写真を撮る観光客が、バシャ。
その姿を、さらに見境なく写真を撮る私が、バシャ。

鷺、着水
生きるものへの感謝の念でいっぱいになったころ、鷺が白川へ降りてきました。
泳ぐ金魚にターゲットを定め・・・

鷺、捕食
パクっ。

鷺、ゲット♪
ゲット♪

鷺、ウマー
(゜Д゜)ウマー。
面白がり(私を含む)が狂喜して写真を撮り、子供は「金魚可哀相」とか言ってました。

流れに逆らう金魚たち
金魚たちは、本能なのか何なのか、遡上しようとしてなかなか鴨川へ流されません。
単独で流れに逆らう奴もいますが、多くはフォーメーションを組んで抵抗します。
で、運良く上流へ向かったところで、鷺にパクっといかれるわけです。六道を輪廻なのです。

巽橋
客層は基本、烏合。
まるっきり観光イベントの客という感じでもなく、地元密着仕様というわけでもありません。
カップルは案外少なめ。若年女性グループも同じく。男性グループは冷やかし半分がちょっとだけ。
あと若者は、わかりやすい観光客の混成グループと、通り過ぎるだけの修学旅行生くらい。
中高年は、女性グループが地元近隣系で、他は観光客と近隣系が入り混じる烏合の衆。
単独は、女性は普通に地味な人と、普通におしゃれな人と、普通に観光系な人。
男は、カメラマン7割+写メ撮ってるような普通なの3割というところでしょうか。
場所の割に、観光ハイの人はあまりいません。といっても、ひとり者が和める空気でもありませんが。
客数そのものはどうってことはない数ですが、場所が狭いため、非常に混みます。

そんな祇園の放生会。
好きな人と行けば、より不殺生戒なんでしょう。
でも、ひとりで行っても、不殺生戒です。

鷺と金魚
【客層】 (客層表記について)
カップル:1
女性グループ:1
男性グループ:若干
混成グループ:若干
修学旅行生:若干
中高年夫婦:2
中高年女性グループ:1
中高年団体 or グループ:2
単身女性:1
単身男性:2

【一人に向いてる度】
★★★
特に問題なし。
色気的なプレッシャーは意外と希薄。
人圧は高いが、中心部以外はどうってことなし。

【条件】
日曜 11:30~13:20

祇園放生会
祇園白川巽橋・辰巳大明神付近にて
6月第一日曜に開催
11:00~13:00

辰巳大明神
京都市東山区新橋花見小路西入ル元吉町
京都市バス 祗園下車 徒歩5分
阪急電車 河原町駅下車 徒歩15分
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩10分

かにかくに歌碑と金魚