四条河原町下ルの三栄で鱧を食べました。もちろん、ひとりで。

2011年7月14日(木)


四条河原町下ルの三栄へ、鱧を食べに行ってきました。もちろん、ひとりで。

京都の夏といえば、鱧。
というわけで、貧乏独男でも京の夏を楽しもうと始めた夏季集中企画 『ひとりで食べる鱧』 。
己の財政事情を省みずに食べ歩きをスタートしたんですが、結果、あの、今回で最終回です。
最終回じゃないにしても、多分、当分、お休みです。何故って、いや、お金がなくなるから。
お金ってね、使うとなくなるもんなんですよ。御存知でしょうか。本当に不思議ですよね。
貧乏なら貧乏で、もうちょっとお手ごろな惣菜ものとかで攻めてもよかったんですが、
しかし、そういう守りの姿勢では絶対に楽しめない味覚があるのも、これまた世の真実。
特に今回の三栄、良かった。本当に、良かった。
この企画では「昼&5000円以内」の予算を想定してたんですが、こちらの御代は7000円弱。
結構なオーバーではありましたが、でも本当に、良かった。美味かった。
四条通を避けて寺町通の電器街へ行く時、団栗橋からこの店の前あたりをよく通ってましたが、
「何か渋い店」という印象しかなかっただけに、嬉しい驚きでした。
当日の朝10時頃に「ひとりで。13時半頃」と予約の電話を入れたら、OKの返事。
だったのでのこのこ出かけました。


昨日の夜は準備中だった屋台も、多くが営業を開始。
山の大半が建ち上がり、ついでに観光客も増加。さらには、暑さの方も殺人的にスパーク。
京都の街は完全に祇園祭モードへ突入です。鱧を食うにはいいタイミングであります。


三栄は、四条河原町を二筋ほど下り東に入ったところにあります。
「カルド」や「コロナ」の近くと言いたいところですが、余計わかりにくいでしょうか。
もうちょっと東には、ご覧の高瀬川。おけいはんの私は、鴨川と高瀬川を渡って、店へ向かいます。


狭い路地に立つ、三栄。渋いです。
外観は年季が入った味のある店という感じですが、中はすごく新しい、きりっとした割烹。
ちなみに、宵山と山鉾巡幸の16・17日は、昼夜とも予約が既に満杯。
私が食べてる間にも電話がかかってきて、女将さんが丁重に断ってました。


頼んだのは、鱧旬菜御膳、6825円也。
他にも 『鱧づくしコース』 11550円や 『鱧しゃぶコース』 8925円などがありますが、
もちろんどっちも私には手が出ません。あと、鱧はないけど3000円ほどのランチもありました。
写真は、前菜。プラス210円で汲上げ湯葉梅酢にチェンジできるそうなので、
頼もうと思ってたんですが、あまりの暑さで汗を拭いてる間に普通のが来てしまいました。
でも、こっちも美味しいですよ。


続いてやってきたのは、骨せんべい。言うまでもなく、鱧の骨を揚げたものです。
抜群の塩加減とサクサク感が、たまりません。
あ、ちなみに私が座ってるのは7~8席のカウンター。背後には小さいテーブル席が2つほど。
カウンターの向こうから、しゃりっ、しゃりっ、と、鱧の骨切りらしき音が聞こえてきます。


出ました、落とし。「ああ、これが鱧の美味しさなのか」と、教えられるような落としです。
早めに湯から上げるてのか何なのか、とくかく食感が私の知ってる落としじゃありません。
鱧そのものの味わいと、梅ダレとの相性も、実によろし。


焼き鱧と、きゅうりと、みょうがの酢のもの。
八坂神社の氏子さんは、祇園祭の間きゅうりを絶つそうです。理由は、神紋に似てるから。
でも、偽京都人の私には関係ありません。バクバク食います。
混ぜて食べても当然美味しいですが、焼き鱧だけで食べてもまた、至福。


京料理の煮もの。玉子みたいなのには、鱧の玉子が入ってます。
具材ごとに別の出しで焚き上げられた、丁寧な味わい。


出ました、天ぷら。鱧と海老、そして野菜。鱧はもちろん、海老がこれまた、美味。
「鱧料理店」と、大々的に鱧で押してるこの店ですが、鱧のない冬の間はすっぽん鍋が名物だとか。


これがまたたまらなかった、ミニ鱧鍋。
鱧の頭からとった出汁で、鱧の身、九条ネギなどがグツグツの状態で出てきます。
ちょっと甘味で濃厚な出汁が、ひたすら美味。


締めの鱧寿司。
鍋の出汁の余韻が残ってて、味が思い出せない・・・。


水物は、陰陽プリン。
あずき味のムースに、抹茶をかけてます。市販したら、売れるでしょうね。

客は、何を食べてたかは知らない仕事中っぽい男女二人組と、リーマンおじさんのみ。
一人のプレッシャーよりも、貧乏独男ゆえのアウェー感の方が甚大です。
懐に問題ない人は大丈夫でしょうが、そうでない方はちょっとはまともな格好で行きましょう。

ひとりで7000円の食事をする人が、うちを見てくれてる方の中でどれくらいいらっしゃるのか、
正直よくわかりません。ですが、まあ、常識的に考えて、散財ではあります。
が、京都+夏=鱧というベタなイメージを、ベタ以上の納得に変えてしまう味であることは、確かです。
気軽には無理でも、是非試してもらいたいところであります。
お金がないなら、宿代をケチるとか、どうでしょう。つまんないホテルになど泊まらずに。
ネットカフェ寝るとか。鴨川で寝るとか。それくらいの価値はある味だと思いますよ。
あ、本当に野宿して行くのなら、風呂は入って行った方がいいと思いますが。

そんな三栄の鱧料理。
好きな人と食べたら、より京都の夏の風物詩なんでしょう。
でも、ひとりで食べても、京都の夏の風物詩です。


【ひとりに向いてる度】
★★★★
一人のプレッシャーよりも、
貧乏独男ゆえのアウェー感の方が甚大。

鱧料理店 三栄
京都府京都市下京区河原町通四条下ル
稲荷町319
11:30~14:30
16:30~21:00
阪急電車 河原町駅下車 徒歩1分
京阪電車 祇園四条駅下車 徒歩5分
京都市バス 四条河原町下車 徒歩約3分

公式 鱧料理店 三栄

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